ハイスクール・フリート 星の下の約束   作:Aa_おにぎり

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五二話

入学式を終え、サクラはケイリーと同じ教室に入る。生徒登録を終えた後に教室の場所は個人別で発表されたので、まだ誰がクラスメイトなのかは分からなかった。

 

「誰が居るんだろうね」

「さぁ?でもサクラとおんなじだから私は嬉しいかな」

「それはそうね」

 

そう言いながら、二人は指定された教室に入る。教室には既に何人かの生徒が座っており、会話を弾ませていた。

するとその中で自分たちが見知った顔が混ざっていた。

 

「お!ルイーザにネルじゃん!」

「ん?やや!これはこれは主席殿」

「あちゃー、サクラがいるならルイーザは艦長じゃないね」

「だが、乗る艦艇がどれか大体分かるよ」

 

そう言いながら四人は席に座ると、会話をして盛り上がっていた。この学校の特徴で、乗る艦艇は教官が入るまで発表されない。そのため、どんな艦艇になるかは分からないのだが、主席が居るクラスのみはどの艦艇かはすぐに把握できるのだ。

 

「えっーと、艦長はサクラがなるとして、副長はケイリー……後の艦橋要員は……」

「砲雷長、航海長、書記くらいかなー」

「どうせなら砲雷長になりたいが、成績は如何に……!!」

 

そんな感じで話していると、教室が何やら騒がしくなり始めた。

 

「何だ?」

 

するとその騒ぎは教室の扉が開いた事で理解した。

 

「ったく、なんでうちがこんな事しなんざならねぇんだよ……」

「姐さん、抑えて抑えて」

 

そう愚痴りながら入って来たのはいかにも不良……と言うかセーラー服よりも特攻服の方が似合いそうな生徒が入ってきた。その人物は昨日、あの改造車名乗っていた少し柄の悪そうな生徒であった。

するとその周りを同じ機関科のバッジをつけた生徒が囲み、ボスと思わしきクラスメイトを宥めていた。

 

「はぁ〜、寄りにもよって主席の艦艇かよぉ……キチィ……」

 

そう言いながらサクラを見るクラスメイト。するとサクラ達はそんな危ない雰囲気のクラスメイトの登場に早速不安感を感じるのだった。

するとサクラはポツリと呟く。

 

「ああ言うのも宥めなきゃならんのか……」

 

そして、教室で待っていると部屋に教官が入ってきた。

 

「クラス全員いるな?私がこのクラスの教官を務めるアビー・E・ダンウッディだ。ようこそ、サンディエゴ海洋学校へ。我々はあなた方を歓迎するわ」

 

そう言い、おばさんと言うべき年齢だが、まさに軍服が似合いそうな人物が自己紹介をした。

その威勢の良さに思わず萎縮してしまいそうな者もいたが、アビー教官は短く話をまとめていた。

 

「皆が大海原の時化に飲み込まれない、強い人間となることを期待します。

それと、この学校はどんな者でも平等に扱うことを忘れぬよう。

生徒諸君には既に配属される艦艇、役職は送ったわ。では解散とする。

くれぐれも、明日の出航時間に遅れぬように」

 

そう言うと、アビー教官は最後に自分を見ながら教室を後にして行った。

 

 

 

 

 

入学式の今日は教官の挨拶だけで終わり、本格的な授業は明日から始まることとなっていた。割り当てられた寮の部屋に移動する途中、ルイーザやネルの役職を見ていた。

 

「おぉ〜、砲雷長だったよ」

「私は書記でした」

「私は艦長」

「私副長」

 

そう言いながらサクラは携帯に送られて来たデータを見ながら呟く。

 

 

 

『モンタナクラスの名簿及び、航海計画書』

 

 

 

そこには数ページのデータが記されていた。

 

「クラスは四一名……明日から航海実習が始まりますか……」

「あれ?人数多いね」

 

ケイリーがクラスの人数に疑問に思うと、すかさずネルが補足を交えながら呟く。

 

