呪いを焚べる   作:N島 ジュン太郎

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作者、実はモンハンやったことないんですよねェ……アハハ。
それでは第十一話をどうぞ~。


第十一話 緊急クエスト-五条悟と仲良くなろう!-

 

 呪術高専に来てから三日。

 高専寮内のボクの居場所は、鈴月部屋・夏油部屋・家入部屋、そして五条部屋の四つに分かれ、混沌を極めていた――

 

「凜くん、ポップコーン食べるかい?」

「あ、いただきます」

 

 現在地、夏油部屋。

 ボクは今、夏油さんの膝の間で座って映画を見ていた――

 

「傑の術式ってポケ○ンに似てるよな」

「そんなに可愛いモノじゃないけどね」

「あははクズ共、子どもの夢を汚すなよー」

 

――めっちゃほっぺ触られる……。

 

 夏油部屋にはボクと一年ズが揃って、某マッサラ人の映画を鑑賞している。

 あと、映画を見ながら呪力操作の練習中だ。

 手にぬいぐるみ――ツカモトJr.という名前らしい――を持って鑑賞しながら呪力を一定量練る練習らしい。

 出来なかったら、ツカモトJr.がブルブルと震えて優しく教えてくれる。

 あ、震えた。

 

「……難しいですね」

「いや、凜くんは飲み込みが早いほうだよ」

「そうですか?」

「俺が見てやってるんだから当たり前だろ?

 感謝しろよ、ガキんちょ」

 

 そういえば、なんだかんだ五条さんは呪力操作の練習に付き合ってくれる。

 他の一年生がいるときは、こうして混ざってくるのだ。

 しかし、一対一で話したり、部屋で過ごしたりはない。

 遠巻きに見てくる程度だ。

 

――転けたとき、慌てて家入さんを連れてきたのは驚いたな。

 

 そうなのだ。

 幼いボクにめちゃくちゃ気を遣ってくれるけど、一対一で話そうとすると逃げる。

 夏油さん曰く、“あれは小さい君にどう接すれば良いか分からないだけだよ”ということらしい。

 

――でも、一人のときでも話してみたいな。

 

「夏油~、そろそろ貸して~」

「ダメだね、今日の任務は大変だったんだ。

 もう少し凜くんの頬を触って癒やしてもらわないと」

「私もいっぱい死体見たんだけど?」

「こら、凜くんの前だよ」

 

――ボクはアニマルセラピー的な感じなのか……。

 

 とりあえず、直近の目標は五条さんと仲良くなることだ。

 ただでさえ、みんな任務でいなかったりするのだ。

 五条さんがいるときは、しっかり話して教わりたい。

 何故なら――

 

――早く外出許可をもらって、カエデの墓参りに行きたい!

 

 ボクのモチベーションは今のところそんなところだ。

 

 

 

 

 

 

 と、いうことで次の日。

 緊急クエスト-五条悟と仲良くなろう!-

 発令である!

 

 現在、一年生の午後の呪術実習中。

 単独での簡単な任務だったらしく、五条さんだけ早めに帰ってきたのだ。

 家入さんは病院に行っている。何はともあれ――

 大チャンスである。

 先あたっての問題は――

 

――近づくと逃げちゃう五条さんをどうやって捕まえよう?

 

 そう、近づいたり話しかけようとしたりすると逃げてしまうのだ。

 正攻法で五条さんに突撃しても、恐らく無理。

 

 ならば、逆転の発想。

 ちょっと危ないことをして、五条さんの方から近づいてきてもらおう。

 

「この前、転んだときは助けに来てくれたしね。

 早速、グラウンドに行こっと」

 

 今日の訓練内容は術式の練習にしよう。

 炉心呪術――呪力を運動エネルギーに変換して使用する術式だ。

 呪術高専に来てからは呪力操作の訓練しかしてなかったから、少しワクワクする。

 やっぱり身体は子どもといっても、中身は高校生。

 突如、使えるようになった不思議パワー。そういうの大好き。

 

 グラウンドに着いた。

 ちなみに術式の使用はまだ禁止されている。

 でも、好奇心は止められないのだ。

 しょうがないよね。

 よしよし、五条さんも草葉の陰に隠れて着いてきている。

 

 しかしながら、術式が肉体に刻まれる感覚とはなかなか奇妙である。

 例えるなら、自分の身体の延長線上に突然生えてきた感じ。

 尾てい骨が伸びて、尻尾が生えた――みたいな。

 

――じゃあ、やってみよう。

 

 呪力を練る――

 小さな負の感情を火種に呪力を捻出する。

 

 ボクの呪力を練るときのトリガーは――『死』だ。

 覗いてはいけないパンドラの箱。

 ゆっくりと……ゆっくりと……慎重に開ける――

 

 ズズッ……!

