「お前等、今日で最後の練習だ……明日の決戦に備えて軽めにいくぞ」
いよいよ明日に世宇子中との試合がやってくる。
響木監督が俺達を気遣ってくれて軽めに筋肉を解す程度の運動で終わらせると言うのだが……豪炎寺が難しい顔をしている。
豪炎寺だけでなく鬼道も難しい顔をしており……練習は終わるのだが難しい顔をしている。
「円堂……お前の祖父さんが残した秘伝書に必殺技は書いていないか?」
「イナズマ一号みたいに数人で協力する技ならばある……だが、一日で会得することは不可能だ」
俺は見事にアフロディのゴッドノウズ改を受け止めた。
しかし豪炎寺は、鬼道は、自慢のパワーアップしたイナズマブレイクを受け止められた……俺と鬼道と豪炎寺の3人が放つシュートで1番強いシュート、それがイナズマブレイク。ただのイナズマブレイクではなくV2にまで進化している。
それでもギガントウォールに阻まれた……ゴールは俺が守ってくれているからいいが点を取らなければ話にならない。豪炎寺が新しい必殺技を会得したいと考えるが直ぐに浮かぶものでもなく祖父ちゃんの秘伝書に頼ろうとしたが1人で出来る技でイナズマブレイクを越える技はこの表のノートに書いていない。
「…………」
「不安か?」
「……ゴールはお前が守ってくれる。だから安心してプレイが出来る……でも、ゴールを奪うことが出来なければ話にならない。それをするのはオレの仕事だ」
ゴールは俺が守るから安心できると嬉しいことを言う反面、豪炎寺は自信を無くしている。
点を取らなければ話にならない……だが点を取れるのかと不安を抱いている。新しい必殺技を会得して世宇子からと考えているだろう。
「残り数時間で会得することが出来る必殺技なんて無い……じゃあな」
今日は、今日だけは冷たく突き放す。
何時もならば諦めるなとか一緒に考えようとか色々とするが、今日だけは無理なんだ。
家に帰り風呂に入り汗を流す……夕飯はハヤシライス、余ったら明日に煮込みハンバーグのソースになる。
「守、大事な話があるわ」
「なんだよ母ちゃん。俺、明日に備えて早目に寝るんだけど」
「その明日が問題なのよ……守……鬼瓦さんから話は聞いたわ。お父さんの真実を」
「そっか……………祖父ちゃんが愛したサッカーを俺も愛するだけ……祖父ちゃんの敵討ちとは思ってない」
「……コレを貴方に託すわ」
祖父ちゃんが死んだのは影山が裏で手引きしたから、その事について母ちゃんは知った。
俺も既に知っているのだが別に祖父ちゃんの敵討ちをしようとかは思っていない。でも、祖父ちゃんに誇れる日本一の称号を手に入れるつもりだ。俺になにかを言いたかった母ちゃん。もしかしたら俺を止めようとしていたのかもしれないけど、俺は止まらない。
母ちゃんは俺はもう一人前だと思ってくれたのか古ぼけたグローブを取り出す。
「コレは貴方が見つけたサッカーボールと同じでお父さんの形見、お父さんが現役時代に使っていたGK用のグローブよ……お父さんを、お祖父ちゃんを日本一に連れてって」
「…………母ちゃん…………」
「ホントはね、あんたをサッカーと関わらせたくなかったの。お父さんがサッカーで死んじゃったからサッカーと関わらない生活を送って欲しかった……でも無理ならば、ここまで来たのならば日本一を掴み取ってきなさい!母ちゃん、祖父ちゃんと一緒に試合を見に行くわ」
「!……来てくれるんだ」
「息子の日本一を見に行かない母親は居ないわ」
今まで試合を見に来てくれなかった母ちゃんが試合を見に来てくれると言ってくれた。
俺が日本一になるのを見守ってくれている……クソザコブロッコリーと同じで勝利の女神が見てくれる。
