教祖様になっちまったぜ   作:アルピ交通事務局

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汚い大人の戦術

 

「おかえりなさい……皆さん、コレをどうぞ」

 

 イプシロンとの激闘を終えた雷門中が東京に帰ってきた。

 雷門中に戻ってきたので新しく加わった小暮に軽く挨拶をしたら……金雲さんがチケットを取り出した。なんだ?と思ったら、無駄に高いスーパー銭湯が入れるチケットだった。

 

「長旅で疲れているでしょうし、休んでください」

 

「金雲さん、私達にそんな暇は」

 

「休む!と言う練習が出来るか出来ないか、間違った練習は嘘をつきますが正しい練習は嘘をつきません。しかし、やればやった分だけ返ってくるとも限りません!自分の気持ちを素直に伝えれないツンデレの乙女の様にハッキリと見えず時間が解決する問題も幾つかはあります」

 

 なんか変な事を言っているが要するに休め、そう言っているんだろう。

 東京から奈良に、奈良から北海道に、北海道から東京に、東京から京都に、京都から東京に、一番疲れてるのはイナズマキャラバンの運転手をしている古株さんだろうが、日本の色々なところを行ったり来たりしている。

 プロ選手ならば地元の自分の所属しているチームが持っているスタジアムでの試合以外にも相手チームのスタジアムでの試合、全く関係無いチームのスタジアムでの試合、色々とある。将来的にプロになる選手は何人かは居るものの、下手したらプロより過酷な移動をしている雷門中の面々は疲れている。足を伸ばして風呂にでも入ってこいと強制的に休みを取らせる。

 

「……瞳子監督、ホントにサッカースキルだけだな」

 

 夏未から聞いたイプシロンとの試合で引き分けに終わったことの顛末、最後の最後でこの試合は勝てないと判断した瞳子監督はデザームのグングニルを全力で防ぐ方向にシフトチェンジした。それに関しては監督としての大人の判断をしてみせたが、雷門中の面々が精神よりも肉体面での疲労が確かに蓄積されてる事を気付いていなかった。

 監督として優秀なところを定期的に見せるがホントにサッカースキルに偏ってて、金雲さんがフォローをしてくれている。多分、探せば瞳子監督以上の監督は普通に居る。エイリア学園の動きを察したから瞳子監督は志願した。サッカーで勝利する方法を知っている人間なものの、それ以外の能力が乏しい。

 サッカーの監督に求める能力はサッカーを指導する能力……に見えるが意外と違う。

 最近はプロが効率の良い練習方法やこの学校のフォーメーションやタクティクスはこんな感じだとポロッと動画サイトで言っている。

 祖父ちゃんが残したスゴ技特訓ノートに載っていたサッカーをする上での基礎練習、その内容はホントに40年以上前に残した物なのか?と、現代の最新スポーツ医学から見て最適な筋トレ等のトレーニングだった。

 練習メニューを組めば後は選手がある程度は勝手にする。サッカーはチームスポーツで野球の様に攻守表裏の概念が無くて切り替わる時は即座に切り替わる。かと言ってバスケの様に身長2m超えが当たり前の世界じゃない。

 監督は自分の求める選手を育成する、チームを自分の好きな色もしくはその選手達に合った色に染める。サッカーを指導する能力は確かに大事だが第三者として決断をしてくれる人として監督が一番大事だ。特にプロとかになれば大抵はその競技について一通りは理解している。時には非情な決断が必要で、それを瞳子監督は今回した。勝つことを諦めた。

 スポーツの監督としていい決断をした……だけど、俺達はプロじゃない。精神面が発展途上の中学生、そして今回はトーナメントでもリーグ形式でもなんでもない謎の戦い……クロノストーン編で石になった祖父ちゃんは何をどうすれば全ての戦いが無事に終わるのかを分かっていない状況の中で時空最強イレブンを探して倒すぞ!と躍起になっていた。やっぱ選手としての祖父ちゃんは越えれても、監督としての祖父ちゃんを越える自信は無い。なんだったら監督としての祖父ちゃん越えてもその上に影山が居るとかいう悪夢だ。

 

「そういえば金雲さん、貴方にサッカーを教えた人が居るって漫遊寺中の監督が言っていたけれど……」

 

「そりゃ私だって誰かから指導は受けますよ。誰の指導無しに一流にはなれません」

 

