教祖様になっちまったぜ   作:アルピ交通事務局

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冬との出会い

 円堂守になってから半年ちょっと経過し……遂に小学生になった。

 お受験で行く様な良いところの小学校に入れなくもないのだが、そういう受験戦争的なのは暫くは考えたくない。母ちゃん達もいい学校に行けとか言ってこないしな。

 

「皆、サッカーやらないか!」

 

「え〜サッカー?」

 

「そんなのよりドッジボールの方がいいだろう」

 

「円堂、ドッジボールやろうぜ!お前、ボールキャッチするのめっちゃ上手いだろ!」

 

「あ〜……任せとけ!!」

 

 小学生なので勉強関係で困ることは今のところは無い。

 とにかくサッカー選手としてのスキルとか色々と磨いておかないといけない。なんでかは分からないけれども、小学校にサッカーボールを持ち込んでも怒られない……しかし残念かな、ドッジボールの方がいいという意見が多数出てくる。

 

 いや、確かに小学生ならばドッジボールだろう。

 ルールもシンプルだったりするし、ボールを使った遊びの定番みたいなものだ。でも俺はサッカーをやりたいんだ……サッカーは今の時点では認知はされているけれども人気が高いスポーツじゃない。コレが10年後ならば滅茶苦茶盛り上がったって言うのにな。

 

 無理にサッカーがしたいと駄々をこねるほど俺はガキじゃない。

 ドッジボールだってボールをキャッチするという特訓が出来る。蹴りにより繰り出されるボールじゃないので威力はそこまでだが、小学生のレベルならばコレが案外いいのかもしれない。

 

「スゲえな円堂!1回も避けずに全部キャッチするなんて」

 

「まあな!」

 

 小学生の世界は何気に地獄である。

 ゲームを沢山持っている、スポーツが出来る等でクラスのカースト的なのが決まってしまう。学校側も積極的に外に出て遊べという方針を取ってくる。1,2年の頃ならばまだいいけども、3年生以降は運動する事自体に嫌気が指す。スポーツ出来る奴とそうでない奴を一緒にされた結果、運動出来ない奴が馬鹿にされるという苦い経験が俺にはあるのでよく分かる。

 

 円堂守になって地道な経験を積み上げておかないと将来がヤバい。

 必殺技でもなんでもない普通のドッジボールのボールを軽々と止めれるのは流石の円堂守ボディだ。だが、此処で甘えては上を目指す事は出来ない。

 

「30分ドリブル持久走……スタート」

 

 まだ1人の時期だから自力で頑張るしかない。

 放課後はサッカーの基礎中の基礎であるドリブルを行いながら100mを走ってはUターンを繰り返す。その内ジグザグに移動する走り方に切り替わるが、少なくとも今は30分真っ直ぐに走ってもバテないスタミナを得る。円堂守はGKだけじゃない選手で常にスタメンみたいなものだ。最終的には2時間ぶっ通しで動いてもバテないスタミナを得る。今はその基礎である30分間ぶっ通しで走り続ける特訓をしている。

 

「ぜぇぜぇ……あ〜くそ、結構キツいな」

 

 筋トレは毎日欠かさずじゃなく程良くしている。

 回復とかも視野に入れているから休むべく時は休んでゲームしたりサッカーの試合を見たりしている。おかげでクラスで1番の運動能力を持っている……けど、所詮は小学一年生だ。体力の基礎中の基礎も出来ていないので全力ダッシュは勿論、持久走はそんなに出来ない。

 

 距離でなく時間を決めて出来る限り早くに動けるようにしている。

 足が速いってのはそれだけで武器になる。野球もバスケもテニスでも足が速いのは武器になる……足が速いのが弱点になるスポーツは俺の知る限りは存在しないと言ってもいい。

 

「ハァハァ…………30分経った………」

 

 ただただぶっ通しで走って行くのがこんなにも辛いとは思いもしなかった。

 今回は30分という時間制限を設けたけれども距離によるゴールが存在しないマラソンをやらされている感じがして大変だった。潔く10kmのランニングにしておくべきか?いやでも、それだと10kmのスタミナしか付かない。

 

「足はコレで鍛えれてる筈だから……どうしようか…………」

 

