転生したけど原作の千年前   作:フィークス2号

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1話 原作の千年前に転生した上に勘当された

 

 『魔道学園グローリア』というマンガがある。俺の前世でお気に入りだった、アニメ化やゲーム化もされた大人気作品だ。

 舞台は魔法のある現代風異世界で、主人公は全世界の魔法使いの中でも選りすぐりのエリートが集まる学園、グローリア国際魔法学園に入学することになる。

 そして入学した先の国際魔法学園グローリアで学生生活を送り、様々な事件に巻き込まれてそれを解決していくという内容だ。

 

 そして俺はその世界に転生した、転生したのだが……。

 

 「原作開始の千年前ってどういうことだよ!」

 

 俺が転生したのは原作開始の千年前、聖暦1000年であった。

 いやいやおかしいでしょ!普通転生するなら原作開始の頃とかちょっと前でしょ!千年も前じゃ何もできないじゃん!

 そう思って俺は嘆き、悲しんでいた。しかし俺は原作のとあるイベントを思い出したのだ。それは『グローリア国際魔法学園創設』である。

 グローリア国際魔法学園は原作から千年前、3人の偉大な魔法使いによって作られることになる。

 東洋出身で剛毅なる武士の魔法使い、赤日輝人( あかひてるひと)

 北洋出身の老練なる闇の魔術師、アントニオ・ヴァイス。

 南洋出身の褐色肌の女魔法使い、シャヒーラ・カーミル。

 この3人の偉大な魔法使いは中央大陸に位置する土地、グローリアにて学園都市を築き上げる。

 

 俺はそのことを思い出しワクワクした、原作の舞台となる魔法学園、その創立をお目にかかれるかもしれないのだ。

 しかもうまくいけば、創設者たちと知り合いになれるかもしれない。あわよくば魔法学園の職員や教師、生徒にもなれる可能性もある。

 『魔道学園グローリア』という漫画の大ファンである俺からすれば原作と時代が違おうと、その学園と関われるのであればこんなに嬉しいことはない。俺は期待に胸を膨らませて幼少期を過ごした。だがしかし、残酷な現実を突きつけられることになる……。

 

 

 

 

 

 

 「旦那様、この子はミスペルです」

 

 俺の家に訪れた、魔法使いの医者が告げる。

 

 

 呪文を唱えて魔法を使う、詠唱魔法。

 魔力を道具に付与する、付与魔法。

 魔力を込めて新たなる物質を生成する、錬金術。

 etc……。

 魔法には様々な種類がある

 そんな中で俺はミスペル……詠唱魔法が使えない人間だったのだ

 ミスペルというのは魔法族の中の一種の障害者で、あまり原作でも良い立場にいない。

 ミスペルは魔力を持っていない訳ではなく、先ほどあげた付与魔法や錬金術魔法などは問題なく使うことができる。原作でも付与魔術で作り上げた道具を駆使して戦うミスペルの魔法使いもいた。

 なので俺は少しショックを受けたが気にしないでいたのだが……。

 

 「我が名門魔法族のうちからミスペルが出るなど恥だ!」

 

 「あなたのせいで私が非魔法族と浮気したと思われるでしょ!」

 

 「今日限りで親子の縁を切らせてもらう!この家から出て行ってもらおう!」

 

 原作から千年前、現実で言えば中世のような時代では差別意識もバリバリだ。俺は忌子のような扱いを受けて家から追い出された。

 年齢にして11歳の時のことである。

 

 「嘘だろおい……。」

 

 吹雪が吹き荒れる中、自らが魔力を付与(エンチャント)して作った僅かばかりの魔法道具のみを持たされ、家を追い出された。俺は家なし、職なし、希望なしの地獄のような状態に追い込まれたのであった……。

 

 「……とりあえず、原作の舞台のグローリアにでも向かうか。」

 

 絶望していても仕方がない。俺は北洋の地を旅立ち、南へ南へと歩みを進めた。

 あれだな!とんでもない不幸なイベントを体験したはずだけど、好きな漫画の世界に転生したと思うとそんなことを苦に感じないな!

 全然苦に感じないな!……目から流れてるのはただの汗だ。クソ寒いけど汗だ……。全然……苦しくなんてない。

 

 

 

 

 

 「腕力アップのエンチャントがされたグローブ、銀貨30枚だ!」

 

 「坊主、そこをなんとかまけてくれよ!銀貨20枚!」

 

 「うーん、じゃあこのポーションをおまけするから!それで銀貨30枚!」

 

 「よし!買ったぁ!」

 

 北洋にある市場にて、俺は商人と交渉をしていた。売り物は俺が付与魔法で特殊能力を付与したグローブと、回復効果のあるポーションだ。

 この『魔法学園グローリア』の世界には2種類の人種がいる。一つは魔法を使えない非魔法族(コモンズ)と呼ばれる人種、もう一つは魔法を使える魔法族だ。

 

 魔法族はこの時代では稀少であり、魔法族が作るマジックアイテムもまた稀少だ。俺は家を勘当される前、原作の憧れからさまざまな魔法の訓練をしまくった。俺が魔法族なのに呪文魔法を使えないミスペルだと発覚する前、親は俺に甘く勉強するための環境を整えてくれたのだ。

 

 そのおかげで俺はマジックアイテムを作る技術を身につけることができた。マジックアイテムを作るための道具も、勘当される前の実家で親に買ってもらった。思い返すと実家に色々助けて貰ってるなぁ……。勘当されたけど。

 

 最初は勘当される前に作ってあった、自分のマジックアイテム類を売って金を稼いだ。その後は稼いだ金を元に付与魔術や錬金術の為の材料や器具を買い、それらを使ってマジックアイテムを作成して売り、旅の路銀を稼いで他の街に移りマジックアイテムの素材を買い……。

 そんなことを繰り返して財を築きながら、オレは原作の舞台であるグローリアに向けて、旅を続けるのであった。

 

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