恋するギフテッド   作:萌花千

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十一話

 先生が教室に入ってきた。

 会議室で話した女の先生だ。

 

 名前はたしか、泉。

 泉先生は挨拶と軽く自己紹介を済ませると入学式の流れを説明し始めた。

 

 説明をまとめると、ただ黙って座っていればいいらしい。

 正直、出席する意味ある?と聞きたくなってしまう。

 

 まぁ、私は新入生代表の挨拶という仕事があるからまだいいけど、他の子はみんな暇すぎて寝ちゃうんじゃないだろうか。

 体育館寒いだろうし。

 

 可哀想。

 

「じゃあ、廊下に出席番号順に二列で並んで」

 

 号令により、立ち上がり続々と廊下に生徒がでてくる。

 うちのクラスだけでなく他のクラスの生徒も廊下に並び始めている。中にはまだ先生が話していてるクラスもある。

 

 並んでから五分ほどして、列が電車のようにゆっくりと動き出した。

 

 階段を降り体育館へ進むと、親や教員が拍手で出迎えてくれた。

 そのままマラソンのように前の背中についていくと、椅子にたどり着き、私達は一例して席についた。

 

「あっ」

 

 席についてから数秒して、とある二つのことを思い出した。

 

 一つ。

 新入生代表の挨拶があるから入場したら椅子に座るのではなく、右端に行くこと。

 二つ。

 新入生代表の原稿を持ってくること。

 

「どうしたの結衣ちゃん?」

 

 咲ちゃんが心配そうに顔を覗き込んでくる。

 

「咲ちゃん、私こっち側の人間じゃなかったわ」

「えっ!? どういうこと!?」

「じゃあね!」

 

 目を見開く咲ちゃんを置いて、私は席を達堂々と本来行きべき場所へ移動した。

 その不審な行動にみんなの視線が釣られていたが、私は無視する。

 こんな視線、ライブに比べたらへでもない。

 

 右端に移動すると、先生と生徒が数人いた。

 

「あ、代表の子?」

 

 首を回して周囲を見ていた先頭の男子がいち早く私の存在に気づき、声をかけてくる。

 落ち着きのない様子だ。

 

「はい」

「じゃあ、最後尾に並んで。で、呼ばれたらあそから階段に登って、一礼して、教壇の前にいったら左に一回、正面に一回、一礼して」

「わかりました」

「原稿は? ちゃんと持ってっきた?」

  

 すげー早口。

 

「いえ、忘れました」

「えっ!? じゃあ、すぐ取りに戻ろう! 何組!?」

「いえ、大丈夫です」

 

 なんで私より慌ててるんだ。

 

「いや、でも!」

「落ち着いてください先輩。別に原稿がなくても新入生代表の挨拶なんてできますよ。むしろ原稿は邪魔です」

 

 淡々と言う私に先輩は自信なさげに頷いた。

 なんというか、本当に高校三年生ですか?って聞きたくなるほどおどおどしている。

 

 その後、先輩たちの会話から男の子が生徒会長だということがわかった。

 あれで、会長が務まるんだったら私でもできそうだ。

 

 それからしばらくして式が始まった。

 

 校長や来賓の挨拶が終わり、在校生代表、生徒会長の挨拶の番がきた。

 

「在校生代表、麦野賢人」

 

 教壇の前にたち、挨拶を始めた。

 最初はちょっと声が震えていたが、徐々に安定していく。

 しかし、私が思うような威厳は最後まで見れることはなく、及第点といったところだ。

 

「続きまして、新入生代表の挨拶。船戸結衣」

 

 私はゆっくりめに足を歩き、登壇する。

 言われた通りのタイミングお辞儀をし、教壇の前に立つ。

 

 人、少ないな。

 歌手としてデビューしたての最初のライブ風景に似ている。

 興味を持ってこっちを見ている人もいれば、下を向いて携帯をいじっている人。

 いつだって、最初が肝心だ。

 

「みなさん、おはようございます。朝早くから学校来ていたため、新入生の中には寝ている人がいますね!」

 

