ハイスクール・フリート 星の下の約束   作:Aa_おにぎり

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八話

東舞校所属の潜水艦伊201の攻撃から逃げたモンタナと晴風。

決めては米国が誇る最新鋭対潜ミサイル『アスロック』の発射だった。

 

それと、伊201との戦闘中にシュペー乗員の少女が目を覚ましたらしい。

落ち着いた所で事情聴取と行きたいが、とりあえず皆が徹夜をした影響でとりあえずベットで寝たい人が多かったので、陽が登ってからにする事となった。

明乃がサクラと予定調整を終えた後、ミーナを紹介する事になったのだが……

 

「えっと……部屋は……ココちゃん、何処が空いてたっけ?」

 

晴風の監督役として暫く世話になることになったミーナに、倉庫で雑魚寝なんてさせる訳にはいかないので、何処か空き部屋がないかを納紗に聞いた。

 

「う~ん……ベッドの空きがあるのは……副長の部屋だけです!」

「えっ!?……私の…部屋……!?」

 

真白は思わず固まる。初めはなぜだろうと疑問に思う明乃達だったが、それは真白の部屋を見て霧散していた。

大量に置かれたぬいぐるみの数々にファンシーに飾られた部屋だった。

 

「すごっ!」

「夜いた鮫もいますね」

「普段の宗谷さんからは想像できないです!」

 

そう言い、部屋の傍から芽衣、内田、納紗の三人がのぞいていた。

納紗に至っては持っているタブレットで写真を激写していた。

 

「良い部屋だな……今日からよろしく頼むぞ!!」

 

部屋を見て、如何やらミーナは気に入ったようで真白に礼を言った。

 

「はぁ~」

 

真白は大きくため息を吐きながら自分の不運を呪っていた。

 

 

 

 

 

同時刻、モンタナではサクラ含めたクラスメイトは各々好きな時間を過ごしていた。

取り敢えずベットで爆睡する者。

アドレナリンが出て眠たくないからと部屋でテレビゲームをする者。

甲板で眠気覚ましのためにバスケットボールで運動する者。

艦の運営に必要な最低限の人員を残して、残りは休憩をしていた。

そんな中、サクラはスキッパーに乗って晴風に向かい、そこでミーナと言う目を覚ました少女を見た。

朝食の席で明乃がミーナの事を紹介するのだが……

 

「新しい友達を紹介します!!ドイツの……ヴィナブラウシュガーインゲンマメ……あれ、何だっけ?」

 

と言った様子で名前が長い影響でメチャクチャになっていた。

 

「サイシュン!!」

「「!?」」

 

それに痺れを切らしてミーナは自ら自己紹介をする。

 

「ヴィルヘルムスハーフェン校から来た。ヴィルヘルミーナ・ブラウンシュヴァイク・インゲノール・フリーデブルクだ!!アドミラル・シュペーでは副長をやっていた!!」

 

ああ、これは長い。ミケちゃんが分かんなくなるのも分かる気がする……

 

「うーん…長いから、ミーちゃんで良いかな?」

 

ミーナの名前が長いので明乃はミーナをニックネームで答える。

 

「誰が、ミーちゃんじゃ!!」

 

と言った様子でミーナは明乃にツッコミを入れていた。

まぁ、いつものミケちゃんだからなぁ。と、自分は考えながらミーナを見ていた。

 

 

 

 

 

紹介を終え、晴風の食堂で明乃とサクラはミーナから話を聞いていた。

 

「それで……ミーナさん、シュペー内部で何があったかお聞かせ願えますか?」

「うむ… ワシもよくわからんが。聞いてもらったほうがいいな…」

 

そう言うとミーナは詳しい話をしだした。

 

「我らの船も貴校との合同演習に参加することは知っていたか?」

「いえ…初耳です…」

「え、嘘ぉん……」

 

まさか知らなかったんかいと、やや呆れた様子で明乃に言うサクラ。

 

「……ワシらは合流地点に向かっていたんだが、突然、電子機器が動かなくなって調べようとしたら……誰も命令を聞かなくなった」

「それって叛乱?」

 

