マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート 真の博愛主義者チャート   作:まっしろたまご

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時系列としては修行してるあたりです。


閑話 激戦!料理教室!

 ある夕方、洋食ウォールナッツにて。

 

「オムライスと何か飲み物。とびきり甘いやつで」

「いつものですね」

 

 まだ夕食にも早い時間、閑散とした店内に二人の少女の声が響く。

 

「また『アレ』飲むんですか?いい加減糖尿病になりますよ?」

「魔法少女って病気なるんかな。少なくとも私は聞いたことないけど」

「ああいえばこういう……」

 

 第一次魔法少女昏倒事件から数日。会話をしているのは胡桃まなかと滝乃音めい。さき最近のウォールナッツではあまり珍しくない組み合わせだ。

 

「作るとこ、見てていい?」

「まなかはオムライスに集中するので勝手にしてください」

「そりゃあどうも」

 

 しばし沈黙。チキンライスを炒める音だけが響く。

 

 

「いつも見てますけど、そんなに楽しいですか?」

「楽しいってか、まなかちゃんの技を見て盗もうかと思って」

「盗みたいなら正規の方法で習いにきてください」

「じゃあここでバイトでもしようかな」

 

 

 まなかは流れるような手つきで卵に取りかかった。今度は雑談をしながらの作業だったが、彼女はノールック、且つ片手で卵を割って見せた。

 

 

「今募集してるのは料理教室のアシスタントだけです」

「じゃあまずはそこで」

「ふっふっふ……まんまとハマりましたね!」

「別に普通に頼んでくれれば喜んでやったのに」

 

 まなかの『え〜〜?』という声を横目に出来上がったオムライスを食べる。いつも通りの味、絶品だ。

 

 

「どうですかお味の程は!まなかも日々成長しているんですよ!」

「90点」

「前回と変わってないじゃないですか!」

「私の舌じゃ繊細な違いは感じ取れなかったっぽい」

「ま、まぁ今回の言い訳はそれで許してあげましょう!」

 

 

 その後は他愛のない話が続き、食べ終わったあたりで『今度の料理教室で』と解散になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして迎えた料理教室当日。かなり早めに到着したはずだったが、店内には既に見知った顔がいた。

 

 

「滝乃音めい」

「静海このはじゃないか」

「料理は不得手じゃなかったのかい?」

「だから習いにきたのよ」

「いい心掛けじゃんね」

「どこ目線よ……」

 

 

 一旦厨房の方へ向かい、まなかに挨拶をしておく。エプロンをつけた後、再びこのはの元へ向かう。挨拶ついでに少しまなかと雑談してきたためか、ウォールナッツにはちらほら参加者達が集まり始めていた。

 

 

「そういえば、さっきの話どこで聞いたのよ」

「葉月ちゃんから。お茶してる時に」

「葉月……」

「『よかったら料理を教えてくれ』ってな打診を受けてね。その時は予定が合わなかったんで断ったんだけど、まさかこんな形で叶うとは」

 

 と、そこまで語り終えたところで召集がかかる。料理教室の開始、まさに『開戦』のファンファーレだ。

 

 

「今回講師をつとめさせていただく胡桃まなかと!」

「アシストの滝乃音めいだよ。よろしくね」

 

 

 今回作るメニューは二つ。基本技術を知るためにまずはオムライス。次いで焼き鮭とみそ汁、白ご飯だ。一見どちらも簡単そうに見えるが、油断してはならない。というのも、静海このはの料理下手はチャチなもんじゃあない。

 

 みたまほどでこそないものの、はっきり言って似たようなもんだ。むしろ、食材のみで作ってアレな分こっちのほうが質が悪いかもしれない。

 

 彼女の下手さのベクトルは、いわゆる『我流でアレンジして大失敗するタイプ』。つまり、私がつきっきりで見ておけば何も問題はないというわけだ。

 

 

「このはちゃん。包丁は刺すためのものじゃないよ」

 

「このはちゃん。卵に力を込めすぎだよ。粉々じゃないか」

 

「このはちゃん。弱火で6分は強火で3分焼いても時短にならないよ」

 

「このはちゃん......」

 

 

 いやはやまさかここまでとは。まだ大丈夫、いや次こそは。失敗のパターンは出尽くしただろう。教えることに関してはそこいらの人よりも秀でている自信がある。

 

