教祖様になっちまったぜ   作:アルピ交通事務局

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サッカーは奪えない

 

「あ〜……やっぱ鈍ってたな」

 

 明日が雷門中の入学式を控えた俺は少しだけ溜め息を吐いた。

 小学6年生になると受験勉強に時間を注ぎ込んだ為にサッカーの腕が鈍ってしまった……勉強じゃなくてスポーツに没頭する事が出来る環境じゃないのが地味に痛いが日本中の中高生がこの道を辿ってるんだ。

 

「ブレザー派なんだけど……ま、いっか」

 

 気持ちを引き締め直し、翌日雷門中に向かう。

 入学式なので母ちゃんが来てくれる……あんま見るものはねえってのに、ちょっとだけ恥ずかしい。

 

「雷門中……やっとここから色々とサッカーがはじまる。頑張らねえと…………ん?」

 

 なんか視線を感じるぞ。

 気の探知を会得した今の俺ならば軽々と分かる……背後から視線を向けられている。振り向いてみればジョルノ・ジョバァーナみたいな髪型をした学生服を身に包んだ男がいた……。

 

「…………よし、見なかった事にするか」

 

 見たくない現実も多々ある。

 ジョルノ・ジョバァーナみたいな髪型の男子を見なかったことにして校門を潜り抜ける。

 

「お、円堂来たか」

 

「おう……今日がスゲえ待ち遠しかったぜ」

 

「……………」

 

「どしたんだ冬花?」

 

「……じゃない」

 

「ん?」

 

「守くんと同じクラスじゃない」

 

「あ〜……」

 

 クラス発表だと張り出される。

 俺の名字はえなので直ぐに見つかると探してみれば直ぐに見つかった。けど、風丸や冬花と一緒のクラスじゃなかった。

 小学生からずっとの付き合いなのにクラスが一緒じゃねえ……なんかこう、新鮮だよな。

 

「クラスは別々かもしんねえけど、気持ちは一緒だ」

 

「…………そうだね」

 

 うわ、スゴい不服そう。

 コレばっかりは運に左右される問題だから仕方がない事だと冬花には受け入れてもらい、新入生はこちらだと講堂に集められて着席する。

 

「俺、円堂守。よろしくな」

 

「よろしく、私は木野秋、秋って呼んで」

 

「おう」

 

 隣が木野秋(負けヒロイン)だった。

 あいうえおで次はかきくけこだからこういう事もあるもんだと受け入れる。

 

「秋はなんか部活やるつもりか?この学校、スゲえ部活多いって聞くぜ」

 

「私はサッカー部に入ろうかなって」

 

「お、奇遇だな。俺もサッカー部志望なんだ……いやぁ、今からが楽しみだ」

 

「円堂くん、そろそろ入学式がはじまるみたい」

 

 っと、静かにしないとな。

 入学式がはじまる。校長とか理事長が入学おめでとうとか言ってくれる。

 雷門中は部活動が盛んな学校だから頑張ってくれって言われる……けどまぁ、雷門中部活動が盛んなだけで強いってわけじゃねえんだよな。全国に行ったって話聞いたことねえぞ。

 

「天地轟くは光る稲妻

 胸に抱きし熱き魂

 真実(まこと)を求めてこの学び舎に

 雷門 雷門 我等が雷門中学校

 

 朝日照り映えてそびえる鉄塔

 夢と希望は遥かに高く

 大空をはばたく翼を広げて

 雷門 雷門 我等が雷門中学校

 

 命慈しみ未来を見つめ

 心に響きし我が師の教え

 永久(とわ)の平和に繋げよ絆

 雷門 雷門 我等が雷門中学校

 雷門 雷門 我等が雷門中学校」

 

 

 雷門中の校歌、こんなんだったんだな。

 キャラソンとか色々と出ていたけれども、あんまり聞いたことはなかったから知らなかった。

 

「はじめまして皆さん、私はこのクラスの担任の冬海です。担当教科は数学っと、そんな事はどうでもいいですね。教科書の配布とかは明日からなので軽く自己紹介をしてください」

 

 そんなこんなで入学式が終わり自分達のクラスに向かう。

 担任はなんか冬海だった……こいつ、色々とクソなんだよな……まぁ、今はなんともなさそうだけども。

 何処の学校出身なのかなどの自己紹介なんかを終えると入部届の紙を貰う。

 

「うちの学校は部活動が盛んですから部活動紹介前に入部してもいいですよ……じゃ、校舎内を案内しますね」

 

 校舎内を案内してもらう。

 やっぱりというか雷門中はマンモス校なだけあってか広い。柔道場とか体育館とか部室棟とかプールとか色々とあった。

 教室に戻ったら明日は教科書配布とか委員会決めとか色々とあって本格的な授業を開始するのは来週ぐらいからだと告げられる。

 