父ちゃんは仕事があるから無理だった……コレからはあの円堂守の父親として見られるだろうが父ちゃん運動音痴だからな。
「祖父ちゃん……いや、違うな……終わった後だ」
翌日祖父ちゃんの遺影を見る。
言葉を送ろうとしたけども全てが終わった後に日本一になったんだぞと証明するメダル的なのを持ち帰って見せる、それしかない。
語るのは後、実際にやって勝利をもぎ取ってから色々と報告する。
「…………観客が居ないだと」
「ど、どういうことでヤンスか!?何時もなら満員のフットボールフロンティアスタジアムがもぬけの殻でヤンス」
家を出て雷門中に向かい古株さんがバスで送ってくれる。
フットボールフロンティアスタジアムにやってきたのだが観客が1人も居ない事に全員が驚く。特に鬼道と栗松が驚いている。そんな中で……フードを被った怪しい連中が現れた。
「何者だ!コイツラに手を出すのは俺が許さんぞ!」
「雷門中だな……急遽、試合会場が変わった……我々は案内をしに来ただけだ」
「試合会場が変わったって、こんな決勝戦の土壇場にかよ!?」
「……影山か」
「深くは追及しない方が身のためだ」
響木監督が俺達を守ろうとするが、フードの連中は道案内をしてくれるだけだった。
こんな土壇場に試合会場の変更なんておかしいだろうと染岡は叫ぶが響木監督が冷静に影山が関わっているのだと見抜くがフードの連中はそうだとは答えない。影山が絶対だと信仰しているのならばそうだと答えることが出来るはずだから……影山直属の配下じゃない存在か。
「決勝戦の場所に案内してもらおうじゃないか」
「まぁ、待て……決勝戦の場所は間もなくやってくる」
敵ではないのが分かれば響木監督が案内しろという。
フードを被っている連中は興奮する響木監督を落ち着かせて空を見上げる
「影…………なっ……なんだアレ!?」
「アレこそが戦いの場」
「ラピュタ、ラピュタっすよ!」
「人がゴミの様に見えるんですね!」
「ビームとか撃てるのかな!?」
「いや、それよりもどういう原理で浮いているんだ?」
「写メ撮ろうよ!」
フットボールフロンティアスタジアムに巨大な影が差し込めば半田は空を見上げた。
フードの連中がアレがなんなのかを言う前にラピュタだ!と壁山が反応を示せば五郎が、少林が、風丸が、マックスが浮かれる。
今から決勝戦だと言うのに呑気な感じだ
『驚いたかね、諸君……コレこそが決戦の場!』
「影を消すのってどのアプリだっけ?」
「このアプリだったぞ」
『おい!話を聞け!ここがお前達を倒す決戦の場、世宇子スタジアムだ!!』
「どういう原理で浮いてるんだ……」
影山がスタジアムのスピーカーを使ってカッコよく名乗りを上げようとする中で俺は影を消すカメラの機能を影野に聞く。
リアクションが過ぎると影山が珍しくキレ気味だったが一之瀬の言うどういう原理で浮いているのかという疑問を投げかけながらもスマホの連写機能で撮影しまくる。
『お前達……ふん、まぁ、いい。観客と世宇子中の選手は既に入っている。早く入れ』
「なんで観客の方が先にスタジアムに入ってんだよ……」
普通は俺達の方が先に入るもんだろう。
空を浮いている世宇子スタジアムはフットボールフロンティアスタジアムに降りて俺達を乗せれば……浮上した……空でサッカーやる意味ってあんのか?
「あそこがお前達の控え室だ……無事に帰れればいいがな」
「……」
「安心しろ、試合で叩きのめす」
フードの連中が俺達雷門中の控え室を教えてくれる。
意味深な事を言うので響木監督は疑うのだが向こうは試合で叩きのめすのだと言えば姿を消した……ポケモンのダークトリニティか?
