ハイスクール・フリート 星の下の約束   作:Aa_おにぎり

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四四話

夏休み中にとある孤島に集められた晴風クラスは、そこで古庄から補習内容を聞かされるのだった。

 

「実習内容はオリエンテーティング!」

「オリエンテーティング……」

「オリエンテーリングってなに?」

 

西崎はオリエンテーリングの意味を知らず、クラスメイトたちにオリエンテーリングの意味を訊ねた。

 

「えっと……オリエンテーリングとは……地図とコンパスを使って。各地に設置されたポイントを通過しながらゴールを目指す野外スポーツの一種だそうです」

「魚雷は!?魚雷を撃つチャンスはあるの!?それが問題だよ!!」

 

西崎は納紗にそのオリエンテーリングで魚雷を撃つチャンスはあるのかと、期待の眼差しを向ける。

 

「あるわけないだろ……」

 

そう言い、真白はトリガーハッピーの西崎に呆れた目を向けていた。

 

「わ、私、小学校の頃、キャンプでやったこともあるかも……」

「あっ、やった、やった」

 

知床と内田は、小学生時代にオリエンテーリングの経験があるようで、昔話をし出した。

 

「なんか文字とかが描いてある看板を探して森の中を歩き回ったやつだよね。あの時、リンちゃん、道に迷って泣いちゃって……」

「ううう…そうだっけ……?」

「幼馴染みだからこそ、知るエピソードですね」

 

オリエンテーリングの話でクラスメイト同士の話に花が咲いていると……

 

「はいはい、そこまで!!」

 

古庄が手を軽く叩きながら意識を向けさせる。

 

「オリエンテーリングは元々訓練として始められたものなの」

「競技として順位を競うモノなんだけど、グループで行う登山ってイメージが広く浸透しているかもね」

 

そこで平賀と福内が補足説明をする。

 

「今回行う実習もグループ行動をしてもらいます。まず、四つのグループを作ってちょうだい」

 

オリエンテーリングは基本グループ行動なので、まずはそのためのグループを作るように古庄教官は指示を出す。

 

「あの……私たちはどうすればいいんでしょう?」

 

晴風クラスではない大谷と加藤はどう行動すればいいのかを古庄教官に訊ねる。

 

「そうね……せっかくだから参加で」

「やっぱり!?」

「しかたないネ!!」

 

折角来たのだから、大谷も加藤もこのオリエンテーリングに参加する事になった。

 

「組み合わせはどうすればいいんですか?」

 

明乃がグループを決めるにあたってどうすればいいのかを古庄教官に訊ねる。すると、古庄教官は答える。

 

「方法とグループメンバーはそちらに任せます。三分以内に四つのグループに分かれて整列するように」

 

グループを決める方法とメンバーは明乃たち、生徒に任せると言う。

 

「組み合わせは自由か……どうします?」

「科で分けますか?ちょうど四つありますし……」

 

真白がどうやってグループを決めるのかを訊ね、納紗は科が四つあるので、科ごとに分かれるかと提案する。

 

「でも、それだとグループごとに得意、不得意なことが偏っちゃうかも……」

 

確かに四つのグループを作るのは早いが。それだとそれぞれ個人の得意、不得意によってグループのバランスが崩れる可能性があると指摘した。

 

「確かに、能力は均等に分けた方がいいかもしれませんね」

 

納沙も明乃同様、競技である以上、グループのバランスは均等にすべきだと言う。

 

「じゃあ、科ごとにグー・チョキ・パーで分かれてみよう!」

「いいのか?そんな決め方で……」

 

明乃は科ごとのグループのではなく、科ごとにグー・チョキ・パーをして、それぞれグループを決めようと言うが、真白は不安げに見る。

 

「四つに分かれるなら、グー・チョキ・パーじゃ、一つ足りないんじゃない?」

 

確かに姫路の言う通り、四つのグループを決めるのに、グー・チョキ・パーでは三つしか出来ない。どうしようかと思っていると、勝田がある提案をした、

 

「あっ、そうか」

「なら、もう一つはコレぞな!!」

 

勝田はするとフレミングの左手をしていた。

 

「なにそれ?」

「フレミングだyo!!」

 

そう言うと、古庄が時計を見ながら叫ぶ。

 

「あと一分!!」

「と、とりあえずみんなで別れよう!!」

 

そんな訳で少し慌ただしくなりながらもグループ分けが行われた。

 

 

 

 

 

それから数分後、グループ分けが決まった、内容は以下の通りである。

 

グーチーム

明乃、和住、加藤、美波、柳原、内田、姫路、日置

チョキチーム

真白、小笠原、万里小路、黒木、若狭、伊良子、勝田、山下

パーチーム

納沙、杵崎ほまれ、松永、武田、等松、野間、伊勢、知床、広田

フレミングチーム

西崎、杵崎あかね、宇田、八木、立石、大谷、青木、駿河

 

の四つが決まり古庄は早速地図を配った。

 

「よし、では。各グループに地図を配る」

「これが地図?」

 

と言って渡された地図を見て明乃は不思議に思った。なぜならその地図は真っ白の島の形をした地図で四つのスタート地点と道のりが書かれていた

 

