染岡と半田が入部してくれた翌日、俺は各部活動の部長と生徒会の会議に出席した。
なんでそんな事をするかと言われればサッカー部を立ち上げたからだ。部活動紹介が出来なかったけども、雷門中にはサッカー部が作られたと認識する大事な事である。
「守くん、どうだった?」
「かーなーり、足元見られた……他の部活が学校側から貰える部費が平均で40000円で俺達サッカー部、35000円だった」
「それは痛いね…………私達5人の今学期の部費は合計で25000円、学校側から貰えた部費を合わせても60000円しか無い…………ジャージは学校指定とか個人の物を使えばいいけどユニフォームの発注だけで部費が……」
「消えるよなぁ……絶対」
発足したばかりでまともに試合する事すら出来ない雷門中サッカー部。
幸いにもサッカーボールとか三角コーンとかの何処のサッカー部でも見るであろう物は揃っているけれども、公式戦で使うユニフォームが無い。
ユニフォームの発注するだけでかなり金を消費してしまう。一着3000円ぐらいと考えて、俺と風丸と染岡と半田で12000円……うん、すっげえ痛い。
流石に毎月5000円の部費徴収とかは出来ない。
というか学校の方針として1つの学期につれて1度だけ部費を回収、それとは別に学校側から部費が貰える…………
「道具が残っててマジで良かったな……後、サッカーでよかった」
「うん。ホントに0からのスタートじゃなくてよかったね」
スポーツをする上で色々と厄介な事がある。
具体的になにが厄介かと聞かれれば…………金である。スポーツをするのにはどうしても金が掛かってしまう。
先ずは靴、人工芝用のスパイクとか。次にボール、個人で1個は持ってないといけねえ。次にユニフォーム、練習のミニゲームとかはゼッケンで良いけども公式戦はちゃんとしたユニフォームじゃねえとダメだ。
サッカー部に絶対に必要なのはサッカーボールとスパイクとユニフォームだ。更に俺はGKなのでグローブも必要になる。
1個人としてサッカーボール、スパイク、シンガード、ユニフォームを持っておかないといけねえ。幸いにも染岡も半田もサッカー経験者なのでスパイクとかは持っている。スパイクとかは一括で購入する事が出来ない代物だからスパイクとグローブとシンガードは自費にしてもらおう。サッカーボールは部にあったのを渡そう。
いや、ホントにサッカー部でよかった。
コレが仮にウィンタースポーツだったら大変だった。水泳とかは海パンとか2,3着あったりすれば良いけれども、ウィンタースポーツとかゴルフとかは滅茶苦茶金がかかる。
スポーツをやってみたい!
うちにそんな金があるわけ無いでしょう!
コレが現実である。
どれだけ素晴らしい才能を持っていようともスポーツをするのに必要な初期費用が掛かりすぎるのが多い。本気でスポーツやるにはある程度は裕福じゃねえと……思えば剣城兄弟も経済的な問題でサッカーが出来なくなってる。
プロとか実業団とかクラブチームはスポンサーとか会社が付いてくれるからスタジアムに合わせたスパイクを複数持ってたりするんだろうな…………そう考えるとアレスの天秤のスポンサーって結構便利な存在だな。実力はあっても金が無い学校に代わって金を出してくれてるんだから。
「夏未の奴が部活動で成果を叩き出したら部費を上げてやるって言ってた……頑張らねえと」
「夏未って、新入生の挨拶で出てた雷門夏未さん?」
「ああ……どうした?」
「ううん、なんでもないよ」
「お〜い、待たせたな」
なんかまた嫉妬してそうな冬花だけど気にせずに部室に入った。
雷門中のジャージに着替えている染岡と半田と風丸、学校指定じゃないジャージに着替えている秋が居た。
「どうだった?」
「スゲえ足元見られたよ……弱小どころか部活動として成り立ってない部に回す予算はねえってケチられた」
「っちぃ、舐めやがって」
半田に部費云々について報告をすれば染岡は聞こえるレベルの舌打ちをした。
仕方がないと言えば仕方がない事だ、夏未の言っていることはなんにも間違っちゃいねえ。
