突如港の入り口で大破、着底したフロートを慌てて見に来た明乃達は、そこである影をみた。
「っ!?あれは……ちょっと貸して!!」
スキッパーに一瞬だけ映った見覚えある影に明乃は横にいた内田の双眼鏡を奪う様に借りるとそのままフロートに接近するスキッパーを見ていた。
「スーちゃん!?」
「えっ?か、艦長!!」
スーの姿を見て慌てて走り出した明乃に真白も慌てて追いかけていた。
フロートが爆発を起こして大破着底した後。校長室で老松がタブレットを持って報告を上げていた。
そこにはスーの写真も貼られ、入国時の情報なども事細かく書かれれていた。
「爆沈したフロートの操舵を行なっていたと思われる少女を保護しました。他に怪我人はいません。
ただ……水路が封鎖されたため、横須賀港内のブルーマーメイド艦は全て出港不能に……」
老松からの報告を聞き、思わず真霜は呟く。
『やられたわ、これでまとまった戦力はホワイトドルフィンだけに……』
「くっ……」
報告を聞き、真雪は苦渋を舐められる結果に思わず悔しがる声が漏れてしまった。
それは母国の街で、ある男に声をかけられた時の夢だ。
その日は夜遅くまで仕事をしており、帰りが遅くなっていた所を『お前でないとできない仕事があるんだが、聞いていかないか?』と誘われ、一旦は話を聞くことにした。
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「
そうして渡されたタブレットを見ながらスーは聞き返すと、その男は答えた。
「
「
これくらいのことならわざわざ自分に持ちかけなくてもいいだろうと思っていると、その男はさらに続けて言った。
「
「
そう言うと、その男はスーを見てやはりと言わんばかりに薄い笑みを浮かべる。
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場所の名前を聞き、スーは少し考える。日本には母から聞いた、出稼ぎに行っていると言う父親がいる。その人に会えれば、母の病気を治せるかもしれない。
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「
そう聞くと、その男はスーを見てなんだそんなことかと言わんばかりにスーに言う。
「
「
そう言うと男は最後にこう言い残した。
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「……ンァ」
そこで目が覚めると知らない天井が見えた。
咄嗟に目線を動かすとそこには見知らぬ人が、居た。
「ココ……ドコ?」
そう聞くと、その女の人は大層安心した様子でスーを見た。
「ふぅ……大丈夫?あなたに聞きたいことがあるんだけど……あのフロートを動かしていたのってあなたで間違いない?」
そう問われ、答えようとした時。扉がガタガタ音を立てた。
『ドアから離れさい!学生は会場で待機よ!』
『お願いです、中に入れてください。あの子は友達なんです!』
『どうか、お願いします!!』
そこで何やら言い合っている様子だったが、その知っている声に思わずスーは反応する。
「ミケ!シロ!」
「あの子達を知っているの?!」
「ウン!」
古庄が言うとスーは頭を縦に振った。それを見て古庄は咄嗟に扉に向かって叫んだ。
「その二人を通して!!」
今最も彼女に必要なのは信頼できる人と会う事。普段から明乃達を見てきたからこそ、古庄もそう判断していた。
古庄が許可をすると、ドアが勢いよく開きそこから明乃と真白が入ってきた。
「スーちゃん!」
「ミケ、シロ!」
「よかった……」
病室に入って即座に明乃はスーに抱きつくと、スーは自分がとんでもない事をしたのだと、その申し訳なさから泣き出してしまった。
「ウッ…ウァァァ……!!仕事チャントシタラ……パパヲ探シテクレルッテ……ウアァァァァ……!!」
病室に少女の鳴き声が木霊するのであった。
その後、古庄はそこで事情聴取を行い。事件の全貌が見えてきた。
スーは母国の街である男に言われ、仕事を受けた。その内容は『花火を積んだフロートを指定の場所に動かす事』であった。
そして、そのための出国やパスポートの準備も全て海賊が行ってくれたと言う。
日本には出稼ぎに来ている父親がおり、その人物に会う為にここまで自費でやってきたと言う。
スーの話を聞き、約束を反故した上消そうとし、更には少女の思いを踏み躙る行為に明乃達は憤慨していた。
「少女は海賊に利用されていました。なお、日本に来る前に海賊の依頼を受けて、海上要塞でも仕事をしていたようです。今、要塞の内部構造を話して貰っています」
古庄が報告を入れ、海上要塞を背景に真雪は古庄にスーの容態を問いかける。
「その子は動けるの?怪我は?」
「大きな外傷はありません。脳波と内臓も、異常なしです」
スーの容態を聞き、直ぐに動ける状態であると理解した真雪は古庄に聞いた。
「……その子を、武蔵に乗せられないかしら?」
「え!?」
真雪はスーを武蔵に乗せてそのまま単艦で要塞とプラントに挑もうと考えているのかと、古庄は考えてしまっていた。
「ーーーはい、了解しました。命令を受諾します」
モンタナから降りて猿島フロートに移動し、通信機を持ってグアムにあるアメリカ海軍太平洋司令部と連絡を取ったサクラはそこで携帯を閉じると立っていたもえかと目線を合わせた。
フロートが爆沈し、これが要塞を襲撃した集団による攻撃であると判断したサクラはちょうどその時連絡を入れてきたもえかと合流していた。
「終わったわ」
「うん、流石はサクちゃんだね」
「やれやれ、ここまで無茶をさせる人も初めてだよ。モカちゃん……」
そう言うと、もえかはサクラにタブレットを渡す。そこには日本沿岸の地図が映し出され、サクラはそこに携帯を取り出すともえかのタブレットにデータを送っていた。
「私の権限で渡せる情報はここまで。あとは、作戦を練るとしましょうか……」
「そうだね」
そう言うと、二人はタブレットを見ながら意見を出し合っていた。
「まぁ、作戦と言ってもやることは変わらない。海上要塞を監視、もしくは何らかの方法で停止させる事。そして、先ほど入ってきたプラントの奪還。後は……」
「必要な戦力に物資補給、補給地点の確認諸々。作戦に必要な物質の調達をしないと……」
そう呟き、二人は話す中。サクラは自身ありげに言う。
「それは問題ないな、元々出航予定だったブルーマーメイド艦の物資をそのまま洋上で待機している補給艦に積み替えればいい。それよりも……」
「先輩方の説得……」
今作戦に置いて初歩的で最も重要である事を呟く。
「そう、一番の要だ。先輩方の協力を仰げなければそもそもの作戦が破綻する」
「そうだね……」
するとそこでサクラはあるデータを持ち出す。
「そこで、このデータを引っ張って先輩方に説明をして」
「それは?」
「海上要塞の大まかな諸元表」
「……いいの?そんな情報を出して…」
軍事施設の情報を公開すると言う驚きの行動にもえかは思わず聞き返すと、サクラは頷きながら理由を答える。
「そもそも解体予定で使い道を失っていた建造物。今更隠す必要もないわよ」
そう言うともえかも納得した様子で頷くとそのまま二人は歩き出した。
視線の先には何事かと思いながら移動する宮里達の姿があった。