 

――よしッ……! いい感じッ!

 

 呪力が身体に満ち満ち、ゆらゆらと立ち昇る――

 この呪力を術式に流し込むことで発動させるのだ。

 

「イメージは呪いを焚べる炉心――」

 

――……炉心起動

 

 キィィイイイ――。

 炉心が稼働する音が自己の内で鳴り響く。

 呪力を燃やし、運動エネルギーを取り出す準備が完了した。

 後は、呪力を変換するだけだ。

 

「……よし、とりあえず軽くジャンプしてみよう。」

 

――……炉心……接続ッ!

 

 ドッ……!!!

 いきなりの急発進にギュッと目をつむった。

 

「わッ……!」

 

 跳ぶ動作もしていないのに、身体が重力から解放される。

 体験したことのない浮遊感――

 大気中の風に抱かれる――

 遮るモノのない西日がボクを照らす――

 

 ボクは今――空を飛んでいる――

 

――わぁ! すご……!

 

 気が付いたらボクは瞼を開けていた――

 赤色に照らされる呪術高専の全容が目に映る。

 荘厳な寺社仏閣。

 青々と生い茂る山の木々。

 それらを夕日が包んでいた――

 

「綺麗……」

 

――……あれ? 空?

 

「うわあああ! 落ちる落ちる!」

「何やってんだよ! オマエ!」

 

 パニックになる寸前、五条さんが助けに来てくれた。

 五条さんは空も飛べるようだ、流石最強の片割れ。

 ボクの小さい身体が抱え込まれる。

 二人して高専の空に浮かぶ。

 

――助かったぁ……

 

「はぁ……弱い奴に気を遣うのは疲れるよホント……」

「ご、ごめんなさい……」

 

 空中で謝る。

 少しだけ危ないことをするつもりが、落下死ルートに入っていた。

 五条さんがいなかったら、死んでいたことに気づいて震える。

 

「ったく……何でこんなことしたんだよ?」

「えと……五条さんと仲良くなりたくて……」

「……はぁ?」

「だって、近づいたら逃げちゃうし……」

 

 頭をガシガシと掻く五条さん。

 結局、危ないところを助けられてしまったから、あまりはっきりと言いづらい。

 でも、これは言わなきゃいけない――

 

「もっと呪術を教えてもらえれば、友達のお墓参りに行けるかなって……」

 

 五条さんは此方をじっと見て固まっている。

 ボクはしっかりと目を見て向き合った。

 五条さんと仲良くなりたいのも――

 カエデのお墓参りに行きたいのも――

 ホントだから――

 

「五条さん――友達になってください――」

「――」

 

――だめかな……。ならッ……!

 

「五条さん! 一人で飛びたいです!」

「何言ってんの?」

「一人で飛べたら、友達になってください!」

「はぁ……。

 おい、オマエの呪力は普通じゃない。呪力量をもっと調整しろ」

「……え?」

 

 呪力量をもっと調整する? というのはどういうことだろうか。

 さっきも、そこまでいっぱい変換した感じではない。

 つまり、もっと少ない呪力で――

 

「オマエの不思議呪力の呪力密度はめちゃくちゃ高いんだよ。

 それが異常な呪力効率を引き出してる。術式に流すのはもっと少なくて良い――」

 

――ハイオクのウルトラスーパーデラックスみたいなモノか?

 

 言われたとおりに呪力を調整してみる。

 指向性は重力を打ち消すような感じで――

 そして、常に重力を打ち消し続ける――

 すると、ボクを抱きかかえていた五条さんの腕から身体が浮いてきた。

 

「わッ、うわわッ!」

「――」

「ご、五条さん!」

「――ハッ、オマエ才能あるよ!」

 

 フワフワと五条さんの手を握って空を飛ぶ。

 ボクと五条さんはしばらく呪術高専を眺めながら笑って飛んでいた。

 

「しょうがないから、俺が教えてやるよ! “凜”!」

「――……はいッ!」

 

 

 緊急クエスト-五条悟と仲良くなろう!- -Quest Clear-

 

 

 

 

 

 

「悟ゥ! オマエがいながら何故一緒に危ないことをしているゥ!!」

 

 ゴチーン!!

 

「凜! 君もだ! 危ないことはするんじゃない!!」

「ご、ごめんなさい……」

 

 ゴチン!

 

 一緒に空を飛んで遊んでいるところを夜蛾さんに見つかって、ボクと五条さんは一緒に仲良く怒られたのでした。

 その後、夏油さんにも少し怒られた。

 

「ちゃんちゃん」

「何を言ってるんだい、硝子?」

 

 

 




どもっす<(_ _)>
N島ジュン太郎です。
読了!感謝!
凜くんに制空権を与えても良いか悩みましたね~
ま、どうとでもなるかと思ったので。建物内で戦闘させるとか。
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