べんてんでサクラ達が作戦概要を聞いて居る頃、洋上では補給艦による補給作業が行われていた。
そして、晴風では明石から大きな荷物が載せられ。その大きさは晴風の15センチ単装砲に匹敵するほどの大きさであった。
「何あの大きいの〜?」
「普通の倍くらいあるよね〜」
姫路と松永がそう呟くと、補給作業をしている杉本がその大きな魚雷を見ながら、それが何なのかを自信満々で答える。
「ふっふっふっ、私の秘蔵コレクション」
するとそのゴンブトな魚雷を見て青木がそれが何なのかをピンポイントで当てた。
「おお〜!これは幻の36インチ魚雷っすね!初めて見たっす!」
「「36インチ!?」」
と珊瑚が晴風に乗せているものの名前を聞いて姫路と松永は驚いていた。
「そう、試験的に開発させたけど。無駄に威力が大きく過ぎて使い道がなくなった」
「これなら要塞にも聞くのかなぁ?」
そう松永が言うも、杉本は単調に答える。
「普通に正面から撃っただけなら多分効果はない」
「それじゃあ積む意味ないんじゃない?」
姫路はそんなとんでもないものを積んだ意味はあるのかと聞くと、杉本は自分の考えた作戦を話した。
「きっとあなた達の艦長ならきっと面白い使い道を考えてくれるはず。……他のも含めて、レポート楽しみにしている」
「「「えぇぇぇぇ〜!?」」」Σ(゚д゚lll)
そう言い三人は嫌いなレポート作業を強制的にやらされることに驚いてしまっていた。
因みにこの魚雷は元々ドイツで開発されていたが、当時起こった不況と費用対効果の面からコンペは通ったが、予算が降りなかった物である。因みに同期はあの噴進魚雷であった。
同じ頃、モンタナでも煙突の間のミサイル発射口に上からモンタナのクレーンで挿入する形でグアムから駆けつけたスピアヘッド級高速補給艦からミサイルなどを補給していた。
今日は大規模な戦闘と予想されるため、128セル全てに対艦ミサイル、対地など各種大型ミサイルを搭載していた。対空ミサイル搭載しなくて良いのか?
なおこれらミサイルはよほどのことがない限り使用を制限するよう言われて居た。
この時点で米国政府は要塞に大砲はあっても、高価なミサイルは無いと考えており。遠距離での砲撃では対空ミサイルは必要ないと予想していた。
また、後部甲板ではコンテナが高速補給艦のクレーンに吊り下げられていた。コンテナは黒く塗装され、その下ではヘリコプター要員や補給艦の軍人がライト片手にクレーンを下ろしていた。そんなコンテナを見ながらアリスは呟く。
「まさか、これに乗る日が来るとは……」
機種毎の訓練をして来ていたアリス達にとっては、このヘリコプターも操縦はして来たのだが。これは本当に緊急というか…アメリカだったからと言うか…サクラが艦長だったから乗れた。というのが大きいかもしれない。
それくらいこの荷物は秘匿性の高いものであった。
「さ、行こうか」
「えぇ」
そう言うと甲板上に色とりどりのジャンパーを羽織るクラスメイトを見ながら、飛行服に身を包んだアリスとクラウはHMD付きヘルメットを持つとそのまま降ろされたコンテナの扉を開けていた。
数十分後、補給を終えた艦隊は作戦行動に移る為に艦隊行動を起こす直前であった。
「全艦補給完了。出撃準備完了です!」
武蔵艦橋でもえかがそう言うと、上がってきた真霜が答える。
「よろしい。それでは、要塞に向かいます」
そうして、大和型四隻とモンタナ、そして晴風率いる横女所属の陽炎型駆逐艦隊を含めた主力艦隊は進路を南方に向け。シュペー、べんてん、比叡を筆頭の金剛型四隻などのプラント奪還艦隊は現海域にて待機していた。
出撃していく晴風を、シュペー艦橋からミーナが手を振って見送ると、納紗も艦橋で手を振り返していた。
移動を始め、モンタナCICではサクラが指示を出していた。
「これより、本艦は常時警戒を宣言。スプライト1は偵察の為に発艦するが、先ほどの積荷は緊急時用のみ利用を許可し、先に開始されるプラント奪還作戦の為にヴァイパー1の発艦を許可する」
「了解、ヴァイパー1は発艦を許可する。繰り返す、スプライト1はヴァイパー1の発艦後に発艦を許可する」
『了解』
ヘリコプター要員がそうマイク越しで指示を出し、ヘリポートを移すカメラに翼を回転させる武装したAH-1Zとレーダー、通信設備と自衛火器を搭載したSH-2Gが発艦し始めていた。その様子を確認し、サクラは次の指示を出す。
「各員戦闘配置、要塞側からの攻撃を考慮し、対空砲に即応弾装填。弾種、近接信管」
「了解、即応弾装填。弾種を近接信管に設定します」
パネルを操作して、CICで砲雷科のクラスメイトが操作するとモンタナの右舷側のオートメラーラ製64口径5インチ砲に砲弾が自動装填された。
サクラはCICに置かれた大画面の地図を見ながら今自分たちが居る場所の確認をしながら海上要塞の予想進路を見ていた。