「確かに、通常であれば三一名ですけど……一〇人多いですね」

「打ち間違い?」

「いや、これは正規の書類。間違いなんてあるわけ無いでしょ」

「じゃあ、何の為に……」

「さぁ?分からないけど、その一〇人がが来るのはもうちょっと先らしいよ」

 

四人がそう言い、話して居ると目の前をある集団が塞いだ。

 

「よぅ、艦長」

「貴方は……」

 

サクラは道を塞いだ張本人を見ると、ケイリーはそっと警戒心を露わにした。すると、青の塞いだ機関科のメンバーのうち、リーダー描くと思わしきクラスメイトが前に出てサクラを見た。

 

「機関長になったクレア・ミラーだ。滅多に会わねぇから先に挨拶させて貰うぜ」

「ええ、よろしくミラー機関長」

 

そう言うと、クレアはサクラをやや見下すような目線をすると、クレアはサクラの胸に指を差しながら言った。

 

「正直、あんたの事は嫌いだよ」

 

そう言い残すとクレアは同じ機関科のメンバーを引き連れて去って行った。

 

「何、あいつ……」

「どうかしてるよ」

 

ルイーザとネルがそう言うと、二人は気分を悪くしていた。

 

「……」

 

サクラもやや曇った表情を浮かべながら去っていくクレアを見ていた。

その後、四人はそれぞれ割り当てられた寮の部屋に入ると荷物を広げていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

翌日、港湾地区に来たサクラ達は、港に浮かぶ一隻の戦艦に圧倒されていた。

 

「すごい……」

「海の覇者か……」

「威厳があるねぇ……」

「これがうちらの家になるんだぁ……」

 

マストに掲げられた星条旗やレーダーの類を見ながらサクラ達はタラップから艦橋に上がる。

 

「ここが仕事場になるのか……」

「いいねぇ、新鮮で」

 

艦橋に上がったサクラ達は、そこで方位盤やらを眺めていた。まだ、集合時間まで早いと言う事でサクラは艦の散策をする事にした。

 

 

 

 

 

色々と散策をしていると、サクラは甲板を走る一匹の猫を見つけた。

 

「お?あれは……」

 

サクラが駆け寄ると甲板の日陰の部分で一匹のハチワレ猫が横になって寛いでいた。

 

「よしよし、可愛いねぇ〜」

 

幸いにもその猫は逃げる事なく、触らせてくれて猫を撫でているとケイリーが声をかけた。

 

「サクラ〜!何してんの?」

「ん?いやぁ、猫がいたからね」

「へぇ、猫かぁ……うちは牛を飼っているからなぁ」

 

そう言い、ケイリーは実家の馬鹿でかい牛舎を思い出していた。

 

「あぁ……牛乳送られてくるんだっけか?」

「もう来てる……正直いらないんだけどなぁ……」

 

そう言い、ゲンナリしているケイリーを見ながらサクラは少し苦笑する。ここから実家まで貨物で二日かかる。それなのに、毎日飲む分だけ牛乳を送ってくれるのは食費が浮くと言う点ではありがたいのかもしれないが……

多分、と言うか絶対ケイリーの身長が大きいのは毎日牛乳を飲んでいたからだと思う。……じゃなきゃこの年で180超えないもん。

ケイリーのこの大きな身長のおかげで自分が守られていると思うと何とも有難いし、自分もたまにお裾分けもらっているから何も言えない。

そう言い、ケイリーの牛乳事情を聞きながらサクラはひたすらに猫を撫でていると、ケイリーが聞いた。

 

「で?その猫どうする?追い払う?」

「いや、自由にさせておこう。猫を追い払うのも気がひけるし」

「了解」

 

そう言うと、時間が迫って来ていた為。サクラ達は艦橋に上がる。するとそこは既にルイーザ以外にも待っている生徒がいた。

 

「初めまして。改めて紹介させてもらうわ。今回、艦長に任命された、サクラ・A・ミヤマ・ファーゴです。どうぞ宜しく」

 

