ハイスクール・フリート 星の下の約束   作:Aa_おにぎり

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八三話

時は少し戻り、海上要塞を止める為に移動する主力艦隊の最後尾を航行するモンタナの後部甲板で、自衛用の装備を搭載したSHー2Gが発艦準備を整えた。

 

「回転数良好、いつでも行けます」

 

コックピットで計器を確認しながらクラウが言うと、CICの管制員から無線が入る。

 

『了解、スプライト1。発艦を許可する』

「了解。スプライト1、発艦します」

 

指示を聞き、通信と観測機器。レーダーを搭載しているSHー2Gはモンタナから発艦して行った。

 

 

 

 

 

そしてその発艦の様子は前を航行する大和型や駆逐艦も確認しており、興奮した様子で眺めていた。

 

「あれが噂のヘリコプターですか……」

「えらい音やなぁ…本当に浮袋使わずに飛んどる」

 

大和では能村と宮里が武装をして飛んで行くSHー2Gを見て興味津々で見ていた。

 

 

 

「おぉ!!すごいぞ専務!あれ欲しい!!あれを載せたら効率がさらに上がるよ!!」

「社長、あれはブルーマーメイドに導入されたばかりなんです。本来ならこうして観れるだけでも幸運なんですから……」

 

信濃の艦橋では阿部が興奮して観ており、河野は無理だと言って阿部を宥めていた。

 

 

 

「おぉ!凄い凄い!!本当に飛んでいるよ!!」

「そんな子供みたいにはしゃいじゃって……」

 

紀伊では千葉が飛んで行くSHー2Gを見て大興奮しており、それを野際がまるで母親のような目線で見ていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

SHー2Gが発艦し、モンタナCICではヘリコプターのガンカメラからの映像を見ていた。

発艦してから二〇分、そろそろ見えて来るはずだった。

 

『レーダーに感あり。海上要塞です!』

「了解、引き続き警戒しつつ偵察と観測を行え」

『了解』

 

そう言うと、モンタナから旗艦である武蔵に要塞発見の報を伝えた。

 

 

 

 

 

そしてモンタナより送られた情報は武蔵にも届けられた。

 

「偵察中のスプライト1より入電。要塞の進路、速力ともに依然として変化無し」

 

報告を聞き、もえかは時計を確認しながら呟く。

 

「射程内まで後一〇分です」

 

時間を確認し、真霜は無線封鎖をしている現状を把握して作戦の予定を確認した。

 

「予定通りなら、そろそろ内部に突入した頃ね」

「全艦に攻撃準備をさせますか?」

 

もえかの問いかけに真霜は頷いた。

 

「ええ、要塞側に情報が伝わる前に、つまりプラント制圧直後に初弾発砲します」

「了解しました。……再確認しますが。本艦が他の上級生を指揮下に置くので、問題ありませんね?」

 

一応指揮系統は武蔵が旗艦で有る事は事前に決まっていたのだが、それに一定の不満を持つ生徒もいるのではいかという配慮からくる質問であったが、真霜はすぐに答える。

 

「ええ、それは既に通達済みよ」

 

そう言うと砲撃準備をする発光信号が送られた。

 

 

 

 

 

「そろそろか……主砲、発射用意」

「了解、主砲発射用意!!」

 

モンタナCICでサクラが指示を出すと一斉に砲雷科がパネルを触り出し、主砲に砲弾が装填される。

 

「弾種徹甲榴弾、右舷全副砲に対空弾装填」

「了解、右舷副砲に対空弾装填。発射用意!!」

 

CICから自動制御された各武装が砲弾を詰めて装填を行う。

同様に大和型でも砲弾の装填作業が行われていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「…ノイズ……?」

 

晴風の通信室で八木がヘッドホンを片手に違和感を感じ、その原因を辿ろうと機械を弄り始めた。

 

 

 

 

 

