教祖様になっちまったぜ   作:アルピ交通事務局

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冬は去れどもまた来たる……え、もう来たの?

 

「皆、サッカーやらないか?」

 

「またかよ、砂場をスライディングなんて出来るわけねえだろう」

 

「そっか……」

 

「ドッジボールの方が安全だって先生も言ってるんだし、円堂めっちゃ強いじゃん」

 

 相変わらずと言うべきか、サッカーの地位が低い。

 今日も今日とてクラスメートをサッカーに誘ってみるのだがサッカーよりもドッジボールがいいという。あまりにもドッジボールの地位が高いので調べてみたらなんかスポーツをする楽しみとかを知る為にドッジボールをやらせるという政府の教育方針があった。

 

 スポーツなんて楽しいかめんどくさいかのどっちかに分かれるんだから、無理にやらせなくてもいいんじゃないのかと思うところはあるにはある。現に前世だと俺、スポーツそんなに好きじゃなかったし。今は円堂守になった使命感もあるけど純粋にサッカーを楽しむ事が出来ているから問題無し。

 

「あいつら、17年後とか色々とヤベえ事になるんだけどな……」

 

 友達付き合いも大事なのでドッジボールに参加する時もあれば参加しない時もある。

 出来れば学校の授業でサッカーをやってほしいと思うけども学校の授業はあくまでも授業なので本気を求めてはいけない。十数年後に色々と混沌としたサッカー至上主義の世の中が待ち構えているので今の内にサッカー力を鍛えておいて損は無いんだ。

 

「守くん、待った?」

 

「ううん、全然待ってねえぞ」

 

 今までならば1人だったけれども、ここ最近少しだけ変化が訪れた。

 具体的に言えば小野冬花がサッカーの相手になってくれる。なにを思ったかは知らねえけども、一緒にサッカーをしたいと言ってくれた。

 サッカーは1人でやるものじゃない、11人でやるものだ。1人でどれだけ頑張っても11人の力には及ばない。

 

「さぁ、来い!」

 

「うん!」

 

 俺は本職はGKを目指しているのでグローブを手につけて構える。

 こうバレーボールを発射する装置のサッカーボール版の装置が存在しているが子供じゃ絶対に買うことが出来ない金額だった。生きたサッカーボールのシュートを受け止める事が出来なかった。タイヤ特訓はまだしてない。アレはまだ早すぎる、もうちょっと基礎を高めてからじゃないと体を壊しそうだ。

 

「えい!!」

 

「とぉっ!!」

 

 必殺技でもなんでもない普通のシュートをキャッチする。

 飛んでくるボールに対する恐怖心なんかは不思議と全然無い。毎日毎日ボールに触れているからボールに対する心の壁が薄れていっている……が、油断は禁物だ。なにせコレから炎を纏ったボールや氷に包まれたボールを相手にしないといけない。冷静になって考えてみれば恐ろしいにも程がある。

 

 けど、それでも最近はサッカーをするのが楽しいと感じている自分が居る。

 使命感とかじゃなくて1日づつ成長を感じ取れる自分が居る。やっぱりこう、目に見えての成長とか必殺技の存在は割と重要だったりする。

 

「気を集中させて……一気に捻り出──へゔぁ!?」

 

「ま、守くん大丈夫!?」

 

「だ、大丈夫だ…………やっぱりまだまだだよな」

 

 いい感じに小野のシュートをキャッチする事が出来ている。

 コレはもしかしたらイケるんじゃね?と淡い期待を抱いた俺はゴッドハンドに挑戦してみようとするのだがうんともすんとも言わない。まだまだ精進が足りない。

 

 お腹にモロにシュートが入ったが普段から腹筋も鍛えているので小野のシュートで痛みは感じるけれども直ぐに立ち直る事が出来る。

 サッカー選手は色々なところを鍛えておかないといけないなってのがよく分かる。

 

「いくね」

 

「お、そう来るか」

 

 シュートを撃つと見せかけてドリブルで攻め込んできた。

 俺はGKなので手を使ってボールに触れてもいいが、それだと他のポジションの特訓にならない。DF、MF、FW、どのポジションも出来ないといけない。全部のポジションを完璧にこなせるとか普通に憧れる。

 

 右に重心をズラして右に移動する小野。

 その動きは見えていたと小野の先回りをしてボールを奪い、攻守逆転だがここからが厳しい。小野のディフェンス力、地味に高い。俺と一緒にサッカーをやり出してからそこまで時間が経過してないのに突破するのが困難だ。

 

 多分女性のサッカー選手になったらDFになるんだろう。なんかゲームでもそんな感じだった。

 中々にいいディフェンスをしているが、負けていられない……今だ!