「今日はコレで終わりです。部活動に入りたいのなら私に入部届を出してくださいね」

 

 そんなこんなで雷門中の学生生活の一日目が終わる。

 各々帰ろうとする。冬海もやるべきことはやったのだと教室から出ていく。

 

「え〜っと……よしっ!」

 

「円堂くん、もう書いたの?」

 

「おう!っと、風丸達を待たねえと」

 

 入部届にサッカー部に入部すると記入する。

 急いで冬海に提出したいけれども、その前に風丸と冬花と会わないといけねえ。風丸と冬花も別々のクラスなので、廊下前で待っていると風丸と冬花が教室から出てくる。

 

「あ〜円堂」

 

「どうした?」

 

「………ハンコ忘れた」

 

「おまっ、よりによってそれ忘れるか?」

 

 雷門中の入部届には保護者の同意の欄が無いけれども、ハンコを押さないといけない部分がある。

 風丸は申し訳無さそうな顔をしている。部活動に入るために必要なハンコを忘れた。卒業前に学校からハンコを貰ったのに、忘れたのか。

 

「円堂くんこの人達は?」

 

「あ、紹介するぜ。こっちは風丸、こっちは冬花。俺と同じでサッカー部志望なんだ」

 

「風丸だ……お前もサッカー部志望なのか?」

 

「うん。私、木野秋。アメリカでサッカーをやってたの」

 

「アメリカ……帰国子女ってやつか。仲間がまた1人増えたな」

 

「ああ……どした冬花?」

 

「……………男の子の友達じゃないんだね」

 

「え?」

 

「あ、なんでもないよ。秋さん、よろしくね」

 

 なんか冬花怒ってるな……怒ってるな……まぁ、いいか。

 取り敢えずは入部届に記載しなければならない事は記載したハンコも押した。俺達は急いで職員室に向かって冬海の元に向かう。

 

「冬海先生、入部届です!」

 

「早速か…………なに部なんだ?顧問の先生に渡しておくけど」

 

「サッカー部です」

 

「サッカー部?…………うち、サッカー部無いよ」

 

「…………ええっ!?」

 

 サッカー部に入部希望だと言えば冬海はサッカー部が無いことを言う。

 

「ええっ、無い──フゲッ」

 

「……」

 

「な、無いんですかサッカー部?ここ、部活動が盛んな中学なんですよね!?サッカーってスゴいメジャーなスポーツなんですけど?」

 

 サッカー部が無いことを告げられると慌てる秋。なんか廊下から声が聞こえるけど気にしないでおこう。

 雷門中には野球、バスケ、テニス、柔道、ラグビー、剣道、レスリング、水泳の運動系だけじゃなく漫画研究部とかESS部とか新聞部とか色々とある。部活動が盛んな学校だって理事長や校長が入学式で言っていたのにメジャーなスポーツの筈なのに無いと言われればショックを受ける。

 

「サッカーなんてあんまり流行ってない……ああ、40年ぐらい前に使っていた部室があるけど、部活じゃなくて外のクラブチームに通った方がいいんじゃないのかね?」

 

「いえ、サッカー部を立ち上げます!今までだって道が無いところを通ってきたんだ。だったら新しく道を作る事ぐらい出来るはずだ」

 

「逞しいね、円堂くん」

 

「いや……周りが全然サッカーしてくれなかったからさ…………楽しいのになんで人気ねえんだろ。秋、アメリカに居たんだろ?アメリカってサッカーよりバスケとか野球とかアメフトのイメージがあるんだけど」

 

「アメリカは色んなスポーツが流行ってて……サッカーも大人気だよ」

 

 なんでこんなにもメジャーな競技なのに流行ってねえんだろう。

 やっぱり日本って国がサッカー弱小国、アジア圏内なら上に立ててもEUとか南米相手にしたらボコボコにされるから人気ねえのかな。

 

「案内してください!サッカー部を立ち上げるんで」

 

「そうか…………君達2人はマネージャー志望でいいんだね?」

 

「あ、はい」

 

「はい、マネージャー志望です」

 

「え、久遠お前選手じゃないのか?」

 

「風丸くん、それだったら男女別々のサッカー部でしょ……フットボールフロンティアは男の子しか出れないんだよ?」

 

「…………そうなのか?」

 

「もぅ、風丸くんったらおかしな事を言うね」

 

 常識的に考えてみれば男と女は区切られてて当然な事である。

 風丸は男女混合だと思い込んでいたので秋はおかしな事を言うとクスリと笑う……コレが普通の反応なんだよなぁ。

 

「…………」

 