「無いのをどうやって工夫するか……俺達もプロサッカー選手みたいにスポンサーが付いてくれたらこんな事で悩まないんだけどな」
「おいおい、ただでさえ人気が無いサッカーだぞ?スポンサーが金になるって学生に目をつけないだろう」
半田がスポンサーが居てくれればとなるが、流石にそれは無理だと風丸は呆れる
アレスの天秤時空ではフットボールフロンティアで雷門中優勝してサッカーがスゲえ盛り上がるってスポンサーついたりするんだよなぁ……。
「去年のお中元で知り合いからタオルが送られてきたけど家にあっても要らない物だし、今度持ってくるな」
「おぅ、サンキュー」
半田がタオルを持ってきてくれるからタオル代の節約が出来た。ラッキーだ。
「……ボールはある。コーンもある。スパイクとグローブはあるからユニフォームに部費を回して、スポドリの粉……相場幾らぐらいだ?」
「えっと10リットルのスポドリの粉が800円ぐらいだから…………8000円分ぐらい買っておく?」
「100リットルか……まぁ、そんだけありゃ大丈夫かコレで大体20000円か」
秋がスポドリの粉の相場を調べてくれる。
幸いにも雷門中は部活動が盛んな中学で、運動系の部活動の為の冷蔵庫が存在している。キンキンに冷えたスポドリが飲めるようになっている。
「塩分チャージの飴も買っておかないといけないから……4000円?」
「よし、それも購入!24000円」
「タオルとかを洗う洗剤と柔軟剤もいるよね」
「それも購入!いくらだ?」
「合計で業務用ので3000円ぐらいだよ」
「27000円……残り33000円」
秋がポンポンとサッカー部に必要な物を教えてくれる。
スポドリの粉に塩分チャージのタブレットにタオルを洗う洗剤と柔軟剤……幸いにも雷門中部活動盛んだから部活で使うタオルなんかを洗う洗濯機が置かれている。コレがあるのは地味に大きいぞ。
「アイシングのアイスバッグ…………凍らせるタイプじゃなくて氷を入れるタイプにしておくね」
「え〜っと……3000円か……」
「後は……檸檬の蜂蜜漬けとおにぎりとかのご飯に10000円」
「飯?んなの、家から持ってくりゃいいじゃねえか」
「染岡くん、ダメだよ。スポーツ選手は身体作りが大事で、練習でクタクタになってもご飯を沢山食べないと」
「そういうもんか?」
「そういうものだよ。食べれるのもサッカー選手に必要な能力だよ」
檸檬の蜂蜜漬けだけじゃなくておにぎりも必要だと冬花は主張する。
雷門中、弁当じゃなくて給食制だから……休みの日の練習には弁当を持ってくるけども、それとは別枠で飯は必要だな。
「残り20000円はどっかが足りない時の補填に当てるか」
円堂守って、見えないところでこんな苦労をしてたんだろうか?
いや、多分マネージャーに全部を押し付けたりしてるんだろうな。円堂守、そういうの絶対に苦手っぽいし。
「次は練習メニューだな」
「君達、外を走らないのかね?」
「あ、冬海先生……まだ発足したばかりで色々と決めないといけないから、今日は練習は程々で必要な物集めとか練習メニューを組んだりしてるんですよ」
買うものを決めたら次は練習メニューだ。
具体的にどうやろうかと色々と考えているとなんか冬海が入ってきた。他の部活動は本格的に始動して校外を走ったり色々とやっているのに部室に引きこもっている事に関して色々と言いに来たので準備中だと言ってくれる。
「そうか…………小学生のサッカークラブとはわけが違う。中学からは文武両道じゃないと困るよ」
「大丈夫ですって、テスト前はちゃんと勉強します!」
「だといいんだが…………それで休みは何時にするんだ?」
「土曜日固定で休みで3週に1回金曜日休みにします。あ、でも大会の時は試合の前日以外は練習しますよ」
「円堂、休み作るのか?」
「ああ……休むのだって大事なトレーニングなんだぜ?練習はやりまくるのはいいけど?休みは作っておかないと」
「でも、サッカーが強い学校は毎日練習してるはずだし…………朝練とかも」
もっともっと練習をやり続けないといけないんじゃないのかと半田は主張する。
