ハイスクール・フリート 星の下の約束   作:Aa_おにぎり

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六四話

明乃に誘われて肝試しに参加したサクラ達。

肝試し大会の会場の森の中では二人の女生徒が待ち構えていた。

 

「じゃあ改めて段取りを確認しよう。探索組がココを通ったら……」

「お化け衣装に身を包んだ私たちが……」

 

隣にいるお化け役の相棒に語り掛ける天津風砲術長である大指紀子と自分たちの役割の確認をする時津風航海長の加茂つつじだった。

 

「「驚かす!!」」

「シンプル・イズ・ハードボイルド…だぜ!」

「私がソッコーで驚かしてやるよ!!」

 

肝試しにハードボイルドを求める大指とやる気満々の加茂。二人ともお化け役として気合十分だった。しかし……

 

「あんたたちオバケ役?」カシャッ!!

 

大指と加茂に声をかけ、二人の姿を使い捨てカメラで撮影する高橋。

 

「これで早速、ポイントゲットね!!」

「(オバケの格好をしていないけど。これ、ポイントになるのかな?)」

「「……」」

 

高橋のがめつさに唖然としてしまう二人、すると山辺が苦笑気味に言う。

 

「えっと……のりちゃんと加茂さん。貴女たちも参加していたのね」

 

予想外の展開に思わずそう言うしかなかった山辺に大指が言う。

 

「おやおや、舞台裏を覗くなんていけないぜ、ベイビー」

「何が舞台裏よ。と言うか、ここ開始地点から全然離れてない……と言うより、ほぼ開始地点なんだけど……」

 

そう言い、出発地点である建物を指差しながら言う。

 

「そりゃあ、誰よりも脅かしたいからね。そのためには出来るだけスタート地点に近づかなきゃと思ったんだよ」

「度が過ぎるでしょう!!」

「ある意味驚いたけどね……」

 

そう言い、山辺は苦笑していると高橋が命令する。

 

「それより大指!!

今回はいいけど、次は晴風の艦長と副長、それからアメリカの先輩達が来るからその時はちゃんとやりなさいよね!!」

 

そう言い、これから通る二人組をしっかり脅かすよう言った。

 

「OK。キャップ。任せときな」

「天津風クラスの実力を見せつけるのよ!!」

「仕切り直すぜ、ベイビー!!」

 

そう答え、再び燃える大指と加茂だが……

 

「もう少し離れた所からやってくれよ……」

 

会話まで丸聞こえな入り口で思わずサクラが呟く。愉快な四人組を横目にサクラは順番を待っているとふとあることが思い付いた。

 

「……良いこと思いついた」

 

そう呟くとサクラは口角が上がっていた。そしてそれを見て絶対碌なことじゃないと苦笑するケイリーであった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「あの調子なら他のお化け役も大したことなさそうね」

 

森の中を意気揚々と高橋は歩く。

 

「見つけ次第、撮って、撮って、撮りまくるわよ!!」

「ダメよ。ちーちゃん」

 

そう述べ、写真を撮りまくろうと言う高橋に山辺は待ったをかけた。

 

「何でよ。写真で点数が増えるんだから多く撮った方が有利じゃない」

「使い捨てカメラって最初から撮れる枚数が決まっているの。このカメラは二七枚」

「二七枚!?」

 

まさかの枚数制限に驚く高橋。そんな彼女に山辺は落ち着いた表情で言う。

 

「折り返し地点まで行った証拠でそこでも一枚撮らないといけないから実質二六枚」

「ぬぬぬ……」

「むやみに撮らないでちゃんと的を絞っていかないと」

 

そう言い、高橋に山辺は注意を入れると、使い方を話した。

 

「それから、一枚撮る度にここのダイヤルを回して……あと暗いとフラッシュ使わないと写らないよ」

「そう言う事はもっと早く言いなさいよ!!」

「まさか、使い方を教える前に出るとは思わなくて……」

 

そう言い、怒る高橋に山辺も思わず苦笑気味に指で軽く掻いていた。まさかあんな近くで現れるなんて予想外だ。誰が入り口の目の前で待っていると思うだろうか……

そう思っていると高橋は山辺に聞いた。

 

「さっきのは!?さっきのはちゃんと撮れているの!?」

「まぁ、さっきのは写っていても写っていなくてもポイントにならないかも」

「意味ないじゃない!!」

 

そう言い、高橋は叫び、山辺がそれを抑えていた。

 

 

 

 

 

その背後でとある刺客が二人を捕捉していた。

 

「おっ、来た来た。あれは天津風クラスの艦長副長コンビだね」

 

高橋と山辺を捕捉したのは晴風クラスの砲術員の三人だった。

 

「肝試しの定番コンニャク……に限りなく近い温度と感度を再現したコンニャクモドキでバキューンとヒヤッとさせちゃうよー!!」

 

日置が釣り竿の糸の先に吊るしたコンニャクモドキを自慢げに見せる。

 

「今更だけど、本物のコンニャクじゃダメだったの?」

 

武田が日置にコンニャクモドキではなくコンニャクを用意できなかったのかを訊ねた。

 

「ミカンちゃんがダメだって……」

 

小笠原が武田に本物のコンニャクを用意できなかった理由を話す。まぁ、普段から料理を作る彼女にとって食べ物で遊ぶなんて言語道断だろう。

 

「この日の為に練習を重ねて思い通りの場所にコンニャクを飛ばせるようになった成果……とくと見よ!!」ヒュンッ!

