プロローグ
「……え?」
目を覚ませば知らない天井だった。
いやいやいやいや……え……いやいやいやいや
「どういうこと?」
なにが起きているのかわけがわからない。
とりあえずはと布団から起き上がろうとすると体に違和感を感じる。
「あ……小さくなってる。いや、声も変わってる!?」
自分の背丈がおかしくなっている事に気付く。いや、背丈だけじゃない、声もおかしくなっている。
何処にでもある極々普通の声だったのに……竹内◯子ボイスに切り替わってる。
「どうなって……!?」
机に鏡があったので確認をする。そこには幼いもののハッキリと分かる…………イナズマイレブンの円堂守だ。
円堂守と思わしき人物に俺はなっている……
「っ!?」
激しい頭痛に襲われる。頭の中に映像が流れ込んでくる……コレは、円堂守の記憶か?
なんで円堂守になっているのかすら分からない状況下で円堂守の記憶が大量に流れ込んでくる。
「……コレって世に言う転生……吉田祐広……工業高校の学生で父親が市役所の職員を務めている…………」
最近流行りの異世界転生みたいな事になっている。
ご丁寧に円堂守の記憶が流れ込んできている……が、ハッキリと前世の記憶は、本来の自分の記憶がある。通っていた学校も、親の顔もハッキリと覚えている。なんで転生したか分からないが死んだとか前世の記憶があるとか悲しい過去があるとかそういうのは一切無い。
「今流行りの異世界転生みたいなの…………俺、死んでねえぞ……」
自分の身に起きている状況の中で冷静になる。
本当ならばもっとパニクって居るだろうが、不思議と頭の中がスッキリとしている。
「守、何時まで寝てるの?朝ごはんが出来てるから早く歯をみがいて顔洗いなさい」
「あ、うん」
「どうしたの?」
「いや、ちょっと……変な夢を見てたんだよ」
「……?……変なの」
円堂守の母らしき人が部屋に入ってきた。
母ちゃんなのが記憶で分かっているが色々と情報処理する事が出来ないが取り敢えずはと顔を洗って歯をみがいて朝食を頂きもう1回歯を磨く。
「ちょっと勉強するよ」
「どうしたのよ急に」
「いや、遊んでばっかだと悪いなって」
「子供がそんな事を考えるんじゃありません。子供は遊ぶことが仕事なのよ……でもま、勉強するのもお仕事だけど」
母ちゃんが色々と怪しんでるけれども、勉強する事にやる気を出しているのはいいことだと受け入れる。
「あいうえおレベル……一桁の足し算……」
記憶が確かならば円堂守はまだ小学校に通っていない。
しかしまぁ、知っての通り最近の小学一年生ならば漫画とかを見てある程度は読み書きが出来る。一年生で習わない掛け算も出来る……母ちゃんは教育ママじゃないけれども、流石にある程度は勉強してくれと思っている。
色々と考えたい事はあるけれども、一応は勉強をするって言ったのでノートに字を書く。計算をする。
あいうえおや一桁の足し算なんか勉強しなくても自動的に身に付くものだが、こうして改めて学び直すのは久しぶりだ。シャーペンやボールペンでなく鉛筆を用いてなにか書くこと自体が何年ぶりだろうか?
「……逆にスッキリするな」
頭を別の事に使っているせいか頭がスッキリとしている……取り敢えずはと一段落するまで勉強をしておく。
「さてと……一旦纏めよう」
一段落ついたのでノートに自分の身に起きている状況を書き込む。
なんでかは分からないけれども、イナズマイレブンの主人公である円堂守になっている。ご丁寧に円堂守の記憶が流れ込んでおり日常生活で問題が起きたりはしていない。しかし吉田祐広としての記憶はハッキリと残っている……コレは世に言う異世界転生なのに似ている事なのか?
