懐玉の直前まで書けたので、また投稿を再開します。
一日一話、午前11時半に投稿していきます。
よろしくお願いします。
「白いでかい奴と黒いでかい奴……略して“でか白”と“でか黒”……」
「「あ"?/は?」」
あ! やせいの “さいきょうたち”が あらわれた!
東京都立呪術高等専門学校――
『日本に二校しかない呪術教育機関の一つ。
呪術師の学校と思ってもらっていい、君はここの寮で暮らすことになる――』
昨日、病院からここの寮に来て一晩経った。
現在、早朝。
ボクは今、寮の部屋で起きてからすることがなくてボーッとしている。
何故ならば、することがないから。
夜蛾さんに保護された後、そのまま片田舎の病院から東京へ向かって数時間。
東京都は思えない奥地の学校にたどり着いたときには、夜の十二時を超えていた。
つまり――良い子は寝る時間である。
ボクの幼い身体は眠気を耐えるのに必死だったのだ。
「車で寝るのってなんだか申し訳ないよね……」
仕方がないので、夜蛾さんがボクを寮の部屋に案内して、その日は終わった。
眠かったのはしょうがない。怒濤の一日だったのだから。
「今は部屋で待つしかないよね……」
今日は誰も返事をしてくれない――
それが寂しかった――
「ぐすッ……」
コンコンコン――
部屋で待っていると、ドアのノックの音が鳴った。
「……夜蛾さんかな? ……ズズッ!
はあい! ちょっと待ってくださーい!」
ドアノブを回して出てみると、やっぱり夜蛾さんだった。
ラップの貼ってあるおぼんを持っている。
「おはよう、凜くん。
朝ご飯を持ってきた。……食べられるか?」
“早起きで偉いな”
そう言う夜蛾さんが持ってるおぼんには、お米、味噌汁、鮭の塩焼きが二人分、のっている。
その美味しそうなご飯にボクのお腹がぐぅ、となった。
「あ、の……おはようございます……」
「あぁ、おはよう。……食べようか。」
なんだか、恥ずかしくてちゃんと受け答えできなかった。
夜蛾さんはスルーしてくれたようだ、有り難い。
それから、部屋に入り。
部屋の中央にあるちゃぶ台、そしてフローリングに直に座って、ボクたちは朝ご飯を食べ始めた。
「「いただきます――」」
お味噌汁についてるラップをとると、温かい湯気が立ち上った。
汁をすする。
――温かい……。
味噌汁は喉を通り、胃へと到達。
お腹の中が満たされる――
エネルギーが空っぽの身体に染み渡るようだ。
「おいしい……」
「そうか、よかった」
お米を一口食べる。
生まれ変わっても変わらない味――
――おいしい……。
鮭を上手く持てない箸で頑張って切り分け食べる。
柔らかい身のなんだか懐かしい味――
――これも、おいしい……。
それからボクは朝ご飯をがっつくように食べた。
少し行儀が悪くとも、夜蛾さんは何も言わなかった。
鮭、お米、味噌汁。
鮭、お米、味噌汁。
鮭、お米、味噌汁――
「凜くん――やはり少ししょっぱいな――」
「え……?」
夜蛾さんを見ると、顔がよく見えなかった。
なんだか、ほんとにお米が少ししょっぱくて――
「悲しくとも腹は減るんだ、いっぱい食べなさい――」
「は、……い……。」
それからボクと夜蛾さんは朝ご飯を黙って食べ続けた。
朝食も食べ終わり、空の食器を片付けた。
その後、ボクたちは木造の校舎の廊下を歩いている。
夜蛾さんの後ろをちょこちょこ、とついて行く。
ギシギシ、音を鳴らして歩きながら夜蛾さんはボクの処遇について話し始めた。
「昨日の事件のことが少し上層部の中で議論になった。」
「上層部、ですか……?」
「藍沢圭を尋問し聞き出したところによると、君には呪霊を引き寄せる力があるらしい。
それが原因で、上層部は封印措置をとるか、身元を引き取って要監視とするかの議論になった。」
――封印措置!?
