「よし、全員集まれ!」
明後日に野生中との公式試合が行われる。最後の最後まで根を詰め込むのだと頑張り、日も暮れた。最終下校時刻が来たので全員を集める。
「野生中対策のイナズマ落としは完成した……練習試合で試合の勝ち癖はつけた。今の俺達は紛れもなく強い……だから明日は絶対に休め」
練習しないのもまた練習の1つなんだ。
他の面々は練習したいとかまだやり足りないとか、こんなんじゃあの帝国学園に勝つことすら出来ないとか思ってるだろう。
確かにまだ帝国学園には及ばないだろうが、それでも俺達は強い。総合的に見れば帝国学園が上だが一点の爆発力ならば俺達の方が上だ。
「先ずはお礼を言わせてくれ……俺の無茶に付き合ってくれたのを。サッカー経験が殆ど無くて祖父ちゃんが残した秘伝書片手にここまで皆を引っ張り上げた……冬海があんなんだからな……俺はこの年が勝負の年だと思っている。今年の春のフットボールフロンティアで優勝する……だから、頼んだぞ」
「「「「『おう!』」」」」
「ふふっ、今じゃ1人前のキャプテンじゃない」
「なんだか全国制覇も夢じゃなさそうですね!」
俺の言葉で闘志を燃やしてくれる雷門イレブンの面々。
言いたいことは言い終えたのだと部室に戻って制服に着替えて家に帰る……大丈夫、だよな?この世界、謎時空だからな。五郎が居るって事は影山が五郎の特訓道具に仕掛けを施して怪我させるとかねえよな?
夏未や音無は俺をすごいと見ているが、そこまでのものじゃない。
とりあえずはチームに纏め上げただけに過ぎない……明後日が本番、原作云々はさておいてとにもかくにも勝たなければならない。
じゃないと未来で大きな戦争が勃発する……いや、ほんとになんで1人のサッカー少年の背中に世界の命運を託すんだよって話なんだよ。
「よ〜し、大丈夫だな」
一応は翌日、雷門中や河川敷を回る。
まだ練習したいとか思っててオーバーワークになってて試合当日に疲れ果てて動けませんだけは洒落にならない。
2年の面々は休むことの大切さを知っている。だが、問題は壁山達1年だ。自分達は1年遅いのだから練習しなければならないなと思ってオーバーワークになる。気持ちはありがたいんだが、休む時に休んでもらわなきゃ困る。
「アレは……音無?」
「あ、キャプテン!」
「なにやってんだ?」
「風丸さんのバナナシュートを真似ていたんです……思ったよりも難しくて」
後は鉄塔ぐらいだなと思えば鉄塔で音無がボールを蹴っていた。
なんでそんな事をしているんだ?と疑問を抱いているとその事に関して音無も気付いたので答えてくれる。
「周りの皆が、秋さん、夏未さん、冬花さんがサッカーを出来るのに私だけ出来ないのはって」
「いやでも、お前が1番情報を集めてきてくれてるだろ?」
「マネージャーとして当然の事をしているだけです!……その、サッカーと触れ合って分かったんです……私
私
まぁ、その辺に関してはああだこうだいう権利は無い……具体的にどうすればバナナシュートがいけるのか等をアドバイスしてやりたいところだが今日は選手は絶対に休んでおけよと釘を刺していて更には見回りもしている。万が一を想定して夏未にサッカー部の練習は禁止だと言っている……1日の休息を休息に使えるかどうかだな。
「そうか……じゃ、今度の練習で思いっきり来いよ……俺のゴッドハンドは早々に破れないぜ」
俺の口から言えることはこれぐらいだ。
これでいい、というかコレ以外の選択肢を俺は知らない。音無も1人のサッカーを愛する人間になったので、教祖としてサッカーを無事に布教する事に成功した。少しは教祖様として活躍している。
「しっかし…………相手陣地に乗り込むのか…………」
そんなこんなで皆がちゃんと休んでくれた。
翌日に駅前に集合しているのだが……夏未達マネージャーは居ない。マネージャーはマネージャーで忙しいので先回りして準備をしておくとかどうとか。とりあえず財布を取り出して13人分の野生中行きの電車に乗る………いや、あのさ……普通はさ、何処かの練習場での試合じゃないのか?なんで敵地という圧倒的なまでアウェイな場所で試合をしないといけねえんだ?最早、雷門中その辺が呪われてると思うぞ。