「どうした冬花?」

 

「なんかさっき慌てる声が聞こえた気が」

 

「……気のせえじゃねえの?それより部室に行こうぜ」

 

 サッカーが俺達を待っているんだ。

 冬花は気付きかけてるけれども極力気にしない方向にしておく。視線を感じる、正体は分かっている。けど、気にしない。

 

「ここがサッカー部が使っていた部室だ」

 

 冬海に連れられて巨大な部室棟……の近くにあるこじんまりした部室に連れて行かれる。

 鍵を差し込めばギギと鈍い音をたててドアが開けば……なんかボーリングのピンとか色々と入ってた。

 

「冬海先生、物置小屋じゃないですよね?」

 

「サッカー部が無くなってから物置小屋になってたよ………………一応は顧問を務めるけれども、君達の好きにやってくれ」

 

 あんまりにも汚いから物置小屋を押し付けられたかと風丸は勘違いしているが、ここが雷門中サッカー部の部室だ。

 何故か冬海は顧問を務めると言ってくれたが後は勝手にやってくれと部室の前を去って本校舎に戻っていった。

 

「よっし、掃除するか」

 

「この調子だと部活動紹介に出ることが出来ないな……」

 

「なに先はまだまだ長えんだから……それに俺達以外にもサッカーしてえって奴は居る筈だ」

 

 前向きに掃除をするかと考えるが風丸は現実を見据える。

 明後日辺りに部活動紹介があるんだけども、部室がこんな有り様じゃまともに部活動を行う事が出来ない。部活動紹介をする事が出来ない。

 1年で部員が全員集まるなんて甘い夢は見ねえ……………取り敢えずは部室の掃除だと持ってきた雷門中のジャージに着替えて掃除をはじめるが思った以上に汚い。

 

 物置小屋代わりに使われていたから色々な道具が置かれている。

 サッカー部に必要な物とそうでない物を仕分けて手入れしないといけない…………1週間ぐらい掛かるがここを真剣にやらねえと。

 

「よっと」

 

「円堂くん、力持ちなんだね」

 

「コレでもGK志望だからな…………?……………」

 

「どうしたの?」

 

「なんだろ……スゲえ力が湧いてくる…………」

 

 別にウォーミングアップしたわけでもなんでもないのに身体から力が湧いてくる。

 ゾーンとかいう領域に足を踏み入れたからなったとかそんなんじゃねえ…………う〜ん…………考えてても無駄か

 

「よし、帰るか」

 

 ある程度は掃除する事が出来たので帰路につく。

 

「部長とキャプテンは守くんだね」

 

「ああ…………部室の掃除が終われば残り9人集めてフットボールフロンティアを目指す」

 

「違うぞ、円堂」

 

「ん?」

 

「フットボールフロンティアを目指すんじゃなくてフットボールフロンティアを優勝して日本一になるだろう」

 

「!……そうだったな」

 

 風丸に指摘され自分の間違いに気付く。

 俺は出れたらいいんじゃなくて出て日本一を目指すのが目標だ。

 

「NO、お前達は日本一になれない」

 

「……」

 

「誰だお前等?」

 

 気持ちを新たに家に帰ろうとしていると謎の一団が絡んできた。

 分かっていた……分かっていたんだ。雷門中に入ったあたりから謎の視線をずっと感じていた。色々と悩んでたけども、やっぱりそうなるよな。

 

「円堂守、お前からサッカーを奪う」

 

「俺からサッカーを奪うだ?サッカーってのは与えられたりするもんじゃねえぞ!!つか、お前等何者なんだ!やっとサッカー出来るんだぞ」

 

 取り敢えずは知らんぷりする。こいつらがなんなのかは知ってるけれども、知らないフリしとかないと。

 

「お前を消せば、サッカーは発展しない」

 

 リーダー格の男はそう言うとサッカーボール型の機械に触れた。

 すると辺りは眩い光に包まれて……サッカースタジアムにいた。

 

「此処って、フットボールフロンティアのスタジアム?」

 

「いったいどうなってんだ?」

 

 右視て左見て冬花はフットボールフロンティアのスタジアムだと気付く。

 あまりの超展開についていく事が出来ないと風丸は混乱している。正直俺も原作知識があるけれども割と混乱している。

 

「円堂守、お前からサッカーを奪う」

 

 男はそう言うとサッカーボールを蹴ってきたのでキャッチした……っ

 

「スゲえシュートだ。けど、こんなもんで俺からサッカーを奪う事が出来ると思うなよ!」

 

 中々に良いシュートだけど、冬花のフリーズショットの方がまだ強え。

 俺からサッカーを奪う事が出来るのはこの世にいねえ……いや、本物の円堂守だけは奪えるか。ボールを返せば一団はコクリと頷いて俺達を囲む……なにするつもりだ?

