「っと、コレを置かなきゃな」
そんなこんなで東京に戻ってきた。
俺は雷門中サッカー部の看板を雷門中サッカー部に置いた……今まで色々な所に行っていたが、後1回だけで終わる。だからそれが終われば帰ってくるという意味合いを込めてだ。
「もうすぐ、終わるね……」
「ああ……悪かったな」
「?」
「選手として活躍したいとか純粋にサッカーしたいとかそういう思いは普通だし否定はしない。でも、負けたら学校を壊される試合に何時ものメンバー以外で挑ませ続けていて」
冬花がもうすぐこの戦いが終わることを心の何処かで安堵しているので俺は謝罪する。
1人の選手としてサッカーしたいのに気付けば日本の命運を背負っていた……負けたら敗北という屈辱とかを味わうだけならまだいいが、そうじゃない。負けたらその時点で色々な物が破壊される。そんなサッカーだ。
「選手として悩んだりとかそういうのじゃなくて、変なサッカーをやらせて……」
この戦いの後に起きる世界への挑戦編も裏でバカやっている奴が居るから純粋に楽しめない。
まぁ、俺はまだいい方だ。天馬達なんて負ければ色々な物が終わるサッカーを常にし続けている。天馬達にはのびのびとサッカーをしてもらいたいってのに。
「なんだ、そんな事を気にしてたの?」
「そんな事って、割と重圧だろう」
「守くんに比べたら大丈夫だよ……守くん、色々と慎重に気遣っているから守くんが潰れないかどうかの方が私にとって心配だよ」
気にしていたことが些細な事だと冬花は笑う。
割と重圧と言えば重圧な事は否定しないが俺と比べたら圧倒的に楽どころか、俺が潰れないかどうか心配をしている。
「サッカー関係で守くんが潰れているところ、見たことが無い……守くんはどうなの?」
「……祖父ちゃんが居てくれたらなって思ってる」
俺が潰れているところを見たことが無いが俺だって人間だ。
何処かで弱音とかそういうのを吐くがそういう姿を見た覚えが冬花は無い。だからこそ心配をしている……だったら少しぐらいは本音を話そう。
「お祖父さんが?」
「ああ……祖父ちゃんはプレイヤーとしても指導者としても一流なのは言うまでもない。でも、俺にとっては実はそこまであんまりピンと来ないんだ。実際にサッカーの手解きを受けたわけでも何でもないから。きっと気付いていないだけで大きなミスをしていたりするかもしれないとか色々と不安で、それを誰かがガツンと言ってくれる……俺に対してそれが出来るのはきっと祖父ちゃんだけだ」
円堂守でサッカーで世界の命運かけたりとか色々とヤバいことになっているわけで泣き言を言っている暇はない。
未来の知識を利用し徹底的に鍛え上げているが、あくまでもそれは俺だけだ……サッカーは1人では出来ないもの。例えGKは1人しか出来ないものだとしてもだ……ハッキリと言うが俺はサッカーに関しては素人なんだ。人に物事を教えるレベルで面白い人生経験を持っているわけじゃないし。
「時折、誰かが俺の手を引っ張って道を教えてくれないかなって思う時はある……自分の人生なんだから選ぶ権利は自分にしか無いけど、それでも先の見えない前を照らしてくれたらなって」
「守くん……手を出して」
「?」
甘えたことを言っている自覚はあるんだよな〜と心で思っていれば冬花が手を出すように言った。
なにをするんだ?と思えば冬花は俺の手を握った……特別ななにかはしない。冬花は俺の手をギュッと握った。
「今回の事件のせいで秋のフットボールフロンティアは中止になって……この戦いが終われば私達はマネージャーに戻る。選手としてもっと活躍したいからとかそういうのはあるけれどもマネージャーでいい……守くん、疲れたって思ったら強く握って。私は守くんみたいに引っ張ることは出来ないけど握り続けることは出来るから」
「……ありがとう、冬花」
