これで書き溜めは全て出しました。
あとがきとその他は投稿しますが、次の物語まで期間が空きます。
どうぞよしなに。
では、第二十話をどぞ~。
「凜の熱は下がったのか?」
「はい、とりあえず大丈夫だと思います。」
「呪力が暴走したときはどうなるかと思ったが……」
「鈴月、まで……いなくなるんじゃないかって……」
夜蛾さんと家入さんの声で目が覚める。
先ほどまでの倦怠感がない。
熱が下がったのか、頭もすっきりしている。
――というか……何、この呪力……。
覚えのある全能感。
呪力を裏返す感覚を、脳が思い出したようで――
――これ、反転術式……?
「鈴月、起きた……?」
「あ……はい、おはようございます……」
「心配させやがってッ……!」
――むぎゅ……く、苦しい……。
珍しく動揺している家入さんに抱きつかれる。
それもそうだ。
夏油さんのことに、ボクのこと――いろいろ重なった。
「凜、大丈夫か?」
「はい、だいぶ楽になりました。
心配させてすみません。」
「いや、謝ることじゃない。大事がなくて本当に良かった」
夜蛾さんにも心配を掛けてしまったようだ。
いつもより優しく頭を撫でられた。
――そうだ、今は自分のことよりも……。
「……あの、夏油さんのこと、教えてくれませんか?」
「……そうか、聞こえていたのか。
すまない、俺が余計な心配を掛けてしまったようだな――」
「いいえ、もう大丈夫ですから」
夜蛾さんは自戒するように頭に手を当ててハァ、とため息をつく。
そしてベッドに腰を掛けて、ゆっくりと話してくれた――
曰く、夏油さんが村の住民を皆殺しにしたこと。
曰く、両親も手に掛けているだろうこと。
曰く、今は行方をくらませていること。
「ホント……なんですね……」
「……あぁ、そうだ」
――止められなかったのはもう
――けれど……。
「ボク、決めました……強くなって夏油さんを――」
数日後……。
家入さんが新宿にて夏油さんと接触した。
その場で連絡を取り、五条さんが向かうも拘束しなかったらしい。
「家入さん、夏油さんはなんて言ってましたか?」
「なんか、呪術師だけの世界を作るんだって。
バカだよね~」
「……よく、分かりません」
「だよね~」
二人で筵山麓に向かって歩く。
帰ってきた五条さんを迎えに行くのだ。
先に夜蛾さんが行っている。
「五条さん……大丈夫ですかね……」
「大丈夫でしょ、だって、まだ私たちがいるじゃん?」
「確かに、――ボクたちが独りにさせてあげません」
――実は三人のことを、兄や姉のように思っていた。
――なんてことは、天地がひっくり返っても言わないけど。
独りにさせないためにも、強くならなきゃいけない。
弱いままだと、自分勝手に自分の意思を突き通せないから。
筵山麓の大きな鳥居が見えてくる。
夜蛾さんと五条さんがしゃがんで座っていた。
「――俺だけ強くても駄目らしいよ。
俺が救えるのは……他人に救われる準備のあるヤツだけだ」
そんな言葉が聞こえてくる。
ボクは家入さんと顔を合わせた。
「いってきな、鈴月」
「はい……!」
――独りにはさせない……
――強くならなきゃ……
――だから……
思い切り腕を振りかぶって、五条さんの背中を思いっきり叩く。
ピタッ……!
「あ……」
「んぁ? なんだ凜かよ。どした?」
――無下限バリア~ッ……!
「あっはっは! 失敗したね鈴月~」
自動防御になってるの忘れてた~! と、頭を抱える。
五条さんの分かってないような顔がむかつく。
「だからなんなんだよ、オマエら」
「鈴月が伝えたいことあるんだってさ~」
「やっぱり顔を殴りたいッ……?」
「伝えたいことそれ!?」
五条さんがツッコみ――
家入さんが笑い――
夜蛾さんがそれを眺めている――
――ほら、ボクたちがいるじゃん。
「先ずはボクを救ってください、五条さん」
「――」
「決めたんです――強くなるって。
強くなって灰原さんの分も生きて、強くなって夏油さんをぶん殴る。
弱いままだと、呪術師は自分勝手を通せないから――」
「凜……」
「お願いします。ボクを……強くしてください――」
いろんな理由がある――
自分勝手に生きて、幸せになるための理由がたくさんだ――
だからボクは強くなりたい。
ボクに背中を向けて立ち上がった五条さん。
そして、背中を指さして――
「ん、まっかせなさい!!
ほら――ばっちこい!!」
「オラァ!!」
バッシィィ!!!!
夕暮れの空に響くのは、衝撃音。
そして――
「イッッテェ!!!」
五条さんの叫び声だった。
「「夏油様……」」
「そうか……凜くんの母親は牢屋の中で死んで……」
「もう……ゆ、許し――「もういい」――がペッ……!」
――猿は嫌い。それが私の選んだ本音。
どもっす!<(_ _)>
N島ジュン太郎です。
読了!感謝!
そして懐玉・玉折編完結です!
そのうち“あとがき、その他”を投稿します。
繰り返しになりますが、書き溜め終わり!
次の物語までまた期間が空きます!!
書き溜めが溜まったら戻ってきます。
それまで楽しみに待っていてくださると、嬉しい限りです。
では、またね!