転生したけど原作の千年前   作:フィークス2号

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7話 グローリア城、購入する

 

 

 

 「は、はい!わかりました!このネルソン!グローリア魔法学園の創設の為に、全力を尽くさせてもらいます!」

 

 「「えええええええええぇぇぇぇぇ!?」」

 

 俺が輝人様からの申し出を受けると、老練なる魔導師、アントニオ・ヴァイス様と叡智の女大魔法使いシャヒーラ・カーミル様が大声で叫んだ。

 

 俺なんかミスペルごときが偉大な魔法学園創設者になろうとしているのだ。二人からしてみれば受け入れられないかもしれない。だがしかし、原作ファンである俺としては、こんな機会を逃すわけにはいかない。

 幸いこの現状、創設者の皆様は俺を間違って襲撃してしまったことで負い目を感じている、この状況であるならばワンチャン俺でも受け入れてくれるかもしれない。

 

 「アントニオ・ヴァイス様!シャヒーラ・カーミル様!確かに俺は未熟です。その上俺はミスペルです!」

 

 「待て……おぬしミスペルなのか?」

 

 ヴァイス様が震え声で尋ねる。あああぁぁぁぁ!初っ端からやらかした!やべぇ!だが知るか!ここは勢いで押し切る!

 

 「ですが俺は皆様を尊敬しているのです!赤日輝人様の素晴らしい魔法学園構想!これは偉大なもので千年先の未来まで残る宝となること間違い無いでしょう!

 俺は未熟ですが、皆様がお考えになった通りに豊富な資金があります!この資金があれば学園創設だけでなく運営にも大きな助けになるでしょう!

 どうかお願いです!俺に皆様の偉業を手伝わせてください!」

 

 そういうと俺は地に頭をつけて、土下座の態勢でお願いした。

 

 「ちょちょちょ、待つんじゃ!ワシは断ろうとしたわけじゃない!ただ驚いて声を上げただけなんじゃ!顔をあげてくれんか!」

 

 「ネルソン!わ、私もネルソンが協力してくれるのは大歓迎!頭をあげて!」

 

 俺に対して、ヴァイス様とシャヒーラ様のお二人は優しい言葉をかけてくれる。

 俺は立ち上がり、二人に感謝した。

 

 「本当ですか!俺を創設者の一人にしてくれるのですか!ありがとうございます」

 

 俺はサラッと協力者ではなく、創設者枠に自分を捩じ込みつつ二人に尋ねた。

 

 「あ、ああ、もちろんじゃ!おまえさんほどの商才があるものが学園の創設と運営に協力してくれるなら百人力じゃ!」

 

 「むしろ感謝するのはこっち!あなたが来てくれるなら、学園の未来は明るい。どうかお願い力を貸して。」

 

 ヴァイス様とシャヒーラ様が俺に向けて言う。

 

 「ネルソン・X。俺の理想に共感してくれて、共に歩んでくれる事を嬉しく思う。

 ありがとう……では共に未来に向けて進もう!魔法族の未来のために!魔法族の更なる発展のために!」

 

 赤日輝人様は俺の目を見てしっかりと言った。

 

 そしてこの日……俺は魔法学園グローリアの創設者となったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それでネルソン、魔法学園を建てるにあたってどこがいいか意見はあるか?」

 

 俺がグローリア魔法学園創設メンバーになってから数日、輝人様たちは俺の屋敷に移住した。そんな時に屋敷の会議室で会議中、輝人様に尋ねられた。

 

 「はい!俺の意見ですと、やはりこの街の中央にある城を買い上げて、それを学舎へと変えてしまうのがいいと思います。」

 

 原作ではこの街にあるグローリア城を学校としていた。俺は原作ブレイクをしないために、原作通り城にすべきだと提案した。

 ……てか、グローリア学園がグローリア城じゃないなんて考えられない!俺は原作ファンとして何がなんでもグローリア城を学舎にするつもりだ。

 

 「やはりお前もそう思うか。」

 

 輝人様は最初からグローリア城を学舎にするつもりだったみたいだ。よかった!

 

 「待つんじゃ輝人、城を買うなんてできるのかの?城なんて領主の持ち物じゃろ。」

 

 「ああそうだ、つまり俺とネルソンはこの街で魔法学園をやるために、この街の領主に我々がならねばならないと考えているのだ。」

 

 その一言に対して、会議に参加していたシャヒーラ様の夫、ウマル・カーミルさんが驚いきつつ言った。

 そして俺も驚いている……領主になるって何!?え!?普通に城買うんじゃダメなの!?

 

 「りょ、領主になるだって!?一体どうやってなるつもりなんですか!?」

 

 「それはもちろん買うのだ、この街をこのメディア王国の王からな。

 この街は王国にある商人たちの自治領で貴族が支配してるわけじゃない。かと言って直轄地でもない、だから王的にはそのトップが商人たちから魔法使いである俺たちになってもさほど変わらないんだ。

 だからこそ金でここの領主の地位を買うことができる、商人たちさえ黙らせればの話だがな。」

 

 「そ、それじゃあネルソン君と輝人さんはこの街を金で買うつもりなのかい!?」

 

 ウマルさんは俺と輝人様を見る。やめてくれ!そんな目で俺を見ないでくれ!

