教祖様になっちまったぜ   作:アルピ交通事務局

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襲来!イプシロン!(前編)

 

「吹雪くん、あのね……」

 

「ごめんごめん」

 

 気分が悪いと体調不良になっていた吹雪くんが戻ってきた。

 体調は良くなったけれど、吹雪くんは……地元の女の子と一緒に居た。逆ナンを受けていて吹雪くんは逆ナンを受けている自覚が無い。修学旅行で遊びに来たわけじゃないのだからそういう事はしないでと怒ろうと思ったけれどもあまりにも吹雪くんが呑気すぎて怒る気力すら湧かないわ。

 

「ここが漫遊寺中ッスか」

 

「エイリア学園の襲撃予告を受けたって割には……全然避難とかそれに対する対抗策を考えるとかしてないな?」

 

 吹雪くんはさておき、漫遊寺中に辿り着いた。

 エイリア学園のイプシロンから堂々と襲撃予告を受けていたのだけれども、学校側は特になにもしていない。土門くんがその事に関して疑問を抱いていれば……盛大なまでに滑った。

 

「いったぁ!?」

 

 なに!?なんなの!?

 名前の通り寺の様な作りになっている漫遊寺中の廊下で盛大なまでに滑った。私だけじゃなくて音無さんも滑って何なのかと驚いていれば笑い声が聞こえた。

 

「ウッシッシ!引っかかったぜ!」

 

「引っかかったって」

 

「コラァ!!小暮ぇ!!」

 

「うげ!?」

 

 多分、私達が廊下を滑って尻もちをついた原因を作った子が笑っていた。

 笑っているから文句を言ってやろうと思っていれば漫遊寺中の生徒が彼を怒った。見つかってしまったのだと彼は物凄く速く逃げた。

 

「雷門中の皆様ですね。自分は漫遊寺中のキャプテンの垣田と申します。うちの部員が申し訳ありません」

 

「うちの部員って、さっきの子が?」

 

「はい……小暮と言いまして、漫遊寺中でも問題児として有名でイタズラばかりを。廊下にワックスを塗りたくったのでしょう」

 

 とんだ問題児ね。

 漫遊寺中のキャプテンの垣田さんに連れられて漫遊寺中のサッカー部の面々が居るサッカーグラウンドに向かう……

 

「エイリア学園に対してなんか特別な練習をしてるってわけじゃねえな?」

 

 サッカー部のグラウンドではサッカーをしていた。

 それは極々普通のことだけれど、染岡くんがエイリア学園に対してスゴい特訓をしている、それこそ野生中に対してイナズマ落としを開発した時の様な新しい必殺技の特訓をしているわけじゃない。走り込みとか筋トレとか何処のサッカー部でも見かける普通の特訓をしている。

 

「ええ、何時も通りのことを」

 

「何時も通り……もうすぐエイリア学園が来るのだぞ?襲撃予告があったのを知らないのか!?」

 

 垣田さんが何時も通りの練習をしていると特に隠さずに言えば源田くんが驚いた。

 エイリア学園から襲撃予告は受けていてその事について既に周りに広まっている。それなのにこの呑気な空気は明らかにおかしいわ。

 

「我々にとってサッカーをはじめとするスポーツは誰かと競い合い争う為のものではありません。己の肉体を鍛え己の心を鍛えるものなのです」

 

「その志は立派だわ。でも、エイリア学園は漫遊寺中を襲撃すると既に予告しているわよ!」

 

「宇宙人と言えども同じ心を持っている人、ならば争わずとも語り合えば問題は解決致します」

 

「なっ!?」

 

 既にジェミニストームが幾つものサッカーが強いで有名な学校を襲撃している。

 ジェミニストームの後に出てきたイプシロンも当然それが目当て、自分達は圧倒的なまでの力を持っていると見せつける為の中学校の破壊行為を行なっている。それどころか財前総理を拉致する事件を巻き起こしている。

 

「総理大臣のパパを拉致したのに、今更話し合いだなんて」

 

「財前総理もエイリア学園の者と対話をしたのでしょう。しかし心に雑念があり、エイリア学園の襲撃を」

 

「あんたがパパのなにを知ってるの!!何時も日本の未来を考えてるのに、もしかしたら殺されるかもしれない状況だったんだよ!」

 

「と、塔子さん落ち着いて!」

 