 腕立て伏せやスクワット、腹筋などの普通の人でも思いつく筋トレは割とやっている。

 しかし最新のスポーツ科学だか医学だかどっちかは忘れたけれどもただ普通に腕立て伏せや腹筋をするのは効率が悪かったりすると証明されている。腕立て伏せするのもいいけども腕を曲げて地面につけて体を真っ直ぐ伸ばしてキープするとかが案外効率が良かったりする。

 

 爺ちゃんのスゴ技特訓ノートには色々と基礎が載っていたけども言い方は悪いけども一昔前の特訓方法が多い。

 効率良くしておかないと俺以上に才能があって俺以上に努力をしていて環境に恵まれた奴、例えばリトルギガントのロココとかにあっという間に追い抜かされる。1からじっくりと鍛え上げたとはいえ世界一を狙うことができるレベルの選手どころかチームを鍛え上げている爺ちゃん、マジでなんなの?爺ちゃんの損失って日本のサッカー界を著しく弱体化させてる証拠だよな。

 

「スタミナは長距離走のマラソン選手、ボディバランスは中国雑技団……ガッツは円堂守……取り敢えずは構えてみるか」

 

 休憩が終わったので、構えを取ってみる。

 GKの基礎中の基礎である股を開いて少しだけ腰を下ろしている構えだ。超次元サッカーの世界の筈なのに地味な基礎訓練ばっかりしているが、何時かはこの基礎訓練が必殺技に実を結ぶと信じる……努力は裏切る可能性は低いが、無駄になる可能性だってあるがやっておいて損は無い。

 さっき散々走って足が疲れているし、取り敢えずは10分間同じ構えを取ってみようとするが5分ぐらいしてから体がピクピクと言っている。

 

「ヤバ……きっつ……」

 

 ストップウォッチに目が向かうがまだ6分しか経過していない。

 メジャーで足を肩幅以上に開くだけで滅茶苦茶疲れるっていう描写があったけども、GKの基礎中の基礎である構えを取って動かないのがこんなにもキツいとは思わなかった。

 

「そこの君、とっくに放課後なんだから早く帰るんだ」

 

「あ、すみません…………でも、後3分待ってください」

 

 俺はまだ小学一年生だ。

 授業が4時間だけで終わる日ばかりなので給食食って下校するのが当たり前だがそれを無視して小学校で居残り特訓をしている。やっぱりと言うか先生に注意される、早く家に帰れと言われるだろう。

 

「3分?」

 

「このポーズの維持を10分出来たら帰ります。後、3分で終わるんです」

 

「…………GKの構えか」

 

「はい………………」

 

 10分だけだってのにキツいな……普段から使ってない筋肉がまだまだあるっていう証拠だな。

 先生の視線を背後から感じるが直ぐにやめろや帰れとは言ってこない。このGKの構えの維持をする3分の時間を許してくれたんだ。

 

「ふぃ〜……10分がこんなにも長いとは……」

 

 カップ麺を待つ時間よりも遥かに長いと感じたぞ。

 30分走りっぱなしと10分間通しの中越しの体制を維持していたから足腰がガクガクだ……。

 

「10分程度で音を上げるとはまだまだだ……最後の3分間の震えはよくない」

 

「でもこれぐらいしないと俺は壁を越える事が出来ないんですよ」

 

 俺は円堂守じゃないから円堂守以上に効率良く努力しておかないといけないんだ。

 

「壁……なにか目標でもあるのか?」

 

「そりゃやっぱり1番のサッカー選手です!」

 

「そうか…………足と腰はそれなりに冷やしておけ。冷やしすぎるのは逆に筋肉の成長を妨げる、筋トレのし過ぎで体を壊しては元も子もない、今日はもう帰って休むんだ」

 

「は〜いっ……!?」

 

 アドバイスを貰えるとは思いもしなかったが、アイシングもやりすぎれば筋肉の成長を妨げるという結果が出ている。

 今日からはじめた特訓だし、さっさと家に帰って宿題やったり風呂入ったりしておくかとランドセルを取りに振り向くのだが俺は固まった。

 

「どうかしたか?」

 

「あ、いや……まだ少し疲れが残ってるかなって」

 

「まだはじめて間もないのだろう。何れは筋肉が成長して慣れる……精進しろ」

 

 俺に声をかけてきた先生は…………イナズマイレブン3世界への挑戦で監督になった久遠道也だった。

 なんでここに居るんだよ……いや、まぁ、普段は響木さんみたいにラーメン屋をやってるとかいう描写が無くて教師を務めてるって言われてもおかしくはないけれども、なんで居るんだよ。