 

 「ああ!そのための資金をネルソンは持っている!

 城も中央から派遣された城代が任期制で治めているから、購入後の権力移行などはスムーズに行くはずさ。だからこそ俺はこの街を選んだ!」

 

 そ……そんな理由があったのか……。俺はただただ驚くばかりである。

 

 「はー。学校を建てるために領主になるなんてすごいのう。

 でもなんで領主になる必要があるんじゃ?」

 

 「それはこの都市で魔法使いを育てる際に、同時に魔法使いの保護を行わなければならないからだ。

 魔法学園がある都市の領主が、魔法使いに差別的な者であった場合、魔法使いが弾圧されてしまう恐れがある。そもそも差別的なものが領主になれば、魔法学園などすぐに廃校されてしまう恐れがあるしな。

 だから俺たちがこの街の支配者になる事、それは絶対なのだ。

 そしてこの街の基盤を確保して勢力を拡大した上で、然るべき時が来るまで力を蓄え……最終的に独立する!」

 

 「輝人すごい……私も考えてたけど、それを実行する事を前提にしているだなんて。」

 

 輝人様に対して、シャヒーラ様が感嘆する。やばい、これ何としても金出して領主にならなきゃいけないやつだ!

 

 「待ってくれ。この街の領主になる事を前提に話しているが、ネルソンさん、あんた当てはあるのかい!?」

 

 そんな事を話していると、会議に参加していたヴァイス一族の一人、おそらくヴァイスさんのお孫さん?あたりが俺に尋ねる。

 俺に尋ねないでくれ!でもこのまま黙りこくっているわけにもいかない!俺は必死に頭を回転させて、どうすればこの街を買えるのかを必死に考える。

 

 「……………はい!現在のグローリアが属する王国、メディア王国は戦争をしています。

 そのために今財政難に陥っており、金貨一枚でも欲しい状況です。

 そのため、俺たちが都市を買いたいと申し出れば、うちの商会の金で買えるでしょう!」

 

 俺は頑張って考えてそう答えると、会議室から歓声が上がった。

 

 「うむ!では他に意見があるものはいるか!」

 

 そう輝人様が尋ねると、各々が「異議なし」と答える。

 

 輝人様のお嫁さんも、ウマルさんも、他のヴァイス一族の方々もみんなの意見が一致してしまった。

 

 そして俺はみんなの期待を一心に背負い、このグローリアの街を買い……

 

 

 

 

 

 

 ました!はい!購入完了!買えた!マジか!?輝人様の慧眼ぱねぇ!?

 

 「いやいやすごくないか!?ネルソンさんあんたやばいだろ!」

 

 街の購入を終えた後、ヴァイスさんの孫が俺にツッコミを入れる。

 

 「あなたは……エデュラス・ヴァイスさんでしたっけ?

 俺が凄いんじゃないですよ、この街を買えると見抜けた輝人様が凄いんですよ。」

 

 「いやいや、ネルソンさんも最初から城を買おうって言ってたじゃないか!誰もおかしいとは思わないのか!?」

 

 街を買ったと言う事実に対して、エデュラスさんは大慌てだ。

 

 「安心してエデュラス、私も驚いてる……。」

 

 「僕もだよ、ずっと驚きっぱなしさ。」

 

 そうカミール夫妻も答える。

 

 「いや……俺も驚いてるぞ。俺も最初はこの街の領主になるつもりだった。しかしここまでスムーズに行くとは思っていなかった。

 王から許可を得るのも、商人たちを丸め込むのをもっとずっと難航するだろうと思っていたからな。」

 

 輝人様が冷や汗を流しながら言う。あ、輝人様もこのスムーズさには驚いてたのか。でも買えたこと自体には驚いてないのが凄いな。

 俺なんて他のみんなと同じで、まだ街を買った事実を受け入れられてないもん。

 

 「ワシはそもそも、都市を買うと言うことがどう言うことかわかっとらんからのう。凄いと言うこと以外何もわからんかったわい。」

 

 そうヴァイス様はおっしゃった。

 

 みんなの発言を聞いて、うちの商会のエルメスさんが大きな胸を張って言う。

 

 「ふふん!そうでしょうそうでしょう!うちのネルソン会長は凄まじいんですよ!

 もっとネルソン会長を褒め称えるべきです!」

 

 それを聞いたエデュラスは俺の手を握って言った。

 

 「ネルソンさん!どうかこれからもうちの学園をよろしくお願いします!特にうちのじいちゃんとか、金銭感覚ボロボロなんで……。マジでお願いします!」

 

 エデュラスさんは俺に頭を下げていった。

 

 

 

 

 

 こうして俺たちは拠点となる都市、グローリアを領有することに成功したのだった。

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