明乃がある懸念をしたが、サクラは取り敢えず海賊絡みではないのかと思うとホッとしていた。

 

「ワシは、艦長から他の艦に知らせるよう命じられて、脱出してきた」

「大変だったね」

 

明乃はミーナ の苦労を労った。

 

「帽子を拾ってくれたのは、感謝している……これは、我が艦長より預かった大事な物……シュペーに戻って艦長に返さなければ…必ず……」

 

帽子を見ながらミーナはそう言う。すると納紗が食堂に慌てた様子でやって来て伝えた。

 

「艦長!!校長からの全艦帰港命令が出ました!!」

「え?」

 

突然の事に驚く明乃。すると納紗は通信内容を伝えた。

 

「え~と……『私は全生徒を決して見捨てない。皆を守るためにも、全艦可及的速やかに学校に帰港せよ』との事です!!」

 

 

 

 

 

ミーナの聴取を終え、モンタナに戻ったサクラは早速ネルから報告を受ける。

 

「学校から全艦帰港命令が出ました。『晴風も学校側が責任をもって保護するので戻ってくるように』と……なお、帰還中は一切の戦闘行為は禁止だそうです!!」

「了解」

「はぁ…やっと学校側も把握したんかねぇ」

 

ケイリーが横でそんな風に呟く。これで今後の予定は決まった。誰にも見つからずに横須賀に戻れば万時解決だった。

 

「現在、横須賀には我が国の補給艦が停泊している。昨日一発撃ったからな。何処かで補給をしなければ……」

 

サクラは艦橋でそんな風に考えていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「〜〜〜〜♪」

 

モンタナの医務室で鼻歌を歌いながら、鼠もどきを解剖するシア。顔にガスマスクを被り、新種らしきこの生物を調べていると医務室に置かれた機器がピピピッと音を鳴らす。

 

「?」

 

遠心分離機でこの生物の血液を分離していたのだが、どうやら機械が異常を出したらしい。

 

「…ったく、何で壊れるかな……」

 

シアはせっかくのお楽しみが潰された事に不満を感じながら、機械を開ける。

 

「っ!これは……」

 

機械を見た時、少しギョッとした。

 

「少々不味いかもしれない……」

 

趣味の剥製作りも他所に、詳しい検査をし始めた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

横須賀女子海洋学校からの通信を受け、帰路に向かう晴風とモンタナ。戦闘禁止命令が出されているが、帰る場所があるだけでも心に余裕ができるというものだ。初航海から叛乱容疑をかけられ、シュペーに追っかけられ、潜水艦に追っかけられる。

なかなかキツイ初航海だと思っているとケイリーが代弁する様に言う。

 

「しっかし、晴風の子達もダイナミックな初航海ね」

「副長、それにしたって肝が冷えまくりじゃないですか」

「やれやれ、うちらの初航海はこんな風じゃなかったわね」

 

艦橋でそんな風に話していると、エマが今空っぽの艦長席を見ながら言う。

 

「しかし……艦長は何しているんだろうね〜」

 

するとルイーザがある程度予想した声で言う。

 

「まぁ……アレじゃない?」

 

サクラの身辺を知っているからこそ、艦橋にいた全員は納得していた。

 

 

 

 

 

同じ頃、艦長私室ではサクラが机の上に座って何か作業をしていた。卓上には蓋の空いた小型トランクが置かれ、中にはアンテナ付きの機械が置かれていた。

手回し式の発電機とバッテリーを持ち、レシートの様な印刷機が一体化していた。電鍵を叩き、片耳にヘッドホンをしているとサクラは印刷機から出て来た紙を見る。

 

「アメリカ船籍の貨物船が、大和型戦艦の砲撃を受け損傷……か」

 

印字された信号を読んでいるとサクラはしばし考察をしていた。

 

「さるしまからの実弾砲撃……シュペーからの無警告射撃……複数の学生艦の失踪……武蔵からの救援要請……」

 