「ここが野生中か……なるほど、こんな環境ならば凄まじい身体能力を手に入れる事が出来るか」
「ツッコミは入れない……ツッコミは入れないぞ!」
電車に揺られて辿り着いたのはジャングルだった。
なにを言ってるのか分からねえって思いはあるだろう。俺も当然の如くあるのだがこの辺は何故か色々と超次元なので誰もツッコミは入れない。
豪炎寺はこんな野性味あふれる学校ならば凄まじい身体能力を手に入れる事が出来ると納得するがツッコミは入れない。
「コケ、車だコケ!」
「左ハンドルの高い外車だウホ!」
「か〜ベンツってやつか!」
「ちょっとこの車は見世物じゃないのよ!」
野生中の生徒が夏未達が乗ってきた高級車に群がる。
ここ、東京だよな?翔んで埼玉みたいにヒエラルキーがあるような世界じゃないよな?東京ってだけで都会指数は高いはずだよな?八王子市も立派な東京の1つだと俺は思うんだよ。
「全く、コレだから田舎者は困るのよ」
東京の野生中でコレだから埼玉県民はどうなるんだ……スゲえ気になるな。
ともあれ夏未達とも無事に合流を果たした。既にスポドリ等の準備は終えてくれているらしいので俺達はユニフォームに着替える……
「結局、来なかったか」
「どうしたんだ?」
「母ちゃんに今日、試合があるって教えたんだよ……応援に来てくれるかなって期待したんだけどな」
祖父ちゃんの一件で母ちゃんはサッカーを拒んでいる。
人の生き死にが関わっているのだから当然と言えば当然だ。出来れば俺達が勝利する姿を見てほしいと思ったんだがな。
「それを言い出したらオレもだ…………父さんはまだサッカーなんかを続けるのかって言ってきたんだ」
「それで?」
「オレは自分の気持ちに嘘はもうつかない……サッカーから逃げない……父さんはオレに医者の道を歩んでほしいって思ってるみたいだが、それならオレは日本一を取ってみせる」
「そっか……じゃ、今日は点を取らないとな」
豪炎寺の方もなんだかんだで複雑な家庭事情である。だがまぁ、そういうのを気にしている場合じゃない。
俺達はサッカーをやりに来た。サッカーをするんだとウォーミングアップを行う……
「皆、ぎこちないわね」
「まぁ、完全にアウェーだからな……」
「守くんは大丈夫なの?」
「ん……あ〜……プロになったらアウェーなるのは当たり前なんだから、こんなんでビビってちゃ意味ねえだろ?」
ウォーミングアップを行うのだが周りを見れば野生中の生徒ばかりだ。
初の公式戦というプレッシャーに加えて周りが自分達を応援してくれないというアウェーな空気、夏未はそれに直ぐに気付くがコレばかりは場数を踏まなきゃどうにもならない。冬花は大丈夫かどうかを聞いてくるが、俺の目指すゴール地点はプロだ。プロになれば相手チームのホームグラウンドで戦う事もある。だからこんなんでビビってちゃダメだ。
「はぁ、皆が円堂くんレベルの度胸があればいいんだけどね」
「あ、すまないでヤンス!」
「コラァあああ!!なにをやってるんだ!それでも雷門イレブンか!」
「ん?」
萎縮していて本来の力を出し切れていない栗松に誰かが激を飛ばす。
メガホンを持った小学生のグループだが、誰だ彼奴等と思っていると壁山が冷や汗をダラダラとかいている。
「さ、サク!どうしてここに」
「どうしてもこうしても兄ちゃんの公式戦を見に来たんだよ!……兄ちゃんが率いてる雷門中ならば野生中なんてケチョンケチョンだよね!」
「も、勿論だ!」
「お前等、兄ちゃんの足を引っ張るんじゃないぞ!」
「…………まぁ、とりあえずだ……言い訳はあるか?弁明はねえだろ?」
小学生のグループの正体は壁山の弟とその友達だった。
そう言えば壁山は弟に自分にとって都合の良いことを言っていたなと思い出しつつも、壁山の言い訳を聞くのだが壁山は滝の様に汗を流している。
「壁山くん…………このチームのキャプテンは、誰かしら?」
「キャプテンは……円堂さんッス……」