 

「滝乃音先生」

「なんだどうした」

「鮭が炭になりました」

「君は何を言っているんだ」

 

 

 見れば木炭がコンロから出てきた。いや、鮭炭か。そんなことはどうでもいいけれどとりあえず味見はやんわりと止めておいた。

 

 

「静海このは」

「はい」

「一旦レシピに忠実に作ってみない?」

「先生がそうおっしゃるのであれば」

 

 

 そう、これでいい。忠実に、堅実に。レシピどうり作ればご飯は液状化しないし鮭も炭にならないし味噌汁も爆発しようはずはないのだ。

 

 ご飯を蒸らしつつ味噌汁に味噌を加える。少し入れすぎているのはご愛嬌。鮭の焦げも......まぁ許容範囲内だ。

 まなかちゃんのほうは平和そのもの。何で私は一人で修羅を味わっているんだ。

 

 

「で......できた......!」

 

 

 完成した品を目の当たりにして目を輝かせる様はかわいらしいものだ。普段のクールな装いとはまた違った雰囲気が違う。

 

 

「一旦まなかちゃん呼んでくるよ~」

「わかったわ」

 

 

 まなかちゃん......先生に完成を伝えると、お褒めの言葉をいただいた。曰く、「よくあそこからここまで仕上げましたね......」らしい。

 いや、頑張った。自分で自分を褒めてやりたいぐらいだ。

 

 

「ご飯も硬いですし、味噌汁はしょっぱいです。しかも鮭は焦げ焦げです」

「そんな......」

「ですが、さっき炭を錬成していた人がここまでできているんです。すごい進歩ですよ!」

「そう、そうよね!さっきに比べれば大きな進歩だわ!」

 

 

 そう、大きな進歩なのだ。お開きになって解散した後。いつもの感じで飴を渡しに行くと、「よかったら今度ウチでまた料理を教えてほしい」なんて言われてしまった。

 信頼されていることに悪い気はしないけど、ついついうなずいてしまったのを少し後悔だ。

 

 

 

 

 

 

 

「それでまなかちゃん。バイトの話、どうよ?」

「正直、今日のことは助かりました。何なら今も助かってます」

 

 料理教室のあと、再び静寂の戻ったウォールナッツ。使ったお皿や調理器具を二人三脚で片している時の会話だ。

 

「お父さんに掛け合ってみるぐらいはしてみますよ。そこからは分かりませんからね!」

「いやいや。それだけでも十分ありがたいし、よろしく頼むよ」

 

 あとは黙々と片づけをこなして解散だ。別れ際、まなかちゃんには金柑の飴を渡しておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 家に帰ると、ついさっきまでと同じ匂いが漂ってきた。

 

 

「あ、めいちゃんお帰り~!」

「晩御飯ってもしかしなくても鮭?」

「よくわかったねぇ。焼きじゃけだよ!」

 

 ダブってしまった。まあそんなにたくさん食べてきたわけでもないし、何ならほぼ生殺し状態だったからむしろウェルカムだ。

 

 

「今日はどこに行ってきたの?」

「料理教室のアシスタントだよ。今度よかったら行こう」

「私、料理にはなかなか自信あるよ?」

「まぁまぁ。新たな知見が広がるかもしれないしね?」

 

「帆奈ちゃんも、いっしょに行けたらいいなぁ......」

 

 

 更紗帆奈。行方不明のみことの友達。こうやって名前を出すたびに遠い目をしているのを見ると、私までつられてアンニュイな気分になる。

 

 みことは私に頼ってきてくれたけれど、私に行方不明事件なんて解決できるのか。

 

 ぼんやりとそんなことを考えながら食べた鮭は、やっぱり少しだけ焦げていた。




▼めいちゃん

 まさかの胃痛枠

▼このはちゃん

 もう一度料理を教えてもらう名目で自宅に呼ぶ約束を取り付ける。やり手。

▼まなかちゃん

 料理教室は無事成功。そこそこ優秀な人がバイトに来そうで困ってる

▼『アレ』 

 甘々メロンジュース、にガムシロップを足したやつ。誰かに怒られそう。

▼せなみこ

 鮭は焦がす。
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