マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート 真の博愛主義者チャート 作:まっしろたまご
更紗帆奈がアザレア組や団地組含む魔法少女たちの前に姿を現し、事態が混沌を極めていた時。更に現場を混沌とさせる存在が現場に姿を現した。
「ちょ、なにアンタ?!なんでここに?!」
真っ先に反応したのは更紗帆奈。それもそのはず、彼女にとっては適当に利用して記憶を完全に消去したはずの相手、ここの表れるはずのない滝乃音めいだったからである。
「まぁいっか。面白い分には何でもいいしね!」
「まぁいいや。『ちゃんと100まで数えて』追いかけてきてねッ!」
そう『暗示』をかけた帆奈は踵を返して立ち去って行った。そうして廃墟の中には体の動かせない8人とイヤホンをつけた1人がのこされた。
一拍おいて、諦めて100まで数えるムードが漂い始めたころ、突如めいが飛び出していった。
「ちょ、めい!どこいくのよ!落ち着きなさ……」
やちよの制止もむなしく、少し生活感が感じさせられる廃墟内には個性豊かな魔法少女たちが1から数を数える声が響くのであった。
それから少し後、また別の一室にて、相対する魔法少女が二人。
「えぇ~もう追いかけてきちゃったの~?ちゃんとルール守ってる?」
「......」
「まぁいいや。そんなに喧嘩したいなら始めよっか!」
小手調べだと言わんばかりに、帆奈の杖から紫紺の雷撃が放たれる。しかし、めいはそれを一切意に介さない様子で前進、真正面から拳を叩き込まんと突貫する。
その間合い約5mほど。完全にフェアな状態からスタートした戦闘、盾を捨てた彼女の超スピードをもってしても、初撃を決めることはかなわなかった。
そもそもとして、めいは中距離以降に関して、一切の攻撃手段を持たない。こと魔法少女との戦闘においてはインファイトを強要される。
こういった観点からすれば、更紗帆奈は最悪とまではいかなくともかなり分の悪い相手である。
ならば、どうするか。答えは簡単。
「張り付かせてもらうよ」
接近はできる。ならば雷撃を放てない場所まで、あわよくば杖を振れない位置まで近づいてしまえばいい。
単純な思考、それ故の作戦とも言えない突撃。だが、武器の距離適性はどうにも覆しがたい現実として帆奈の前に立ちはだかる。
「あっは、良い動きじゃん!ほんとに記憶無いの?!」
「......」
ガトリング砲のような物量のラッシュが帆奈を襲う。
一つ一つの威力は豆鉄砲そのもの。しかし、一度巻き込まれたが最後、絶対に逃げ切れはしないだろうという考えがちらつくほどに、めいの拳には威圧感があった。
だが、帆奈とてただでやられているわけではない。相手に押し付けるようにして杖を手放し、一瞬の隙を作り出す。
互いに手練れ、攻守が入れ替わるには一瞬で十分。
帆奈は、めいほどのスピードを持ち合わせない。だが、彼女には『記憶』がある。わずかでありながら、彼女とともに魔女を狩った時の『記憶』。その時に植え付けられた『絶対的な強者』のイメージと彼女の戦い方は、帆奈の中に強く強く刷り込まれている。
『相手の戦い方を一方的に知っている』というアドバンテージ。そして、彼女とは別の、『抜け道的な勝利条件』によって。
運命の女神は、帆奈に微笑んだ。
「いやぁ〜〜まさか初見で既に『暗示』が見破られているとはね!」
そういって、プラプラと手で遊ばせるそれ......イヤホンこそが、『抜け道的な勝利条件』であった。
めいの用意した、『暗示』対策。そしてそれの無効化。これで、『暗示』が通る。
「それじゃあ......ど~しよっかな~」
帆奈が悩むそぶりを見せた瞬間。めいが自分の両耳に平手打ちをキメる。
「何して……いやなるほど!本当に徹底的に対策してるじゃん!」
『暗示』がどれほど強力な魔法であろうと、食らわなければ問題ない。イヤホンで周囲の音を遮断することによって行っていた対策のいわば究極系。
とどのつまり、鼓膜を破ってしまえば何も聞こえはしないのだ。
そこそこの時間は稼いだ。じきにやちよが救援に現れるだろう。ならば、帆奈もグズグズしてはいられない。
「ここまで計算済みってわけか......やっぱ厄介だねあんた。あの時はしてやったりとおもったんだけどなー」
「ま、いっか。一回戦はあたしの勝ちってことで。じゃーね!」
そう言い残して、更紗帆奈が姿を消したのと、七海やちよ含む魔法少女たちがめいの倒れる部屋に到着したのはほぼ同時だった。
まるで水中にいるかのような、ぼやけた音が聞こえる。これは、誰かが話す声か。意識は戻ったが、体が動かない。軽い金縛りのような感覚を少し味わって、ゆっくりと体を起こす。