「そうだよね、守くんだよね……別にいいんだよ。弟の前でカッコをつけたいお兄ちゃんってホントに実在しているんだってちょっと驚いたけど……このチームのキャプテンは、イナズマイレブンのリーダーは守くん……分かってるよね?」
「は、はははは、はいっす!雷門イレブンのリーダーは円堂守さんであって俺じゃないッス!」
「それが分かってるならば……貴方がやらなくちゃいけないこと、分かるよね?」
「……て、点を取ります」
怖い……冬花が笑顔で壁山の奴を脅しているよ。
顔に出さない声に出さないと中々のポーカーフェイスを維持しつつ冬花は壁山に雷門イレブンのキャプテンは誰かな?と聞けば壁山は血の気が引いていく。
「ま、あんな事を言わせてるんだから…………オフェンスもディフェンスも全て完璧にこなしてくれるわよね?」
「ひ、ひぃいいいいい!!」
「お前等、マジでやめろ」
夏未の威圧感も半端じゃねえ。
風丸達も色々と言いたそうだったが夏未と冬花が笑顔で威圧感を出しており、周りはなにも言えない。壁山は物凄く血の気が引いていく。
嘘を言ったら後々自分が痛い目に遭う、壁山はそれを立派に証明する事が出来た…………自業自得とか天罰ってホントにくだるんだな。
「フィールドとボール、どちらを選ぶ?」
「フィールドで」
公式戦の審判がやってきてコイントスを行う。
雷門中に選ぶ権利を与えられたのでフィールドを選ぶ……圧倒的なまでにアウェーなフィールドだから、フィールドを選んでも意味が無い。
ボールを選んだ方がなにかとこちらに理がありそうだが、常に自分達が優位なフィールドではない。常に相手のフィールドで戦うぐらいは想定しておかないとな。
雷門中
FW 染岡 豪炎寺
MF マックス 壁山 少林 五郎
DF 土門 風丸 栗松 半田
GK 円堂
ベンチ 目金 影野
野生中
FW チーター ゴリラ ヘビ
MF ニワトリ ワシ カメレオン サル
DF サカナ ライオン カエル
GK イノシシ
「よし、じゃあお前等……ゴールは俺に任せてくれよ!」
「さぁ、はじまりました雷門中vs野生中の公式戦!野生中のフィールドの中でどれほど活躍する事が出来るのか!!
互いにウォーミングアップを終えたので試合が始まると思えば角馬圭太の奴が現れる。
野良実況とは中々にやってくれるなと思いながらも試合開始のホイッスルが鳴った。ゴリラがヘビに向かってボールをパスすれば染岡がボールを奪いに行くのだがヒラリと回避され、チーターにボールが渡った。
ダメだな、雷門中の面々が何時もの力を出すことが出来てない。
自分達に不利な試合をするのは中々に厳しい事だ……1度でも負ければ終わりな学生の大会でならば尚更だ。風丸がチーターをブロックしに行こうとする。
「遅い!帝国学園を破ったと聞いたがこんなものチタ!?ダイナマイトシュート!!」
「よっと」
「なっ!?」
風丸もあっさりと抜けばダイナマイトシュートで勝負を決めに来た。
だが、この程度のシュートならば必殺技を使わなくても普通にキャッチする事が出来る。必殺技無しで必殺シュートをキャッチされた事がチーターは衝撃を受けるのだが、俺は特に気にすることはしない。
「お前等、なんだその動きは!!何時もの力を出すことが出来てないだろう!周りの目を変えるぐらいのスゲえプレイの1つや2つしろ……ゴールは俺が居るんだからよ!」
「……円堂……そうだった」
俺が力を出させる言葉を言えば、萎縮していた面々はやる気を見せる。
特に風丸が燃え上がっているので風丸に向かってボールを投げると風丸は走り出すが直ぐにサカナがブロックに入ろうとするので、風丸は五郎にパスをした。
「たまのりピエロ改!」
「やろうと思えば出来るじゃねえか」
たまのりピエロを進化させた五郎は軽々と野生中の包囲網を抜いていく。
やってくれるなと感心しつつも他の面々も力が宿っている……五郎は豪炎寺に向かってパスをした。豪炎寺は狙うならば今しかない、そう思って飛んだ。
「ファイア」
「低いコケ!」
「なに!?」