 

そう言い日置は勢いよく釣り竿を振りかざした。日置が振ったコンニャクモドキは狙い通り、高橋の背中の中に入った。

 

「ひっ!!……ひゃぁぁぁぁぁぁー!!」

 

森の中に高橋の悲鳴が轟く。

 

「なななななんか冷たくてツルツルしたものが背中にぃぃっ!!」

「お、落ち着いて。ちーちゃん」

「取って、あゆみ!!早く取って!!」

「わかったから、暴れないで、服も脱がなくて大丈夫だから」

 

背中にコンニャクモドキを容れられた高橋は完全にパニック状態となり、慌てて服を脱ぐ奇行に走ってしまった。

 

 

 

 

 

「「「大成功!」」」

 

高橋のリアクションを見て、大満足な日置たち。そして日置たち三人の写真を収める高橋。しかし、彼女の顔は不満そうだった。

 

「全然お化けじゃないじゃない!!」

 

三人がお化けの仮装をしていないので、先程の大指と加茂のようにポイントにならないのではないかと思ったのだ。

 

「ごめんねーでも、驚いていたじゃん」

「背中にコンニャク入れられたら誰でもああなるわよ!」

 

小笠原は高橋にナイスリアクションみたいに言うも、高橋としてはコンニャクを背中に入れられたら驚くし悲鳴も上げると豪語していた。

 

「もっとこう…パッと出たお化けをパパっと撮りたかったのに」

「でも、そう言うタイプもいるらしいよー」

 

武田がお化けらしいお化け役もちゃんといるとヒントを出す。すると……

 

チョンチョン

 

高橋の肩が叩かれた。

 

「何よ、あゆみ」

 

高橋は山辺が自分の肩を叩いたのかと思い振り返ると……

 

 

 

 

 

フランケンシュタイン風のメイクを顔に施して額にお札を張った野間が木から逆さ吊りの状態で現れた。

 

「……」

 

更に追い打ちをかけるように……

 

「マッヂィィィィ~」

 

お化けの仮装をした等松が現れた。

 

「ギャァァァァァァァァー!!」

 

再び高橋の悲鳴が森の中に響いていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

折り返し地点

 

そこには虚無僧の衣装を着ている時津風書記の西郷里乃亜と、目玉とリボンがあしらわれたお化けの衣装を着ているのは時津風電信員の塩崎佳弥が待っていた。

 

「お疲れ様でーす!!」

「にゃー?あっ、きみちゃん、つーちゃん、おつおつー」

「どうも」

 

そう言い、見回りに来た長澤達に二人も返事をする。

 

「問題ない?」

「はい。幽霊の一つも出ていません」

 

榊原が問いかけると西郷が答える。

 

「さっきねぇ、天津風の艦長たちが来て折り返して行ったよー。つーちゃんたちは会わなかった?」

 

塩崎そう問うと、長澤が答える。

 

「私たちは見回りをしつつテキトーに巡回しているレアキャラですからね」

「すれ違いだったみたいね」

 

榊原がそう言い、高橋達と会わなかったと言うと塩崎が愉快げに呟く。

 

「高橋艦長も面白い人だったなぁ」

「リアクションが素晴らしいですよね。あの人は」

 

そう言い、二人は先ほど綺麗に驚いた高橋を思い出しながら愉快げに話す。

 

「今度の艦内ラジオで今日のことをネタにしようかと思うんですけど」

「いいですねぇ。また私もゲストに呼んでください」

 

そう言い、長澤と塩崎で盛り上がっていた。

 

「あの二人は盛り上がっているわね…ふぅ……」

 

すると榊原は思い出したように西郷に聞く。

 

「そう言えば、りのちゃんもゲストで出たわね」

「おすすめ本の紹介で一度だけ……」

 

そう答え、西郷は塩崎のラジオの一件を話すと長澤が伝える。

 

「それでは、この後は晴風クラスのお二人とアメリカの先輩方が来るはずです。引き続きお願いしますね~」

「はいはーい」

 

そう答え、二人は明乃達を待ち構えていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

その頃、明乃と真白は開始地点から折り返し地点を目指して森の中を進んでいた。

森の中を歩く道中、明乃が真白に聞いた。

 

「シロちゃんはホラーとか苦手だっけ?」

「へっ!?べ、別にそんなことはありませんが……!…艦長こそ、あまり得意ではないのでは?」

 

明乃の素朴な問いに真白はややキョドリつつも聞き返すと、明乃が答える。

 

「確かに幽霊とかはちょっと怖いけど、キミちゃんも言っていたでしょう?お化け役はクラスの皆だって、だから楽しいかなって……」

「それはそうですけど……」

 

そう答えると真白は思わず口に出してしまう。

 

「そう割り切って考えてしまうのは流石に肝試しの情緒がないような……」

「あはは……確かにそうかも」

 

そう言い、少しだけ反省した明乃は真白に提案をした。

 

「そんなことより、シロちゃんもこの時くらい艦長呼びじゃなくても……?」

 

その時、ふと明乃が真白とは別の方向を見た。

 

「どうかしましたか?艦長」

 

真白が明乃の変化に問いかける。

 

「ううん、今なにか聞こえたような……」

 

明乃がそう呟き、真白も思わず耳を澄ませる。すると……

 

『ううううう……ううぅ……』

「女の子の泣き声……!?」

 

聴こえてきたのは女の子の泣き声だった。

 

『うううう……ぴぇぇぇぇ……』

「いや…女の子というより、この声……」

 

だが、よくよく声を聞いていると真白はそれに聞き覚えがあった。

 

 

 

 

 

「知床さんの泣き声じゃないか!!」

「あっ、ほんとだ!!」

 

真白が指摘し、明乃も納得行った様子を浮かべる。すると明乃が真白に聞いた。

 

「リンちゃんに何かあったのかも」

「これも仕掛けの一つだと思いますが…兎も角探してみましょう」

 

そう言い、二人は声のする方に向かってライトを当てて探していた。

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