響木監督が自動ドアを開けば中は極々普通の控え室だったのでユニフォームに着替える。
「そういえば、お前等今日家族来るか?」
「うちは家族総出で来るでヤンス!」
「俺はサクが来るっス!」
「僕は弟が」
「俺は中継を父さんが見てくれると言っていた」
ユニフォームに着替えながら雑談をする。
栗松は家族全員が、壁山は弟が、目金も弟が来るといい鬼道は中継をしっかりと見てくれると言った……鬼道の親父さんは財閥のトップだから早々に来ることは出来ないか。
「うちは……来ないな……」
「そうか……っと、ちょっとトイレに行ってくる」
急にトイレに行きたくなった……やっぱり全国大会の決勝戦って場所が俺を精神的に苦しめる。
円堂守みたいになるのは無理で俺らしく頑張ろうとしているんだけどもやっぱりこういうところでは小心者だな。
どうせならばアニメのポケットモンスターのサトシの方が良かったなと思いながらもトイレを出てハンカチで手を拭いているとサッカーボールが飛んできたので胸で受け止める。
「おい、試合開始前に随分な挨拶だな!」
「円堂……私だ」
「って……ウルビダ?」
試合開始前の宣戦布告の一撃をお見舞いしてきたのかと思えばウルビダがボールを蹴ってきた。
……え?なんで?なんでいるんだ?……いや、あの……この後に立て続けで連続で試合を行うんだけど。ジェミニストーム倒すぐらいの覚悟で来てるんだけど。流石に今の雷門中じゃジェネシス倒せないんだけど。
「お前が決勝戦にまで勝ち進んだと聞いてな、こうして顔を見に来てやった」
「そうか……」
「それと大事な話がある」
「いや、今から試合なんだけども?」
「なに簡単な話だ。円堂、私はお前をスカウトしに来たんだ……雷門中の試合を見させてもらったが円堂、お前だけ明らかにレベルが違う。こんな低レベルなところにおらず私達と一緒にサッカーで世の中を支配しないか?」
「……サッカーは支配する為にあるんじゃない。自由にやるためにあるんだ……それと雷門中を馬鹿にするな……」
「ふん……お前ならばそう言うだろう……ならば惨めに負けてこい。そしたら私がお前をより高い高みに連れて行ってやる」
「お前、応援しに来たの?負けろって言いに来たの?」
「…………ど、どっちもだ!!」
時折見せるポンコツ臭はなんなんだよ。
ともあれウルビダも試合を見に来ているのでコレは頑張らないといけないなとフィールドに向かえば満員の世宇子スタジアム。
フットボールフロンティアスタジアムよりも観客が多く居るなと感じる。それに飲み込まれている雷門中……は、もう居ない。
「円堂、遅かったな」
「ああ、応援してるって言ってくれる人が居てくれてな……」
「応援してくれる人か……夕香……」
トイレに行ってた割には遅かったなと言ってくる豪炎寺。
ウルビダの事を言うわけにはいかないので応援してくれる人が居たのだと言えば豪炎寺はお守りのペンダントを握る。
「……俺は監督だ、既に選手じゃない……フィールドに立って戦うことは出来ない。お前達に送れるのは精々実体験に基づいたアドバイスぐらいだ……だが、それももう不要だな」
「響木監督……」
「勝ってこい、俺が言えるのはそれだけだ」
響木監督がもう監督として出来ることは少ないのだと俺達の成長を喜びながら背を押してくれる。
俺達は全員揃ったのでウォーミングアップを始める。
「爆ファイアトルネード!」
「絶ゴッドハンド!」
「……………円堂……………お前は何時もゴッドハンドだな」
豪炎寺がファイアトルネードを撃ってきたのでゴッドハンドで受け止める。
俺がゴッドハンド以上の必殺技を持っているのを知っているのだがそれでもゴッドハンドを使う。
「今回の相手は世宇子中だ……ゴッドハンドは通じない。もっと強力な他の技を」
「違うな豪炎寺」
ゴッドハンド以上の必殺技でないと世宇子中の必殺シュートは受け止められないと言う。
豪炎寺の意見はもっともだろう。ゴッドハンドを破る必殺技を世宇子中は使ってくるだろう。だがそれでも俺はこのゴッドハンドを欠かさない。
「ゴッドハンドは俺の基礎であり始まりなんだ」
一番最初に会得した必殺技、それがゴッドハンドだ。
そして俺の必殺技の数々は全てゴッドハンドから成り立っている。
「礎を打つこと千遍、自ずとその身に真技が備わる。基礎をおろそかにしては真の技は修得できん。強力な必殺技も大事だ。だがそれを支える基礎が出来ていなければ話にならない。基礎だけは免許皆伝は存在しない……全ての技は礎に通じる……」
「礎を打つこと千遍……新しい必殺技だけが全てじゃない……」
新しい必殺技を考えている豪炎寺に送る言葉はプリンス・カメハメの名言だろう。
新しい必殺技だけが全てじゃない。高度で高威力な必殺技を連発することが出来れば最強なのはゲームだけだ。現実の超次元サッカーはそんなに甘くはない。
「あ、ありましたよ!」
「音無、どうしたんだ?」