 財前総理を拉致したから話し合いはもう通じる段階にはいないと塔子さんは認識している。

 垣田さんは雑念があったからエイリア学園を説得することが出来なかったと言うので塔子さんの逆鱗に触れた。今にでも塔子さんは垣田さんに殴りかかりそうな勢いで冬花さんが必死になって止めている。

 

「エイリア学園は、イプシロンは明後日に襲撃して参ります。その為になにか特別な特訓は?」

 

「否、その様なものは不要です」

 

「……ならば、我々と合同稽古は如何ですか?実戦形式の」

 

 瞳子監督が実戦形式の合同稽古、要するに練習試合を申し込む。

 普段は対外試合をしない漫遊寺中だけれど合同稽古を名目に練習試合は可能で、私達は練習試合をした。漫遊寺中と試合した感想はとても強い、どうして今の今までフットボールフロンティアに出てこなかったのかが疑問に思えるぐらいの強さだった。

 でも、それだけだった。イプシロンがどれくらいの強さなのか分からない。少なくともジェミニストームよりは強いのは確かで、漫遊寺中ならジェミニストームを相手にしても勝てるとは思えるけれどイプシロンの強さが不透明過ぎるせいで分からない。

 

「よっと!せっと!ほっと!」

 

「おい!小暮!ちゃんと掃除をせぬか!」

 

 白恋中の時は白恋中側が自分達が弱いと自覚していて試合に挑む権利を白恋中から雷門中に移行してくれた。

 でも、漫遊寺中は言葉で分かり合おうと考えていて仮に試合をすることになっても漫遊寺中が試合をする。私達がどうすることも出来ない。とりあえずは実戦以外の合同練習をしていればさっき私と音無さんをイタズラにかけた小暮くんが雑巾を天井めがけて蹴り上げて埃を掃除していた。

 

「あの、小暮くんは練習しないんですか?」

 

 ベンチ以外の所謂レギュラー以外の選手を含めて合同練習をしているのだけれど、小暮くんだけは何故か練習していない。

 音無さんはその事について疑問を抱いたので漫遊寺中の監督に聞いてみれば小暮くんは特別に練習をさせていない、小暮くんがその練習をさせていない理由を自分自身で理解する事が出来る様になるまで漫遊寺中は小暮くんにサッカーの練習を一切させていない。

 

「そんな、なにが問題なんですか!?」

 

「貴方達も被害に遭いましたろう。小暮のイタズラを……何故小暮がイタズラをするか、それは小暮が人を信じておらんからだ」

 

 漫遊寺中のサッカー部の監督から小暮くんが親に捨てられた事を語られる。

 一種の人間不信になっているところがあって、それが原因でイタズラをしている。サッカーはチームスポーツ、協力をしなければ出来ないスポーツだから心を通わせる意思が無い小暮くんにはサッカーをする資格が無いと言った………………

 

「だったら……だったらなんで小暮くんにそれを言わないんですか!小暮くんが今日までサッカー部に居るのは、サッカーをしたいからじゃないんですか!」

 

 自分で気付けと言われても気付かないことがある。

 音無さんはそれを知っているので小暮くんにその事について指摘しない事や今日までサッカー部に居るのはサッカーをしたいと思っているからと言えば漫遊寺中側は返答に困っていた。

 

「自分の気持ちや本音を言葉にしたいけど上手く言葉に出来ない行動で表せない、勉強が出来ても頭が良くてもスポーツが出来てもそれが出来ない人だっているんですよ!」

 

「……春奈」

 

 鬼道くんとの関係性について色々と音無さんは悩んでいた。音無さんも鬼道くんとの関係性について悩んでいた。

 最終的にサッカーが解決してくれていたけれども、小暮くんはそのサッカーすらさせてもらえない。その事に音無さんは激怒しているけれど、小暮くん自身が心を開かないとサッカーはさせてもらえない。その方針だけは漫遊寺中は捻じ曲げなかった。

 

「小暮くん、勝負よ!」

 

「勝負って、なに言ってんだよ?」

 

「サッカーで私と勝負しなさい!」

 

 結局なにかが進展することはなくて翌日、音無さんは小暮くんにサッカー勝負を挑んだ。

 いきなりのことで呆れている小暮くんだったけど、サッカーで勝負をすると分かれば目の色を変える。やっぱり心の何処かでサッカーをやりたいという思いがあったみたい。

 

「ウッシッシ……お前なんかけちょんけちょんにしてやるよ!」

 

 簡単に乗ったわね……

 

「お兄ちゃん直伝のイリュージョンボール!」

 