その頃、晴風の射撃指揮所では、砲術員の三人が測距儀を覗きながらふと海上要塞について話していた。

 

「要塞って見える?」

「全然、水平線の向こうだもん」

 

武田の問いに小笠原が答えると、日置が質問する。

 

「え?それってどのくらい?」

「現在の位置関係は大体フルマラソンの距離くらいかな?」

「42.195キロ?」

 

思っていたよりも長い距離にいるんだと思いつつ、それがどのくらいの距離なのかを聞いた。

 

「それって、横須賀から横浜より遠いんじゃない?」

「多分品川の向こう」

 

改めて距離を聞き、その遠さに眩暈がしそうになるも。武田が呟く。

 

「晴風の主砲は水平線のちょい先くらいまでしか届かないのに」

 

15センチ単装砲という駆逐艦しては強力な兵装を積んでいる晴風だが、彼女らはそんな主砲を見つつ日置が呟いた。

 

「武蔵はそこまで届くんでしょ?バキュンだね」

 

そう言い、主砲装填が行われている大和型を次に見ていた。

 

 

 

 

 

そして艦橋では、納紗が受話器を取り、そこでプラント制圧の報を受けていた。

 

「艦長!プラント、制圧完了の報告です」

 

報告を聞き、明乃は帽子を被り直すと指示を出した。

 

「総員戦闘配置!」

 

笛の音と共に攻撃準備が行われ、立石達が嬉しそうな声をあげる。

 

「遠距離……」

「くーっ!見えない距離からの超長距離射撃…あれぞ大型艦の夢だねぇ〜!」

 

西崎が腕をブンブンしながら言うと、納紗が解説を入れた。

 

「大和型の測距儀は大体海面から37メートル付近にあるとして……そこから見える距離は、ええっと…23キロ。砲弾はその倍近くまで届きますから……目標に命中させるのには目標近くでの弾着観測が必要ですねぇ……

 

 

 

 

 

……って誰か聞いてます?」

 

そう言い、せっかくしている真面目な解説に誰も聞いていないのかと突っ込みをかける納紗であった。

 

「発射用意!レーダー照準射撃」

 

モンタナCICで指示を出すと一斉に発射までの最終段階に入る。

 

「了解、レーダー照準射撃。準備良し!」

「弾道計算良し!」

「照準固定!」

 

モンタナのFCSが起動し、弾道計算を完了させた。

 

「発射用意良し!」

「緊急時に備えてヘリコプターとのデータリンクも忘れるな」

「了解」

 

モンタナでは射撃準備が完了した。

 

 

 

 

そして武蔵艦橋では真霜が責任者として攻撃の号令を出す。

 

「攻撃始め!」

「大和型全艦、及びモンタナにて統制射撃を行う!」

「了解、旗艦武蔵より大和型各艦、及びモンタナに通達。要塞に対して統制射撃を行う!」

 

無線が開き、各艦の艦長が一斉に返答をする。

 

『『『『了解、旗艦の諸元にて攻撃を行う!』』』』

「砲術長、目標要塞。位置はスプライト1のデータを使用。交互打ち方」

「了解」

 

と言うと大和型四隻とモンタナの計五隻の超弩級戦艦は一斉に砲塔を三時方向に向け、左右の砲身に四五度の仰角が付くと報告を上げる。

 

「射撃、用意よし!」

「各艦に通達。武蔵、攻撃準備完了」

『『『『攻撃準備完了!』』』』

 

そして報告を聞き、全艦射撃準備が完了するともえかが号令を発する。

 

「撃ち〜方始め!!」

 

その瞬間、前方の武蔵から順番に一斉に砲撃が行われる。

大和型より軽い砲弾で有る16インチ砲弾は大和型よりも早く装填が完了させる事ができた。

砲撃を行った砲身は下がり。代わりにまだ撃っていない砲身が仰角を付け、待機していた。

 

 

 

 

 