言っていることは互いに間違いじゃない。休むのも練習だが毎日練習し続けて鍛えておかないといけない。けど、俺は休みは大事だと思っている。流石に休み無しのブラック部活は無しだ。円堂守ならば喜んで練習するだろうけども、俺はゲームとかもやりたいんだ。
「ああ、言い忘れたけど朝練禁止だから」
「……え!?」
「休みが一切無い帰宅部禁止のブラック部活動とかが色々と問題になって国から禁止命令が出てるんだよ。ここに来たのは毎日練習漬け禁止な事を言いに来たんだ。GWとかお盆休みとか冬休みは大会とかが無い限りは練習禁止だよ……まぁ、校外で練習するなら構わないけども……休日返上はするつもりは無い」
「ど、どうする円堂?」
「ん〜……GWは1日だけ休みでお盆は3日休みで冬休みは27日まで練習して5日から練習だな」
朝練とかは最初からするつもりは無かった。元々休みを用意するつもりだから、それでいい。
風丸はどうすべきかと俺に意見を求める。俺が部長なので俺が決めないといけない。こんな時に監督が居てくれたなら楽なんだけども仕方がない事だ。冬海はお盆休み返上したくないって堂々と言いやがったしな。
「練習メニューは……色々とやるか。とりあえず、校外10周するぞ」
「おう!」
「校外って、うちの学校かなり敷地広いよな?」
「一周は1,5kmぐらいあったんじゃねえの?」
「ってことは約15km…………」
「どうしたこの程度でビビったのか?」
「くれぐれも怪我はしないでくれよ…………私の責任になるのは御免被る」
ホントこいつ形だけの顧問だな。
半田はいきなりの練習メニューに困惑をしているがとにもかくにもサッカーは走りまくる競技だ。野球みたいに途中でベンチに戻って休んだりする事が出来ない、バスケ以上にフィールドは広いから強靭な足腰は絶対に必要だ。
「秋さん、私も走るね」
「あ、じゃあ私も」
冬花は紺色のジャージに着替え、俺は雷門中のジャージに着替えた。
先ずは軽めの10周だと走る……本音を言えばサッカーグラウンドの範囲、100mぐらい往復で走ったりしたかったけどもこの持久走もそれはそれで大事な行為だ。
冬花がストップウォッチをぶら下げたがタイムを測るだけでなく自分も走るという。
秋はどうするんだろうかなと思っていたら秋も走ることにし、俺達は校外10周を行う。
「ぜぇ……はぁ……」
「どうした、まだ6周だぞ……」
「クソっ……」
「結構キツい……」
俺と風丸は淡々とこなすけれども染岡と半田が息が乱れている。
まだまだ基礎体力が出来ていない……と言っても俺も9周目からキツくなってくる。部室の用意とかで体が鈍っちまったな。
「お〜、し、10周、終わりっ、と…………ついてこれたの風丸だけか」
「はぁはぁ……ああ、そうだな……」
15km走ったから足はクタクタだ……けど、コレを怠れば弱くなってしまう。
後ろを振り向くと周回遅れな染岡と半田が走ってきてる。
「今日はコレだけだ!後2周頑張れ!」
「お前等、早すぎるだろ」
「コレでもガキの頃から鍛えてるからな……1の才能に100の努力は劣るけど、1000の努力ならば才能を凌駕する事が出来る!後もうちょっとだ」
「うぉおおおお!!」
「お、おい。後2周なのにガンガン飛ばして大丈夫なのか?」
俺の言葉で気合が入ったのか、染岡は速度を上げる。
急に速度を上げたが為に半田は心配するけど……なんも考えてねえだろうな。ペース配分ガン無視、曲がり角に差し掛かる頃にはスピードが落ちていった。
「いきなり俺達のペースはキツかったか」
「今はな……ゆっくりだ、ゆっくりでいいんだよ。いきなりは無理がある」
風丸は自分達基準で練習をしてたらオーバーワーク、というか体が持たない事を気にする。
いきなりは無理がある。練習し過ぎが良くない事がよく分かる。物事には順序があり、その順番を間違えれば大惨事になる。
「はぁはぁはぁ…………走りきったぜ」
「くぁ〜…………15kmも走るなんてはじめてだ……あれ、木野は?」
「ああ、秋なら……お、来た」
「秋さん、大丈夫?」
「だい、大丈夫……………うっ…………」
「あ〜………秋、冬花、今日はここまでだ!」