「アフロディさんが言ってた事が気になったので調べてみたんですが、オリオン財団がサッカー賭博を……雷門中に賭ければ……100円が30万円になって返ってきます」
いや、なにやってんだよオリオン財団。そして調べるなよ。
下馬評では負けるのは確実だと言われている……それを聞けば染岡は苛立ちながら世宇子中を見つめる。
「っけ、神だかなんだか知らねえがアップせずに取材かよ」
アフロディ達がインタビューを受けている。
アップせずにインタビューを受けており雑誌記者等は世宇子中が絶対に勝つだろうと疑っていない。オリオン財団の下馬評でも俺達が負けると言っているも同然の倍率をしている。
「音無、雷門中の勝利に5000円賭けといてくれ」
「はい!」
「おい」
「いや……優勝したらさ、小遣いを壱万円にしてくれるって交渉してるけどさ……懐は潤いを持たせておかないと」
オリオン財団の賭博になに賭けてるんだよと風丸がツッコミを入れる。
すっかり忘れていたことだが日本一になったら小遣いを壱万円にしてくれるって交渉してる……しかしそれでも足りないのが昨今の俺の財布事情なんだよ。
「お前等……優勝するぞ!!」
『「おう!!」』
「彼等に見せてあげよう……神の力は我等にあり!」
『「神の力は我等にあり!」』
俺達雷門中は円陣を組んだ。世宇子中はカップに入っている神のアクアを飲み干した。
先攻後攻を決めるコイントスをすれば世宇子中からのキックオフで試合が始まる。
『さぁ、全国100万人の中学サッカーファンの皆様!遂にここまで来ました!フットボールフロンティア全国大会決勝戦!ここまで圧倒的な力で勝ち進んできた世宇子中!対するはここまで1つまた1つと勝利を積み重ねてきた雷門中……激闘の火蓋が切られた!』
「っ……アフロディ……」
試合開始のキックオフでデメテルがアフロディにボールをパスした。
アフロディはボールを持って颯爽とドリブルを……しなかった。トン、トン、トンとボールを蹴っては歩く。
「ナメやがって……豪炎寺!」
「ああ!」
「真ヘブンズタイム」
「「っ!ぐぁああ!?」」
染岡と豪炎寺はアフロディからボールを奪いに行こうとする。
しかしアフロディは手を上げて指を鳴らしヘブンズタイムで2人を突破した。
「今……なにが……」
「なんだっていい!俺達で止めるんだ!サイク」
「真ヘブンズタイム」
「「っ!!」」
五郎がなにが起きたのか分からないと困惑する。
半田がアフロディを止めるんだとサイクロンを放とうとすればヘブンズタイムで突破されて突風に吹き飛ばされる。
「ナメるなよ!栗松、あれやるぞ!」
「はいでヤンス!」
栗松は右足を青く光らせる。土門は左足を赤く輝かせる。
「真ヘブンズタイム」
スピニングカットとボルケイノカットのオーバーライド、ストームバーストを使おうとするがその前にアフロディはヘブンズタイムを使い突破した。
「円堂」
「キャプテン」
「ああ……ここは俺に任せてくれ」
土門と栗松が余裕で抜かれた。
これ以上はまずいと思っていると風丸と壁山が見てくるので俺に任せてくれと2人を前に走らせる。
「どうやら観念したようだね」
「ああ……」
「この前のはウォーミングアップに過ぎない……見せてあげるよ!絶対的な神の力を!」
アフロディはそう言うと天使を彷彿とさせる羽を生やした。
空中を舞い圧倒的なパワーをアフロディはボールに纏わせる。
「真ゴッドノウズ!!」
「やっぱりアレは威力を抑えていたか!」
神のアクアを飲んだばかりでパワーがバリバリのアフロディ。
この前のは神のアクア無しでのゴッドノウズだったからパワーが弱かったが今回は違う。
真ゴッドノウズの威力は半端じゃない
「神を名乗るだけの事はある……だったら見せてやる!神をも破壊するダイヤモンドパワーを!硬度10!ダイヤモンドパワー!!」
この技ならばきっと止められる。ダイヤモンドパワーを用いてダイヤモンドの腕を作る
「ダイヤモンドハンド!!」
「なっ………なんだと……」
アフロディの放った真ゴッドノウズをダイヤモンドハンドで受け止めた。
流石の威力だが俺はこの通り見事にキャッチする事に成功した。
投稿速度
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出来たら即座に出せ
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10話ぐらい溜め込んで毎日1話ずつ出す
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一気に纏めてから一気に出せ
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週一ぐらい
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自分のペースでいいぞ