 審判が居るわけでもなんでもない1vs1の勝負、音無さんは小暮くんを相手に鬼道くん直伝のイリュージョンボールを見せる。

 

「流石は音無さんね」

 

「フッ、俺からすればあのイリュージョンボールはまだまだだ」

 

 コッソリと影で音無さんを鬼道くんは見守っていた。

 鬼道くんから見れば鬼道くん直伝のイリュージョンはまだまだと言っているが、それでも笑みを浮かべている。

 

「サッカーは……楽しいものだな。鬼道有人と言う人間になって後悔はしていないが、あのサッカーをしていた頃も悪くはない」

 

 必死になって音無さんからボールを奪おうとする小暮くん。

 音無さんは負けじと必死にボールを守る。ある程度守りきれば今度は小暮くんにボールを渡して小暮くんのボールを奪いに行く。ルールらしいルールなんて無い。サッカーボール1つで出来るサッカーみたいなサッカーを見て鬼道くんは昔を思い出している。

 

「少しはカッコいいところ、見せたらいいんじゃないかしら?」

 

 見たところ運動能力と体力だけは漫遊寺中で鍛えられただけはある。

 単純にサッカーをあまりしていない経験的なのから音無さんは有利に立っているけれども、何処かで小暮くんがボールを奪えそう。

 鬼道くんならば小暮くんを相手に1回もボールを奪われない大差を付けることぐらいは出来そう……カッコいい兄の威厳を示す事が出来るんじゃないのかと少し煽れば鬼道くんはその気になり、音無さんと小暮くんの前に姿を現した。

 今度は俺の番と鬼道くんが言ったので、鬼道くんにボールが移り鬼道くんvs小暮くんがはじまり、鬼道くんの圧倒的なサッカースキルで1度もボールを奪われる事が無かった。

 

「結局、なんにも変わらなかったッスね」

 

 小暮くんと軽く勝負した。それ以外に何か特に変わったことは無かった。

 合同練習を名目に試合を申し込んでそれをキッカケにエイリア学園と戦おう!そんな意思が芽生えるかと思ったけれど、なんにも変わらなかった。壁山くんが大丈夫なのかととても不安そうにしている。

 

「来たわ!」

 

 エイリア学園のサッカーボールが舞い降りた。

 ジェミニストーム、でなくイプシロンが現れた。

 

「ほぉ、やはり雷門中が居たか……漫遊寺中よ!我々はエイリア学園ファーストランクのチーム!イプシロン!我が名はデザーム!我等とサッカーで勝負をしろ!」

 

「何ゆえにサッカーでの勝負を?サッカーとは己の心と肉体を鍛える為のもの、決して争いの道具ではございません……お引き取りをお願いします」

 

「ほぉ、問いかけか。ならば答えよう!我等にとってサッカーは力を示す物だ!!」

 

「……っ!」

 

 垣田さんがデザームにどうして?と聞けばサッカーは力を示す物と迷いなく答えた。

 デザーム以外のイプシロンのメンバーも同じ事を考えていて、漫遊寺中のサッカー部の監督はなにかに気付いた。

 

「我等との試合に応じる事が出来ぬと言うのならば予告通りこの学校を破壊する!」

 

「……よろしい」

 

「……結局そういう展開になるじゃん」

 

 話し合いをすれば通じ合えるとか分かり合えるとか言いたいことは分かるけれども、無理だった。

 エイリア学園とはその段階を過ぎているのを理解したのか漫遊寺中のサッカー部の面々はイプシロンと戦うことを決意する。塔子さんはその展開になった事について不服そうにしている。最初から戦う意思を見せていれば、なにかしらの対抗策の1つや2つ出来ていたかもしれない……でも、それを言い出したらキリがないわ。

 

「ふむ……」

 

 試合が確定したから漫遊寺中はアップを始める。

 イプシロンは特になにもしない。デザームがゴール前からアップをしている漫遊寺中のサッカー部の部員達を見つめている……コレは、観察をしているのね。

 

「予告しよう!この程度の相手ならば3分で試合を終わらせる!」

 

「この程度って……」

 

 実際に戦っていたから分かることだけれども、漫遊寺中は強い。

 全ての試合にスタメンとして出場している壁山くんでも苦戦するぐらいで全国大会に出て優勝してもおかしくないレベル、白恋中の時と違って吹雪くんと真人くんだけが異常に強いチームじゃないのにこの程度扱い。