 

「もらった!」

 

「きゃ!」

 

「あ、悪い」

 

 小野の僅かな隙を見つけてパワー溢れるドリブルで突破をすれば小野は尻餅をついた。

 遊びでやっているサッカーで女の子である小野を怪我させるわけにはいかないと熱くなった心をクールに落ち着かせ、小野の手を握って起き上がらせる。

 

「ごめんな」

 

「ううん、悪いのは私の方。守くんの本気に全然ついてくる事が出来なくて…………邪魔、かな?」

 

「全然邪魔じゃねえってばよ……悪いな、付き合ってもらって」

 

「私が好きだからやってるの……1度でいいから守くんのシュートを受けてみたいな」

 

「いやいや、危ないってば」

 

 まだ必殺技の領域に届いていない普通のオーバーヘッドを使うわけにはいかない。

 そもそもで小学生の時点でオーバーヘッドを決めれるのがスゴいのだがそこは超次元サッカー、必殺技でもなんでもないオーバーヘッドはある程度サッカーが出来る人ならば誰でも出来るとかいう前世が何だったんだって思うレベル。

 

 アレだよな。遊戯王とかポケットモンスターの世界ならば前世の記憶を頼りにオレTueeeeの無双が出来るけれどもイナズマイレブンの世界だと前世の記憶を頼りにする事は出来ない。というよりは前世の記憶が逆に邪魔になる。倒しても倒しても出てくる悪役が多いって結構しんどいぞ。玩具販売促進アニメならば前世と現実のインフレ・デフレの問題で知識無双とかが出来るんだけどな。

 

 イナズマイレブンの世界は1に努力、2に努力、3,4も努力、5にも努力。

 努力友情勝利がモットーな王道的なスポーツもの……超次元サッカーだけども。前世の記憶があって助かる事ってなんかあっただろうか?小学校の勉強を殆どしなくてもいいぐらいじゃねえかな。

 

「あ、この後体育だから……またね」

 

「おう」

 

 そんなこんなで休み時間が終わる。俺も教室に戻っては普通に授業を受けて給食を食べて放課後を迎える。

 

「さて、今日もやるか」

 

 日課になっている30分の持久走を行う。

 最初の頃はキツかった。そして今でもキツい。この手の基礎は何年も費やしておかないと成果を上げる事が出来ないタイプのものだからな。

 

「またお前か、円堂」

 

「久遠先生」

 

「1年生は既に下校しているんだぞ」

 

「とかなんとか言って途中見てましたよね?」

 

「……」

 

 放課後居残って持久走をしているので流石に久遠監督もとい久遠先生に顔と名前を覚えられる。

 1年生なんだからさっさと家に帰れという最もらしい事を言ってくるのだが、いきなり言ってくるのでなく俺が25分ぐらい走ってから言ってくる。

 

「これから上の学年が校庭を使う。それと今度滑り台の撤去と設置の工事を行う……暫くは校庭は使えない」

 

「え〜マジか……」

 

「河川敷にでも行ってこい。あそこならば100m以上真っ直ぐにもジグザグにも走れる」

 

「は〜い」

 

「返事をしたのならば早く帰るんだ」

 

 取り敢えずは30分の持久走をする事が出来たのでそれで良しとするか。

 久遠先生に帰れと暫くは校舎を使うことが出来ないと言われたので今度から河川敷で特訓するしかない。ランドセルを背負い、学校から家に帰ると今日は少しだけ早いわねと母ちゃんに言われる。最早俺がサッカー小僧である事を止めやしないんだな。

 

「守、早く帰ってきたならおつかいに行ってきてくれないかしら?」

 

「ん、分かった。なに買いに行けばいいの?」

 

 母ちゃんから買い物に行けと言われたので買い物に向かう。

 行き先は稲妻町の商店街……この商店街、イ◯ン的なのが並んだら潰れないのか若干だが心配だ。

 

「卵にパン粉……後は電池でおつかいは終わりだな」

 

 流石におつかいにサッカーボールを持っていくわけにはいかないので普通に買い物をするだけにする。

 メイド喫茶からスポーツ用品店まで数多くの品を揃えている商店街なので欲しい物は大体稲妻町で揃う。

 

「母ちゃん、夕飯なににすんだろ……コロッケ?とんかつ?メンチカツ?……」

 

 う〜ん、謎だな。

 パン粉と卵を買ってきてと言われたから買った物から夕飯を想像するけれども揚げ物ばかり。肝心なものがなにか分かっていないので夕飯の正体は分からない。コレで饂飩とかだったら逆に笑うな。