 

 色々とツッコミを入れたいところがあったけれども一先ずは足の痛みを我慢してランドセルを背負い学校から帰る。

 無論普通に帰るんじゃない。サッカーボールでドリブルしながら帰るんだ。キャプテン翼でも似たような事をやってたしドリブルはサッカーにおいては基礎中の基礎である。こういうところで鍛えておいては損は無いんだ。

 

「おぉ、階段の上り下りがキツい……宿題とかやらないと」

 

 やっぱ最後のGKの構えを10分間維持するのは余計な特訓だったかもしれない。

 家に帰って自分の部屋に戻るための階段の上り下りが意外とキツい……サッカーにだけ集中していいんだったら、このまま休むけれども今の俺は小学生なので小学校の宿題をしておかないといけない。と言ってもノートに漢字ドリル写すのと算数のプリントをするだけの極々普通の宿題だ。

 

 俺は知っているぞ。夏休みの宿題は大抵は一学期の漢字ドリルと算数ドリルを全てやるのだと。

 だから余分に2冊ノートを書いてある。1つは漢字ドリル、もう1つは算数ドリル……毎日1ページ分やっとけば夏休みの宿題が実質無しになるからマジでチョロいもんだよ。

 

「しっかし、なんであの人居たんだろ?」

 

 宿題をパッと終わらせたので、さっきの久遠さんについて考えてみる。

 あの人、アレスの天秤時空では星章学園の監督とイナズマジャパンの監督補佐を務めててあんま目立たなかった……まぁ、アレスの天秤時空は基本的にはクソであるので、監督として優秀な描写が中々に無かった。趙金雲1人が優秀な描写になってたっけ。

 

「う〜ん…………まぁ、いいか」

 

 久遠監督として本格的に関与してくるのは世界への挑戦編からだ。イナズマジャパンを世界一に導く実績を有している……口数が少ないけども。

 監督に依存させず選手の自主性を求めるタイプの監督、でもいざという時の決断とかは選手に代わってちゃんとやってくれる。いざという時の決断は監督に必要な能力だ。

 

 色々とまぁ、気になる事は多々あるがイナズマイレブンは色々な世界線が存在している世界だ。

 円堂守の嫁が雷門夏未の世界線もあれば久遠冬花の世界線もあるし、生まれてくる子孫が円堂カノンの世界線もあれば決勝戦で戦う中学が世宇子中じゃなくてオーガな世界も普通にある。色々とあれこれ考えたとしても意味は無い。

 

「円堂ドッジボールしようぜ」

 

「あ、悪い。今日はパスだ」

 

「え〜お前が入ったら絶対負けないんだけどな」

 

「いやいや、俺も負ける時は負けるからな」

 

 そんなこんなで次の日だ。

 クラスメートが休み時間にドッジボールに誘ってくれるけれども断った。俺が居ればドッジボールで勝ち残る事が出来ると期待してくれているのは嬉しいけども期待ばっかりされるのはそれはそれで困る。

 

 サッカーボールを片手に校庭の隅に向かってリフティングを行う。

 昨日の30分の持久走と10分間の体制維持の訓練で足腰が悲鳴を上げている。超回復の事を考慮すれば休んでおいた方がいいんだろうが、この基礎だけはやっておかないと落ち着かないんだ。

 

「目標は休み時間が終わるまでボールキープ」

 

 リフティングは体に染み込ませるもので、サッカーの基礎が詰まっている。

 頑張って30分間通しでリフティングを行おうと集中する。コレをその内、集中無しで自転車を漕ぐぐらいの感覚で出来るようになる……きっと天馬も同じ様な事をし続けていたんだろうな。

 

「おい、ここは俺達の砂場だぞ!!なに勝手に遊んでんだ!」

 

 1人リフティングに集中していると隣の砂場で怒っている声が聞こえる。

 なんだなんだとリフティングを続けながら振り向いてみれば砂場で同学年の生徒が威張っていた。学校は皆のものなのに、何をやっているんだと思いつつも見守ろうとする。

 

「学校は皆のものでしょ?だったら私が使ってもなにもおかしくないでしょ」

 

「うるせえ!俺達の砂場で勝手に砂山なんて作ってるんじゃねえ」

 

