ハイスクール・フリート 星の下の約束   作:Aa_おにぎり

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六九話

トンカツ屋から移動し、戦艦三笠の一室で行われている自主制作映画を見に来た。

 

「こっちは順調そうですね」

「うん、そうだね」

 

席の後ろで明乃達は満席の椅子を見ながら嬉しそうにしていた。

通路では飲み物や勝田達がポップコーンを売り歩き、入口では野間がチケットを力ずくで引きちぎった事にやや客が引いていた。

 

ここまでは順調だったのだが、納紗の指示でスクリーンを出そうとした知床が思い切り引っ張ってしまい。スクリーンを引き裂いてしまった。

 

「どどどどうしよぉ~……!!これじゃあ上映できないよぉ~…私のせいで~……」

 

知床はしでかした事に号泣してしまっていた。

 

「鈴ちゃんが悪いんじゃないよ」

「そうぞな」

 

勝田と山下は鈴を慰めているが、空気は重かった。

 

「スクリーンの代わりになる物があれば良いんだよね?」

「「「「えっ?」」」」

 

すると明乃はどうしたものかと考え始めた。

 

「白くて大きいモノがあれば……」

「あっ、分かりました。等松さん、一緒に来て」

「えぇ~!!また走るのぉ~!でも、マッチのためなら」

 

明乃の想像に真白が閃くとそのまま等松を引き連れて何処かに向かって行った。

 

 

 

 

 

少しして、模造紙で作った緊急スクリーンの準備が整い。自主制作映画の上映が始まった。

 

「模造紙って綺麗に映るんだね」

「上等なスクリーンぞな」

 

プロジェクターから映し出される映像を見てそう言う。

 

「宗谷さんとミミちゃんが買いに行ってくれたんだよね」

「さすがシロちゃん!」

「あぁ、いや。私はただ艦長のアイデアを……」

 

するとその瞬間。等松が堪えられずに映画館で大声を上げ、ペンライトを掲げていた。周りから白い目で見られているとも思っていない様子だった。

そんな等松を見ながら映画を見ていると、スクリーンに自分が写り、少しだけ顔を赤くしていた。

 

「なんか、自分が出ている所を見ると恥ずかしいね」

「え、えぇ……」

 

それには真白も同じく頷いていた。

今回、モンタナの協力が得られなかった事に納紗達は悔やんでいたが、それでも十分な出来栄えだと思っていた。

 

 

 

 

映画を見終えて、次に明乃達は歩行者天国の一角で青木達が行っている同人誌即売会に来ていた。

 

「新刊ありますよ〜」

「立ち読み大歓迎です」

「ここは大丈夫そうだな」

「ええ、絶好調っす!」

 

調子を見ながら真白が言うと、青木が頷いた。しかし、八木達は少し様子が違った。

 

「私は問題ないけど売れてない……」

「八木さんはどんなのを作ったんだ?」

 

そう言いながら本を覗き込むと、そこには『電波本』と書かれた一冊の同人誌があった。

 

「私もお手伝いいたしました」

 

そう言い、作者欄に乗った名前を万里小路が指さし。真白は思わず顔を引き攣らせながら言う。

 

「これは……人を選ぶ本だな……」

「副長」

 

そう思い、売れない理由がハッキリと分かると。青木が真白に一冊の本を渡す。

 

「副長も本どうぞっす!」

「あぁ、いくらだ?」

 

そう言い、懐から財布を取り出そうとすると青木が静止させながら真白に言った。

 

「クラスのみんなには無料で献本してるっす!ネタにさせてもらってるんでぇ〜……」

 

そう言い、本を受け取った真白は中身を見て思わす顔を赤くしてしまう。内容はがっつり濃いめのGL系の本で、黒塗りorモザイク部分が多々あったために慌ててしまった。

しかし、横で同じものを読んでいた明乃はこう言うものに興味がないのか、理解できていないのか。

 

「シロちゃん、これ()()しているの?」

 

と聞く始末だった。完全に恥ずかしくなってしまった真白は慌てて明乃に言う。

 

「つ、つつ次に行きましょう!!」

 

そう言うと、本を片付けてそのまま去って行った。余談だが、同人誌の売り上げはこのGL本がダントツで高かった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

同じ頃、横須賀市内のある場所では西崎と立石がコントをやっていたのだが、客は二人と五十六のみで、やや白けている印象であった。

 

 

 

逆に残りの砲雷科メンバーは道端で開いた居酒屋風の店で焼き鳥を焼いて販売していたが、そこに長蛇の列ができていた。

 

「ガツンとお客が来ちゃったね」

「全然、捌ききれないし」

「あちちチッ!!ズキュンと火傷しちゃったよ〜」

 

需要と供給が完全に狂っており、仕舞いには日置がコンロで軽く火傷をしてしまう始末であった。

 

「押さないでください~」

「順番にご案内します~」

 

この長蛇の列を見ながら明乃達は深刻そうにする。

 

「これは何とかしないと……」

 

列を見ながらどうしたものかと思っていると明乃がある提案をした。

 

「並んでいる間、退屈にしなければ良いんじゃないかな?」

「あぁ、なるほど。わかりました」

「うん!」

 

とう言うわけで人が閑散としていた西崎達のブースを横に置き。暇つぶしとして漫才をそこで開く事にしていた。

これにより良い暇つぶしになる客と、多くの人に見てもらえてやる気が出たとWin-Winになっていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

次に来たのは海岸沿いのヴェルニー公園内で、そこでは機関科が晴風のボイラーを使って銭湯を開いていた。

銭湯という事でここも大勢の人がやって来ており、テントの中からサッパリした人が出入りをしていた。

 

「マロンちゃん、どう?」

「おぉ、絶好調でい!!」

 