少なくとも俺にはアニメや漫画のキャラによくある悲しい過去とかは無い。
YouTubeで市販の物を改造する動画を見て電子工学に憧れて工業高校に通っていて、将来の進路的には何処かの電気会社に就職しようかなと大学の進学を視野に入れていた。来年から受験勉強真面目にしないとなぐらいの認識はあった。
友達の顔もハッキリと覚えている。両親の顔も姉と弟の顔もハッキリと覚えている。前世の住所も携帯のパスワードも大体覚えている。
吉田祐広という人間が円堂守に憑依した……まるで同人誌の様な話だが、受け入れるしかない。こういう感じのラノベとかを見たことはあるけれどもまさか自分がそんな事になるとは……。
「俺にどうしろと言うんだ……」
俺は割と何処にでも居る普通の人間だ、円堂守の様な熱血漢な主人公属性とは程遠いモブに近い。
そんな俺が円堂守になっている。円堂教とかいう宗教レベルの男になってしまっている。仮に神や仏が何かしらの理由で俺を円堂守にしたとしてなんの意味がある?……神の暇潰しかなんかだろうな。
「どうせならばラブライブとかアイドルマスターみたいな美少女と関わり合いを持てるアンチ要素少ない世界にしろよ……」
思わずボソリと呟く。
モブキャラで構わないので顔面偏差値がなにかと高めなラブライブとかアイドルマスターとかの世界に転生したい。
どうせ主人公になるんだったらアニメのポケットモンスターのサトシになりたい……ピカチュウは貰わないけども。そしてTSはしたくない。
「はぁ……原作知識は曖昧だ……」
イナズマイレブンを見たのはそこそこ昔だ。
GOとかアレオリとか見て、アレオリがクソみたいな内容だったっていうのは今でも覚えている。無印は……微妙だな。
一応は円堂守伝説をやって脅威の侵略者でヒデナカタをスカウトするぐらいにはやり込んでいたが、流石に原作知識は曖昧だ。1から10までハッキリと覚えていない。
1作目のイナズマイレブン
円堂守が弱小サッカー部である雷門中を率いて日本一を目指す話だ。
2作目のイナズマイレブン 脅威の侵略者
日本一に輝いた雷門イレブンの前に宇宙人を名乗るエイリア学園が現れて、宣戦布告されたと思えば中学破壊がはじまる。
インフレの加速はここからはじまったと言わんばかりにインフレがはじまり日本全国を旅して仲間を集めつつエイリア学園を倒す話だ。
3作目のイナズマイレブン 世界への挑戦
エイリア学園の騒動が終わって少し経過した頃にサッカーの世界大会が行われて、脅威の侵略者編で敵だった奴が味方になったりし文字通り世界一を目指す話だ。
「…………逃げるは無理だよな………」
コレが仮にラブライブとか極主夫道とかばらかもんみたいに世界の危機が訪れないタイプの原作ならば主人公である事を放棄する。
アニメのポケットモンスターのサトシくんになったのならば大人の事情を一切考慮せずに本気で最強のポケモントレーナーを目指したりしている。しかしまぁ、イナズマイレブンは非常に厄介なんだ。具体的に言えば全作で色々と厄介な存在が関わっている。
先ず最初のイナズマイレブン。
フットボールフロンティアという中学生のサッカー大会に挑むだけかと思えば地区予選決勝の対戦校の監督が上から鉄骨を落として全力で殺しに来た。1回逮捕されるけれども証拠不十分かなんかで釈放されたと思えば権力を行使して地区予選出てない中学を捻り込んだと思えば洒落にならない危険性を秘めた薬でドーピングさせており……監督が再び逮捕される。
次にイナズマイレブン 脅威の侵略者
コレはもう普通にアウトだ。世界征服かどうかは覚えていないけれどもエイリア石というデメリットが一切無いドーピングアイテムを用いて身体強化された地球人が学校を破壊どころか総理大臣を拉致する。しかもエイリア石でドーピングされた奴を相手にしても問題無い兵士を作り上げている。それを用いて日本をぶっ壊すのが目的だったっけ……ダメだな、その辺の原作知識が曖昧だ。
最後にイナズマイレブン 世界への挑戦
文字通り世界一を目指す話だが……なんか大会主催者側の人間が戦争か世界征服を企んでいて、更にはサッカーを用いた強化人間を作っていた。
最後は純粋な世界一をかけた戦いをするのだけれども、その前に一悶着ある。
円堂守伝説はそんな感じだがまだ終わらない。
続編の10年後が舞台の松風天馬シリーズのイナズマイレブンGO
