ハイスクール・フリート 星の下の約束   作:Aa_おにぎり

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八九話

要塞内部の機関部を破壊した事は内部にいる晴風からも把握できた。

 

「機関音停止!」

「速度低下中!」

「要塞、停止した模様!」

 

報告を聞き、艦橋では大喜びの明乃達。

 

「うっしゃー!!」

「「「イエーイ!」」」

 

今回の立役者でもある鈴や西崎達は思わずハイタッチをしていた。

 

「やりましたよ、艦長!」

「うん、やったよ!」

 

納沙に明乃がそう答えた瞬間、要塞全体に大きな衝撃が走り、晴風も大きく揺れた。

 

「艦長!水位が急速に低下中!」

 

先ほど海賊が水位を下げたせいで爆発時の衝撃波が予想以上に大きくなり、要塞全体を破壊し始めていた。

 

「壊レル!」

「やり過ぎ…ましたね……」

 

まさかの想定外の事態に納沙は冷や汗を掻き、鈴は青い顔をして涙目になる。

 

「要塞崩壊まで、およそ六〇秒!」

 

そこで先ほどの内部ドックに出た晴風は方向を一八〇度転換するとそのまま速度を上げて全速力で脱出する。

 

「出口が塞がっています!」

 

しかし要塞崩落の影響で自分達の入った入り口が巨大な瓦礫で塞がれていたのだ。

 

「艦長!」

「信号弾用意!」

 

崩壊し、至る所から瓦礫が落下する中、

 

「方位一〇度、仰角五〇度に備え!信号弾用意!」

「主砲、射撃用意よし!」

「もうちょっと…もうちょっと……撃ぇーっ!」

 

そしてそのまま放たれた信号弾はそのまま要塞の内側から貫通すると外にいる戦艦艦隊にも知らされる。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「信号弾、上がりました。晴風です!!」

 

武蔵でそれを報告すると、すぐさまもえかは指示を出す。信号弾の合図は中で危機があった時の救難信号であったからだ。

 

「全艦統制射撃準備!」

 

そして戦艦からの一斉砲撃が飛び、要塞に命中する。

 

「……駄目です!破壊できていません!!」

 

しかしゲートを吹き飛ばすことはできなかった。

 

「次弾装填完了まで三〇秒!」

「ミケちゃん!!」

 

長い装填時間にもえかは顔が青ざめてしまった。

 

 

 

 

 

「要塞崩壊!入り口が封鎖されています!」

 

モンタナでも同様に要塞に向かって攻撃が行われようとしていた。

 

「ヘルハウンドに誘導弾使用許可を。全弾発射」

「了解!」

 

そしてサクラの命令でヘルハウンドからあらゆる誘導弾が発射される。

 

「ロケット弾、TOW対戦車ミサイル。いずれも効果無し!!」

『ヘルハウンド、攻撃を対地ミサイルに切り替える。レーザー照準用意、用意完了次第直ちに照射せよ』

「了解」

 

要塞入口にてホバリングし、レーザーをヘルハウンドは照射していた。

 

「晴風の通信は?」

「何とか行けます!」

「よし、『瓦礫はこちらで処理する』と晴風に連絡!」

「了解!」

 

ネルはすぐさま通信をさせるとモンタナでは発射準備が行われた。

 

 

 

 

 

その頃、全速で出口に向かう晴風ではその着弾音を観測していた。

 

「弾着音確認、戦艦艦隊の砲撃です!」

「空気の流れ無し……外海へ繋がっていない!」

 

野間がそう報告すると明乃は立石に聞く。

 

「主砲は?」

「弱々」

 

晴風の主砲ではあの瓦礫を破壊する事は不可能だった。

 

「めいちゃん、魚雷は?」

「せっかくのチャンスなのに発射角度が悪すぎていてないよ!!」

 

狭い通路な上に魚雷を撃つには戦隊を傾ける必要があり、これも不可能だった。

 

「残り時間は?」

「過ぎてます!もう持ちません!」

 

納沙がそう答えると、今度は散発的ミサイルの着弾する音が聞こえる、それがミサイルで、大きさ的にあの戦闘ヘリの物だと推測できた。

 

「ヘリコプターの攻撃、いずれも効果無し!!」

「大和型の砲撃は最低でも三〇秒……」

「間に合わない」

 

するとその瞬間、奇跡的に通信が届いた。

 

「っ!!モンタナからです!」

「モンタナ?!……サクちゃん!」

 

明乃はモンタナが近くまで来ているのかと驚いていると、納沙はその内容を読んだ。

 

「『晴風はそのまま直進せよ。瓦礫はこちらで排除する』です!」

「モンタナが?!」

 

真白がモンタナの動きに驚いていると、明乃は疑う事なく伝声管に叫ぶ。

 

「マロンちゃん!全速でお願い!」

『がってんでい!』

「リンちゃん、このまま真っ直ぐゲートに向かって!」

「はぃぃぃ……!!」

 

そして晴風はそのままサクラを信じて止まる事なく前に進んでいた。

 

 

 

 

 

モンタナCIC

 

「レーザー照準完了!」

「目標、ゲート入り口!連続発射!」

「発射用意完了!」

「発射っ!」

「撃てっ!」

 

モンタナのCICから指示が飛び、艦中央からミサイルが連続で飛翔する。一秒間隔で発射されていく対地ミサイルや対艦ミサイル。その景色にもえか達も驚いていた。

 