そう言い、柳原が元気よく答えると。感心げに真白はこの銭湯の命であるボイラーを見ながら言う。

 

「水没した晴風のボイラーをここまで使えるようにするとは……」

 

そう言うと、横から黒木が現れて苦労を話す。

 

「大変だったわよ。一度全部バラして、洗浄して、研磨して……でもマロンがどうしてもやりたいって……」

「手入れして使えんならやらねぇ手はねぇよ。艦長副長!せっかくだし入ってくんれぇ!!」

 

と言う訳で、明乃達は柳原の勧めで即席銭湯に入ることとなった。

 

「「はぁ〜……」」

 

湯船に浸かり、同じタイミングで息を吐き。そして同じタイミングで浴槽から上がると、同じタイミングで座り。シンクロするように同じ手で同じ場所を拭いていた。

その様子を見て思わず榊原と長澤が呟く。

 

「なんなんですかね?あの動きの一致率は?」

「よっぽど息があっているのかしら?」

 

そう言い、榊原は軽く想像していると横から長澤が提案をする。

 

「艦長、私たちもうちの子にアレをしたら受けますよ」

「なんで、クラスメイトから笑いをとらないといけないの……?」

 

軽いコミュ障を患っている榊原の言葉に長澤は諦めムードを出していた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

その後、浴場で真白が晴風だけ出し物が多いかった苦労を口にし、明乃と互いに労った後。公園を歩いていると、視線の先に見たことある姿があった。

 

「あ、サクちゃん!!」

「やぁ、ミケちゃん」

 

そこには片耳のマイク付きイヤホンを付けたサクラが公園の柵に背を預けながら空を眺めていた。

そんなサクラに明乃が声をかけると、彼女に聞く。

 

「サクちゃんは何をしているの?」

「ん?待っているんだよ」

「待っている……?」

 

すると市街地の奥からけたたましいローター音と共に公園に接近してくる影が四つあった。

 

「あれは……」

「あっ!凄い!!」

 

少しして見えて来たのは四機のヘリコプターであった。音に気づいて人たちが上を向いてカメラなど持ち出すと、ヘリコプターが赤、青、黄、緑の四色のスモークを展開して街を縦断するように飛んでいった。

それぞれの学校の色にさらに歓声が上がっていた。

 

「「おぉ〜っ!!」」

 

普段滅多にお目にかかれない光景に思わず明乃達も写真を撮るとサクラが耳に手を当てて言う。

 

「艦長より全機、上手くいったわ。スモークが切れたら、そのまま帰還して頂戴」

『了解』

 

無線を切るとそのままスモークが切れたヘリコプターはそのまま着陸地点である海洋学校の敷地内に消えていった。

そんな光景を見ながらサクラは明乃達に言う。

 

「サプライズよ」

「これを待っていたの?」

「ええ、地上でスモークがちゃんと展開されるかの確認でね」

 

そう言うと、サクラは明乃達に言う。

 

「あぁ、そうだ。どうせならうちらの店も見にいってよ」

「えっ?!サクちゃんもやっているの!?」

 

そう聞くとサクラは頷いた。

 

「ええ、道の真ん中くらいで店を借りてやっているよ」

「うん、私も行かせてもらうよ」

「では、行きますか?」

「うん!」

 

そう言うと、明乃達はサクラ達がやっていると言う店まで向かう事にした。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

店に入ると、中はとてもウエスタンチックで。やや暗めの中で、アメリカを表す用にサーフボードなどが置かれていた。どうやらレースをイメージしているようで壁にはレーサー服が入った額縁が置かれ、テレビは英語字幕のレース実況をしていた。

 

「外にも凄い人がいたけど、中もすごいね」

「そうですね。また後で外にあったのを見てみますか」

 

そう言いながら案内された席に座るとメニュー表を見た。そこにはデカデカとモンタナバーガーと書かれたメニューがあり、他にも数種類のバーガーとドリンクがあった。テイクアウトもあり、それを頼んでいる人も多くいた。

 

「モンタナバーガーと言うのが人気みたいですね」

「そうだねぇ……じゃあ、私はこのビックモンタナバーガーにしようかな?」

「じゃあ、私はモンタナバーガーにします」

 

そう言いながら、真白は安全策を取って他の人がよく頼んでいるモンタナバーガーを頼み、明乃はビックバーガーなる物を頼んでいた。

注文の時、メモをとったモンタナの生徒から『ビックバーガーは量が多いので余った場合は持ち帰りができますから』と言われていた。

ハンバーガーが出てくるまで、二人はクルクルと周りを見回して店の様子をじっくりと見ていた。留学生組だと言うのに、出店をしていたのかとやや驚きながら明乃はテレビを見ていると、興味深く見ていた。

 

「おぉ、あれはスキッパーレースなんだ」

「NASSARと言うレースの様ですね」

 

そう言いながら、店内に『Run That Race』が流れる中。それに負けないくらいの音量で実況が行われていた。

メニューの裏にスキッパーレースに関する詳しい説明が書かれてあり、それを興味深く読んでいた。

 

「アメリカにはこんなレースがあるんだね」

「スキッパーでこんなレースなんて……アメリカらしいですね」

 

そんな事を言いながら二人は実況を見ていると、モンタナの生徒が両手に皿を持って出て来た。

 

「お待たせしました。モンタナバーガーとビッグモンタナバーガーで〜す」

 

そう言い、出されたビックバーガーに思わず明乃はポカンとなってしまった。

そこにはチーズやパティがマシマシの分厚いバーガーがあった。至る所から肉汁が垂れ、見るだけで脂っこそうなバーガーだった。

 

「うわぁ……」

 

一瞬ポカンとなりつつも、明乃は出されたハンバーガーを食していた。

 

 

 

 

 

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