「海上要塞は此処…そしてプラントはここか……」
地図を指差し、艦内でサクラは現時点で集まっている情報全てを映し出していた。
主力艦隊を見送った別働隊の旗艦であるべんてんCICでは真冬が不適な笑みを浮かべた後にマイクを取った。
「ふっ……潜入作戦開始!我らに生けぬ海は無し。迅速に、そして徹底的にやれぇっ!!』
そして、その放送を聞いていたべんてん格納庫にいた強制執行課の隊員達にも伝わっており、勇ましい返事が返ってきた。
「「うっす!!」」
潜入部隊は作戦に先んじてプラントに乗り込み、偵察と本隊が突入しやすいように進路を啓開をする役目を追っており、執行課の中でも腕利が揃っていた。
彼女らはウェットスーツを着込み。防弾チョッキを羽織りってホルスターにSIG SAUER P226の安全装置をかけた状態で入れていた。
作戦が始まり、潜入部隊は人質救出の為に海中より水中スクーターに乗って、プラントの船体バラストタンクの給水口に指を当てて中に侵入した。
サクラの予想通り、海賊側は要塞に人員を開いて居る影響でバラストタンクまで見る余裕がなかったようだ。
まぁ、そもそも航行中の船にバラストの吸水口から入るなんて普通じゃあ、自殺行為にも等しいのだ。そこは実力主義の執行課とも言えるべき行動力の高さがあった。
潜入部隊はそのままバラストタンク室に侵入し、そこで先ほど揃えた装備一式をそこで着込む。
そこでテーザー銃、防弾チョッキ、ヘルメットにゴーグルにコンバットブーツなど。必要な装備を着て、戦闘服に着替えた隊員達はそのまま扉のロックを外して移動を始める。
ここはプラントの最下層。ここから人質区画に行く間に何箇所か海賊の見張りをしているポイントがあった。
それらの状況は全て隊員達に取り付けられて居るカメラからリアルタイムで送られ、潜入部隊は通路を静かに、そして迅速に走っていた。
隠密製と時間が命のこの作戦、相反する様にも見えるこの技術を、潜入部隊は難なくこなし、最初に見張りポイントであるエレベーターホールに到着する。
それぞれ隊員達はエレベーターに乗る隊員と、階段を登る隊員に分かれ、そのままエレベーターが上昇するのを皮切りに階段を静かに登り始める。
エネルギー消費を抑えるために電力が一部シャットダウンされる中。エレベーターの動く音と、到着音に反応して階段上で人質のいる区画に繋がる通路を見張りしていた海賊が不審に思い、銃を片手に近寄る。
しかし、エレベータに接近した瞬間。階段裏に隠れていた別働隊のテーザー銃で撃ち抜かれ、大量の電流で気絶させられていた。
そしてそのまま通路を通って人質の居る貨物室区画に向かうと、その途中で隊員達は足を止めてスネークカメラを起動して、中の様子を見ると。事前情報とは異なり、食事時を終えたからか人が三人に増えていた。
一人は天井に小型アンテナ付きのハッキング装置を取り付け、艦内の監視カメラにハッキングをかけていた。
ブルーマーメイドなどの国際機関が持つある特別なサーバーを利用して恐ろしい速度でプラントの監視カメラをハックするとその情報はすぐにべんてんにも送られた。
「同期しました!」
そう報告をあげ、潜入部隊はそこで欺瞞情報を流す間に作戦を実行する旨を考え、早速実行に移していた。
そして、欺瞞情報を流し始めた頃。プラントの管制室に立て篭もる海賊達の一人がある異変を見た。
『
『
ふとした呟きにリーダーが問いかけると、部下は答える。
『
『
しかし、すでにハックされた監視映像は潜入部隊を完全に消していた。
『
『
『
しかし、圧倒的に質の高い武器を持って居るのは向こう側だ。おまけに強制執行課が出てきたと言う情報もあることから、海賊は非常に警戒をしながら人員を管制室から送り出していた。
しかしその頃、貨物室ではすでに秒読みがされ。テーザー銃片手に潜入部隊の三人は指をおって秒数を数えると順番に、的確に海賊を撃ち抜いた。
そして一気に三名の海賊を片付けた潜入部隊は人質の居る貨物室の扉を開けた。
「あなた方は?」
「ブルーマーメイドです。救助に来ました」
そう言うと、明らかに海賊らしくない格好やヘルメットに記された印を見て一気に科学者達は安堵の声を上げていた。
しかし、いつ欺瞞がバレるか分からないこの状況で、この人数での移動は危険も伴っていた。
「さあ、急いで。時間がありません」
そう言うと、潜入部隊は人質を舷側にある最も近い出入り口である物資搬入口に移動させ始めていた。
「……予定時間です」
べんてんCICで時計を見ながら福内が報告を入れると、真冬が指示を出した。
「よし、作戦開始!!」
そして、べんてんのマストから発光信号が送られ、本格的な奪還作戦が始まった。
最近のドラえもん映画ってどうしてこうも人を泣かしてくるんだろう……