教祖様になっちまったぜ   作:アルピ交通事務局

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強襲!イプシロン改!(後編)

 

「選手交代よ」

 

 染岡くんの武神連斬が止められ、源田くんのゴッドハンドトリプルが破られた。

 1−2と不利な状況になったのでこのままだと危険だと瞳子監督は私に作戦を伝えた。

 

「おっと!ここで選手交代!塔子が抜けて夏未が!小暮が抜けて風丸が入りました!」

 

「瞳子監督からは?」

 

 選手の交代を告げて私と風丸くんがフィールドに入る。

 ゴッドハンドトリプルが破られ染岡くんの武神連斬が止められている非常に危険な流れをどうにかして逆転させないといけない。

 

「ゴッドハンドトリプルの体勢は止めないわ。カウンターシュートにやられたけれど、グングニルやガイアブレイク単体では破られていない……油断をすればデザームがゴールから出てくる。そこを上手く利用したらゴールがガラ空きになる。なんとかして同点にする、そこが肝だけれど……」

 

「……デザームの紅蓮螺巌だな」

 

 鬼道くんがどういう風に動かすかについて聞いてくるので答えた。

 ゴッドハンドトリプルの体勢は辞めない。カウンターシュートの意表を突かれただけで、ゴッドハンドトリプルそのものは決して弱くない。今は1点さえ取り返せばなんとかなる状況で、ゴッドハンドトリプルの体勢を止めて普通に点を取られればその時点で勝ち目が消えかける。

 

 デザームのカウンターシュートについては攻略法はある。

 あの時、完全に意表を突かれていたからカウンターシュートを許したけれどカウンターシュートが出てくると分かった以上はデザームの警戒を怠らなければいい……既に2回も警戒を怠っている。でも、カウンターシュートと円堂くんの様に意表を突いて前線に出てくる、この2つ以外に出来ることはもう無い。

 

 デザームがどうにかして点を取るために前に出るとして、そこを狙えば点は取れる。

 でも、それはデザームがGKなのにゴール下から出ていくという常識じゃないプレイをするから出来るカウンターで1回しか通じない。その方法で点を奪う事が出来たとしても1点でデザームは次は出てこない可能性がある。

 

 そうなった場合、デザームの紅蓮螺巌を突破しないといけない。それが出来ないから厳しいわ。

 ……こんな時に、豪炎寺くんが居てくれたら……いえ、ダメね……こんな時だからこそ選手交代で入った私達が突破口を切り開く。

 

「さぁ、雷門からのキックオフで再開です」

 

「……」

 

 鬼道くんがボールを私にパスをする。

 ドリブルで駆け抜けていき実感する。イプシロン改はイプシロンだった頃よりも遥かに強くなっているけれども、それでも私は対等に戦えていることを。だからこそ最後の突破口が欲しい。

 

 イナズマ1号ならカウンターシュートに最適だけれど、カウンターシュートの練習を全くと言ってしていないのだから出来ない。

 ガイアブレイクと言う3人でする強力な必殺技をデザームはガニメデプロトンで返した。単純に考えてガイアブレイクよりもデザームのガニメデプロトンの方が上になるわ。

 

「ふっ、来たか!」

 

「いくわよ!はぁぁあああああ!」

 

 シュートチャンスを生み出し、私は気を溜めて魔神を作り出す。

 それを見たデザームは面白いと笑みを浮かべた。

 

「爆熱ストーム!」

 

「紅蓮螺巌!!」

 

「っ……」

 

 新しく覚えた爆熱ストームで対抗をするけれども、デザームは紅蓮螺巌で弾き返す。

 ダメ……世宇子との戦いで豪炎寺くんが見せていた爆熱ストームよりも威力が低い爆熱ストームじゃ点は取れない。

 

「まだだ!まだあるだろう!雷門中よ!貴様らは何処からでもシュートを撃ってくるのだろう!さぁ、私が全てを防いでみせよう!」

 

「っ……」

 

「雷門!俺にボールを寄越せ!!」

 

 デザームは私達の必殺技を全て真っ向から破ってみせると宣言をした。

 新しく覚えた爆熱ストームは豪炎寺くんには及ばないけれどもそれでも渾身の出来だった。それ以上となればオーバーライドか連係技で……どうしようと考えていると吹雪くんがボールを寄越せと言ってくる。

 

 デザームがシュートを全て破る宣言をしているけれども、ただ簡単にシュートを打たせてくれるわけじゃない。

 紅蓮螺巌はパンチング技で弾いた先に居た私がボールを拾ったけれども囲まれかける。ここは任せるしかないと吹雪くんにボールを渡す。

 

