ハイスクール・フリート 星の下の約束   作:Aa_おにぎり

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六八話

九月某日

日本近海 東京湾沖

 

その日、快晴の天候で鴎が飛び。横須賀の沖合には横須賀女子海洋学校に所属する学生艦が錨を下ろしていた。

そして、太平洋の海の上を艦隊が接近する。それは日本の各海洋学校の学生艦であった。

 

呉海洋学校所属の大和

舞鶴海洋学校所属の信濃

佐世保海洋学校所属の紀伊

 

それぞれの学校の艦隊旗艦であり、ブルーマーメイド日本管区の各支部の機関を務める大和型戦艦三隻は横須賀沖合で停止する。

 

「両舷停止!錨入れ!」

「内火艇降ろせ」

 

そして停船した戦艦からそれぞれ内火艇が降ろされる。

 

呉代表:宮里十海、野村進愛

佐世保代表:千葉沙千帆、野際啓子

舞鶴代表:阿部亜澄、河野燕

 

の六名がそれぞれの学校色に塗装された内火艇に乗り込んで横須賀に接近してくる。

その様子を、横須賀女子海洋学校の校長室でスクリーン越しに校長の宗谷真雪や教員が眺めていた。

 

「いよいよですね……」

 

そう言い、教頭は次に内火艇の進路先にあるケーソンを眺める。

 

 

 

 

 

そしてそのケーソンの裏には明乃達晴風クラスのメンバーが隠れるように待機していた。そして明乃が接近して来る内火艇の推進音を聞いて手を上げる。

 

「ヨーイ……」

 

そしてケーソンの上にいる納紗達の手握られた縄にこめられたらが強くなり、明乃が上げた手を下ろした瞬間、勢いよく引っ張ると。海中から横断幕が現れ、そこには

 

『歓迎!呉・佐世保・舞鶴女子海洋学校の皆様 横須賀女子海洋学校一同』

 

と筆文字で書かれていた。それを見て、生徒達は声を上げる。

 

「「「ようこそ!横須賀へ!!」」」

 

ケーソンの上で明乃達が他校生を出迎え、九月の一大イベントである競闘遊戯会が始まった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

各海洋学校の生徒達が海上スタジアムの広場で一斉に整列する。その中には留学生やブルーマーメイド職員や一部軍関係者などもいた。

そして生徒達の前で真雪が壇上に上がってオープニングセレモニーを始めた。

 

『おはよう御座います』

「「「おはよう御座います」」」

 

張りのある声で生徒達が答えると真雪は続けて言う。

 

『遠路はるばる集まってくれた生徒の皆さん、まずはご苦労様でした』

 

真雪の演説が行われる中。ブルーマーメイド用に設置されたテントでは真霜や平賀などのブルーマーメイド隊員が座っているが、黒い制服を着た真冬だけは机に突っ伏して寝ており、横に座っていた真霜が強請るも起きる気配が無く、真霜が諦めてため息を吐いていた。

 

『皆さんは日頃、別々の学校で学んでいますが、是非この機会に交流を深めてください。また、明日の競闘遊戯会では、皆さんの頑張る姿を見せてもらえることを楽しみにしています』

 

真雪はそこで少し体を傾け、左側の大型スクリーンを向く。

 

『そしてもう一つ……』

 

すると真雪はスタジアムに置かれたスクリーンを見ながら言う。

 

『ブルーマーメイドに導入される予定の超甲巡『あずま』がドックで最終整備を行っております。来賓の方々はぜひこの機会にご覧ください』

 

そう言い、新型艦の映像を見ながらあずまに反応して起き上がった真冬が目を輝かせてあずまを見ていた。

 

元々あずまはモスボール状態だった艦艇を修復して、竣工させる準備をしていた。

春に起こったRats事件で大和型が日本海軍に買い戻す事が半ば決定しており、これによりブルーマーメイドは威厳と抑止力であった大和型を失う事になり。その代わりという形でこの『吾妻』を『あずま』と改名して再就役させていた。またこれら吾妻型は金剛型などの艦歴が百年を超える艦艇もまとめて交換する目的もあり、同型艦である鞍馬が建造されていた。

 

 

 

 

 

あずまの説明が終わり、真雪は生徒達をみると最後に生徒達に言った。

 

『この後は毎年恒例の歓迎祭です。町中で我が校の生徒が皆さまをおもてなしするので、お楽しみください』

 

最後にそう言うと、オープニングセレモニーは終わり生徒達は街に向かって歩き出していた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

セレモニーが終わり、生徒達が公式パンフレットを片手に街に行く中。もえかも同様に準備に入ろうとした時、声を掛けられた。

 

「その制服……あなたが新しい武蔵の艦長ね」

「はい……?」

 

声を掛けられた方を見て、誰だろうと疑問に思うもえかに宮里が言う。

 

「あ、ごめんなさい。私たちは大和、信濃、紀伊の艦長よ」

「ようこそ、横須賀へ。先輩方からの方から有難うございます。私は……」

 

声を掛けたのが誰なのかを把握し、もえかも自己紹介をしようとした時……

 

「知名艦長!」

「角田さん、どうしたの?」

 

そう言い、慌てた様子の角田を見て、事情を聞くも。先輩方をどうしようかと思ったが……

 

「言ってあげなさい。クレームはスピードが命よ!」

「(クレーム?)」

「こっちのことは気にするな、また後でな」

 

千葉や阿部の後押しもあってもえかは角田の要件を優先する事にした。

 