すると艦橋にいた生徒が順に自己紹介をする。

 

「副長のケイリー・ウィリアムズです」

「砲術長のルイーザ・J・ホワイト」

「航海長のエマ・クラークです。宜しくお願いします」

「書記のネル・ウィルソンです」

 

環境にいる面々の自己紹介を終えると、サクラは指示を出す。

 

「よし、総員配置につけ!出航用意!錨を上げ!」

 

すると艦全体にブザーが鳴り、前甲板にいた生徒が錨が上がるのを確認すると、旗を振る。

 

「出航!機関、前進微速!」

「機関、前進微速!」

 

艦全体に振動が響き、エンジンが轟音を上げて岸壁から離れる。サンディエゴ海洋学校は港湾地区から海までほぼ一直線で行けるのでタグボートをほとんど必要としなかった。

 

「航海長操艦」

「「「航海長操艦」」」

 

艦橋で初々しい手でエマが舵を握り、全員が復唱する。

 

「両舷微速前進、進路一九〇」

「頂きました航海長。両舷前進微速、進路一九〇」

 

エマは緊張した面構えで舵を回す。無線でモンタナが通る事を反対側の海軍ヘリコプター基地に報告し、そのまま水路を越えて外洋に出た。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

初めての航海実習は順調に進んだ。

避難訓練、救助訓練、戦闘訓練、消火訓練etc……

戦闘訓練ではモンタナのCICから模擬弾を使用した砲撃訓練を行った。

それから、モンタナに住み着いた猫は嘗て日本に向かった提督の名から『マシュー』と名付けられ、モンタナのクラスメイトで世話をする事になった。クラスメイトの中でも最もサクラに懐き、サクラはハチワレ猫を見て、縁起がいいと語っていた。

そして今日も今日とて航海実習中にとある特殊な訓練を行っていた。

 

「オーライ、オーライ」

 

後部甲板の灰色の耐熱塗装の施された場所で、主計科のクラスメイトがヘルメットを被り、両手に旗を持って振っていた。そしてその視線の先には空を飛ぶ大きな機体があった。

ブレードが超高速で回転し、轟音と共に後部の甲板にその機体は設置されたベアトラップの上に着艦していた。

 

「あれが、ヘリコプターか……」

「ブルーマーメイドに導入予定のですね……」

「初めて見た……」

 

後部艦橋にやって来たサクラがそう呟き、他の面々も着艦した二機のSH-2Gスーパーシースプライトに興味津々だった。

 

ヘリコプターはアメリカが保有する唯一無二の技術である。飛行船とは違い、ヘリウムや水素を利用しないで空を飛ぶ鉄の塊であり、度々ニュースでも目にする事があった。

そんな夢のような機体を目の前にクラスメイト達は興奮した様子だった。

 

「本当に、ヘリウムや水素を使わないで飛ぶんですね……すごいです」

「本当にね……」

 

ネルやエマがそう言い、興味深く着艦したSH-2Gを眺めていた。

 

「さて、私は挨拶に行かないとね」

 

そう言い、サクラは甲板に降りるとそこには既に飛行服に身を包み。片手にヘルメットを持った一人の少女が立っていた。

 

「初めまして。モンタナ艦長のサクラ・A・ミヤマ・ファーゴです」

 

そう言い、やって来た少女に敬礼をすると、相手は少し驚いた顔をしながらも同じように敬礼をする。

 

「お初にお目にかかります。ヘリコプターパイロットのアリス・マーキュリーです。……失礼ながらお聞きしますが、モーリス・ファーゴは……」

「ええ、私の父です」

 

そう言うと、アリスは納得した声を上げるとサクラと握手しながらサクラに言った。

 

「この度は、お父様の当選。おめでとうございます」

「ええ、ありがとう」

 

そう言うと、サクラ達モンタナクラスは新たにヘリコプター要因を追加することで、初航海から二ヶ月目にしてようやく全員が集まった。

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