円堂守達がサッカーで頑張りまくった結果、サッカーが世の中を支配する状況になっていて中学サッカーがフィフスセクターという組織に支配されており、勝敗操作すらされている。例によってサッカーで優勝すれば中学サッカーを取り戻す事が出来る。
次のイナズマイレブンGO2クロノストーン
200年後の未来でサッカー選手のDNAを継いだセカンドステージチルドレンとかいうエスパーみたいな事が出来る存在を消す為にサッカーが盛り上がる要因となった円堂守の時代を無かった事にしようとする。しかしそれが失敗に終わったかと思えばサッカーを出来ない様にしたりして最終的には主人公達は時間移動してミキシマックスとかいうドーピングをしてセカンドステージチルドレンとサッカーで勝負をする。
次にイナズマイレブンGOギャラクシー
なんかブラックホール的なのが発生したからそこから遠い星に移住する順番を決める宇宙一を決める大会をサッカーで行う。
アレスの天秤は最初のイナズマイレブンから派生したパラレルワールドで……まぁ、アレスの天秤はどうでもいい。問題はオリオンの刻印だ。
オリオンの刻印は世界一を目指す話なのだが反則などは当たり前、審判の買収に凶器攻撃とサッカーやる気あるのか?と疑問を投げかけたくなるぐらいに姑息で主人公達もサッカー以外で選手を潰そうとする。イナズマイレブンの皮を借りたゴミ作品である。
とまぁ、今のところは全作品で円堂守が出てくる。
円堂守伝説の円堂守だけでなくイナズマイレブンGOの円堂守も色々と重要な役割を担っている。特にGO2とか中学生の円堂守と大人の円堂守がそこそこ深く関わってくる。そして大体が世界や日本を滅ぼしかねない案件であり、逃げる事は出来ないのである。
「あ〜……どうしてアニメのポケットモンスターのサトシくんじゃないんだ、ワールドトリガーのモブキャラじゃないんだ」
もっとこう……色々とあったはずだろう。
流石に藤丸立香になりたいとも思わない。兵藤一誠になりたいとも思わない……ただもうちょっとなんかあったんじゃないかと思う。
「遊戯王とかにしろよ…………嫌だ、嫌だ……」
どうせならば別の世界が良かったと文句を垂れる。愚痴をこぼす。
遊戯王とかアニメのポケモンとかワールドトリガーのモブキャラとかならばもうちょっと人生を楽しむ事が出来た……………いや、違うな。
「泣ける内に泣いておこう」
どうして俺が円堂守になったのかは不明だが、なってしまった事実は変わりはない。
前世の家族、友達、積み上げてきたものが全て1からリセットしてしまった。二度と家族に会うことが出来ない…………悲しいことだ。本当の意味での親や姉、弟になんの報告も出来ない……それだけじゃない。俺はこの世界線の円堂守の存在を潰してしまったんだ。悲しいだけでなく罪悪感にも襲われる……前世のエピソード記憶だけを失うって言う都合のいい展開は何処にも存在してねえよな……ちくしょう……
「あ〜………………あ〜…………」
言葉が上手く出ない。でも、涙は出てくる。
畜生、母さんと父さんに二度と会えない、幸せになった事を報告することが出来ない宇宙一の親不孝者だ俺は……ちくしょう……
「……ふぅ……」
泣くだけ泣いたのでスッキリした。
本音を大声で叫んでぶちまける事が出来なかったのが辛い事だが、胸の中につっかえているものが取れた。
「俺は今日から円堂守だ…………よっし!」
気持ちの切り替えは割と大事だ。
自分の本来の名前を捨てて円堂守として生きる決意をする。円堂守になった以上はやる事は決まってる。
「サッカーやるか」
投稿速度
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出来たら即座に出せ
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10話ぐらい溜め込んで毎日1話ずつ出す
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一気に纏めてから一気に出せ
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週一ぐらい
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自分のペースでいいぞ