周りの事を気をつけないとないといけないと色々と重圧をかけていた……実際、冬花が具体的になにが出来るかは分からないがその言葉だけで救われた。やっぱり男は女の尻に敷かれるぐらいの強さと弱さを兼ね備える程度でいいんだなと思う。
雷門中サッカー部の立札を戻したので俺達は帝国学園に向かった。
「円堂、なんか嬉しそうだな」
「そう……だろうな」
帝国学園に向かってまずはストレッチだとストレッチをしていれば風丸が俺が上機嫌なのに気付いた。
そうか?と思ったが冷静になって考えてみればそりゃそうかと直ぐに納得する。
「この紅白戦ってさ、色々と大事なもんではあるけど最高の試合だろ?」
エイリア学園の最強チームであるジェネシスに挑むためのメンバーを選抜する為の試合であるが、それだけだ。
そこに居るのは今の中学サッカー界最強とも言える面々だ……そんな奴等と最高の真剣勝負をすることが出来る。この上ない幸福だ。
「国の威信とかそういうのなら背負えるけど負けたらマジで終わるタイプの試合ばっか……そういうのを皆やり続けていて気付いていないだけで色々とおかしくなってる。そんな中でこういう最高の試合が待ち構えてんだ」
ホーリーロードの決勝戦でキャプテンになってから色々な事に、それこそ普通のサッカー大会じゃないサッカーの試合ばっか天馬は挑んだ。その結果、瞬木に言われるまで松風天馬本来のサッカーが出来なかった。今の俺達はそれと似たような状況になっていて、3日後に行われる試合はそういうのを一切考えなくてもいい純粋に楽しめる試合だ。
オリオンの刻印の汚い大人の事情が混ざり合っている世界大会と言う名のゴミじゃない。
「ここに居る奴は強い、そういうメンバーを選出しているから当然だ……だからより上を目指したいとか高みを目指したいとか思うことは極々普通の事だ。今までずっとチームに居なかった俺がなにかを言うのはお門違いに見えるがキャプテンマークを渡されているから1つだけ言っておく……最高の試合をしよう!」
「っけ、なにを言い出すかと思えばそんな事かよ」
「不動、お前な」
「何処の世界に負けたけどいい試合だったで受け入れる奴が居る?負けから得られる物はあるかもしれねえが、負けた事実だけは消せねえんだ……スポーツは勝つ為にやるもんだ。勝つから楽しいんだ」
「そりゃそうだろう……それを踏まえた上で最高の試合にしたい」
勝つから楽しい、勝てないからつまらない。それに関しては当たり前の事だ。
不動は悪態をついたりしながらも当たり前の事を言っている……風丸が少し色々と言いたそうにしているが……
「それで瞳子監督、どうするんです?」
全員のストレッチやアップを終えたのでサッカーの練習に入るが具体的には何をするかについて聞いた。
ここに居る全員がジェネシス戦に出れるわけじゃない……イナズマジャパンの選考試合は連係禁止だが今回は何でもありだ。
やるからには勝利を求めるので具体的にどうするのかを聞いた。
3日間でパス回しが上手くなるのかそれとも新しい必殺技や必殺タクティクスを覚えるのか、この3日を用いての練習メニューは幾つかあり瞳子監督はどれか1つを選ばないといけない。
※
「っち……」
「…………」
エイリア学園の本拠地こと星の使徒研究所のとある場所。
そこは雷門に負けたチーム達が入れられている収容所の様な場所である……流石に男女別であり福本作品に出てくる債務者の労働施設並に悪い環境ではない。
バーンとガゼルはオセロをしており、バーンは舌打ちをした。
オセロでバーンが負けたからではない、この場所に入れられていると言う意味合いを理解しているから。
インターネット回線は無いがオセロや将棋等のボードゲームはある。漫画等の雑誌も置いてある。だが……サッカーに関する物は一切置いていない。そしてサッカーに関する事が禁じられている。エイリア学園の人間として日本に宣戦布告をする面々である彼等は敗北した、敗北した者にはもう用事は無い。しかし殺すという事はしないのがエイリア皇帝の思想である。要するにただの用済み、使い捨てられた廃棄場だ。