「その人が唯一教える事が出来なかったものがあるって、イプシロン達がそれが無いって言っていましたけれどなにか心当たりは?」

 

 温泉は明日にしようと決めている夏未はふと思い出したのか漫遊寺中のサッカー部の監督が言っていたことを聞いた。

 金雲さんだって指導は受けている。最もらしい事を言っているが、誰が指導したとかそういうのは言わず流そうとすれば夏未はイプシロン達が金雲さんにサッカーを教えた人が金雲さんに唯一教える事が出来なかったものを持っていないと言う。

 

「やれやれ……全く、余計な事を言ってくれますねぇ……」

 

 金雲さんはあまり語りたくなさそうにしている。

 趙金雲と言う男にサッカーを教えた人、それは影山だ……あんまり認めたくないけど、影山のサッカースキルは祖父ちゃんを上回っている。裏工作ありと言えども帝国学園40年間無敗神話を築き真・帝国学園を創り上げオルフェウスの監督としてフィディオ達に世界の猛者達を相手に攻略法があると色々と教えている。その後にアースイレブン云々からして監督として一番上に位置する存在だ。

 

「嘗て私にサッカーを教えてくれた人は、サッカーをとにかく知り尽くしている人でした。強者を探し選び抜き弱者はふるいに掛ける、選ばれた強者には勝ち方を教え敗北がどれほど屈辱的なのか……今でも私はその方を尊敬しています」

 

「そんなスゴい人が」

 

「ですが……ですがその人は唯一、サッカーが楽しいものだと教えてくれませんでした」

 

「……どういうことですか?それは一番最初に教えるものでもあり教わるものではないのですか?」

 

 サッカーが楽しいものだと教えてくれなかった、趙金雲は素直にそれを告白した。

 それを聞いた鬼道は少し腑に落ちない点、と言うよりはそれだけが教えられない優秀なサッカー指導者について1人だけ心当たりがあるとサッカーが楽しいものだと言うサッカーをする上で一番最初に教わるものを教わっていなかった事について聞いた。

 

「そのままの意味ですよ。私は数々のサッカー技術を教わりましたがそれだけは教わっていないですしその人はそれだけは教えられなかった。その人はその事すら自覚をしていない、いえ、忘れてしまったんですよ」

 

「……金雲さん、その人は」

 

「失礼、不動くんから電話が……え!エイリア学園がやってきたですと!?」

 

 その人の正体について聞こうとすれば金雲さんのスマホに電話が入った。

 不動から電話がかかってきたが何事かと思えばエイリア学園がやって来たのだと言うとんでもない爆弾、エイリア学園側がなにかしらの動きをしてくるのは予測していた……原作的に言えば次は真・帝国学園だが鬼瓦さんが言うには影山は国外逃亡したっぽい。だから大阪に行く感じだが……エイリア学園側からの襲撃は予想外だ。

 夏未と鬼道以外は休めと言われた約束通り休んでいる。金雲さんが渡したスーパー銭湯に行っているからスマホを鳴らしても出ることは早々に無いから仕方がないと俺と夏未と鬼道と金雲さんで帝国学園に向かった。

 

「はっ!ようやくおでましか!円堂守!」

 

「……誰だお前等?」

 

「俺の名はバーン!エイリア学園、マスターランクチーム!プロミネンスのキャプテン!そしてこいつらはプロミネンスの面々だ」

 

 顔は知っているけれども初対面なので誰だと聞けばプロミネンスのキャプテン、バーンとプロミネンスのチームが居た。

 おい、まだイプシロン倒してねえぞ。多分、イプシロン改になって帰ってくるだろうから大阪のナニワ修練所で鍛えねえと話にならない。

 

「あ、キャプテン!こいつらがキャプテンを出せって」

 

「お前の噂は聞いている……見せてもらおうじゃねえか!雷門の守護神と言われた男の力をよ!」

 

「お前さ、コレ見えないのか?」

 

 来週辺りにチェーンソーでウィーンとギプスを切断する予定だけどまだ腕が完全に治っていない。

 一応は足腰の鍛錬はしているがGKの唯一の特権、手を使ってボールに触れることが出来る事が出来ないんだ。

 

「エイリア学園の情報をナメるな。お前の腕は殆ど治りかけだ……病院の予定に合わせているだけで、そのギプスはもう取れる」

 