 そういうと、下がっていた首は次々とこちらに向く。

 

「先程、紹介に預かりました新入生代表の船戸結衣と申します。実は事前に先生から原稿を貰っていたんですが、教室に忘れてしまったので思いついたことを話そうと思います」

 

 会場に少し笑いが起きる。

 

「なのでちょっと変なことを口走るかもしれませんが、そこは聞き流してください」

 

 先生たちが私のことを睨んでいる。

 

「私から皆さんにお話したいことは三つあります。ちなみに三つといいながら二つしか考えてないので、残りの一つは話しながら考えます」

 

 一部の生徒が微笑する。

 

「まず一つ目は人生について話します。とある大学の教授が講義中に丁度、このぐらいのツボを用意しました」

 

 私は目の間にある花の入った花瓶を軽く持ち上げる。

 

「そして、ツボに持ってきた大きな石を一杯になるまで入れ、生徒たちに聞きます。このツボは一杯ですか? と。生徒たちは首を縦に振りました。すると教授は次は指先くらいの石をツボ一杯にいれます。そして生徒に再度聞きます。このツボは一杯ですか? 生徒たちは首を縦に振りました。そしたら教授は次に砂を取り出し、最後には水をツボ一杯にいれました。最後に教授はこういいます。このツボは人生です、と。これは一見、詰め込もうと思えば人生色々詰め込めるという風に読み取りますが、実際には、大事なものを先に決めておかないと後で入らなくなるという、話です。ですので、新入生の皆さんはこれを気に数秒程度自分の人生において何が大切なのか考えて見てください。

これがまず一つ目です。

次は私個人から皆さんへの話です。

皆さんは人生を豊かにしたいと思います。ですので、その方法を一つお話したいと思います。それは高校三年間、なんでもいいから目標を一つ作って目標達成のために継続し続けることです。別にそんな難しい目標じゃなくていいんです。三年間で欠席を一週間以内にする、テストで赤点を取らないようにする、なんでしたら毎日七時間以上睡眠を取るなどなど。そんな日常にありふれた目標でいいんです。その目標を達成するために日々小さな努力をして見てください。おそらく、見える景色が変化します。

最後に三つ目です。

これは今からではなく数年後、人によっては数十年後の話です。

さっきの二つ目のことが有言実行できたらそれは確実に記憶に強く残ります。三年間も頑張り続けたんですから当たり前です。なので過去を振り返った時に毎回、高校生活が思い浮かび上がると思います。それを未来、自分が自慢したとしたらそれはそこから成長していない証です。あなたは今は努力していることがないから過去を自慢したくなるのです。現在の惨めな自分を隠すために。そんな時には、また数年単位で簡単な目標をたてましょう。三色食べるでも、週一で運動するんでも、なんでもいいんです。そしたらまた、あなたは前に進むことができます。

大変おそくなりましたが、本日は新入生である私達のためにこのような素敵な式をあげていただきありがとうございました。

新入生代表、船戸結衣」 

 

 特別大きな拍手が起きたわけではない。

 しかし、私は満足だ。

 人は誰しも理解してほしい生き物であり、それは私とて例外ではない。

 故に私は今自分の考えていることを口に出して満足している。

 別に理解されようが、なれなかろうがそんなことはでもいいのだ。

 

 

 それから少しして卒業式が終わり、私達は教室へ戻った。

 

 教室に戻ると沢山の人から話し掛けられた。

 

 演説が良かった。

 主席なんて凄い。

 原稿忘れるなんてドジだね。

 

「別に大したことないよ」

 

 適当に笑いながら私は受け流す。

 

「そういえば船戸さんてシップドアさんなんでしょ!?」

 

 誰かが言った。

 

「えっ!? シップドアってあの歌手の!?」

「そうなの船戸さん!?」

「ホント!?」

「チョー有名人じゃん!!」

 

 あまりの質問責めに助け求めるようにヒロくんがいるであろう方向に視線を向けるが、女の子のお腹しか見えない。

 囲まれた。

 

