ハイスクール・フリート 星の下の約束   作:Aa_おにぎり

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八二話

現在、西太平洋沖の日本南方海域で起こった二つの同時多発占拠事件。

 

一方はアメリカが冷戦期に建造し、今はモスボールされていた冷戦の遺産の象徴である海上要塞ユナイテッド・ステーツの占拠事件。

もう一方は日本の食糧事情改善のための人工タンパク合成ユニットと植物栽培ユニットを搭載している日本のプラント実験艦の占拠事件。

海賊の目的はこの占拠した施設をドッキングさせて半永久的に稼働可能な海賊拠点を作ろうと模索していた。

そして海賊側はブルーマーメイドが出てくるこの状況に先手を打って横須賀港を閉塞していた。

これで戦力を半減させ、要塞の邪魔をさせないようにしていたが、これに対しブルーマーメイドは学生艦で構成された臨時編成艦隊で横須賀を出発し。洋上で要塞を足止めする大和型などの超弩級戦艦を組み込んだ主力艦隊と、プラント奪還を主目的とするべんてん率いる別働艦隊に別れて二正面作戦に対応していた。

 

 

そして現在、作戦行動が開始され。先にべんてん率いる別働艦隊が動いた。

この艦隊はプラントを奪還し、進路を日本に戻す任務が与えられ、すでに中には潜入したブルーマーメイド隊員が人質となっていた科学者や技術者を救出していた。

 

 

 

 

 

「……予定時間です」

 

べんてんCICで時計を見ながら福内が報告を入れると、真冬が指示を出した。

 

「よし、作戦開始!!」

 

そして、べんてんのマストから発光信号が送られ、本格的な奪還作戦が始まった。

そして発光信号を、シュペー艦橋で双眼鏡を覗いて居たミーナが確認した。

 

『作戦開始の指示です』

『宜しい……攻撃…

 

 

 

始め!!』

 

 

 

テアの指示の元。シュペーの砲塔が旋回し、28センチ砲が火を吹く。そして同時に金剛型も砲撃を開始し、プラントの周囲に巨大な水柱が立つ。

なにせ相手は低速で動く民間船。装甲まで施されて居る軍艦相手に勝てるはずもなく。管制室では海賊がその衝撃で呻き声を上げていた。

 

何事だ!?(What’s going on⁉︎)

砲撃です!!(We’re under attack!)

 

一人がこの尋常ではない威力に戦艦級の砲撃であると感じていた。

 

出せ(Show me.)

人質を見殺しにするか(Are they abandoning the hostages)

 

まさか人質がいるのに此処までの事を起こすのかと思いながら、砲撃を止めさせるために人質を連れてくるように指示を出させた。

外を映す映像には探照灯の取り付けられたゴムボートの姿があり、ブルーマーメイドが突入を始めたのかと予想していた。

まさか、この時すでに人質はブルーマーメイド隊員によって救助されて居るとは誰が思っただろうか……

 

反撃するぞ(We’re going to counter attack)

 

そう言うと、海賊は甲板に上がって自動小銃を持って射撃を始める。そして射撃を行なっている最中、突如海賊達は空から眩い光に照らされ、目元が真っ白になった。

 

何だ?!(What’s happen?!)

ヘリだ!!(Helicopters!)

 

その瞬間、ヴァイパーに乗っていたアリスは甲板上に立つ海賊を目視した。

 

「目標発見、攻撃開始!」

 

その瞬間。対人用に換装された機首のミニガンと、ガンポット化された両翼の計三基のミニガンが火を吹いて甲板上の海賊を攻撃する。

 

ブォォォォォ!!

 

毎分一万八千発の弾丸の雨に自動小銃程度で歯が立つはずもなく。発射されたゴム弾で蹂躙されていた。

テロに屈しない事で有名な米国では、普通だとここでも実弾を使っているのだが。ここは日本、郷に入っては郷に従えと言うルールで今回はゴム弾を発射して居た。

 

 

 

 

 

同じ頃、救出された科学者達を乗せたMk5特殊任務艇がべんてんに近づき、そして収容を行なっていた。

 

「全人質、収容完了!」

「よし!殴り込みだ!!」

 

福内から報告が上がり、真冬は全速力で戦闘海域に突入し、攻撃を集中させている右舷側に海賊が集まったと報告を聞き、べんてんは左舷側に艦を接近させる。

すでにプラントの機関は停止しており、砲撃や上空からの攻撃でまともに外にすら出られない状況。そんな中、真冬はべんてんの後部甲板に立って他の隊員も引き連れていた。

そしてそこで潜入部隊と合流を果たし、真冬が甲板から走り出しながら叫んだ。

 

「よしっ!続けぇっ!!」

「「「押忍っ!!」」」

 

そして真冬が率先して中に突入し、後を隊員達が追いかけていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

そして、中に突入した真冬達はそのまま通路を走っており、何も防弾チョッキすら装備していない真冬に一人も注意する様子がなかった。

そして通路を走っていると、ちょうど前にあったエレベーターが動いており、移動するために海賊が乗り込んでいた。

そして扉が開いた瞬間、真冬がエレベーターに飛び込んできた。

 

「「「「っ!?」」」」

 

狭い空間で銃すらまともに動かせず、一瞬困惑したその隙に飛び込んだ真冬が海賊達に顎蹴りを喰らわし、そのままエレベーターの扉が閉まってしまった。

後から追いかけてきた隊員達は、エレベーターが上に上がって居るのを確認するとそのまま横にあった階段を登り始めた。

 

