「はい、おにぎり」
エイリア学園の本拠地である星の使徒研究所がある場所を教えてもらった。
各々が1日の休みを貰って、翌日、俺は母ちゃんに沢山のおにぎりを作ってもらう。
「もぐもぐ……やっぱ、米が一番だな」
「守……」
「なに?」
「無茶だけはしないでね」
「……そこは勝ってきてだろう」
おにぎりを食べて体に栄養を詰め込んでいると母ちゃんが無茶をするなと言う。
今から決戦が始まるってのに無茶をするなって、そっちの方が無茶だ。勝ってきてと頼むのが普通だろうと少しボヤく。
「だって、相手は」
「大丈夫だよ、母ちゃん……全部終わらせる」
おにぎりを食べ終えれば俺は肩掛けカバンを肩にかける。
きっとこのおにぎりがエイリア学園に挑む前の最後の食事だろう。今まで食べたどのおにぎりよりも美味い。
母ちゃんは俺を心配するけど、ここまで来た以上はやるしかない。
雷門中に集まればどうやら俺が最後みたいで、イナズマキャラバンの前には地上最強イレブンの皆が居た。
「キャプテンさんは重役出勤ですか」
「いや、時間通りだからな」
「不動の奴が一番最初に来ていたぞ」
俺が一番最後にやってきたので不動の奴が茶化す。
集合時間通りにやってきたことを伝えれば風丸が不動が一番最初に来ていたことを教えてくれる。中身は反逆児なのにこういうところはしっかりと几帳面なんだよな。
「どうやら全員、揃ったみたいね」
「……」
瞳子監督が全員が揃ったかどうかの確認をする。
イナズマキャラバンに乗るメンバーとそして今回、決戦に行けないメンバーが居た。俺は全員を見た。そしてイナズマキャラバンにつけている雷門中の立札を外した。
「円堂くん?」
「今回、選ばれなかった奴はスゲえ悔しいだろう……この戦いは1回キリの戦いだからな。お前達が俺達の背中を押してくれるなら、俺はお前達にコレを渡す」
急に立札を外したので何事かと驚く夏未。
最後の戦いに選ばれなかった奴は本当は自分が戦いたいって思いがある。それを我慢して俺達を送り出してくれる。だったら送り出して貰う俺達は必ずここに帰ってくると約束の証を、雷門中サッカー部の証である立札を染岡に渡す。
「随分とキャプテンらしくなったな」
「響木監督!」
染岡に託せば響木監督が現れた。
今の今までエイリア学園の動向なんかを色々と調べてくれていて久しぶりに再会を果たす。俺が染岡に立札を渡している姿を見てキャプテンらしくなってきたなよ響木監督は嬉しそうにし、褒めてくれる。
「響木監督、今まで何処に居たでヤンスか?」
「なに、エイリア学園の情報をな……俺がここにやってきた理由は1つ。瞳子監督、あんただ」
栗松が今まで姿を見せなかった響木監督が何をしていたかを聞けば情報収集をしていたと答える。
そして……話題は瞳子監督に切り替わる。
「お前は……エイリア学園のスパイか?」
「……」
「響木監督、どういうことですか!?」
「エイリア学園のトップに関する情報を掴んだ。彼女はトップの実の娘だ」
瞳子監督にエイリア学園のスパイかどうかを聞けば瞳子監督は黙った。
夏未がどういうことかについて聞けば、響木監督はどういうルートで情報を手に入れたかは知らないが、エイリア学園のトップと瞳子監督との関係性について情報を掴んでおり、瞳子監督を疑っている。
「確かに……私はエイリア学園と繋がりがあります」
「なっ!?」
瞳子監督はエイリア学園との繋がりがあることを否定しなかった。それどころか繋がりがあるのを認めた。
今まで一応は監督として信頼していた夏未は認めたことについて驚きを隠せないが、夏未がなにかを言おうとする前にアフロディが制止する。
「なにかあるんですね?」
「……」
「貴女はここまでチームを鍛え上げた。そしてエイリア学園の本拠地に乗り込もうとしている……そこでは紛れもなく最終決戦が待ち構えている……信じていますよ」
「!」
エイリア学園との繋がりがあるのを認めた瞳子監督になにかあるとアフロディは読んだ。
ナカタが今から最終決戦が始まるから今更疑うような真似はしない。信じている、ただそれだけを述べた。