 助けが来る様子がないところを見ると、ヒロくんは圧倒されているんだろう。

 そういえばヒロくん私と二人きりだと男前な行動をするが、学校だとそういった行動をした記憶がない。

 小心者なんだ。

 人の根本的な部分はあまり変わらないということだろう。

 ……ああ、そうか。

 だから石川くんにはヒロくんが暗そうに見たのか。

 

「おい、結衣が困ってるだろ!」

 

 と、声が聞こえ反射的に顔をあげるが割り込んできたのはヒロくんではなく石川くん。

 

「えっ? 誰??」

「やばくない?」

「やばい」

「キモい」

「ちょーキモい」

「お前誰だよ」

 

 効果は抜群だ。

 石川くんは何も言えず追い出された。

 

「ほら、席について〜」

 

 扉が開き泉先生が戻ってきた。

 先生の一声で私の周りから人が散っていく。

 

 助かった。

 

 先生からは労いの言葉とこれからの高校生活の簡単な説明をされて、その日は終了となった。

 

「船戸さんこのあと時間ある!? よかったらカラオケいかない?? 私石田優香、よろしくね!」

 

 帰りの挨拶をした直後、茶髪に染めたボブの子が話し掛けてきた。

 

「みんな来るからさ! 親睦会ってことで行こうよ!」

 

 スッゴイ笑顔で誘ってくるじゃん。

 

 今日は一日オフにしてるから行けるけど、女の子だけでカラオケ行くくらいだったら、ヒロくんとお昼食べて家でゴロゴロした。

 

 ヒロくんの様子を探ろうと私が視線を向けると、石田さんがそれに気づいた。

 

「男子はどう? こない?? 行くよね?」

 

 背後にいたマッシーとヒロくんに話しかける。

 二人は顔を見合わせて数言交わすと、「行く」と言った。

 

「でっ! 船戸さんはどうする!?」

「行く」

 

 ヒロくんが行くなら行かない理由はない。

 

 私はクラスメイトに質問攻めされながら学校を後にした。

 途中、何度か振り向いてヒロくんを確認すると最後尾でマッシーと話していた。しかし時折、女の子と話していた。

 

 ……。

 

 カラオケボックスにつくと石田さんが慣れた様子で店員と話し、気づけば大部屋に案内されていた。

 

 そこは私にとって異質な空間だった。

 昔から人に嫌われていたため、大人数で遊ぶことなんなかった。

 だから、この誰も同じ立場で大勢いる空間は何か不可思議で、どこか気味が悪い空気だった。

 

 カラオケボックスに来たというのに誰も歌おうとせず、ワイワイと話している。

 ヒロくんとマッシーモ女の子に囲まれてキャバクラ初心者みたになってる。

 

 取り返したい。

 だけど、重いんじゃないか。

 別に話してるだけだ。浮気したわけじゃない。

 

 そんな思考が脳裏をよぎり、私はただそれを遠目で見てることしかできなかった。

 

 ほんの数メートル先にいるはずなのに、凄く遠く感じる。

 

「船戸さん何か歌ってよ!」

 

 石田さんが言うと周囲の子もそれに便乗する。

 

「プロの実力見せて!」

「どんな風に歌うのか見たーい!」

「私も私も!」

「ん。わかった」

 

 マイクと機械を受け取り、とりあえずランキング一位の曲を入れる。

 喉を必要以上に傷めないように音程を意識して歌う。

 

 

 別に難しい曲じゃない。

 私は満点を出した。

 周囲が驚き、称賛するがあまり私の気分は上がらない。

 称賛はいつ聞いても気持ち良いものだと思ってたが、どうやら例外があるらしい。

 

 私はその後もリクエストされた曲を歌う。

 私が歌い終わるとみんなが拍手し、褒めちぎる。しかし、歌い出すと話し出して始め歌を聞いていない。

 

 この反応は私だけなのかと思ったが、私意外の人が歌っても変わらない。

 歌い手も不満そうな顔はしてない。

 なら、それが普通なんだろう。

 

 はやり私は大人数でワイワイするのは好きじゃない。

 

 つまんな。

 

「……私、帰る」

 