「うぉおお!!」

 

「エターナルブリザードではないだと?舐めるな!!」

 

 吹雪くんは背後に黒い靄を出しながらもノーマルシュートを決める。

 エターナルブリザードですらないシュートを見てデザームはあからさまに怒りを抱き片手でキャッチをするが直ぐに違和感を感じる。

 

「違う!こうじゃない……もっとだ……もっとだ……」

 

 吹雪くんがなにかを掴みかけている。

 後少しで答えが出せそうな中で前半戦が終了のホイッスルが鳴り響きベンチに戻った。

 

「くそ……全然突破が……はぁはぁ……」

 

「後半は染岡くんと音無さんを入れ替えるわ。夏未さんと吹雪くんが主軸に動くように」

 

「ちょっと待ってくれよ!まだ俺は」

 

「いいえ、限界よ……染岡くん、シュート以外でも化身を出したわよね?」

 

 イプシロン改と互角に渡り合えている一番の要因、それは染岡くんの化身だった。

 化身が持っている圧倒的なパワーのおかげでボールの奪い合い等の戦いを制している……けど、その分の反動がやって来た。

 

「化身は圧倒的な力を秘めているけれど、その分体力を多く使うわ……染岡くんの戦国武神ムサシは本来はシュート技の化身、それなのに染岡くんはブロックにもドリブルにも使っている……もうまともに武神連斬が使えないはずよ」

 

「っ、それは……」

 

 自分の体のことだから自分が一番理解をしている。

 染岡くんが化身を出しすぎて体力が底を尽きていて限界を迎えていてこの試合でもう使えないと判断し、染岡くんをベンチに、入れ替わりで音無さんが入る。

 

「お兄ちゃん……今、面白いことを1個思い浮かんだんだけど……」

 

「なにかあるのか?」

 

「オーバーライド……キャプテンの風神・雷神から思いついたの」

 

「アレはキーパー技だぞ?」

 

 円堂くんの風神・雷神からなにか打開策を閃いた音無さん。

 鬼道くんが風神・雷神はキーパー技で応用する方法は無いのだと言いたげだけれど音無さんは私の方を見た。

 

「キャプテンが魔神を作る基礎として最強さん召喚を教えてくれて……今の私なら魔神を作れるからもしかしたら」

 

「魔神を作れるとして、どうするつもりだ?夏未の爆熱ストームを軽々と弾いたのだぞ?」

 

「1人でダメなら2人で、2人でダメなら3人で……3人でダメなら4人でいく!キャプテンの風神・雷神・ゴーストを上回る4つの異なる魔神でのシュート!」

 

「私と音無さんは出せるけれど後2人は?」

 

「私も出せるよ」

 

 4つの魔神の力を使って攻撃するという作戦を閃いた音無さん。

 爆熱ストームの魔神は私が出せる。ナニワ修練所の特訓のおかげで魔神を出せる様になった音無さん、後2人はどうするのかと聞けば冬花さんが魔神を出せることを教えてくれる。

 

「3つの魔神じゃダメです!4つの魔神が必要です!」

 

「……監督!向こうはその気になれば何時でも点を取れる状態です!ゴッドハンドトリプルの方がゴッドハンドタイガーよりも上なのは承知ですが突破口を切り開く為に私を!」

 

 3つの魔神じゃダメだと言う音無さん。

 秋さんがこのままだと負けるのは確実だからリスクを取ってでも点を取りに行く様にしてほしいと頼み込む。

 

「最終的にはゴッドハンド・タイガーに収まったけど、魔神みたいなのは出せるよ!これで4人」

 

 本来はマネージャーである私達4人が魔神を出せる。

 バランスが上手い具合に取れている。このままなにもしないのは危険だと判断した瞳子監督は源田くんと秋さんを入れ替えた。

 

「ふふふ……そうだ!もっとだ!まだまだあるのだろう!」

 

 大胆に選手を交代したことで更に力を見せてくれるとデザームは笑みを浮かべる。

 4つの魔神を使ったオーバーライド、それを狙うしかない。

 

「土門!」

 

「ああ!」

 

 ボールをマキュアから奪った一之瀬くんは土門くんに声をかける。

 土門くんは前線に向かって走り出したと思えば秋さんも走り出した。

 

「ザ・フェニックスとやらか!来るがいい!」

 

「残念だけど、今回は違う!」

 

「なに!?」

 

 ザ・フェニックスを使うのだと気付いたデザームだったけれど狙いはそこじゃない。

 秋さんさえ妨害すればゴールはガラ空きになると秋さんを囲おうとするけれども秋さんは軽々と突破し、ボールは私に回る。

 

「皆、やるわよ!」

 

「新必殺技か!」

 

「「「「はぁああああ!!」」」」

 

 私が爆熱ストームを使う際の炎の魔神を作り出す。音無さんが水で出来た魔神を作り出す。冬花さんが風を纏う魔神を作り出す。秋さんが虎の魔神を作り出す。

 

「今です!夏未さんに魔神のパワーを!」

 

 4人の魔神が完成したことでそのパワーを私に注ぎ込む。

 感じる。3人の力を……この力ならきっと突破する事が出来るわ!