ボクの呪霊誘因体質はそれほどまでに異例らしい。
確かに、普通の生活は望めないだろう。
だが封印措置ってなんなんだ……。
「だが、それは呪力を上手くコントロール出来れば、多少抑えることが出来る可能性が高い。
結果、それを学ばせるために呪術高専内で君を保護、要監視とすることになった」
なんとか、ボクは封印されずに済むらしい。
藍沢はボクの呪力が漏れているのを利用していたらしいから、コントロール出来ればなんとかなるのだろう。
「つまり、君は呪術師にならなければいけない、ということだ。
今度は選択肢がなくて申し訳ないが、君はここで暮らすことになった」
「えっと、金銭的援助とかはどうなるんですか……?」
「それは勿論ある。
しかし、呪術高専の学費は元々全額免除だから、衣食住の金銭的援助をすることになるな」
――な、なるほど……。
夜蛾さん曰く、義務教育の教育課程も呪術高専でやってしまうらしい。
そして、最低限、呪力コントロールが上手く出来る様になるまで高専からは出られないとのことだ。
「よし、ここだ」
「……?」
とある教室の前で夜蛾さんは止まった。
職員室に向かっていたと思ってたから少し驚いた。
「ここからの説明は中にいる生徒と一緒にしよう」
「えっと、わかりました」
今更にはなるが、夜蛾さんは教師もしているらしい。
すごい似合っていて得心した。
ガラッ、とドアを開けて教室に入ると、女の人が一人座っていた。
「! 硝子、残り二人はどうした?」
「さぁ? 寝坊じゃないですか?」
「……まったく」
――教師って大変なんだな……。
「せんせー、その子は何ですかー?」
「はぁ……三人揃ってから説明したかったが仕方ない。
先にせつめ「マジ!? 夜蛾センの隠し子!?」」
教室の廊下側の窓から白髪でサングラスをかけた人が身を乗り出していた。
あと、もう一人となりに変な前髪の人がいる。
夜蛾さんはその二人を見てピキピキと額に血管を浮かべている。
「本当かい? 悟。
あ、悟を起こしていたので遅刻しました。」
「あッ! 傑お前!
桃鉄九十九年やって寝坊したのはお互い様だろ!」
「二人とも遅刻だ、馬鹿者。早く座れ……!」
ゴチーン!!
遅刻した二人が座った後、夜蛾さんのカミナリが落ちた。
それを不服そうにする二人を無視して夜蛾さんは説明を始める。
「彼は鈴月凜。
とある事情で身元を呪術高専で保護、要監視することになった。
お前たちには彼のめんどうを見て欲しい――」
「り、鈴月凜です。
よろしくお願いいたします」
一応、自己紹介とお辞儀をしておく。
ボクはこれからこの人達のお世話になるのか。
――そういえば、ボク四歳児だった……。
「ガキんちょの保護と要監視ィ?
何で俺たちがガキんちょのめんどうなんか見なきゃいけないんだよ」
「先生、とある事情というのは何ですか?」
夜蛾先生は呪霊誘因体質を三人に説明する。
それはそうと、精神的に同い年くらいの人たちにお世話になるのは結構気まずい。
元より拒否する気はないが、拒否権のないボクはボーッとして待つ。
「あー確かに変な呪力してるな、オマエ」
「そうなのかい? 悟
私の中の呪霊は彼に反応してない、取り出せば反応するかな?」
――わ、めっちゃ見られてる……。
気づいたら、めちゃくちゃ近くで二人にガンを飛ばされていた。
というか、二人の身長が高くて少し怖い。
威圧感がスゴくて少し後ずさる。
「白いでかい奴と黒いでかい奴……略して“でか白”と“でか黒”……」
「「あ?/は?」」
――あ、心の声が漏れちゃった……。
「ははッ、ウケるー」
「お前ら、怖がらせるんじゃない。
……凜くん、私が彼らを紹介しよう。」
五条悟、白髪で丸いサングラスをかけている 「……ふん」
夏油傑、黒髪で変な前髪をしている 「さっきはごめんね、よろしく」
家入硝子、茶髪で唯一の女の人 「よろしくー」
「よ、よろしくお願いします」
この人たちが呪術高専一年、そのメンバー全員らしい。
三人しかいないというのは、それだけ呪術師というのがマイナーなのだろう。
「……とにかくだ。彼は高専の寮で生活することになった。
私も出来るだけ顔を出すようにするが、寮にいるお前たちが彼を気にしてやってくれ」
――この人たちも寮生活なのか。
心の声が漏れてしまったから、第一印象は余りよろしくはなさそうだ。
これからの生活を憂えて気分が落ち込むが、頑張るしかない。
なに、きっと大丈夫。だって中身は同じ高校生なのだから――
「それと、彼には呪力操作を覚えてもらう。
呪力をコントロールして呪霊誘因体質を抑えられるようにする――」
――あと、そうだ呪力のコントロールも練習して……。
「任務がなく暇な者は彼を見てやってくれ」
「やだね、任務じゃないんでしょ?
誰が白黒頭のガキのお守りなんてするか――」
――練習、して……?
どうやら五条さんには嫌われてしまったようだ。
白黒頭のガキって……さっきの根に持たれてる……。
新しい生活で、いきなり問題にあたってしまった――
次回、緊急クエスト
-五条悟と仲良くなろう!-
どもっす<(_ _)>
読了! 感謝!
暫く、ほのぼのアオハル回が続きます。
せっかく精神年齢が高いのだから、絡ませ得ですね~。