呪いを焚べる   作:N島 ジュン太郎

22 / 33
短いですが、第二十一話 懐玉・玉折のエピローグになります。

これで書き溜めは全て出しました。
あとがきとその他は投稿しますが、次の物語まで期間が空きます。
どうぞよしなに。

では、第二十話をどぞ~。


第二十一話 懐玉・玉折〈焚〉-エピローグ-

 

「凜の熱は下がったのか?」

「はい、とりあえず大丈夫だと思います。」

「呪力が暴走したときはどうなるかと思ったが……」

「鈴月、まで……いなくなるんじゃないかって……」

 

 夜蛾さんと家入さんの声で目が覚める。

 先ほどまでの倦怠感がない。

 熱が下がったのか、頭もすっきりしている。

 

――というか……何、この呪力……。

 

 覚えのある全能感。

 呪力を裏返す感覚を、脳が思い出したようで――

 

――これ、反転術式……?

 

「鈴月、起きた……?」

「あ……はい、おはようございます……」

「心配させやがってッ……!」

 

――むぎゅ……く、苦しい……。

 

 珍しく動揺している家入さんに抱きつかれる。

 それもそうだ。

 夏油さんのことに、ボクのこと――いろいろ重なった。

 

「凜、大丈夫か?」

「はい、だいぶ楽になりました。

 心配させてすみません。」

「いや、謝ることじゃない。大事がなくて本当に良かった」

 

 夜蛾さんにも心配を掛けてしまったようだ。

 いつもより優しく頭を撫でられた。

 

――そうだ、今は自分のことよりも……。

 

「……あの、夏油さんのこと、教えてくれませんか?」

「……そうか、聞こえていたのか。

 すまない、俺が余計な心配を掛けてしまったようだな――」

「いいえ、もう大丈夫ですから」

 

 夜蛾さんは自戒するように頭に手を当ててハァ、とため息をつく。

 そしてベッドに腰を掛けて、ゆっくりと話してくれた――

 曰く、夏油さんが村の住民を皆殺しにしたこと。

 曰く、両親も手に掛けているだろうこと。

 曰く、今は行方をくらませていること。

 

「ホント……なんですね……」

「……あぁ、そうだ」

 

――止められなかったのはもう()()()()()()

――けれど……。

 

「ボク、決めました……強くなって夏油さんを――」

 

 

 

 

 

 

 数日後……。

 家入さんが新宿にて夏油さんと接触した。

 その場で連絡を取り、五条さんが向かうも拘束しなかったらしい。

 

「家入さん、夏油さんはなんて言ってましたか?」

「なんか、呪術師だけの世界を作るんだって。

 バカだよね~」

「……よく、分かりません」

「だよね~」

 

 二人で筵山麓に向かって歩く。

 帰ってきた五条さんを迎えに行くのだ。

 先に夜蛾さんが行っている。

 

「五条さん……大丈夫ですかね……」

「大丈夫でしょ、だって、まだ私たちがいるじゃん?」

「確かに、――ボクたちが独りにさせてあげません」

 

――実は三人のことを、兄や姉のように思っていた。

――なんてことは、天地がひっくり返っても言わないけど。

 

 独りにさせないためにも、強くならなきゃいけない。

 弱いままだと、自分勝手に自分の意思を突き通せないから。

 

 筵山麓の大きな鳥居が見えてくる。

 夜蛾さんと五条さんがしゃがんで座っていた。

 

「――俺だけ強くても駄目らしいよ。

 俺が救えるのは……他人に救われる準備のあるヤツだけだ」

 

 そんな言葉が聞こえてくる。

 ボクは家入さんと顔を合わせた。

 

「いってきな、鈴月」

「はい……!」

 

――独りにはさせない……

――強くならなきゃ……

――だから……

 

 思い切り腕を振りかぶって、五条さんの背中を思いっきり叩く。

 ピタッ……!

 

「あ……」

「んぁ? なんだ凜かよ。どした?」

 

――無下限バリア~ッ……!

 

「あっはっは! 失敗したね鈴月~」

 

 自動防御になってるの忘れてた~! と、頭を抱える。

 五条さんの分かってないような顔がむかつく。

 

「だからなんなんだよ、オマエら」

「鈴月が伝えたいことあるんだってさ~」

「やっぱり顔を殴りたいッ……?」

「伝えたいことそれ!?」

 

 五条さんがツッコみ――

 家入さんが笑い――

 夜蛾さんがそれを眺めている――

 

――ほら、ボクたちがいるじゃん。

 

「先ずはボクを救ってください、五条さん」

「――」

「決めたんです――強くなるって。

 強くなって灰原さんの分も生きて、強くなって夏油さんをぶん殴る。

 弱いままだと、呪術師は自分勝手を通せないから――」

「凜……」

「お願いします。ボクを……強くしてください――」

 

 いろんな理由がある――

 自分勝手に生きて、幸せになるための理由がたくさんだ――

 だからボクは強くなりたい。

 

 ボクに背中を向けて立ち上がった五条さん。

 そして、背中を指さして――

 

「ん、まっかせなさい!!

 ほら――ばっちこい!!」

「オラァ!!」

 

 バッシィィ!!!!

 夕暮れの空に響くのは、衝撃音。

 そして――

 

「イッッテェ!!!」

 

 五条さんの叫び声だった。

 

 

 

 

 

 

「「夏油様……」」

「そうか……凜くんの母親は牢屋の中で死んで……」

「もう……ゆ、許し――「もういい」――がペッ……!」

 

――猿は嫌い。それが私の選んだ本音。

 

 

 

 




どもっす!<(_ _)>
N島ジュン太郎です。
読了!感謝!
そして懐玉・玉折編完結です!
そのうち“あとがき、その他”を投稿します。

繰り返しになりますが、書き溜め終わり!
次の物語までまた期間が空きます!!
書き溜めが溜まったら戻ってきます。
それまで楽しみに待っていてくださると、嬉しい限りです。
では、またね!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。