「ったく、最後には信じてるだなんだ……そいつがスパイだったらどうすんだよ?」
「それならばとっくの昔になにか起こっているだろう」
ナカタの信じるという言葉を聞いて他の面々も信じるという事にするが、不動はその光景を見て呆れている。
本当にスパイだったらどうするんだという言葉に対して鬼道がそれならば既にと言う。今日までなにも起きていない、瞳子監督はチームを勝たせる為にここまでやってきた。
「じゃあ、行くぞ」
イナズマキャラバンの運転手の古株さんがイナズマキャラバンを発進させる。
向かうは富士山、日本一の山だ。何時の間にかイナズマキャラバンに星の使徒研究所の所在地が入っている。
「ここがエイリア学園の本拠地……」
そんなこんなで星の使徒研究所にやってきた。
豪炎寺がエイリア学園の本拠地に実際に足を踏み入れて警戒心を強める。
「豪炎寺くん、今更警戒しても無駄だと思うよ……向こうは多分、本気で僕達を迎え撃つつもりだよ」
エイリア学園は恐喝に近い妨害工作をしてきている。
相手の本拠地だから警戒心を強める事は当然と言えば当然だが、吹雪は無駄だという。エイリア学園は自分達を迎え撃つ為の準備をしている。
「ええ、その通りです」
「っ!?」
「ひ、人が浮いている!?」
「落ち着け、ただの立体映像だ!」
警戒心が強くなっていく中でエレベーターと思わしき所に乗れば、今回の事件の首謀者である吉良星二郎が現れる。
空中に浮いているので綱海が驚いているが、浮いている吉良星二郎は本物じゃない。立体映像として映し出されている。
「改めて、はじめまして。雷門中の諸君、私がエイリア学園を統べるエイリア皇帝の吉良星二郎です」
「随分と普通に挨拶をしてくるんだな」
「ええ、ここまで来たのならば余計な事はしませんよ……ただし、幾つかは貴方達に伝えなければならない事があるのでそれを伝えてからスタジアムに案内しましょう」
思った以上に普通に挨拶をしてくるので少し意外そうにする。
吉良星二郎はここまで来たのならば余計な事はしないという約束をした後に立体映像が幾つか映し出される。数年前に隕石が落ちたというニュースと、今まで戦ってきたエイリア学園のチーム、ジェミニストームとイプシロンの選手達の映像だった。
「数年前、とある場所に隕石が落ちました。その隕石は不思議な力を持っており、その隕石から放たれる光を浴びれば物凄い力を手に入れる事が判明しました。我々はそれをエイリア石と呼んでいます」
「……なにが言いたい?」
「円堂守くん、君ならばもう分かっているんじゃないのかい?……エイリア学園と呼ばれる学校等、最初から存在していない。エイリア学園の生徒達の正体は貴方達と同じ地球人で、エイリア石によって超常的な力を得た選手達だと」
エイリア学園の正体について明かす吉良星二郎。
雷門中の面々は動揺を……すると思ったのだが、大してリアクションを見せない。
「おや、思ったよりもリアクションが薄いですね」
「ドーピングした相手なら全国大会で戦ったッス!今更ッスよ!」
「うぐっ」
エイリア学園の選手達がエイリア石によるドーピングをした地球人だと分かったが、ドーピング相手は全国で戦った。
壁山は大して驚く理由にならないのだと言えばアフロディにとっては痛いことなのでグサリと胸に突き刺さった。
「それで、その強化人間を使ってどうするつもりなんだ?」
「ここまで来れば大凡は読めるでしょう。ハイソルジャーを使って日本を支配しようと思ってね……ガイア、いや、ジェネシスはエイリア学園最強のチーム!日本各地から集められた精鋭である今の雷門中を倒すことにより、ハイソルジャーを見せつけるのです!」
エイリア学園の目的は日本の支配、よくあるありふれた話だった。
日本中に力を示した。日本中にいる精鋭達が立ち上がり手を取り合った。そして地上最強イレブンが出来て、地上最強イレブンを完膚なきまでに叩きのめせばハイソルジャーの圧倒的な力を示すことが出来る。
「……おっさん」
「なんでしょう?」
「なんでサッカーを選んだ?」