 バーンは既に腕は治っていると言うが……感覚的に言えば治っているとは思う。

 ただ骨とかそういう部分だから大事を取って休んでいるところがあるし病院の予定にも合わせている。だから来週辺りにギプスを取る予定になっている。

 

「まぁまぁ、待ちなさい。円堂くん……バーンくん、と言いましたね。貴方達はエイリア学園マスターランクチーム!それは単純に考えてあのイプシロンよりも強い!と言うことですね?」

 

「ああ、当然だ!俺達プロミネンスこそエイリア学園最強のチームだ」

 

「困りますね、もっとこう段階を踏まないと。次にイプシロンを倒してそこで貴方達が登場してもらわないと」

 

「はっ、おっさんの予定なんて知るかよ!」

 

 どうしたものかと考えていれば金雲さんが間に入った。

 イプシロンを倒してから登場してもらわないと困ると言ったがバーンはおっさんの予定は知らないと切り捨てる……

 

「俺の力を見せればいいのか?」

 

 一応取ろうと思えばギプスは取れる。ただここ最近はまともに腕を使っていないから弱体化はしている。

 バーンの必殺シュートを受け止めれるかどうか若干だが自信が無い。ダイヤモンドロードは出来るがダイヤモンドハンドは出来ないと思う。イプシロン云々の段階でのプロミネンスだ、ハッキリと言って勝ち目は0だ。だからバーンに満足をして帰ってもらうしかない。

 

「ああ、見せて」

 

「ダメよ!治っているかもしれないけど万が一があったら……治りかけの時やリハビリを無視して過度な練習して選手生命を失ったスポーツ選手は何百人も居るのよ!円堂くんは」

 

「ええ、ダメです」

 

 バーンが見せれば帰ってやると言おうとするが夏未がダメと言った。

 リハビリもしていないし治ったと確定したものでもない、それで選手生命が縮んだり断たれる可能性はある。幾らエイリア学園が相手でもと夏未が断ろうとすれば金雲さんもダメだと断り、バーンはプロミネンス用のエイリア印のサッカーボールを踏んだ。

 

「おいおい、断るのか?だったら」

 

「いえいえ、このままだとそちらの方達が出番が無いではないですか。バーンくんが必殺シュートを決めて円堂くんがそれをどうするか見に来ただけになります」

 

 断るのならば今までのエイリア学園と同じく学校を破壊する、そう動こうとしたが金雲さんが他のプロミネンスの出番が無いと指摘する。プロミネンスの面々はこのまま行けばバーンと俺が1vs1の勝負をするだけだし確かにと納得をする。

 

「なにが言いたい?」

 

「普通に試合をしましょうよ」

 

「なっ!?」

 

「ハッ!意外と物分かりのいいおっさんだな!」

 

「ただし……幾つか約束してほしいのですよ」

 

「約束?」

 

「ほら、私達今、打倒イプシロンを掲げていて必死になって頑張っているのです。ここで円堂くんがボッコボコにされて敗北し何時もの様に学校を破壊されてしまえば、バックアップチームがサッカーをする設備を失ってしまいます。今のところの方針として打倒イプシロンなので負けても学校を破壊しないでほしいのです」

 

「……それぐらいなら別に構わねえ」

 

「それともう1つ、公式なルールに則りましょう。エイリア学園はサッカーというもので優劣を競っていますが非公式な試合で本来は事前に登録していない選手なのに試合に参加すると言う事が何回かありましたので……途中で他のマスターランクのチームが加入したら正直困ります」

 

「はん!彼奴等に力を借りる必要なんざねえよ!!」

 

「では、試合は成立ということで」

 

「待ってください!!」

 

「木野!」

 

 試合が成立したということで試合をすると決めるところで木野が現れた。

 趙金雲がパワーアップするにはここに行けばいいのだと言っていたが、もうパワーアップすることが出来たのか!?