 財布から取り出した二千円をテーブルに置いて私は部屋を出た。

 

 出る間際、困惑の声がいくつも聞こえたが、私の視線が動くことはなかった。

 

 向かえの交差点で足止めを食らっていると、後ろから肩を叩かれた。

 ナンパかと思い、睨みつけるとそこにはヒロくんがいた。

 

「いいの?」

「別に。結衣がいないならいる意味ないし。それにマッシーがハーレムを体験したいって言ってたから」

 

 それが嘘か、本当か。

 今の私にはわからない。

 

 勝手に手がヒロくんの手を握る。

 

「これはさ、純粋な疑問なんだけどヒロくんはあの空間、楽しかった?」

 

 嫉妬とか気遣いが不要だと前置きにつける。

 

「…………楽しかったよ。ああやって集団で遊ぶのは殆どなかったから。ただ、男子が少なすぎてちょっと心もとなかったけど」

「そうなんだ」

 

 自分で聞いておきながらなんて適当なリアクションなんだと思った。

 

「私はやっぱり、なんかああいう大人数の空気は苦手だな」

「そうなの?」

「うん。なんでかわかんないけど楽しくない」 

「そっか」

「なんでだろうね」

「なんでだろうな」

 

 信号が青に変わり私達は歩きだす。

 

 繋いだ手を緩めることなく、私は家に向かった。

 ヒロくんも察していたのか、力を緩めることなく私の家についていった。

 

 玄関をあけ、靴を脱ぎ終わるのを確認すると私はそのままリビングまで誘導しヒロくんをソファーに突き飛ばした。

 

 そのままヒロくんの胸にダイブした。

 

 

ーーー

 

「なんで船戸さん帰ったの?」

「さぁ?」

「仕事かな?」

「にしては急だよね?」

「うん」

「斎藤くんも帰っちゃったし」

「島田くんはなんんか知らないの?」

「あの二人同中らしいよ」

 

 二人がいなくったあとの部屋の中ではそんな会話が繰り広げられており、その数分後に結衣から石田に向けて体調不良で帰ったことを伝えるメッセージが届いた。そのため一旦は体調不良ということで収まったが、結衣の後を追うように斎藤が出ていったことが話に上がると、議論は再度盛り上がった。

 宏が他の女と話しているのを見た船戸が怒って出ていったという、真実に近い結論になりその日の懇親会は幕を閉じた。

 

ーー

 

 ことを済ませ、シャワーを浴びて汗を流し終えると時刻は十八時を回っていた。

 

「夕飯どうしよっか」

 

 ソファーの上で干からびているヒロくんに話しかける。

 

「体力ありすぎだろ」

「なんで逆に疲れてるの? 筋トレしてるくせに」

「筋トレに体力はいらないからな」

「じゃあ、これからメニューにエアロバイク追加だね」

 

 確かに筋トレするだけなら体力はそんないらない。

 自重トレーニングしかしてないヒロくんに対して私は有酸素運動をしているから、きっとその差だ。

 

「それで夕飯は?」

「出前とかはどうだ? 近くに大体の店はあるしょ」

「そうだね。お昼食べたないし、なんかガッツリしたものがいいな」

「それならピザとかは? 美味いし、多いし」

「いいね、ピザ! 採用!」

「なんか、希望ある? 適当に頼んどくよ」

 

 ようやく上体を起こし、携帯片手に聞いてくる。

 

「ありがと。適当でいいよ」 

 

 メニューとか何があるか知らないし、見るほど好みがあるわけでもないのでヒロくんに丸投げする。

 

 私はその間にリビングにあるパソコンをつける。

 画面は四十インチ以上あり、テレビ代わりにしている。

 

 パソコンをテレビ代わりにしているのはNHKとかが面倒だから。

 コンテンツだったらネットにあふれているので別にテレビとかまじいらない。

 

 パスワードをパパっと入力し、ログインしたらyoutubeを起動する。

 そこで適当にライブしている放送を開く。

 

 操作がマウスなのと画面がでかすぎるせいで、ちょっと扱いにくいがそれ意外は快適だ。

 