「ミサイル、誘導安定」

「着弾まで五秒」

「たのむ、うまく命中してくれ」

 

かなりの至近での発射故に軌道が安定することを願いながら全弾発射する勢いでミサイルを撃つとヘルハウンドのガンカメラの映像を見ていた。

 

 

 

 

 

そして発射されたミサイルはそのままヘルハウンドの照射するレーザーに従って綺麗にゲートの中に入っていくとそのまま連続して大爆発を起こし、濛々と黒煙が上がる。

 

誰もが緊張した様子でその景色を見ていると、その奥から一隻の航洋艦が姿を表した。

 

「艦艇視認……晴風です!!」

 

ヘルハウンドのガンカメラから番号を確認したもえか達は非常に安堵した声を上げ、真霜も同様に胸を撫で下ろしていた。

ちょうど日の出となり、朝焼けに晴風の船体は照らされていた。

 

「「「やったぁぁぁ!!」」」

 

CICでは生徒が抱き合って作戦の成功を喜び、艦橋でも同様に安堵の声が漏れていた。

 

「良かった……」

 

艦長席でそう溢したサクラは無線を手に取ると指示を出す。

 

「ヘルハウンドは晴風を護衛した後に帰還しろ」

『了解』

 

そう答えると破壊されて、至る所から黒煙の登る海上要塞を見ていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「艦長…私もようやく『Always on the deck』の意味が分かった気がします」

 

要塞を脱出し、各々安堵と達成感による高揚が残った晴風の甲板で真白は明乃を見ながら話す。

 

「シロちゃん……」

 

明乃はいよいよ真白が決断をしたのだと恐る恐る彼女の渾名で聞いた。

 

「決めました……私、艦長になります」

「っ!」

 

明乃は驚きつつも何処か分かっていたのだろう、それほど大きな衝撃が来ることはなかった。

入学してすぐの頃、真白は艦長になれなかったことを悔やんでおり、そこからも分かるように彼女は艦長になりたい出世欲を持っていた。だから、今回の提案も真白ならば受け入れるだろうと思っていたのかもしれない。

 

「でもそれは今じゃないんです」

「……え?」

 

しかし真白の答えは違った。困惑する明乃に真白は晴風を見ながら続ける。

 

「晴風にいれば必ず、この後もいろいろなことに巻き込まれるに決まっています。私が艦長になるにはもっともっと経験が必要です」

「え……!?」

 

そこで明乃は状況が理解できるとさらに驚く。

 

「だから私は、晴風に残ります」

「……ありがとう、シロちゃん!」

 

そこで真白が晴風に残ると言う選択をした事実に明乃は目に涙を浮かべながら彼女に抱きついた。

これからも彼女と共に航海ができる事実に明乃はただ嬉しいと思っていた。

 

 

 

思惑が交錯し、多くの混乱を招いた同時多発テロはここに幕を下ろすのだった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

『高度30…20…10…5…』

「よし、そのまま降りろ」

 

モンタナの後部甲板では発艦したヘルハウンドが着艦をしていた。作戦が終了し、モンタナに帰還したアリスはそのままエンジンを切るとレインボーギャング達が出てきて機体の点検と翼の折り畳みをしていた。

 

元々極秘裏に載せていた荷物故にあまり公にする事は出来なかったのだ。ましてや、コンテナに格納できるサイズまでコンパクトになる事実は今後の作戦展開に影響を及ぼしかねない、ある意味で賭けに近い物だった。

 

「ご苦労」

「艦長」

 

そこでアリス達はサクラの出迎えを受けると、彼女はアリス達に言った。

 

「二人はそのまま休憩だ。横須賀までゆっくり休むと良い」

「「はっ!!」」

 

完徹し、尚且つ休憩を繰り上げて飛んでもらったアリス達はそのまま艦内に戻ると倒れ込むように飛行服を来たまま寝てしまった。

 

「まさか完徹するとはね」

 

そこでケイリーが出てきて話しかけてくる。

 

「仕方あるまい。最低限の乗員を残して、今は休ませよう」

「そうね、作戦も終了した事だし……」

 

そう言い制圧した海上要塞に向かうホワイトドルフィン艦隊を眺める。

晴風脱出の際にミサイルを多数叩き込んだ影響であきづき型でも容易に突入できる破口が出来上がっていたのだ。

中もあれほどの爆発で半ば地獄のようになっているかもしれないが……。

 

「最初からミサイルを叩き込めばよかったかもね」

「それはそうかもしれんな」

 

サクラもケイリーの意見に同意していると、移動していくヘルハウンドを見る。

まあ、ミサイルの使用は極力抑えるようにしておかないと、一発の値段を聞いたら慎重にもなるというものだ。砲弾とはえらい違いだよ。

 

「これからグアム移動?」

「いや、第七艦隊が横須賀に寄港して回収するそうだ。彼方の慰問を兼ねてね」

「ヒュー、そりゃ凄い。さぞ壮観な眺めになりそうだ」

 

そう言うと今の艦載機の達を見ながらケイリーはそう溢していた。

フィリピンを拠点に西太平洋を活動する米軍第七艦隊、それが丸ごと横須賀に来るのだからさぞ壮観な光景が予想できた。




アークナイツ最新章やっと終わった。とりあえず泣いた。
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