ルギア、拾っちゃいました。   作:じゅに

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第40話 知人の知らん一面て知った時ビビるよね。

 

 

 

 

 メレシーたちだけが知っている秘密の通路を上がったり下がったりしたらあっという間に出口に着いた。

 

「はやっ!?」

『当たり前だ。我々の工作術を甘く見るなよ』

 

 クチートが自慢げに鼻を鳴らす。

 彼女いわく、石の洞窟にはあちこちにメレシーたちのための抜け道を掘ってあるという。道理で一本道の洞窟で彼らが隠れられるわけだ。

 

 洞窟そばの砂浜には、すでに脱出していたダイゴがナギと一緒に座って海原を眺めていた。イケメンと美女が夕焼け空の下でそうしてると物凄く絵になる。くそったれ。

 

 近づくにつれ2人の会話が聞こえてきた。

 

「…………じゃあ、アローラの浜にはナマコブシが無数に打ち上げられるんだね?」

「そう。そしてね、沖にかえしてあげるの」

「どうやって?」

「なげるの」

「投げるのかあ」

 

 2人は顔を見合せ、くすくす笑った。

 

 いやなんの話ししてんだコイツら。

 ナマコの話題絶対いまじゃないだろ。

 エモさを感じた俺に謝れ。マジで。

 

 呆れ返る俺にナギが気づき、「おかえり」と微笑んだ。ああもう、ほんとに顔がいいなこの人は。

 

 ダイゴは俺の隣にいるクチートを見つけるや勢いよく立ち上がった。

 

「クチートっ!! ゲットしたんですねアシタバさん!」

「ああいや、ゲットしたっつーかなんつーか。まあその、一緒に行動することになったんだよ」

「なるほど。ああ、この色艶、この質感!

 やっぱり鋼は……イイ……!」

 

 至近距離でハアハアするダイゴにクチートがドン引きながら身を逸らせた。

 

『おい気持ち悪いぞコイツ』

「知ってる」

 

 ごめんな、そいつ石と鋼以外に興味が持てないちょっとアレな人なんだ。それ以外は無害だから。

 

 ハアハアタイムが終わったダイゴが腕時計に目を落とす。

 

「それではアシタバさん、今日はここで宿を取りますか? それともキンセツに戻りますか?」

「それなんだが」

 

 俺はディアンシーに会ったことは伏せて、一刻も早くヒレの化石を復元させたい旨を話した。

 

「なにか急ぎの用事でも?」

「まあな。そんなに長いことゼミを不在にできねえんだ。遅くとも3日後までには終わらせて欲しいんだが」

「特急ですね。では今日のうちにカナズミに向かいましょうか。エアームド!」

 

 ダイゴがエアームドを呼び出す。メタリックな翼を広げる姿に、ナギがうっとりと溜め息をついた。

 

「きれい…………」

「ありがとうございますさすがお目が高いこのポケモンは僕がひと月かけて探した逸材でしてほら見てくださいこの風切羽の鋭さ凄いでしょ音速で飛ぶんですよ他にも蹴爪がほんと尖ってt」

「あーあーあーその辺で。ナギ、悪ぃけどデボンまで乗せてってくれないか」

「いいよ。トロピィ」

 

 行きも乗せてくれたトロピウスが現れる。語りたそうにしているダイゴをエアームドに乗せ、俺もトロピウスに跨ろうとしたところで、こっちを見つめるクチートと目が合った。

 

「っと、忘れてた。来いよ、クチート」

 

 手を伸ばすと、クチートは俺の手を見、トロピウスを見た。

 

『…………そいつに乗ってどうする気だ』

 

 不信感ビンビンの声が頭にこだまする。

 …………ひょっとして。

 

「空、飛んだことないのか?」

『…………だったらなんだ』

 

 クチートがムスっとして顔を背けた。

 

 まあたしかに、洞窟で暮らしてるポケモンに空を飛ぶ機会なんてないだろうな。ましてや女王様の侍女なんてやってたら、太陽を見ることだってないのかもしれない。

 

 俺は一旦トロピウスから降りて、クチートの前に跪いた。

 

「飛んでみりゃわかるが、気持ちいいもんだぞ。こいよ。俺が落ちないように支えてやっからさ」

『…………変なとこ触るなよ』

 

 クチートの小さな手が掌に触れる。

 大事に抱えてから、ナギと俺の間に挟むように座らせた。

 

 トロピウスの葉翼が羽ばたき、夕陽に染まる海原に飛び上がる。

 

 またぞろルギアが飛びたがるかとヒヤヒヤしたが、ボールが静かなところを見ると寝こけているらしい。

 よかった。流石に2人と一匹の目は欺ける気がしない。

 

「カナズミまではどれくらいかかる?」

「すぐだよ。40分くらいかな」

「そっか」

 

 頭の中で試算する。

 ホウエン地方で化石復元が出来るところといえば大都会カナズミシティにあるデボンコーポレーションをおいて他に無い。ここからはムロ北海を北上した先にある街だ。

 

 到着までに40分。デボンに直行してアポイントを取れたとして、作業が始まるのは早くとも明日になるだろう。

 

 化石の復元には大層な手間がかかると聞く。カブトプス(カブルー)を復元させたときもたっぷり2日かかって、5歳の俺をやきもきさせたものだった。

 ましてデボンは世界にその名を轟かせる大企業だ。一学生にすぎない俺の頼みなど果たして迅速に聞いてくれるかどうか。

 

 3日以内にディアンシーのもとに戻るためには可及的速やかにやってほしいところだが…………。

 

「間に合うか……!?」

 

 焦る俺に、ダイゴは「平気ですよ」と安請け合いした。

 

「最優先でやらせますから」

「やらせるって。お前社長か何かかよ? 」

「はい。と言っても、()()ですが」

「────は?」

 

 固まる俺に、ダイゴはなんてことない口ぶりで言った。

 

「言ってませんでしたっけ? 僕の父さん、デボンの社長なんですよ」

 

「い…………ってない、ッスね」

 

 おもわず語尾が敬語になる。

 

 

 いやあの。

 いっつもいい服着てんなーとは思ってましたけどね? 

 そういうのはさ。早めに言いましょうよ、坊ちゃん。

 

 

 

 




というわけで40話。
主人公ダイゴさんの正体を知るの巻。

後輩が実は年上だったときとかこうなりますよね。
バイトなんかでよくある。
それまでタメ口きいてたのがなんか気まずくなるアレ。
良い子のみんなは最初は誰にでも敬語で接しような!

良ければ感想高評価おなしゃす!
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