十八番のファイアトルネードを撃とうとするのだがニワトリが豪炎寺の上を取った。
素の身体能力だけならば全国トップクラスと言われているだけある。豪炎寺の上は早々に取ることが出来ないのだが簡単に取りやがった。
これじゃあ豪炎寺のファイアトルネードは無理だ……ドラゴントルネードも厳しい……そして向こうは豪炎寺をエースだと見抜いており豪炎寺に勝てると分かったのかニワトリを豪炎寺にマークさせている。
「やっぱりそう来るのがセオリー通りだよな」
「大丈夫、想定内だ」
豪炎寺のマークは痛い。野生中のスペックならば今の豪炎寺は突破することが出来ない。
土門はセオリー通りに来ていて手厳しいなと思っているがコレは想定内、コレぐらいならばまだ大丈夫だとマックスが構える
「クイックドロウ!」
マックスがニワトリからボールを奪った。
皆が本来の動きをする事が出来るのならば、この試合は絶対に勝つことが出来る。俺は勝利の女神に微笑んで貰わなくて結構、勝利ってのは縋るものじゃなく掴み取るものなんだと最近学んだ事だ。
「ファイア」
「無駄だコケ」
「そう来ると思ってた……」
ファイアトルネードを撃つふりをする為に豪炎寺は飛んでニワトリも追いかける。
やはり豪炎寺が上を取られるのはデカいのだが、豪炎寺はそれを利用してやるのだとファイアトルネードを撃つフリだけで撃たない。フェイントだと気付いた頃にはもう遅いのだと風丸と半田とマックスが一列に並んだ。
「「「トリプルブースト!!」」」
「ワイルドクロー……っがぁああ!!」
「決まったぁあああ!!先制点を上げたのは雷門イレブン!それもエースストライカーの豪炎寺や染岡でなく風丸達だ!」
「やったでヤンス!先ずは1点上げたでヤンス!」
「……このチームはオレだけじゃないんだぞ?」
豪炎寺を抑えれば良いのだと思っていた野生中だが、それを想定していないと思ったら大間違いだ。
ファイアトルネードを撃つフリをするだけで周りの意識を奪うことが出来る。そうすることで3人で行うDFやMFがFWぐらい前線に出ることが出来る。その結果がトリプルブーストだ。しかもこのトリプルブースト、誰から起点でも何処からでも攻撃する事が出来る動く砲台が出来る。
「グヌヌ……点を取られたら取り返すウホ!」
「豪炎寺のマークはもうしなくていいコケ?」
「豪炎寺以外も強いウキ!豪炎寺だけをマークはよくないウキ」
ここに来ての認識を改めてくれる野生中。1点を取ることに成功したとはいえ野生中の運動能力は雷門中より高い。
幸いにもここからは豪炎寺の徹底したマークを外してくれる。豪炎寺がシュートを撃つチャンスが増える……イナズマ落としのチャンスがやってくる。風丸のイナズマ落としも悪くはねえんだけども、どうしてもディフェンスがな。点を取られたら取りまくればいいだけだし最後には俺がどっしりと構えているのだからそれはそれで問題無いか。
「ここからが本番か……頼んだぞ、皆」
円堂守が思い描く時空最強イレブン
5の力
鋭い洞察力で相手の無数の攻めからたった1つの真実を見抜き突破口を切り開くディティクティブミッドフィルダー
円堂守の理想
シャーロック・ホームズ
プロトコル・オメガの見解
エルロック・ショルメ
だったのだが見つけることが出来ず
金田一耕助
になった。
投稿速度
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出来たら即座に出せ
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10話ぐらい溜め込んで毎日1話ずつ出す
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一気に纏めてから一気に出せ
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週一ぐらい
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自分のペースでいいぞ