ハイスクール・フリート 星の下の約束   作:Aa_おにぎり

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後半から、サクラや他のモンタナ生徒の回想シーンになります。
これが終わったらちょっとだけ話を挟んだ後に劇場版に行くと思います。


四八話

明乃達が孤島で平賀達と川遊びをしている頃。

横須賀沖合に停泊しているモンタナでは、甲板の至る所にフル装備をしたモンタナクラスの生徒が両手にアメリカ陸軍制式銃であるM8コンパクト・カービンやM8オートマチック・ライフル、M8ベースライン・カービンを構えていた。

弾倉部分に6.8×43mmWCO弾(中身は安定のゴム弾)を装填し、一人が中の様子を確認していた。

 

 

 

 

 

冷戦初期、ソ連のワルシャワ条約機構に対抗する為に作られたアメリカ主導の軍事同盟であるワシントン条約機構(WCO)が結成された時。

アメリカは.308ウィンチェスター弾を制式弾薬にしようとしたが、それ以外のほとんどの国が反対。

アメリカは猛烈な反対を受けて制式弾薬を譲歩した後、日本の三八年式実包やイギリスの.280ブリティッシュ弾などが選定された。

最終的に貫徹力のある.280ブリティッシュ弾が6.8×43mmWCO弾として採用され、今日まで続く中間弾薬としての役割を果たしていた。

ただし、ここ最近はボディーアーマーの強化や、装弾数の関係から三八式実包も6.5×50mmWCO弾として採用されている。

 

 

 

 

 

そして今日はモンタナの生徒達は新たにM3A1短機関銃から、新たに支給されたM8シリーズに慣れる為の訓練を行っていた。

船内に続く扉の前で生徒が上げていた手を振り下ろすと待ち構えていた生徒達が一斉に中に突入していく。

 

ダダダダダッ!

 

船内では積み上げられた土嚢などに隠れて同じ装備をした生徒が同じ銃を持って射撃をしていた。

 

「撃て撃て!」

 

二八発入り弾倉を装填しながらルイーザが叫ぶ。一人、また一人と撃破判定が出る中。ルイーザ達は前進していた。

 

「居るぞ……何処かに……」

「出て来い…機関銃が待ってるぜ……」

 

すると次の瞬間、一人の生徒が撃破判定を受けた。

 

「うわっ!?」

 

一人が倒され、ショットガンの銃声が聞こえると、一斉に警戒が高まった。

するとルイーザと共にいたネルが通路の端に一瞬だけ映った影を見た。

 

「居たぞぉ!居たぞぉぉぉぉおおおお!!うわぁぁああ!!」ダダダダダダダッ!!

 

するとネルは持っていたM8オートマチック・ライフルの引き金を弾いた。それと同時にルイーザ達も同じように銃を撃ち始めた。

 

「うらぁぁぁあああ!!出て来いクソッタレェェェエエエエ!!」

 

分隊支援火器である機関銃を打ちながらネルが叫ぶ。

 

「艦長めぇぇぇええええ!!デァァァアアアア!!」

 

銃声が響き、一斉に銃声が轟く中。突入チームは銃撃を徐々に止めた。

 

「……」

「……」

 

言い知れぬ緊張感が高まる中、チームメンバーは前進する。いつ敵チームの首領であるサクラが襲ってくるかは分からない。

彼女の持つ武器は改造されたウィンチェスターM1887散弾銃……と本当はもう一つあるのだが、こう言った訓練では滅多に持ち出すことは無い。

 

「……」

 

ここは通路の角、一体何処から来るのかと思っているとルイーザ達は驚愕した。

 

「……うおっ!?」

 

自分達に向かってまっすぐ突進してくる影が一つ……サクラだ。

 

「真正面からですかい……!!」

「撃てっ!!」

 

ダダダダダッ!!

 

一斉に狭い通路を走るサクラに向けて機関銃が放たれるが、サクラには当たらず。むしろ撃ち返しをモロに受けた。

 

ダンッ‼︎

 

一発放たれた散弾が最前列の二人を持っていく。

 

ガッチャン‼︎カチッ‼︎ダンッ‼︎

 

一発撃ち、銃を時計回りに回転させて手元のレバーを引いて排俠。そして銃の回転が終わり、引いていたレバーが戻って薬室に散弾が装填され、その瞬間にサクラは引き金を引いて二射目を撃つ。これで二人を持って行った。

 

「このっ!!」タンッ‼︎「うがっ!!」

 

接近され、反撃しようとした所を一人が撃ち抜かれた。咄嗟にその方を見ると、通路先でPSG-1を持って構えていたケイリーがこちらを見ていた。

 

「お返しだぁぁぁあああ!!」

 

そう言い、ルイーザ・ネル対サクラ・ケイリーと言う構図が出来上がっていた。

激しい銃撃戦が行われ、船体の至る所で銃声が轟いていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

『訓練終了!繰り返す!訓練終了!総員清掃作業を始められたし!繰り返す……』

 