「ああ!!」

 

 砂で出来た綺麗な山を足で壊す馬鹿

 なんでこう……威張ろうとする馬鹿が多いんだろうかな。

 

「私の山が…………グスッ…………」

 

「これに懲りたなら勝手に砂場を使う──げふごぉ!?」

 

「流石にそれは見過ごす事は出来ねえよ」

 

 必死になって作った砂山を破壊するどころか女の子を泣かせる奴を見過ごす事が出来るほど性根は腐っていない。

 サッカーボールをリーダー格っぽい奴のお腹目掛けてシュート、綺麗にシュートは決まった……シュートの訓練そんなに積んでないけれども、中々に良いシュートを撃つことが出来る。

 

「この野郎、なにしやがる!」

 

「オレ達の邪魔すんなよ!」

 

「学校は皆のものだ!独り占め出来ないんだよ」

 

「この野郎……いけ!」

 

 取り巻き2人に俺を襲わせにいかせるガキ大将(仮)

 こんなのは容易く避ける事が出来るけどもいきなり俺がボコボコにしたらそれはそれで問題に発展する。だから仕方がないけれどもと一発だけ殴られてやる。

 

「っへ!見掛け倒しかよ!」

 

「一発は一発だ……やられたらやり返す。やられてなくてもやり返す。誰彼構わずやり返す……八つ当たりだ!!」

 

「ゴホォ!?」

 

「ヘブ!」

 

「くらえ、ヘッドバット!」

 

 ガキ大将とその取り巻き2人に拳と頭突きをくらわせる。

 鍛えてて正解だったなと今日ほど思える日は無いな……喧嘩はよくないがどっかで暴れたいって気持ちはある。強い力を持っている人間は心を鍛えないといけないのがよく分かるな

 

「く、くそ、覚えてろよ!!」

 

「嫌だね」

 

 あの手の連中は相手にしているだけ無駄だ。

 ガキ大将と取り巻き2人はそそくさと逃げ去っていった……

 

「サッカーで人を傷付けるのは抵抗があったが、しゃあねえよな」

 

 落ちているサッカーボールを拾いながらボソリと呟く。

 スポーツで怪我は当たり前、卓球ですら死人が出る危険性を孕んでいる。激しいプレーでの怪我ならともかく意図的に傷付けるシュートを撃ったのは色々と心が痛む。やっぱサッカーは楽しまないといけない。力を振りかざす道具じゃねえ。

 

「大丈夫か?」

 

「う、うん……」

 

 サッカーボールの回収を終えたので、いじめられていた子に声をかける。

 さっきまで泣いていたのに、俺がガキ大将と取り巻き2人を撃退したおかげかは分からないけれども泣き止んでいる。ずっと泣かれてもそれはそれで困るので良かったとホッとする。

 

「ありがとう……えっと」

 

「ああ、自己紹介まだだったな。俺は守、円堂守だ」

 

「守くん……私は小野冬花」

 

「……え……」

 

「どうしたの?」

 

「いや、ちょっと……気にすんな。それよりもさっきの奴に絡まれたら俺に言ってこい。ぶっ飛ばしてやるからさ」

 

「ぶっ飛ばすのはちょっと……でも、ありがとう」

 

「あ、そろそろ教室に戻らねえと……じゃあな、小野」

 

 もうすぐ休み時間が終わってしまうのでドリブルしながら教室に向かっていく。

 幸いにも1年生の教室は1階にある。本音を言えば校舎内でリフティングしたいけれどもそれはやめろって担任に言われてるからな。

 

「にしても…………このタイミングだったんだな」

 

 さっき出会った小野冬花はふゆっぺだ。

 円堂守が幼い頃に出会った後に久遠冬花になるふゆっぺと出会った。幼いけれども可愛かったな。




久遠監督、監督業以外でなにやってんだろうね。響監督は普段ラーメン屋やってっけど、その辺りは謎である
wikiとかアニメとかゲームを見直してるけれども久遠監督当時の冬花の担任だったって描写があったから円堂守が通っている小学校で教師を務めてもなにもおかしくはないはずだ……後でタグにオリジナル入れとかないと。

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  • 10話ぐらい溜め込んで毎日1話ずつ出す
  • 一気に纏めてから一気に出せ
  • 週一ぐらい
  • 自分のペースでいいぞ
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