 

「……木野さん、ナイスタイミングですね……では、試合は成立ということで」

 

 木野が戻ってきたのを見てとても嬉しそうな笑みを浮かべる。

 木野がここに戻ってきたという事はパワーアップして帰ってきたということだろうが金雲さんはまた色々と考えている…………

 

「金雲さんさ、何やるかは前々から聞いてるけども……汚え大人だな」

 

「ホッホッホ、処世術と言ってほしいですね」

 

 今から何をするのか、エイリア学園は何故か帝国学園を襲撃してこなかったが襲撃してきた場合のプランは事前に用意している。

 文字通り戦いをする前から敗北を成立させている。戦術としては立派だがかなり汚えなと思う。

 

「鬼道くん、夏未さん、ちゃんとベンチで見ていてくださいね」

 

 バックアップチーム

 

 FW シャドウ 佐久間

 

 MF マックス 少林 半田 不動

 

 DF 栗松 西垣 五条 風丸

 

 GK 木野

 

 ベンチ 円堂

 

 プロミネンス

 

 FW バーン サイデン ネッパー

 

 MF ボニトナ レアン ヒート ボンバ

 

 DF サトス バクレー バーラ 

 

 GK グレント

 

「って、おい!!なんでお前ベンチなんだよ!!」

 

「……バーン!お前が木野からゴールを奪ってみろ!そしたら俺が出てやるよ!」

 

 俺がベンチスタートなことについてバーンは当然文句を言う。

 GKとして出てこいと言いたいから木野からゴールを奪えと、そしたら出てきてやると軽く挑発をする。プロミネンスはそっちがそういう態度ならば木野を徹底的に潰してやると鋭い眼光を光らせている。

 

「あの……ホントにいいの?私と鬼道くんを控えに入れなくて」

 

 ベンチに座ってはいるが控えとして選手登録をされていない夏未と鬼道。

 他のメンバーに来てもらう的なことも考えていたが金雲さんが渡したスーパー銭湯が地味に距離があるのでどう頑張っても物理的に帝国学園に来れないと判断し、せめて自分達でもと考えていたが金雲さんは夏未と鬼道を入れなかった。

 

「皆さん!バーンの必殺シュートをパワーアップして帰ってきた木野さんがどうにかしてくれます!カウンターで攻めましょう!」

 

「…………」

 

 木野がパワーアップして帰ってきたからバーンの必殺シュートを止めてカウンターで攻める、作戦としては極々普通だ。

 なにをするのかを大体は知っているのでなんとも言えないが鬼道は金雲さんがなにか狙いがあるのか?と裏があるんじゃないのかを疑った。実際のところ、裏があり……それに関してあんまりやりたくないという思いはバックアップチームにはあるが、イプシロンがナメた真似をしてやっと引き分けに終わった。そしてその上のチームが現れた以上はそれをするしかない。

 ボールもコートもくれてやると木野をさっさと潰して俺を引きずり出したいバーンは見下しているが……もう既に色々と嵌められている。

 

「さぁ、バックアップチームのキックオフです!っと!なんと!!」

 

「なんだと!?」

 

 シャドウがキックオフのキックを、ボールにほんの少し足を当てた。それと同時に動き出す。

 右サイドに寄っている選手は右のフィールドラインに、左サイドに寄っている選手は左のフィールドラインに立った。

 

「どうした!バーン!お前の自慢の必殺シュートで木野から点を取るんじゃないのか!!」

 

 いきなりの出来事で受け入れることが出来ないプロミネンスの面々に俺は叫んだ。

 それを聞けばネッパーがボールを取りバーンにパスをしバーンは前線に駆け抜けていき……木野との勝負に入った。

 

「アトミックフレア!!」

 

「っ!デザームのグングニルよりも強いわ!!」

 

 バーンが放ったアトミックフレア、デザームのグングニルよりも強いのだと夏未は驚愕する。

 

「木野!無理はするな!」

 

 今までエイリア学園との戦いと言う名のリンチで大怪我をした選手は多く居る。

 鬼道は木野もその1人にならないようにシュートを止められないのだと判断すれば逃げてもいいと言おうとするが木野は拳を握ると木野の背後に虎が出てきた。この技は……まさか、木野が会いに行っていたのはあいつなのか!?

 

「ゴッドハンド・タイガー!!」

 

「なんだと!?」

 

「全員、前線に出ろ!」

 

 途中までは正義の鉄拳を同じ流れだが最後の最後に巨大な拳ではなく巨大な虎が出てくるGK技、ゴッドハンド・タイガー。

 バーンのアトミックフレアは木野が新たに会得したゴッドハンド・タイガーとぶつかり合っては互角の勝負を繰り広げ……バーンのアトミックフレアを破り、ゴールを守った。

 

「ちゃんと必殺技を……」

 