 

「いくわよ!……パラケルスシーズン!!」

 

 私が夏で炎、冬花さんは冬で風、秋さんが秋で土、音無さんが春で水。

 季節と属性が見事なまでに調和していて互いに互いの長所を活かしている。4つの属性が絡み合い、無属性になる。

 

 確か四大元素を提唱した人が居た。その人の名前と私達の名前に肖った技。

 パラケルスシーズンを私が使えばデザームは満面の笑みを浮かび上げながら両手を構えた。

 

「紅蓮螺巌!!」

 

「いけ!!」

 

 これでダメなら、紅蓮螺巌を突破する事が出来る技は無いわ。

 デザームの紅蓮螺巌と私達のパラケルスシーズンがぶつかり合う。

 

「ぐっ、ぬぅ……まだだ!!」

 

「なっ!?デザームも回転した!?」

 

 ドリルだけを回転させていたデザームだけれど、それじゃ紅蓮螺巌は破られると気付いた。

 まだ足りないのだとデザームは察し、体をドリルと同じく回転させて威力を更に増幅させる……

 

「ぐはぁ!?」

 

「デザーム様!」

 

「ゴォオオオル!!デザームの紅蓮螺巌!マネージャー達の力を集結した新必殺技パラケルスシーズンが打ち破った!!これで2−2,同点だ!」

 

 パラケルスシーズンでなんとか紅蓮螺巌を破ることが出来た。

 ゼルが心配した声を上げるけれどもデザームは何事も無かったかの様に立ち上がった。

 

「点を奪われたか!ならば奪い返すぞ!」

 

「っ、はい!」

 

 点を奪われた事を悔しそうにするけれどもそれと同時に楽しそうに満面の笑みを浮かべているデザーム。

 日本の命運が関わっている試合なのにも関わらずデザームは試合を楽しみ、それに感化されてイプシロン改の面々も笑みを浮かべる。

 

「雷門イレブンよ、長い間私達が忘れていたものを思い出させてもらって感謝する……だが、それと試合は別だ!!」

 

「っく……」

 

 パラケルスシーズンは秋さんの魔神の力も借りないといけない。

 デザームの紅蓮螺巌をも打ち破ったのならばパラケルスシーズンは危険で、秋さんをマークされる。

 

 ザ・フェニックスを撃つと見せかけてのパラケルスシーズンだったからなんとかいけたけれど同じ手は使えない。

 パラケルスシーズン以外でデザームの紅蓮螺巌を破れる方法が無かった。

 

「「「ガイアブレイク改!」」」

 

「ゴッドハンド・タイガー!」

 

 ガイアブレイク改を秋さんはゴッドハンド・タイガーで受け止める。

 デザームのグングニルは常に警戒し続けていてカウンターシュートも警戒している。

 

 互いにGKが突破する事が出来る状況になった。それと同時に突破するにはGKがシュートに加わる事が前提となった。

 ゴールを空けた瞬間に点を奪われる。それはお互い発生した条件であり一進一退の攻防が続いていくけれども互いに突破口が切り開けない。

 

「おい!パラケルスシーズンだ!」

 

「吹雪くんじゃ出来ないわ!」

 

「違う!わかったんだよ!もっともっとパワーを注ぎ込めばいいってな!」

 

 ボールが吹雪くんに渡り残すところ後僅かな時間になった。

 パラケルスシーズンを使うと吹雪くんは言うけれども、パラケルスシーズンは絶妙なまでのパワーの調整と調和が必要になる。吹雪くんのパワーが悪いんじゃなくて上手く噛み合わないから使うことが出来ないと言えば吹雪くんはなにかに気付いた……

 

「吹雪くん、コレが最後のチャンスよ!!貴方が何を閃いたかは分からないけれど、貴方に託すわ!冬花さん、音無さん、やるわよ!」

 

「うん!」

 

「はい!」

 