「明日は何かあったっけ」

 

 スマホを開いて確認すると、明日は撮影があった。

 桜道の下での撮影だ。

 

 どっかの地方の紹介パンフの表紙に使うだかなんだか、マネージャーが言ってた気がする。

 朝から撮影で夕方は歌のレッスンがあり、夜はジム。

 

 まあ、いつも通りだ。

 

「ヒロくん、明日は私学校行けないからよろ」

「ん。仕事頑張って」

「そうえいば、ヒロくんは高校生になってお小遣いいくら貰えるになったの?」

「三万」

「おお、十倍じゃん。出世したね」

「結衣のこともあるからお袋が気を使ってるんだと思う」

「そうなの?」

「いつもご馳走になってるって言ったら、凄く申し訳無さそうな顔してた」

 

 あぁ……。おばさん、ごめん。 

 

 ヒロくんイケメン計画の後半。それも受験が終わったあとは私はヒロくんを遊び連れ回した。

 当然、月三千円のヒロくんのすぐに消え去り、あとは私が出してた。

 遊びに行きたくて仕方なかった。お金なんて一ミリも気にしてなかった。

 多分、おばさんはその時の話を聞かされたんだろう。

 

 お金を稼ぐと欲しかったら買うって思考になる。

 コスパなんて考えない。

 

「あとでおばさんに謝っとくわ」

「いいや、別に大丈夫だよ」

「そう?」

 

 影で成金女とか言われてない?

 大丈夫? 

 金遣いが荒い女とは縁を切れとか、言われそうで怖いんだけど。

 

「なんか、是が非でも逃がすなって感じだから。あんたにあんないい子が惚れてるなんて、神様がサービスしたに違いないわ! 絶対離すんじゃないわよ! 浮気とかしたら勘当するからな! って」

 

 モノマネをするヒロくんを見るとおばさんの顔が目に浮かぶ。

 そういえばあのおばさんは結構パワフルだった。最近あってないから忘れてた。

 

「さすが、おばさん。私の斜め上の想像をゆく」

「じゃあ、俺はちょっとピザ注文するわ」

「ん」

 

 私はPCの音量をさげ、ラインを開く。

 グループの人数がいつの間にか二十八人まで増えている。

 参加していないのはあと二人。誰だろうか。

 おそらく存在感がない根暗男子。

 

 新しいグループ招待が来ているのに気づいた。

 それは一組女子という名のグループ。

 参加人数は十四人。私意外は全員入っているっぽい。

 カラオケ行った時に作ったのかな?

 

 私は参加をタップする。

 会話は切れているらしく、最後のメッセージはスタンプで二時間前だ。

 

 履歴を遡ると基本的には挨拶で、中身のある会話はない。

 前に倣えで私は誰かの挨拶文をコピペし、名前や適当なところだけ変えて送信した。

 

 既読はすぐついた。

 そしてスタンプの返信も。

 

 既読が続け様につき、『既読5』となったところで文字の返信が来た。

 石田さんからだ。

 

『船戸さんって斎藤くんと付き合ってるの?』

 

 簡単な質問だった。

 それ故に私は少し驚いた。

 

 それをグループでしかも大して仲良くもない人間にいきなり聞くかと。

 いや、彼女からしたら私は有名人で、そういった安直な気分で聞いてるのかもしれない。

 

「深く考えても意味ないか」

 

 意図がわかったとしても答えは変わらない。

 

『付き合ってるよ』

 

 メッセージを送り、私はグループの通知をオフにしてラインを閉じた。

 このあとの展開はわかりきっている。質問攻めだ。

 相手するの面倒だし、明日学校で聞かれた時に答えればいい。

 

 いや、明日私仕事で学校行かないんだ。

 じゃあ、また次直接聞かれた時でいいや。

 

 




 女子からの評価

 島田幸太郎 7/10点 カッコウイイし、コミュニケーション能力も高い。要観察
 斎藤宏 10/10点 超イケメン。集団の会話下手くそ。二人きりの会話満点。彼女持ち
 石川太一 2/10点 典型的な勘違い男子。いらない。
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