訓練が終わったアナウンスが鳴り響き、ヘルメットを脱いで汗だくになったルイーザは悔しげに言う。

 

「あそこでやられたのが痛かったな……」

 

そう呟き、今の訓練で負けたことを悔やんでいた。

 

「ねぇ、今度艦長と組ませてくださいよ」

「うーん、また今度ね」

「やっぱり接近戦でサクラは最強だね」

 

そんな事を話しながらゴム弾や薬莢を片付けているサクラ達。今回の訓練では、M26MASSやM203グレネードランチャーを生徒の好みで取り付けられ、ドットサイトなんかも各々が持ち込んだ部品を組み合わせていた。

片付けをしていると、自分たちに声をかける人がいた。

 

「流石、動きが速いわね……」

「「「宗谷校長先生……!!」」」

 

現れたのは真雪だった。内火艇を使ってやって来たことに驚きながら反射的にサクラ達は敬礼をした。

真雪も軽く敬礼を済ませるとサクラ達に話しかけた。

 

「先ほどの訓練を見させていただきました。とても良かったわ」

「ありがとうございます」

 

そう言い、訓練を見た感想を言った真雪に礼を言うと、真雪がある提案をした。

 

「今の訓練を見させて貰ったわ……どうかしら?うちの子と手合わせをすると言うのは?」

「うちの子……と言うと……」

「真冬のいる部署よ」

「ブルーマーメイド強制執行課ですか……」

 

そう言い、サクラはふと考える。

ブルーマーメイドの実行部隊と訓練ができるなんて夢のような事である。それに、強制執行課の活躍は自分たちも聞いている。

 

「少し……みんなと相談してからお答えしても宜しいですか?」

「ええ」

 

そう言うわけで訓練後の片付けを終えた後、サクラ達は集合して。相談をして多数決をとった後、強制執行課の面々と訓練する事になった。

そんな中、ふとサクラはある思い出を思い返していた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、サクラとケイリーは中学校の卒業旅行で車に乗って居た。

自分たちの住んでいるアイオワ州では一四歳から自動車の免許の取得が可能だ。実家が農場を経営しているケイリーに便乗して取った免許だが、今日はそれが功を奏して二人は中学校の卒業旅行に来ていた。

改造済み六代目マスタングのハンドルを握りながらサクラ達は道をかっ飛ばしていた。

 

「ヒャッハー!」(((o(*゚▽゚*)o)))

 

横で大興奮のケイリーを見ながらサクラは少し呆れたように言う。

 

「やれやれ、はしゃぎすぎだよケイリー」

 

そう宥めるように言うと、ケイリーが言う。

 

「いやぁ、だって今までこんな遠出したことないじゃん?だから新鮮だなぁって思ってさ」

「まぁ、そうなんだけどね……」

 

サクラとケイリーは来月からあのサンディエゴ海洋学校に入学する。

おまけにこの二人はそれぞれ主席と次席である。二人の両親も大喜びで二人の入学を祝ってくれた。

さらに卒業祝いだと言ってモーリスは愛娘にこのマスタングを授けようとした。思わずサクラは必死に断った事で事なきを得たが、親バカというものは怖いと感じる二人だった。

しかし結局モーリスはサクラに車を買ってしまい、サクラが叱ったのは記憶に新しかった。

 

 

 

 

 

そして今日は少し遠出とはいえ、幼い頃からよく通ってきた道ということもあって運転には慣れたものである。

先ほど予定を伝えて旅行を始めたばかり。目的地である場所まではまだまだ距離があった。

 

マスタングを走らせる事四時間。サクラ達は峠道の端で一旦休憩をしていた。

 

「んっ!んん〜!腰バッキバキ」

 

車から降りたサクラが上半身を動かしながら骨を鳴らす。

四時間で交代すると言う約束をしていたので、サクラ達はここで運転を変わる予定だった。しかし、目の前の川が流れている崖上の道の景色に思わず見惚れており、やや長めの休憩を取っていた。

 

「綺麗ねぇ〜」

 

鳥の囀りや雲が流れていく様を見ながら柵に手を当てたケイリーが呟く。するとその時……

 

ブォォォォォオオオオ!!

 

峠道に遠くからけたたましいエンジン音が轟き始めた。

 

「「?」」

 

その音が聞こえる方を思わず見ていると、徐々に音が近づいてきていた。

 

「あーあー誰よ、此処でストリートレースでもしてる馬鹿は…」

 

ケイリーがそう呟くと目の前のカーブを思い切り一台のBMWミニクーパーがほぼフルスピードで走り去って行った。中に乗っているのは自分たちと同い年くらいの少女二人組だった。

 

「おー……」

 

煙を上げて突っ走って行った車を見て感嘆の声を上げていると、後ろから今度は大勢の人を乗せたBMW・X6。それも二人は車の壁にしがみ付き、カーデサントと言うべき事をしていた。

 

「うわぁっと!!」

 

目の前を掠めて行った車に思わず飛び退いてしまったケイリーは思わず怒鳴った。

 

「何だ?!」

 

すると、車に乗っていた男を見たサクラはそんなケイリーに言った。

 

「追うわよ!」

 

するとその瞬間。サクラは運転席に飛び乗り、操縦席にあるニトロ射出用のボタンを押す。それを見て慌てて車に乗り込むケイリー。

エンジンが掛かり、ガスが流れると凄まじい加速力を生み出しながらマスタングが走り出した。

 

キィィィィィイイン!!ブォォォォォオオオオ!!