今までに起こった異変をまとめて考えていると、私室の呼び鈴が鳴る。

 

『艦長、エリーから至急連絡があるとの事です』

「分かった。すぐに行く」

 

主計科から何か問題があったのかと思いながらトランクを閉じた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

同時刻 晴風の倉庫

 

「お米が120kg、缶詰肉が10箱……」

「まだまだ余裕っすね〜」

 

生活用品や食料品を管理している倉庫で、応急委員の和住媛萌と青木百々が備蓄物資のチェックを行っていた。

 

「あ、あれ!?」

 

倉庫で備品の確認をとっている中、青木があるダンボールを見て顔が青ざめる。

 

「ん?どうしたの?」

 

その様子に気づいた和住が同じ様にダンボールを見ると二人そろって顔が青くなった。

 

 

 

そこには空っぽの段ボールがあり、パッケージには『トイレットペーパー』と印刷されていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「ーーで、トイレットペーパーが足りないと……」

「はい、この前の鼠退治の後の消毒の時に使ってしまって……」

 

モンタナではサクラが頭を抱えていた。理由は主計科からの報告にあった。

 

『トイレットペーパーの備蓄が無くなった』

 

生理用品の消費は一大事である。予備も含めて結構持って来たはずだったが……

どうやらこの前の潜水艦戦前に艦内で鼠でドッタンバッタンした後、鼠を確殺するために撒いた殺鼠剤を拭き取るために大量に使ったのを思い出した。

 

「あぁ…あの時か……」

 

思わず帽子を外して髪を掻くとサクラは呟く。

 

「晴風に余ってないか聞いてみるか……」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

その頃、晴風艦橋ではいつもと変わらない当直が行われていた。

 

「…横須賀までどれくらい掛かる?」

 

真白は舵を握る鈴に横須賀に着くまで掛かる時間を訊ねる。

 

「えっ!?…えっと…大体26時間ぐらいかな……?」

「艦長、可能な限り急ぎましょう。学校側から戦闘停止命令が出ているとはいえ、これ以上他船と遭遇したくない」

 

真白の言う通り、戦闘は起きない様になっているが、情報が行き届いていない場合、もしかすると誤解を生む可能性がある。そのためなるべく早く学校に戻る必要があった。

 

「あぁ~もう撃てないんだ~!!」

 

西崎は大好きなドンパチが出来ないと知り残念そうだ。

 

「艦長?」

「…」

 

真白は明乃に声を掛けるが、ぼぉっとしているせいか、彼女は真白の呼びかけに気づかない。

 

「艦長!!」

 

そこで、真白はさっきよりも大きな声を出す。

 

「ふぁ!?ご、ごめん……」

 

真白から大声で呼ばれ、ようやく気付く明乃。

 

「大丈夫?岬さん。具合が悪いなら休んだ方が…」

 

鈴が心配そうに声をかける。

 

「う、ううん……大丈夫……」

 

上の空状態な明乃は大丈夫だと言うが、どうも説得力がない。そんな明乃を見て、納沙は……

 

「『私、本当は武蔵のSOSに応えたいの!』

『何を言っている!全艦学校に戻れと言われただろう!』

『わかっている!でも!』」

 

と、いつもの一人芝居をしていた。その内容が内容だけに全員が苦笑するしかなかった。

 

「ううん……きっと武蔵は大丈夫だよ。私たちは急いで学校へ戻ろう!!」

 

武蔵に乗っているんだし、大丈夫だろうと推測する明乃に真白が声を掛けようとした時……

 

「艦長!!大変大変!」

「一大事っス!」

 

和住と青木が血相を変えて艦橋に飛び込んできた。

 

「どうしたの?」

「と、トイレが……」

「トイレ?」

 

真白は二人が言うトイレという単語に対して首を傾げる。

 

「トイレに何かあったの?」

 

明乃はトイレに何か異常があったのかと思い、二人に訊ねる。

 

「と、兎に角、緊急会議の招集を要求するっス!!」

 

切羽詰まった表情で二人は言っていた。

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