 ゴッドハンドをベースにし、魔神以外のなにかを出してゴールを守るGK技。

 元々正義の鉄拳は使えていたがパンチング技でプロトコル・オメガの時に大振りが原因で弾いた後に誰かが競り合いに勝って即座にシュートを決めれば突破出来るという攻略法を見出されているから使うのを極力避けていた。

 ゴッドハンド・タイガーと言う新しい技に昇華させた。

 

「もう1度だ!ネッパー!ボールを寄越せ!」

 

「ああ!!」

 

 俺がどれくらいの実力なのかの確認をしに来たのだがまさかの木野と言う想定外の相手が出てきた。

 コレは間違いだとバーンはもう1度アトミックフレアを撃ってやるとネッパーからボールを貰えば審判が笛を吹いた。

 

「プロミネンス、オフサイド!!」

 

 プロミネンスはオフサイドをとってしまった。

 バーンが熱くなって周りが見えていなかったがGKを勤めている木野以外は前線に出ている。当然、オフサイドになる。

 

「不動くん!もう分かりましたので後はお任せしますよ!」

 

「っち……」

 

 オフサイドとなったのでバックアップチーム側のボールから始まる。

 金雲さんは色々と出来たから後は当初の予定通りに進めてくれと言えば不動は不機嫌そうにした。そりゃそうだと俺は思ったが不動は感情論だけで何もかも動くタイプではない。性格は酷いところがあるものの知性を宿している。

 

「さぁ、不動からのキックです!」

 

「イグナイトスティール!!」

 

 不動からのキックオフでスタートし、不動は風丸にパスを出した。

 ボニトナがイグナイトスティールでボールを奪いに行き風丸はボールを奪われた。

 

「よし、今度」

 

 今度こそアトミックフレアで決める。さっきと違ってオフサイドも警戒をしている。

 そんな中でホイッスルが鳴った。何事かと思えばイグナイトスティールを受けた風丸は倒れており起き上がらない。

 

「っち、雑魚過ぎるだろう!!」

 

 風丸は負傷した。なので帝国学園側が担架を持ってきて風丸を乗せた。

 

「バーン、むしろ都合が良い。コレで円堂守を表に出せたのだから」

 

「……」

 

 ヒートが俺を表に引きずり出す事が出来たのだから都合が良いとバーンに言う。

 バーンは一旦頭を冷静にし俺を見てくる。金雲さんがチェーンソーを取り出して腕のギプスを切断した。

 

「円堂くん、後で銭湯に行ってくださいよ。臭いです」

 

 ギプスを外せば悪臭がする。金雲さんがスーパー銭湯のチケットを見せてくるので後で行かないと行けないなと思いながらも風丸の代わりとしてフィールドに入る。

 

「まだ木野からゴールを奪うことは出来てねえんだ!俺がGKに入るわけにはいかねえな!」

 

 GKとしてでなくDFとして入ることについてプロミネンスのメンバーの何名かは疑問を抱く。

 木野からゴールを奪うことが出来ていないという最もらしい理由を述べる……そしてここから始まった。

 

「レフェリー!」

 

「タイム!」

 

「ストップ!」

 

 マックスが、西垣が、シャドウが、佐久間が担架で運ばれていった。

 物凄くド派手なプレイはしていないものの、プロミネンスの選手と接触して負傷退場をするのだが……バーンは、いや、プロミネンスは気付いた。そしてその時には全てが終わっていた。

 

「いや〜残念です!プロミネンスの皆さんを頑張って倒したいのですがこうも負傷退場が続けば試合そのものが続行出来ません!バックアップチームが試合そのものをすることが出来なくなったので我々の負けです」

 

「て、テメエ!!こんなのが認められるわけ」

 

「認められるもなにも、彼等が負傷退場してしまったのですからどうにもなりませんよ」

 

 そう、わざとだ。プロミネンスの選手と接触するプレイをしてわざと負傷退場した。

 バスケで言う5ファウルを狙ってでなく、自分達が負傷退場をすることにより試合そのものが出来ないのだと負けを認めるというなんとも情けないやり口であり当然途中でバーンは気付いた。

 

「こんなの無効だ!!」

 

「いやいやいや、無効もなにも公式戦じゃないんだからさ……約束通り試合はしたし、負けちゃったけども学校は破壊しないでくれ」

 

 こんなのは認められない、認めないとバーンは叫び無効試合だと言うがコレは公式戦じゃないから異議を唱えても意味は無い。

 約束通り試合はしたし俺もフィールドに出た。しかし負けてしまった。だが、バーンは例え俺達が負けたとしても学校は破壊しないのだと宣言をしている。

 