「ガゼル……このままでいいか?」
「バーン……いいと思っているのか?」
プロミネンスは雷門に負けた、ダイヤモンドダストは雷門に負けた。そしてガイアことジェネシスは雷門に勝った。
この事実は変えられないものではあるがそれを受け入れる事が出来るほどに2人はまだ大人ではない。
「雷門側は25人以上居る。移動手段がバスと限られていてここに来るにはどうしても徒歩は出来ない」
星の使徒研究所は富士山にある。富士山を登るのに体力を使ってしまえば雷門は嫌でも弱体化してしまう。
「どうせ選考試合かなんかするだろ……そこをぶっ叩けば」
「プロミネンスだけでか?」
「…………」
「言いたいことは分かる。私も同じ気持ちだ。ダイヤモンドダストだけでどうにかしたい……だが、それが出来ないのが現実だ」
選考試合を終えてジェネシスに挑む最強のチームをジェネシスに挑む前に倒す。
そうすればエイリア皇帝からよくやったとの評価がもらえて色々とひっくり返るが、相手は文字通りのオールスターチームで挑んでくる。片方のチームで勝つことが出来なかった、その上でまともに練習する事が出来ない環境だ。挑めば確実に負けるだろう。
「……気に食わねえがやることは1つだ」
「ああ……炎と氷の力を1つにする……だが1つだけ問題がある」
「問題?」
「11人目を誰にするかだ」
バーンとガゼルは覚悟を決めて手を組むのだが11人目を誰にするか。
ベンチ登録を含めれば16人なので半分がダイヤモンドダスト、半分がプロミネンスと言う事は出来るには出来るのだがフィールドに実際に立つのは11人。どちらか片方が多く試合に出てチーム内に不協和音が巻き起こる。
自分達は力を合わせるしかないと割り切ることが出来ているが、それを全員が出来るかは無理だろう。
なにせ意図的にギスギスした空気になるような環境が作られていたのだから……そうなるとこの11人目というのが実に厄介だろう。
「面白い話をしていますね」
「「っ!?」」
2人で話し合いをしていれば面白い話をしていると1人の男が話しかけてきた。
グランもバーンもその男について知っている。その男は研崎、エイリア学園の皇帝の秘書を務めている男だ……顔は何度か合わせていたりはするのだが特に深い交流をしているわけではない。今の会話を聞かれていたと2人は焦る。
「まぁそう身構えず……若い時は誰しも失敗はするものです。貴方達は失敗をした、そして失敗から協力と言う手段を学んだ。ならばその場所を用意するのがこちらの務め」
「「……」」
明らかに胡散臭い、胡散臭いが上にチクられてなにも出来ないと言う状況にされるよりは圧倒的にマシだ。
2人は特に逆らうような素振りを見せずに話を聞いている。
「11人目を考えているのならば話は早い……彼を採用すればいい。彼ならば君達についていくことは可能で余計な争いにはならない」
11人目は彼だと紹介され、彼ならばとガゼルとバーンは飲み込んだ。
そこからは2人は動く。自分が率いているチームから誰をメンバーにするのか、そのメンバーに雷門を倒す為にチームの垣根を越えて協力することが出来るかどうか。1人1人と話し合い慎重にメンバーを吟味する……
「コレでよろしいのですね?」
「ええ、勿論です」
研崎はエイリア皇帝こと吉良星二郎にカオスと言う混成チームが生まれて独断で襲撃しに行こうとしている事を報告した。
その事について吉良星二郎は怒らない。怒らないどころかむしろやってくれた方が効率が良いと判断をしている。