 

「あ、守くん」

 

「小野じゃん……学校の外で会うのははじめてだな」

 

 最後の電池を買いに行こうとスーパーを出ると小野と遭遇する。

 そういえばなんだかんだで学校の外で会うのははじめてだとボソリと呟くと聞こえていたみたいでそうだねと小野は頷く。

 

「守くん、なにしてるの?」

 

「ああ、母ちゃんからおつかいを頼まれてんだ。そういう小野はなにやってるんだ?」

 

「お父さん達と一緒にお買い物だよ」

 

「お父さん達と?母ちゃんとじゃなくて?」

 

「今日は珍しく休みを取ることが出来たからお母さんが連れ回してるの……荷物持ちとして」

 

 ああ……どんまいというべきか、残念というべきか。

 買い物の荷物持ちは男の宿命みたいなものだからなんとも言えないな。

 

「冬花、おまたせってその子は?」

 

「お父さん、この人が前に言ってた守くんだよ」

 

「そうか、君が守くんか」

 

 お父さんを憐れんでいるとお父さんがやってきた。

 小野がどんな風に俺を喋っているかは知らないけれども、紹介されたので挨拶をする。

 

「どうも円堂守です」

 

「そうかそうか。冬花から話は何時も聞いてるよ、なんでもサッカーが大好きな男の子だって…………円堂?」

 

 普通に挨拶をしたので悪い印象は持たれなかっただろう。

 小野から色々と聞いてるみたいで我が事の様に嬉しそうに笑みを浮かび上げるのだが俺の名字を思い出したのか聞いてくる。

 

「君、円堂って名字なんだよね?」

 

「はい。日本円の円に建物を入れる堂と書いて円堂です。遠いに藤って書いてる遠藤じゃないです」

 

「…………失礼だけど、君のお祖父さんは?」

 

「円堂大介です……俺が生まれるよりも前に死んだって母ちゃんから聞いてます」

 

「っ…………そうか…………」

 

 小野の父ちゃんは俺の名字や爺ちゃんの事を知れば表情をあからさまに変える。

 何処か悲しそうな顔をしている。言いたくても言えない事がある、そんな感じを醸し出している。

 

「もしかして爺ちゃんの事、知ってるんですか?爺ちゃん、昔はスゴいプロサッカー選手でスゲえ監督だって父ちゃんから聞いてるんです」

 

「え、お父さん守くんのお祖父ちゃんの事を知ってるの?」

 

 爺ちゃんの事を知っている素振りを見せたのでガンガンと聞いてみる。

 母ちゃん、爺ちゃんに関してあんまり教えてくれないからな。事故死したって教えてくれてるだけでそれ以外はなにも教えてくれない。いや、サッカー馬鹿だった事は教えてくれたのか。

 

「あ、ああ……円堂大介、プロのシステムが出来て間もなく出てきたサッカー選手で日本の守護神を務めていたよ」

 

「そっか……この辺、サッカー好きが全然居ないし爺ちゃんどころかJリーグすらまともに知らないって人達多いからなにも知らないんだ……爺ちゃんの必殺技ってやっぱ凄まじかったですか?」

 

「ああ。大介さんが使うゴッドハンドやマジン・ザ・ハンドは凄まじいものだった。まともに破られた事は無かった。現役を引退した後も……いや、この話はよそう。とにかくスゴいサッカー選手だったよ」

 

 全盛期の円堂大介、どんなものなのか知りたいな。

 監督としての全盛期はおそらくだけどクロノストーン編の時だろう。自分の思い描いていた最強の11人を鍛えていたからな。でも、選手としての全盛期が気になる。ゴッドハンドやマジン・ザ・ハンドでバリバリ活躍している爺ちゃん……なんで当時の資料が一切残ってねえんだろう。影山が原因だろうけども。

 

「そっか……ゴッドハンドにマジン・ザ・ハンド……」

 

 どっちもカッコいい必殺技だから覚えたいな。

 

「君は大介さんに憧れてサッカーを?」

 

「う〜ん、まぁ、そんなところ」

 

 最初は使命感みたいなのもあるけども今は純粋に楽しもうという心掛けをしている。

 俺はノブレス・オブリージュの精神はあんまり好きじゃない。高貴な人間、力を持っている人間は前に出ないといけない義務は無いと思う。せいぜいあったとしても力を持っている人間は力を持っているという事を自覚するぐらいの義務が大事だ。

 

「……サッカーは人を不幸にするって言ったら?」

 

「なに言ってんの?サッカーは笑顔になれて楽しいものでしょ。そりゃ負けたら悔しいとか思うけども、それは不幸とはまた違うよ……不幸ってのは幸せの味をよく知っているから感じれるものなんだ」