「ふざけんな!!テメエらそれでもサッカープレイヤーか!!」

 

「地球侵略に来ている宇宙人に言われたくねえよ……ん?」

 

 一応は試合続行不可になったのでプロミネンスの勝利だが、このままだとバーンが帝国学園を破壊する可能性がある。

 怒りに身を任せる行為をしたらどうするかと考えていればエイリア学園のボールが舞い降りて1人の選手が現れた。

 

「ガゼル!」

 

「バーン、作戦に関係無い行為を取って……エイリア皇帝はお怒りだぞ」

 

「……やはりまだまだ居るみたいですね。どうします?今度は貴方達が雪辱戦を果たしますか?」

 

「ふん、その手には乗るか」

 

 現れた選手はダイヤモンドダストのキャプテンを務めるガゼル。

 バーンの勝手な行動を前に怒っているのだが金雲さんが挑むのかを聞いてくるがガゼルはその手には乗らないのだと引いた。プロミネンスの面々とガゼルは消え去った。

 

「……円堂くん、知ってたの?」

 

「木野が戻ってきたのは予想外だけど……エイリア学園の襲撃に対するマニュアルは金雲さんは直ぐに作ったぞ」

 

 エイリア学園にどれだけチームがあるとかそういうのが全く分かっていない。

 ジェミニストームが暴れて各地のサッカー強豪校を倒して有名選手を病院送りにし、そのジェミニストームを倒したと思えば自分達はセカンドランクのチームでファーストランクのチームがあるとイプシロンが出てきた。そしてそれ以上や他にもファーストランクのチームがあるかもしれないと金雲さんは考えて対抗策を考えた。

 その対抗策とは、エイリア学園にわざと負ける策だ。こちらから出向く場合は挑む側なのでどうしようもないが、エイリア学園側が襲撃をしてきた場合、色々と適当な理由をつけて負けても学校を破壊しないでくれと約束を取り付ける。そしてこちら側の審判が相手チームとの接触プレイがあればホイッスルを鳴らして負傷退場の手続きを取り、人数が足りないので負けですと負けを認める。

 

「夏未さん、鬼道くん、貴方達にもサッカープレイヤーとしてのプライドがあるでしょう。この作戦はハッキリと言えば気に食わないと思うのならば気に食わないと思ってください。しかし、私は監督です。勝てないと分かっている相手に挑ませて選手を潰すのはあってはならないこと」

 

「「…………」」

 

「それになにも悪いことだけではありません。皆さん、分かりますか!」

 

「なにがでヤンス?」

 

「パワーアップして帰ってきた木野さんは新たにゴッドハンド・タイガーなる必殺技を会得し、イプシロンよりも強いプロミネンスのキャプテン、バーンの必殺シュート、アトミックフレアを防ぎました!つまりは、我々は努力してパワーアップすればプロミネンスと対等に戦えるのです!!」

 

 勝てないと分かった相手にわざと負ける。その過程で相手の能力の確認とかも出来たが今回はしなかった。

 代わりに木野がパワーアップして戻ってきた、特訓してパワーアップすればイプシロンよりも上のチームと戦えると言う心の余裕を手に入れた。コレで努力しても努力してもそれを遥かに上回る敵の登場で心が折れる可能性が大幅に減った。

 

「……ところで夏未さん、理事長と話す時間はありますか?」

 

「お父様になにか?」

 

「先ほどのガゼルと言う子の登場やバーンの発言から見て、エイリア学園マスターランクのチームは複数存在している。今は打倒イプシロンを目標にすればいいですが、イプシロンを倒した場合は次に彼等が出てくる。バックアップチームもいざという時に雷門中を追いかける事が出来る様に準備を。流石に大阪とかに移動するお金は持ってませんので」

 

 その辺って財前総理に頼んで金を出して貰えねえのか?一応は日本の一大事だぞ?

 プロミネンスの脅威を汚い大人の対応で上手く切り抜けた……後でプロミネンスの存在を雷門中のメンバーに伝えれば案の定、目に見えて落ち込んだ。イプシロンを倒してもまだ敵が居るという恐怖があった……が、届かない世界じゃないのだと分かれば前向きになった。

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  • 出来たら即座に出せ
  • 10話ぐらい溜め込んで毎日1話ずつ出す
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