そして発射された砲弾は上空を高く、放物線上に飛翔するとそのまま海上要塞の真横に着弾し、大きな水柱を上げた。

 

「スプライト1より入電。初弾、全弾至近!」

「流石に初弾命中は難しいだらぁ〜」

 

幾ら通常の艦艇よりもどデカい要塞とは言え。初撃で至近弾なのもエグい事のなのだが、最新のレーダー設備を備えたスプライト1あっての戦果かと思っていると続報が入った。

 

「スプライト1より続報。目標はこちらの発砲直後に約5度外方転身。旧進路のままであれば、初弾は夾叉!」

「「!?」」

 

驚きの報告に宮里達は驚くと、思わず前を航行する武蔵を見ていた。

 

「転進しなければ初弾夾叉ですか……」

「中々、武蔵の艦長も大したものね」

「どえらい物ね〜」

 

少なくとも、モンタナレベルの火器管制装置を搭載していない武蔵でここまでの精度で有ることに驚きを隠せない二人だが、次の射撃座標の報告が上がった。

 

「次弾、修正諸元来ました!!」

 

スプライト1からの報告を聞き、砲塔をやや旋回させると先ほど撃たなかった砲門が砲撃を行った。

そして、それを見ていた納紗はその戦艦の独特な撃ち方の方法を解説した。

 

「おぉ、交互打方!最初は左右の砲、次は中央の砲が発砲して修正する撃ち方ですよ!」

 

ちなみに交互打方は海戦における撃ち方の基本的な射撃方法であり、装填に時間のかかる重巡以上の軍艦が海戦をする際に行っている方法で有る。

寧ろ日本海海戦で良く行われていた一斉打方の方が実を言うと実戦で行った回数は少なかったりする。

一斉射はどちらかと言うと対地攻撃の際に盛んに行われていた。

 

 

 

そんなド派手な砲撃を見ながら、晴風艦橋で西崎達が呟く。

 

「斉射……」

「大和型四隻とモンタナの46センチ砲と16インチ砲の四八門同時発射は…見てみたいよね……」

 

少なくとも湾岸戦争の次に大規模に組まれたであろうこの戦艦艦隊を見て思わずそう呟くと立石が本当に見て観たい状況を呟いた。

 

「弾着……」

「そっかぁ〜安全圏にいたら見えないかぁ……」

「残念」

 

少なくとも、超弩級戦艦の砲撃に巻き込まれたら一瞬で轟沈するから危険極まりない行動で有ると思っていると知床は安心し切った様子で言う。

 

「ここは安全圏内だから。私は安心安心!」

 

丁寧なフラグ建設をしながら知床は舵を握っていた。

 

 

 

 

 

武蔵艦橋では、真霜が砲撃した様子を見ながら呟く。

 

「距離を詰めたほうがいいかしら?」

 

目標で有る海上要塞のゲートに着弾させるために近づいて命中精度を上げようかと思っていたが、そこでもえかが自信ありげに言った。

 

「大丈夫です」

 

そう言うと彼女は懐中時計を見ながら着弾までの時間を計測した。

 

「……弾着」

 

するとその瞬間、海上要塞に着弾した修正された砲弾が複数着弾。そのうちの一発がゲートに命中し、大きな煙を上げた。

 

「スプライト1より入電、目標のゲートに命中」

 

そしてその報告は偵察中のスプライトも確認し、早速報告が上がった。

それを聞き、真霜はもえかの腕の高さを確認して彼女に微笑んだ。

 

「やるわね……突入艦隊に連絡!」

 

そして、真霜はゲートを砲弾でこじ開けたと確認すると要塞付近で待機していた横須賀所属のホワイトドルフィン艦隊に向けて突入命令を飛ばした。




よくよく考えると第二射で当たるなんでヤバすぎ定期……
おまけに旋回性能お化けだし、よく駆逐艦級の重さの砲塔をあんなブンブン振り回せられるわ。
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