「ほとんど書かれていないけど……」

「見てわかる通り、その地図は不完全です。各グループにはその地図を持ってそれぞれ別の位置からスタートしてもらいます。

進む道にはいくつかのチェックポイントがセットされていて、道中そのポイントを見つけながら進み地図と照らし合わせて、現在位置や方角を割り出し、最終地点へ辿り着くこと。制限時間は三時間。内容は以上、では解散!」

 

と言って古庄達は早速オリエンテーションを開始した。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

オリエンテーションを行っているグーチームの美波はとても歩きづらそうであった。それもそう、彼女は頭脳は大学生並みでも肉体は小学生、体力も明乃達とは違うのだ。

 

「お、重い……」

 

そう歩きながら言っていると加藤がバックを持ち上げながらら言った。

 

「ジェニーが持つよ!」

「あ、有り難う……」

「You’re welcome」

「しかし、これなにが入っているんだ?」

 

と言って柳原が中身を見ようとした。すると、

 

「あれ?見なかったの?」

 

と内田が言って明乃が中身の説明をした。

 

「水と、食料。あとは発煙筒とかだね。非常用の準備だけど、今回はトレーニング用の重り代わりじゃない?」

 

と言うと明乃達は早速ポイントを見つけ地図に書き込んだ。

 

「しかし、悪かったなジェニー。こんなつもりで呼んだわけじゃ無かったんだが……」

 

と言って柳原が加藤に謝った、しかし加藤は……

 

「No problem!!山登りも楽しいネ!!」

 

と言って加藤は楽しんでいた。

 

「虫よけスプレー持って来ればよかった。木が影になって、日焼けの心配はなさそうだけど……」

 

内田は日差しを気にしながら森の中を歩いていると日置や姫路が口にしていた。

 

「それにしても変わった実習だよね」

「まぁ、特別実習だからねぇ~」

 

そんな風に話していると足元がしっかりとしている明乃を見て和住が思わず声をかける。

 

「艦長は場慣れしていますね」

 

簡単に山道を登っていく明乃に和住が呟くと、明乃は懐かしそうにしながら言う。

 

「そんなことないけど……昔、もかちゃんやサクちゃんと色んな所を探検したのを思い出したら、ちょっと楽しくなっちゃって」

「相変わらずだなぁ~艦長は」

「ポジティブなのは良い事ダネ!」

 

柳原と加藤は何処でも変わらない明乃の姿に思わず笑みを零した。

 

「ところで、ポイントってどこにあるんだろうねぇ~?」

 

姫路が辺りを見回してチェックするポイントとやらを探す。

 

「簡単には見つからないように隠されている可能性もあるよぉ~」

 

松永は、チェックポイントはそう簡単には見つからない可能性も示唆する。

 

「テキトーに進んでもいずれはたどり着けそうだけどな」

 

柳原はここは島なのだから、歩いていればチェックポイント、またはゴールに辿り着けそうだと言うが……

 

「うん……だけど、制限時間もあるし、早いうちから位置を把握して最善の道を選ぶ必要があるから……」

 

確かに今から三時間以内と言う制限時間がなければ、柳原の言う通り歩き回っていればいずれはゴールに辿り着けるだろうが。こうして制限時間ある以上、無駄な距離を歩いては体力と時間のロスになる。

 

「ポイントは出来るだけ、見つけて地図に記入するって、ルールもあるしね」

 

制限時間の他にもこの島の彼方此方に設置されているチェックポイントを地図に記入しなければならないと言うルールもある。なのでやみくもに歩きながらゴールを目指すと言うモノでもない。そう言う意味ではこのオリエンテーティングは航海に似ていた。

 

「もしかして、少し道を外れないと見つけられないかも……」

 

チェックポイントはおそらく立て札や板に書かれているだろう。それに、その立て札や板は木々の葉の中、茂みに隠されている可能性が高かった。

 

「この辺りで一度探してみる?」

「そうだね」

 

そう言う事で此処ら一帯の散策を始める明乃達だった。

近くに看板やらを探す明乃はこの光景に懐かしさを思い出していた。

 

「(そう言えばサクちゃんと初めて会ったのもこんな夏だったけ……)」

 

夏の日差しを見ながら明乃は昔の思い出を振り返っていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

一〇年前

呉市外の児童養護施設

 

夏休みに入った明乃達は普段であればラジオ体操や夏休みの課題をした後は自由な時間を過ごすことになっていたが。その日は寮母さんがみんなを大部屋に集めていた。

 

「今日は新しい子が来ますよ」

 

そう言われ、もかちゃんや他のみんなは新しい子が来るのだとワクワクしていた。

 

「どんな子なんだろう?」

 

その時、一緒に過ごす様になっていたもえかが不思議そうにしていると、寮母さんは奥から一人の私たちとほぼ同い年だと思う女の子を連れて来た。

その子は眼が隠れるくらいの銀髪をしていて、黒いワンピースを着ていた。

肌はとても白く、腕も私たちよりも細く見え、ちょっとだけ不健康そうにも見えた。

 

「自己紹介出来るかしら?」

 

寮母である、雫さんにそう言われ。その女の子は辿々しくなりながら自己紹介をした。

 

「あ、あの……み、深山…さくらです……よ、よろしく…お願いします……」

 

深山さくらと言った女の子はそう言うと私達に挨拶をしていた。

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