 

 

そして、階段を登り切ると、そこにはエレベーターの到着したベルの音と、何度も開いては閉じる扉。そして、そのドアに挟まれるようにして何度も頭に鉄のサンドイッチを食らって気絶している海賊の姿があった。

 

「あぁ……」

 

ここで真冬に出会ったのが運の尽きだと思いつつも、可哀想だと思いながら合掌しつつ隊員達は横を通り過ぎていった。

真冬にやられたんだろうなぁ。と思いつつ、暴走列車と化した真冬の後を慌てて追いかけていた。

 

 

 

 

 

そして、周りで葉物野菜を育てて居るプラントを警備する海賊はそこで不審なまでに間の早い靴の音を聞き、一気に警戒すると反対側の棚の奥から黒いブルマーの制服を着た真冬が飛び出して来て反射的に銃を構えて引き金を引くが、真冬は猫のように棚と棚をジグザグに飛んで銃弾を避けると距離を一気に縮めた。

そして避けていて一瞬で姿が消えたと思って困惑していると、真冬はプラントの柱に捕まってぐるりと体を回すと、そのまま海賊の後頭部を両足で蹴り飛ばした。

 

「NOOOOOOOO!!」ドゴンッ!!

 

そしてそのまま蹴られた海賊は反対側の壁に真正面から潰されると、そのまま一発KOでノックアウトされてしまった。

そして、その後を隊員達が気絶した海賊を踏みつけながら追いつき、そこで真冬と合流した。

 

「管制室は上です」

 

そう言い、上を指さすと真冬は体の向きを変えて走り出した。

 

「よし続け!」

「艦長!こっち……!!」

 

しかし、あろうことか真冬はプラントを動かす管制室までの道を間違え、遠回りになってしまう方に走ってしまった。

いつも通りに直進番長と化した真冬に唖然となりつつも、隊員は咄嗟に判断して指示を下す。

 

「潜入部隊だけ続け!」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

状況はどうなっている?!(What’s the station?)

 

いきなり始まったであろう奪還作戦で混乱する状況下で海賊は今何処にブルーマーメイドが来ているのかを把握しようとしていた。

 

プラント区画で侵入者を食い止めろ(Stop intruders at the plant.)

 

そう言い、指示を出す中。管制室の出入り口でドアの開く音が聞こえ、警戒しながら接近するとそこで一人の海賊がドサリと倒れてしまった。

 

「っ!?」

 

そして一瞬驚いた瞬間、反対側の入り口から銃を構えたブルーマーメイド隊員が突入してきた。

既に向こうは引き金を握っており、早撃ちしても負ける。

既に管制室にいた海賊は投降し、武器を捨てる中。リーダーのみ、まだ武器を持ってジリジリと近寄ってくる二人のブルーマーメイド隊員を牽制していた。

その瞬間、外の制圧を終えたヴァイパーが管制室前に現れ、ライトを照らしながらその銃口を向けていた。

 

すると、遠回りをしてプラントの甲板を走る真冬はその恐るべき身体能力を使用して空に飛翔していた。

 

「とうっ!!」

 

そして、ヴァイパーの間に入り。そのまま窓ガラスを突き破って⭐︎ダイナミック入場⭐︎を果たした。

海賊もその行動にあわてて身体でサインを送り、リーダーは真冬の突入に気づくことができた。

 

「でりゃあっ!!」

 

そしてダイナミックに突入した真冬に海賊は自動小銃を発射し、彼女のマントをボロボロになるまで撃ち切った後。そこに真冬の姿は無く。困惑していると、咄嗟に上を見ると、天井に捕まっていた真冬は勢いをつけて体を回転させて、そのまま海賊の喉元にクロスチョップを喰らわして喉元を潰す。

その激痛で海賊は思わず銃を落としてしまうと真冬が銃を拾い、銃剣術で銃床を使って海賊の顔面を殴って床によろけさすと、リーダーはあわてて四つん這いで逃げ出すが、真冬が逃すはずもなかった。

 

「根性ある奴が一人も……根性!」

 

そう言うと、真冬は海賊に鼻フックをかけて首に腕を回していた。

 

「あぁ…あ…あ……あがっ!」

 

そして鼻フックと首締めを喰らい、海賊は最後にことばに鳴らない悲鳴をあげた。

 

「N,Noooooooo!!」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

その様子を一部始終眺めていたアリスとテアは思わずその悲惨な光景に同じ事を呟いてしまった。

 

「「あれは子供には見せられんな……」」

 

その二度と見たくないものを見てしまったような感覚に襲われながらそう呟くと、アリスの無線から連絡があった。

 

『モンタナよりヴァイパー1、状況報告を』

「こちらヴァイパー1、プラント管制室の制圧を確認」

『了解、直ちに帰還されたし』

「了解」

 

無線を通して帰還命令に沿って、アリスの動かすヘリコプターはモンタナのいる方角に戻って行った。

 

 

 

 

 

同じ頃、制圧されたプラント管制室では顔面から出るもの全部流れた悲惨な状態のリーダーは残った力を使って、腰に巻いていたベルトに取り付けられた機械のボタンを押し、機械のランプが点滅していた。

その時、ブルーマーメイド隊員達はプラントの進路変更や、残りの区画の制圧に注視しており、リーダーの動きに気付いた者は誰もいなかった。

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