「すみません、先輩方。また改めて伺います」

「ええ、楽しみにしているわ」

 

そう言い、もえかは角田の後を追いかけ。残った宮里達は新しい武蔵の艦長の感想を呟く。

 

「何か……ほわっとした子ね」

「知名と呼ばれていたな、どうやら宗谷家のものではなさそうだぞ」

 

宗谷家の者ではないと言う話に宮里がある憶測を呟いた。

 

「もしかして受験に失敗したんでしょうか……?」

「其処まで極端ではないだろ……多分」

 

しかし、そんな宮里の憶測を千葉が否定した。

彼女達は知らないが、まさか解答欄を一個ずらして書いて不合格ギリギリだったとは誰が思うだろうか。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

セレモニーが終わり、会場を後にする晴風機関科メンバー。すると若狭がある噂を持ち出した。

 

「ちょっと小耳に挟んだんだけどさ……」

「何何?どんな話?」

 

すると若狭はその内容を話す。

 

「この競闘遊戯祭に来たブルーマーメイドや海軍の人って、スカウトを兼ねてるらしいよ」

「え?それじゃあもしかしたら卒業したらお声が掛かるかもってこと?」

「ありそうな話ね」

 

話に入ってきた広田がそう言うと黒木が注意するように言う。

 

「噂話に夢中になってる場合じゃ無いよ」

「そうね、すぐに歓迎祭がはじまるわ」

「おうおう、ちゃっちゃと行くぞ!走れ走れ!」

 

そう言い、柳原が駿河達三人を後ろから押すとそのまま自分の持ち場まで行った。そんな様子を見て真白が疲れた様子でボヤく。

 

「ハァ〜、大丈夫か?うちの出し物は……」

「何日も準備したし、きっと大丈夫だよ」

 

と言って大丈夫であると言うが、真白の心情は落ち着いていなかった。

 

「骨が折れますが、全て視察して回らないと……」

「うん」

 

明乃が頷くと、二人は出し物を視察をする為に会場を後にする。

 

 

 

そんな様子を後ろから真雪と古庄が彼女らを見ていた。

 

「例の件は私から話す事でよろしいでしょうか。校長」

「ええ、よろしく頼むわ」

 

そう言うと、会場を出ていく明乃達を見ていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

その日、横須賀の街は祭り一色に染め上げられていた。この日から数日、横須賀市内の一部道路は閉鎖され、競闘遊戯会が行われる期間はこう言った出店が並んでいた。

生徒達は初日のみ出店を行い。残りの期間は出店してきた業者が出店を行う手筈となっていた。

街の至る所に即席屋台が並び。射的やりんご飴など、実に様々な出店が並んでいた。

そんな中、武蔵クラスのエリアに来た明乃達はそこに飾られていた武蔵の砲身を眺めながら真白は呟く。

 

「武蔵クラスは有意義な展示だな……」

「さっすがだねぇ!」

 

そう言いながら砲身を見ていると明乃の前をもえかが歩いた。

 

「あっ!」

「おっ!モカちゃん!!」

「ミケちゃん」

 

もえかと両手を合わせた二人は、そこで挨拶をするともえかは明乃に聞く。

 

「ミケちゃんにクラスはどんな出し物をやっているの?」

「色々やっているよ。後で見にきて!」

 

そう言うと、二人の横を数人の子供達が走っていき、砲身とともに展示されていたスキッパーに乗り込んでいた。

そんな彼等を見ながら明乃は思わず呟く。

 

「なんか…思い出すね」

「私達が子供の頃、浜にあった古いボートで遊んだっけ?」

「そうそう」

 

そう言いながら二人はスキッパーに乗って楽しんでいる様子を見ながらもえかが呟いた。

 

「あの子達も、将来ブルマーを目指すのかな?」

「きっとそうだよ」

 

そう言いい、二人は少しだけ彼等を見た後、短く話をした後に別れた。

 

「海の仲間は家族、今日は大家族だね」

「そうですね」

 

そう言い、明乃と真白が歩行者天国を歩いた時。

 

「パン粉パン粉!!」

 

と叫びながら二人の横を等松が走り抜けていった。

その事に思わず明乃達は驚いてしまった。

 

「等松さん!」

「ミミちゃん!?」

 

慌てて走り抜けていった等松に何事かと思いながら二人も慌てて追いかけていった。

 

 

 

 

パン粉入りの袋を抱えた等松はそのまま会場にあるトンカツ屋に駆け込んでいた。

 

「まさかパン粉が切れるなんて……こんなにお客が来るなんて予想外よ」

 

そう言いながらパン粉を置き、切り盛りをしている伊良子達はせっせと出来上がったトンカツをテーブルに運んでいた。

そんな中、等松は水で濡れたキッチン内で皿を運んでいたのだが……

 

「う、うわぁぁーーー!」

 

濡れた床に足を滑られて持っていた皿が宙に舞い上がってしまった。

 

「ふわぁぁああ!!」

「っ!」

 

咄嗟に宙に上がった皿を割らないように明乃と真白が綺麗に使える部位を全部使って皿を綺麗に掴んでいた。

 

「ありがとぅ〜!助かったよ!」

 

思わず等松が感謝をすると、この状況を見ながら真白が明乃に言った。

 

「我々も手伝った方が良さそうですね」

「だね」

 

そう言う訳で、二人は客足が落ち着くまで店の手伝いをする事にしていた。

 

 

 

 

そして少しした後、客足が落ち着き。等松が映画を見にいくと言うことで、明乃達も同じように観に行くことにしていた。

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