「怪我による退場からの復帰はしたが弱体化している、それでも上澄みレベルの円堂守がGKでなくリベロにコンバートしたのは点を取る為に。現段階でネロから点を奪えるのはナカタのブレイブショットと豪炎寺の化身の爆熱ストームのみ。円堂守がGKでなくなり守備がやや手薄になったオールスターチームは防御よりも攻撃性を重視する。そうなれば単独でのシュートでなく複数人の必殺技もしくはオーバーライドを多用する……オールスターチームは強く何処からでもシュートを撃てると言う売り文句を作るつもりで、それは勿論強いですが守備力が圧倒的に低い。ベースとなっている雷門中はDFとして優秀な選手なのに、しっかりとしたストライカーが居るのに、後ろを守らず前線に出て点を取りに行き、守備が圧倒的に疎かになる。本来その守備を円堂守がフォローする……あのサッカーは円堂守がGKとして強すぎるから色々と成立している、そのおかげでオールスターチームもといベースとなっている雷門中は攻撃的なサッカーを可能としている。その彼を攻撃に参加させる以上は……バーン達には捨て石になってもらいましょう」
バーン達は負けた、負けたからメインの仕事に使うつもりは無いが他のことには使える。
吉良星二郎は見誤らない。オールスターチームはジェネシスと戦うことが出来るチームとして現れるのだから、バーン達を使って丸裸にしておく。
きっと瞳子は色々としてくるが、根本的な部分の解決が出来ていない。
それについて星二郎は見抜いており、それが本当に合っているかどうかの確認を含めてカオスを出陣させる。
※
「円堂くんをリベロにした以上は超攻撃的サッカーにします……そして方針ですが個人技でなく4人の必殺技を覚えるように」
「4人の必殺技?」
瞳子監督にどういう風にするのかを聞けば4人の必殺技をと言ってきた。
3人でやる必殺技でなく4人でやる必殺技……今のところはマネージャー4人のパラケルスシーズンしかないが……
「4人の必殺技は4人でやる必殺技ではなく、3人もしくは2人の必殺技を4人が出来るように……例えばツインブーストF、この技は豪炎寺くんのファイアトルネードと鬼道くんのツインブーストのオーバーライドだけれどツインブースト自体は鬼道くんと一之瀬くんでも可能で、一之瀬くん主体でも使える。ツインブーストFが来ると分かれば豪炎寺くんか鬼道くんのどちらかの動きが止められてシュートチャンスが潰される。そうなった場合、他の誰かが出来るようになる……仮に鬼道くんが抑え込まれたら一之瀬くんが豪炎寺くんと、豪炎寺くんが抑え込まれたら夏未さんと鬼道くんのツインブーストFと」
「個人技でなく連係技やオーバーライドのレパートリー増やすのでいいんですか?」
「出来れば個人技をと言いたいわ……壁山くんはボールを奪うまでは問題は無いけれど奪ってからの行動が遅くて単独ではまともに動けない。風丸くんはボールを奪って前線に出て行くのはいいけれどもパスを回さずに出過ぎていてDFの領分を超えている」
「うっ……」
「……いや〜、つい」
瞳子監督が出した答えは別のパターンでも連係技やオーバーライドを使うことが出来るようになれ、だ。
ゲームとかならドラゴントルネードを使うのにファイアトルネードを覚えている選手を登録しないといけない。ただそれはオーバーライドだからで、それこそデスゾーンとかツインブーストとかならばその辺の条件は基本的には無い。ただしここじゃ条件はある。
仮にイナズマ1号落としをしたければ俺と壁山と豪炎寺が絶対に必要になる。
イナズマ1号はそんなに難しい技じゃないし、ガタイが良いやつが必要ならば土方でも踏み台にする事が出来る。だが、ここじゃそれが出来ない。瞳子監督はそれが出来るように、文字通り何処からでも強力な必殺技を撃てる様にする方針に決めた。
どっちにしよう
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アフロディ(イナズマジャパン)
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アフロディ(ファイヤードラゴン)