「あ~......え...っと......おはよう?」
「目が覚めたカ。無事でよかったヨ」
「到着したら倒れてて......心配しました......」
美雨とかこから温かい言葉が飛んできた。自分で鼓膜を破りはしたが、意識が途切れた後とどめを刺されないという確証もなかったため、ほっと一息、安心だ。
「あ~、ところで、どれくらい寝てた?」
「ほんの10分ぐらいよ。起きたばかりなんだから安静にしなさい」
「そうだよ!傷も治したばっかなんだから!」
10分、10分か。これならリセットする必要もないだろう。
「じゃ、私はこれで!治療のお礼は今度菓子折りでも持ってお伺いするよ!」
「ちょ、待ちなさいって……なんなのよあの子……」
「行っちゃった……」
「やぁ帆奈ちゃん。さっきぶりだね」
「あぁ……まーたあんたか……まぁ楽しければいっか!」
両者の間に御託は必要ない。最速で倒すのみだ。そのために、
さっきと違って、初手の雷撃は飛んでこない。相手にも何か策があるのか、それともヤケでもおこしたか。
まぁ、そんなことは関係ない。一撃で、決める。
ラッシュではない、渾身の一撃。先の戦闘で油断していたが最後、圧倒的な防御力は絶対的な破壊力となって敵を穿つ。
更紗帆奈が派手に吹っ飛び、嫌な音を立てて壁に打ち付けられた。
「......一応聞くけど、死んでないよね?」
「生きてるって......あ~体動かないし......」
生存確認はOK、なら考えるべきは次、と思い至ったあたりで屋上の扉が開く。本当にグッドタイミングだ。一応防御力はもとに戻しておこう。
「あっは、やっと来たんだ。常盤ななか」
「……」
「けどざ〜んねん!あんたの復讐相手はもう先客が倒しちゃいました!」
「やめろ……」
「声ちっさすぎて何言ってんのかわかんないって。もっと大きな声でーーー
「そのクソムカつく笑い声をやめろって言ってんだよッ!」
すごい剣幕だけど、無理もないか。なにせ、自分からすべてを奪った相手......ずっと憎んできた復讐相手が目の前にいるんだから。
幸い、帆奈は指一本動かせない様子。いま見ておくべきは......
「危ないッ!」
「は……あんたなんであたしを……」
「何故庇って……」
腹部の切り傷から血が吹きだす。私の治癒魔法で全然直しきれる範囲だ。この程度のケガで人ひとり救えるならへでもない。
「ななかちゃん。今、何で切りかかった?」
「あなたならお分かりでしょう。ソイツは......私からすべてを奪い去ったあいてなんですよ!」
「だったら、殺していいの?」
途端に、ななかが口ごもる。無理もないだろう。『人間を殺す』という絶対的な悪と、『復讐』という悲願。ここで、悪人ならば殺してよいと切り捨てられるような人物でないことを私は知っている。
知っていて、利用している。
「殺したいほど憎い相手ってのは、誰でもいるもんだけどさ。私は、罪は生かして償わせるべきだと思うんだ。たとえそれが、永遠に終わらないような贖罪の旅になるとしてもね」
「随分と、酷なことを言うのですね」
「うん。それは承知の上さ。だから、これは私からのお願い」
「こいつを殺さないでやってくれないか。どんな形であれ、絶対に罪は償わせるから」
一時沈黙、気まずい空気がばを支配した後、ななかが口を開く。
「少し考えさせてください。答えはそれまで保留です」
「そうか。感謝するよ」
「話、聞いていましたか?」
何とか、円満な形で終えられそうだ。そう安心すると、一気に体中の力が抜けるような感じがした。
それからはほぼ流れで、またまた遅れて現着したやちよに、ななかとまとめてこっぴどく叱られた。それがひと段落したら帆奈の世話をする旨を伝えてここでひと悶着。
ただ、ほかにいい考えもないってんでなし崩し的にOKが出た。
帰り道、ふと帆奈からこんなことを聞かれた。
「ねぇアンタ。どうしてあたしのことなんか助けたの?なにもメリットないでしょ」
「確かにメリットはないけど、友達に頼まれちゃったからね」
「友達に言われたからってあそこまで体張るか普通......」
「ま、帰ったらいろいろわかるからさ」
帰宅後、玄関前にて。
「えっと、お邪魔します?」
「違う違う!『ただいま』でしょ?」
「............ただいま」
普段と違う雰囲気をかぎつけてでてきたみことと、まさかみことが出てくると思っていなかった帆奈。この時の二人の顔は今でも忘れられない。
▼めいちゃん
リジェネタンクも行けるし回避タンクも行ける。本業は耐久型タンク。
▼帆奈ちゃん
これから最終決戦と盛り上がってたところをワンパンされる。解せない。
▼せなみこ
同居人が帰ってきたと思ったらお土産に親友を連れてこられた。