 

「小さな竜巻……っ、まずい!」

 

「遅い!!必殺タクティクス!グリッドオメガ!!」

 

「がぁあああ!?」

 

「「きゃああ!?」」

 

 なにするのかと思っていると無数の小さな竜巻が俺達を囲んだ。

 どっかで見た記憶があると思い出したが既に遅かった。コレはアレスの天秤時空で出てくるサッカーをやる気あんのかと言いたくなる選手潰しの必殺タクティクス、グリッドオメガだ。俺達は竜巻に飲み込まれて空中を舞い、地面に激突する。くそ、痛い。

 

「円堂守、お前を再起不能にしサッカーを──」

 

「ちょっと待ったぁ!!」

 

「……何者だ」

 

 やっと来てくれたか……よかった。

 ジョルノ・ジョバァーナみたいな髪型をしている雷門中の制服に似た制服を着た男と緑色の髪の男と……青いクマがいた。

 

「円堂監督を怪我させてサッカーを出来ない様にはさせないぞ!」

 

「お前は……松風天馬?何故松風天馬がここにいる?」

 

「お、お前等は?」

 

 グリッドオメガで地面に叩きつけられた痛みが引いてきたのか立ち上がる風丸。

 現れた2人の人と一体の青いクマに疑問を持つ。

 

「俺は天馬、松風天馬です……えっと未来からやって来ました」

 

「未来からってそんな話信じられるか」

 

「それよりも守くんを怪我させてサッカーを奪うってどういう事なの?」

 

「冬花さん、こいつ等はプロトコル・オメガって言ってサッカーを排除しようとしてる悪い奴等なんです。円堂監督をサッカーが出来ないぐらいの怪我を負わせて雷門中からサッカー部を無くすんですよ」

 

 未来から来たという事を気にする風丸に対し、未来から来た云々を気にしない冬花。

 プロトコル・オメガの狙いは俺……俺からサッカーを奪う方法がエグい。俺をサッカーをする事が出来ない怪我をさせるとかふざけんじゃねえぞ。

 

「……情報がおかしい……イエス、過去の改変が起きた為に新しい未来が生まれて松風天馬はここに居る、インタラプトの確認完了……」

 

 男もといアルファもイマイチ状況を掴むことが出来ていなかった。

 松風天馬に対して未来で色々と干渉した結果、新たにパラレルワールドが生まれた。多分だけども、俺がサッカーが出来ないぐらいにボコボコにされる世界線もあって、その世界線から天馬が…………なんかややこしいな。

 

「勝負だ、アルファ!円堂さんからサッカーは奪わせないぞ」

 

「勝負って、私達6人しか居ないのよ!?」

 

「大丈夫だよ、秋姉」

 

「僕に任せて」

 

 フェイがアルファに勝負を挑むのだが、秋は自分を含めて6人しか居ない事を指摘する。

 流石にこの人数でサッカーやっても勝てない、連携とか全然やってないし無理があるだろうと思っているとフェイが指を鳴らすと9人の人間が現れた…………。

 

「待ってくれ、俺も戦わせてくれ」

 

「円堂さん?」

 

「俺からサッカーを奪いたけりゃ、俺をサッカーで徹底的に叩きのめしてみろ!!こんなサッカーでもなんでもないリンチじゃなくて純粋にサッカーで倒しに来いよ…………ダメか?」

 

「ううん、あの日本の守護神である円堂守が味方だなんて頼もしいよ」

 

「円堂監督が味方だなんて…………」

 

「おっと、俺も忘れてもらったら困るぜ」

 

「風丸さん!」

 

「私も……守くんからサッカーを奪うためにサッカーが出来ない体にするなんて許せない!」

 

「冬花さん…………よぉし、俺達で雷門中のサッカーを守るぞ!!」

 

「おぅ!……」

 

 松風天馬、マジで王道的な主人公だなぁ……俺と同じで転生者とか期待してたんだけども、その線は無かったか。

 フェイが作り出したデュプリの内、3体が消える。3体って事は秋は含まれてねえ…………まぁ、そこは気にしないでおこう。

 

「皆、頑張ってね!」

 

 秋が応援してくれる元、俺達はテンマーズのユニフォームに着替える。




松風天馬達が来ない世界線は円堂守(転生者)を日常生活は問題無いけどサッカー出来ない後遺症が残るレベルの怪我を負わされます。
教祖様が折れたらダメだって心が折れないのでサッカーが出来ない肉体になるまでボコられます。

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  • 10話ぐらい溜め込んで毎日1話ずつ出す
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  • 週一ぐらい
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