冬花は9周目に差し掛かったが秋は5周目でヘバッていた。
このまま無茶させるわけにはいかないと秋と冬花に走ることを強制的に終わらせる。このままだと秋、ゲロ吐きそうだよ。
「冬花さん、スゴいね……私、結構体力に自信があったんだけどね……」
「守くんや風丸くんと付き合って一緒になってサッカーをしてたから……はい、守くん」
「あ〜……1時間50分、大体2時間か」
秋が校門前に辿り着いたのでストップウォッチを冬花から受け取る。
約15km走ったから思った以上に時間がかかっている。サッカーにおいて走ることは絶対だから、走る基礎練習は出来る限り重視したい。
けど、2時間も費やしてしまうのはちょっとキツい……
「グラウンド借りられたらな……」
グラウンドダッシュ30分とか出来れば効率良く鍛えることが出来るはずだが、無理っぽい。
たった4人しか居ないサッカー部に貸すグラウンドは何処にも無い……ちゃんとしたサッカーゴールとかあるのに勿体ねえよ。
「50分ぐらいで走れるコース算出するとして……部室に帰るぞ」
練習メニューとか色々と組み立てないといけねえと思いつつ部室に戻る。
部室に戻って軽く水分補給をした後に着替えて制服に戻る。
「じゃあ、今日はゆっくり休めよ。無理に練習すんじゃねえぞ」
まだ他の部活は活動しているが、俺達サッカー部は先に上がる。
ゆっくり休んで明日に繋げる……けどまぁ、俺はまだまだやらなくちゃいけねえ事が沢山ある。
「あ、円堂くん買い物なら私が」
「荷物持ちが居たほうが楽だろ?」
「守くん、それだけじゃないでしょ?」
「ああ」
稲妻町の商店街に立ち寄り、色々と買い物をする。
スポドリの粉に洗剤にお米と色々と購入して荷物持ちをする。
「あ、ちょっと待っててくれ…………おじさーん!」
大体の買い物を終えたので一旦雷門中に帰ろうかとなるのだが、その前に町工場に立ち寄る。
新しいタイヤを貰えないかどうか交渉すると……割とあっさりと貰えた。明日に受け取りに行くつもりだ。
「やっぱ河川敷一周にするかな……」
「お、円堂くんじゃないか」
雷門中に荷物を置きに行ったのでコレで終わりだと帰路につくけどもランニングコースをどうするか悩む。
プロサッカー選手は10kmぐらい走ってるって言う。グラウンドが使えない事には本格的な練習が出来そうにない。どうにかしてグラウンドが借りられないか、河川敷一周でロードワークを削るかと考えていると会田さんに出会う。
「会田さん……」
「雷門中の制服、よく似合っているぞ」
「いやぁ、それほどでも…………」
「サッカー部の方はどうだ?」
「それがサッカー部そのものが無くて1からサッカー部を立ち上げたんです。幸いにも40年ぐらい前には雷門中にサッカー部があったからその時の道具を使ってるんですけど」
「…………そうか」
かつてイナズマイレブンだった会田さんは色々と思うところがあるんだろうな。
俺がサッカー部を立ち上げたことを知ればなんとも言えない微妙な顔になっているのだが、これも全て影山のせいだと思っておこう。
「部員も揃ってなくて、グラウンドも無くて……無いことだらけで」
「だったらわしのチームの練習に加わらないか?グラウンドもゴールもバッチリあるぞ」
「わしのチームって……稲妻KFC出来たんですか?」
「ああ……と言っても男女混合の大会にしか出れないが。だがわしの指導を受けてるからちょっとやそっとじゃやられんぞ」
「じゃあ、お願いします……っと、そろそろ帰らねえと」
会田さん達稲妻KFCとの合同練習の約束を取り付ける事に成功した。
部員とかが足りなかったり、俺と風丸と冬花は大丈夫だけど染岡達が基礎が足りなかったりするからコレは良いチャンスだ。このチャンスを生かさないとな。
円堂守が思い描く時空最強イレブン
3の力
攻め、守り、パス、作戦、全ての分野で万能な新たな道を切り開くオールマイティリベロ
投稿速度
-
出来たら即座に出せ
-
10話ぐらい溜め込んで毎日1話ずつ出す
-
一気に纏めてから一気に出せ
-
週一ぐらい
-
自分のペースでいいぞ