 吹雪くんはなにかを掴みかけている。

 答えが出そうなところにまで来ていて後もう少しのところ。それが足りないって言うのならば後押しする。それに賭けるしかない。

 

「「「はぁああああああ!!!」」」

 

「っ……このパワーだ!このパワーならいける!!」

 

 私達が魔神を作り出して吹雪くんにパワーを注入する。

 吹雪くんは圧倒的なパワーを感じ取り最強さんを召喚すれば……最強さんが巨大化し形を作り上げる。

 

「豪雪のサイア!!」

 

「これは……吹雪くんの化身!!」

 

 今まで何度かそれらしいのは見えていたけれど、私達から魔神の力を受け取ったことで化身を完成させた。

 吹雪くんは笑みを浮かべてこれならばいけるとシュートの構えに入る。

 

「アイシクルロード!!」

 

「ここに来ての更なる進化か!面白い!……ならば私も新しい進化で応えよう!天元突破紅蓮螺巌!!」

 

 紅蓮螺巌のドリルを作ったと思えば自らも回転するデザーム。

 吹雪くんの化身、豪雪のサイアが放つアイシクルロードとぶつかり合い……徐々に徐々にデザームの回転速度が落ちていく。

 

「いきやがれぇえええええ!!」

 

 吹雪くんがそう叫べば天元突破紅蓮螺巌のドリルにヒビが入り砕け散った。

 デザームのドリルが壊れて吹雪くんのアイシクルロードを止めることが出来ずにゴールが入った。

 

「ゴォオオル!雷門中、遂に追い上げた!そしてここで試合終了のホイッスルが鳴り響いた!!雷門中、イプシロンを遂に倒した!!」

 

「クッククク……ハハハハ……ハーッハッハッハ!!」

 

「……吹雪くん?」

 

「染岡さんよ!あんたにしか使えない化身、俺も使えるようになった!あんただけのものじゃない!今ので完全に会得したぜ!」

 

 試合が終わり喜んでいる吹雪くんだったけど感情の矛先はベンチにいる染岡くんにだった。

 染岡くんにしか使えなかった化身を自分も使えるようになったと自慢気に語り豪雪のサイアを出したり消したりしている。

 既に私達が与えた魔神の力は無くなっている……吹雪くんは染岡くんと同様に完全に化身を使いこなせるところにまで至った。

 

「これでもう俺が完璧なエースだ。1人でデザームからゴールを奪ってやった……プロミネンスだろうがゴールを奪ってやるぜ!!」

 

 吹雪くんは化身使いになった事で最強になったと高揚している。

 これは力に溺れている、そういう風に認識したらいいのかと思ったけれどもその前にエイリア学園のサッカーボールが現れ……プロミネンスのキャプテンであるバーンが現れた。

 

「よぉ、随分とご機嫌じゃねえか……イプシロン如きを倒して頭に乗るなよ。次は俺達プロミネンスが相手だ」

 

「……バーン様」

 

「デザーム、情けねえな。イプシロン改なんて名乗ったのに負けちまって……敗者には罰をだ」

 

 バーンはそう言うとエイリア学園のサッカーボールを輝かせる。

 イプシロン改の面々とバーンは完全に消え去った……

 

「イプシロンの皆は……サッカーが楽しいって感じていたな」

 

「ええ……」

 

 最後の最後にイプシロンの皆がサッカーを楽しい、熱いものがあると感じていた。

 燃えると試合を楽しんでいた……わざわざここで特訓する時間を与えてくれたりしたし……エイリア学園はサッカーを通じて分かり合う事が出来るんじゃないのか、そう思ったけれども負けたことでイプシロンは罰を与えられた。

 

「で、どうすんだよ?ここにエイリア学園の手掛かりはあったけどもうもぬけの殻だろ?」

 

「……」

 

 試合や練習の時だけ性格が切り替わる吹雪くんが……試合が終わってこれからどうするかについて聞いてきた。

 性格が切り替わった状態のままで……落ち着いている静かな吹雪くんが消えていた……これは……大丈夫なのかしら?





 パラケルスシーズン 

 地水火風の四大元素を春夏秋冬が1つに纏めた必殺シュート。

 爆熱ストーム+マジン・ザ・ウェイブ+タイガードライブ+女神大陸

 のオーバーライド

 無属性 シュート 消費TP70 威力 120(世界への挑戦編) 普通 G進化

投稿速度

  • 出来たら即座に出せ
  • 10話ぐらい溜め込んで毎日1話ずつ出す
  • 一気に纏めてから一気に出せ
  • 週一ぐらい
  • 自分のペースでいいぞ
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