 漫遊寺中は弱くないどころか強いチームに分類されている……試合が始まった。

 

「……流石はジェミニストームより格上」

 

 予想はしていたわ。ジェミニストームより格上のファーストランクのチーム、それがイプシロン。

 単純に考えてイプシロンはジェミニストーム以上のチーム。漫遊寺中はジェミニストームならば倒せていたけれどもイプシロンには大苦戦……ファウルやレッドカードギリギリのラフプレーをしていて漫遊寺中を苦しめ、予告通り3分で決着をつけた。漫遊寺中のサッカー部の部員達の身体も心もへし折った。

 

「やはり、そうか……」

 

「なにがやはりなんです?」

 

「あのイプシロンなる者達、嘗て趙金雲にサッカーを教えた者が唯一教えることが出来ず教えなかった物を持っていない」

 

 漫遊寺中の監督がイプシロンの何かを見抜いていた。

 昔の知り合いらしい趙金雲さんにサッカーを教えた人が唯一教えれなかったものを持っていない。その発言を聞けば私達は源田くんを見た。趙金雲さんからサッカーの指導を受けているから趙金雲が教わっていない事を知っているんじゃないかと思っていた。

 

「いや……特に心当たりは無い。趙金雲はサッカーを指導する指導者として一流だ」

 

 源田くんがなにも知らないと、東京から京都に来るまでの間に趙金雲さんから受けた指導の中でおかしな点は特に無かったみたいで心当たりは一切無い。イプシロンが具体的にはなにがどう足りないの?疑問に思ったから漫遊寺中の監督にそれについて聞こうとすればデザームが私達に向かってサッカーボールを投げてきた。

 

「さぁ、雷門中よ!ウォーミングアップは済ませたぞ!」

 

「……なんですって?」

 

 試合は最終的に漫遊寺中のサッカー部の試合続行が不可能だとなりイプシロンの勝利に終わった。

 漫遊寺中をそのまま破壊するのかと思っていたけれど、デザームが準備は万端だとニヤリと笑みを浮かべている。

 

「このまま学校を破壊しないの?」

 

「無論、お前達を倒してから漫遊寺中は破壊する!雷門中よ、エイリア学園の頂点に至るエイリア皇帝はお前達を評価し敵だと認定している!敵であるならば倒す!ただそれだけだ!」

 

「……まぁ、試合が出来るのならばいいのだけど」

 

 なんだか妙に引っかかるのよね。

 エイリア学園がサッカーで地球侵略、複数のチームの存在があるのに最弱のセカンドランクのチームを送り込んできた。そして今回、漫遊寺中を破壊する襲撃予告があって漫遊寺中のサッカー部を倒して漫遊寺中を破壊せずに雷門中に試合を挑む。

 雷門中を敵と認定している、だから雷門中と戦うっていう考えなのはいいこと……このまま無視していたら漫遊寺中はイプシロンに破壊されるから。そもそも試合に挑む権利が無かった雷門中にとっては朗報よ。

 

「鬼道くん、貴方から見てイプシロンは?」

 

「ああ、全ての面においてジェミニストームを上回っている」

 

 試合が決まったからアップを始める。

 鬼道くんにイプシロンが今の雷門から見て強いのか弱いのか、そして勝つことが出来るのかの確認を行う。

 

「最終的にはジェミニストームが行なっていた様にファウルやカードスレスレのラフプレーで選手を破壊するプレイを漫遊寺中にしていた。だが、力の差を思い知らせる為に3分で取った5点のプレイはサッカーというものを正しく理解しているプレイ、宇宙人の圧倒的なまでの運動能力にものを言わせたものではない」

 

「……まだ、底は見せてないわね」

 

「ああ、本気で挑んでいるが全力ではない……俺の想像力を遥かに上回られたならばどうすることも出来ないが、イプシロンの全力が想像の範囲内であれば可能性は低いが勝ち筋は確かに存在している」

 

「そう、ならやるしかないわね」

 

 イプシロンは格上の相手で絶対に勝てない!そんなレベルの相手じゃない。

 0じゃないのならば私達は必死に足掻いて勝利をもぎ取る……円堂くんなら0なんてないとか言いそうだし。

 私達はアップを済ませてイプシロンとの試合に挑む。

投稿速度

  • 出来たら即座に出せ
  • 10話ぐらい溜め込んで毎日1話ずつ出す
  • 一気に纏めてから一気に出せ
  • 週一ぐらい
  • 自分のペースでいいぞ
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