 

 負けた=不幸とは思えない。負けは自分が至らないところがあったから起きる事だ。運に左右されての勝利とかは俺は望んでない。

 やっぱり勝つのならば友情パワーとかもいいけれどもたゆまぬ努力で研鑽してきた自分の純粋な実力で勝ちたい。こう、感情に身を任せてカッとなってするパワーアップって聞こえは良いけども一歩間違えれば大惨事になってしまうからあんま好きになれない。

 

「そうか……イナズマ魂は引き継がれているのか」

 

「お父さん?」

 

「守くん、君は大介さんの様なサッカー選手になるんだね?」

 

「何時かは爺ちゃんを越える予定だけど、今は爺ちゃんレベルを目指してる」

 

「……きっとその道は困難だ。様々な不幸が訪れる……でも、負けるんじゃないぞ」

 

「うん……泥臭いかもしれないけど勝ってみせるよ」

 

 何時かは円堂大介でなく円堂守を越える……出来るかどうかは分からないけれども。

 円堂守を越えるのは恐ろしいぐらいに難しい事だけど、やってみたいという気持ちが芽生えはじめている。円堂守だからとかそんなんじゃなくて1人の純粋な人間として。

 

「じゃあ、俺ここで……また学校でな」

 

「うん、またね」

 

 そんなこんなで家に帰る。

 買い物は無事に終えたので母ちゃんに怒られるとかは無かった。夕飯はカツ丼で美味かった。

 

「……あの人、分かってるんだろうな……」

 

 俺の名字が円堂だと知れば表情を変えていた。

 俺の原作知識に間違いが無いのであれば影山の協力者だったけど影山が悪事を働いていたのを知った為に離反して爺ちゃん偽装死の手伝いとか国外逃亡の手続きをした協力者だった筈だ。

 

 そして…………近い将来、殺される運命にある。

 具体的に言えば影山が裏切った報いだと事故死に見せかけて殺しに来る……爺ちゃんといい夕香ちゃんといい小野さんといい事故率ヤベえな。もっとこう、薬とか色々とあるだろう……事故って事にしておけば何かと便利なんだろうけども。

 

「俺にどうしろって言うんだ…………」

 

 きっとコレが転生特典を持ったスゴい転生者ならばカッコよく原作ブレイクをするだろう。

 だが、俺にはなんにもない少しだけ電気関係が強いだけの極々普通の人間だ。国家資格ちょこっとだけ持ってるけども、それで人命が救えるかと聞かれればNOだ。かと言って影山が殺しにかかってくると言えば色々怪しまれる…………

 

「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…………」

 

 俺がめんどくさがらず自分を大事にしなければ救える命は確かにそこにあったが俺は諦めてしまった。

 未来を知っているのが此処まで残酷になるとは思いもしなかった……ホントに役に立たない原作知識だ。

 

 俺は自分の無力さを痛感しながらも日々を過ごし……夏休みに入った。

 予想通りと言うべきか、夏休みの宿題は一学期の漢字ドリルと算数ドリルだった。事前に漢字ドリルと算数ドリルを用意していたから後は自由課題だけになったので読書感想文を選択しヤフオク的なのに売ってある読書感想文を購入した。流石に興味無いどうでもいい本で感想文は無理がある。

 

「小野が居ない…………」

 

 夏休みが開けたら小野は居なくなってしまった。小野だけじゃない久遠先生もだ。

 きっと原作通りに事が運んで小野夫婦は小野の目の前で死んでしまい、担任だった久遠先生が引き取ったんだろう……折角出来た友達が居なくなったのは悲しい事だけど、原作通りに進んでいけば再び会うことが出来る……けど、俺との記憶は失っているだろうな。

 

 そんなこんなで1年が経過して2年生になる。

 2年生になったら風丸一郎太とクラスが一緒になった。意外と話が合う奴で、俺のサッカーやろうぜの誘いに乗ってきてくれてサッカーをやってくれる。サッカー仲間が増えてよかったと思っている。

 

「転校してきた久遠冬花です」

 

「……え?」

 

 めげずに頑張ろうと前向きになった3年生で小野が久遠冬花になって帰ってきた……マジで?




はい、ということで原作ブレイクをしておきます。折角の二次創作なんだからこれぐらいしとかないとね

投稿速度

  • 出来たら即座に出せ
  • 10話ぐらい溜め込んで毎日1話ずつ出す
  • 一気に纏めてから一気に出せ
  • 週一ぐらい
  • 自分のペースでいいぞ
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