 

前車輪が上がりそうな勢いで左右に車が激しく揺れるが、サクラは暴れ馬を乗りこなす様にハンドルを握ると崖道を恐ろしい速度で走る。

 

 

 

 

 

ある程度速度が出たところでニトロを切った後はチェイスをしている二台の車に追いつく。

 

「どっちに付く?」

「ミニ!」

「でしょうね!」

 

サクラとの付き合いは長い。だからケイリーはこれからサクラが何をするかを理解しながらS&W PC M629 ステルスハンターを持つと弾薬を確認した。

大きな黒塗りのBMW・X6が二人の乗っていたミニクーパーをガードレールに押し付けていた。このままでは重量差で潰れてしまうと判断したサクラ達は行動に移した。

 

「タイヤよ!」

「よしっ!」

 

そう言い、S&W PC M629 ステルスハンターを構えたケイリーは農場を荒らす害獣を撃退してきた経験を生かして慣れた手つきで引き金を弾く。

 

ダァン!!ダァン!!

 

しかし発射されだマグナムは走行中のタイヤに弾かれてしまった。

 

「クッソォ……軍用タイヤ履いてんぞ!!」

「やっぱりね……」

 

するとX6からM24型柄付手榴弾が落とされた。

 

カンカンッ!!ドォォォン!!「うおっと!子供相手にマジじゃないですかぁ!!」

 

そう言い、手榴弾を避けていると二発目が車の前で弾けた。

 

「うおっ!?」ドォン!!

 

直ぐ様爆発した煙が消えると、そこには無傷のマスタングが現れた。

 

「あちっ!」

「ひえ〜特別仕様じゃなきゃ死んどったね」

 

そう言い、車内に退避したケイリーがそう言う。ケイリーが愚痴を言うとサクラはナビを見ながら叫ぶ。

 

「防弾車を舐めんなぁ!まくるぞぉ〜!!」

 

そう言い、サクラは慣れた感覚でハンドルを切った。

ここは山道。通常の道を行けば曲がりくねった長い道を走らなければならない。しかし、地元の人間は少々危ないが、近道があるのを知っていた。サクラ達は岩山のオフロードを駆け下りながらあの少女達の乗せたミニクーパーを探しだす。そして道なき道の下でミニクーパーとX6を見た。

 

「取ったぁ!!」

 

そう言うとサクラはハンドルを切って崖を勢い良く下った。オフロードを降りる途中、ケイリーは天井の防弾サンルーフを開けながら言う。

 

「今度はただの銃じゃあないよ!!」

 

そう言うとヤル気満々のケイリーは後部座席に積んでいた一丁の狙撃銃を取り出した。

元々これから狩猟キャンプに行くつもりだった二人の車にはオマケ感覚でヤベェ銃を搭載していたのだ。

 

すると相手は窓からMP5Kを取り出すとマスタングに向けて銃撃を開始した。いや何でお前らが持ってんだよ!

しかし、銃撃を受けたマスタングはその尽くを装甲車の如く弾き返し、ミニとX6前に出た。

そしてサンルーフからある一丁の狙撃銃を取り出したケイリーに、X6に乗っていた男達が一瞬ギョッとする。

 

「そのタイヤ吹っ飛ばしてやるぜ!ヒャッハーッ!」(゚∀゚)

 

邪悪な表情でそう叫んだケイリーは屋根に置いたOSV-96を構えた。

 

このOSV-96はロシアが開発したセミオート対物ライフルである。弾薬はM2ブローニング重機関銃などに使われている12.7×99mmよりも大きい12.7mm×108mmを使用しており、貫徹力は西側の物よりも高かった。

え?どうやって入手したかって?それは秘密や。

 

「……」ダァァン!!

 

轟音と共に放たれた弾丸はX6の右前輪に着弾すると流石の軍用タイヤも爆ぜ、周辺の部品も巻き込んで丸ごと吹っ飛んだ。

 

キキーーッ!!ドガァァァアン!!「「「うわぁぁああ!!」」」

 

重心がずれ、制御が効かなくなったX6はそのまま盛大にスピンすると岩山の崖に衝突してしまった。

 

「やったぁい〜!!」

 

対物ライフル片手にガッツポーズをしたケイリーはそのまま中を車内にしまうと、そのままサクラは挟まれていたミニクーパーに乗っていた少女達にクラクションを鳴らしてサインを送った。




モンタナの生徒が持っているのは所謂XM8シリーズです。
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