ハイソルジャー化計画についてはとやかく言わず、俺はただ1つ、どうしてサッカーを選んだかについて聞いた。
チームスポーツなら他にもあるし純粋な殴り合いの競技もある。それでも尚、ハイソルジャー化計画に選ばれたスポーツはサッカーだった。
「サッカーである事になにか問題でも?」
「問題かどうかじゃない……サッカーをこういう風に利用するのは嫌だと思ってるから聞いただけだ。答えたくないならば答えなくていい」
「ならば、試合が終わった後に答えましょう……私の積年の憎悪を」
吉良星二郎がそういうと立体映像が消えた。
ウィーンと動いていたエレベーターは止まった。何処に出たと思えば……サッカーのフィールドだった。
「やぁ、待っていたよ」
エイリア学園最強のチーム、ジェネシスが待ち構えていた。
ジェネシスのキャプテンであるグランが軽くボールをリフティングした後に待っていたと言いこちらを見てくる。
「……あ〜……う〜……ん〜」
「どうしたんだい?」
「いや、なにを言葉にすればいいのかがわからなくてな……フィールドに細工とかそういうのはしていないなら、アップをさせてもらうが構わないか?」
「ああ、構わないよ。父さんが来るまでの間にアップを済ませなよ」
ジェネシスを前にしてなにを言おうかなと考えたが言葉が出ない。
ウルビダの一件とかじゃなくて、ジェネシスの面々にどういう風に言葉をかければいいのかがわからない。
アップを済ませていいかと聞けばしていいと許可を貰うので軽くストレッチをする。
「円堂、お前はなにか言いたい事があるんじゃないのか?」
ストレッチをして筋肉を解していれば風丸がジェネシスに対してなにか言いたかったんじゃないのかを聞いてくる。
「……あるかないかって言えばあるにはある」
「だったら、どうして言わないんだ?今の内に言っておかないと後で後悔するぞ?」
「いや……どうにも言葉が出なくてな」
吉良星二郎やジェネシスについて色々と言いたいことはあるにはあるが、言葉に出来なかった。
風丸は今から決戦が始まるのだから言わないと後で後悔すると背中を押してくるが言葉が出なかった。
「あのおっさんは、サッカーを選んだんだ」
エイリア学園側のベンチに監督として吉良星二郎が現れた。
ジェネシスの面々は喜んでいる。それは主従での喜びでなく親子等の家族の絆としての喜びだ。
「俺はスゲえ頭がいいわけでもないし、人を納得させる事が出来る言葉を持ってるわけじゃねえ……出来るのはサッカーと多少の電気工事だ」
「……」
「あのおっさんはなにを思ってエイリア学園の皆にサッカーをやらせたかは後で教えてくれる。それはつまり、あのおっさんにはサッカーに対してなにかしらの思い入れがあるって事だ。だったら俺達は何をすればいいのかぐらい、分かるだろ?」
「……はぁ……まぁ、そうだな」
吉良星二郎は色々とスポーツがある中でサッカーを選んだ。
俺は誰かの心を入れ替えさせる言葉を持っていない……俺は本物の円堂守じゃないからな。でも、本物の円堂守と同じ事が出来る。
「何時も通りサッカーをやる。サッカーをやって、サッカーを通じて目を覚ましてもらう……俺に出来るのはサッカーだ」
「まったく……時折お前には宇宙一のサッカーバカだと思わされる」
なにかありがたい言葉とかそういうのを俺は持っていない、持ち合わせていない。
だけどサッカーは出来る。サッカーを通じて色々と語り合う事が出来る。満面の笑みでサッカーは出来るぞ!と言えば話を聞いていた鬼道が少し呆れながらも納得をしていた。
「いいか、あのおっさん達を捕まえるのは俺達の仕事じゃない。そういうのは鬼瓦さんの仕事だ……俺達がするのは?」
「「『サッカー!』」」
各々がアップを終えたので円陣を組んだ。
ここまで来た以上は皆、それ相応に覚悟が出来ている。何時もは怯えている姿を見せる壁山ですらここが正念場だと覚悟を決めている。俺はキャプテンとしてなにかカッコイイ事とか皆を鼓舞する言葉を使わない。
吉良星二郎を捕まえたりするのは、俺達の仕事じゃない。
そういうのは今頃裏で星の使徒研究所を色々と嗅ぎ回っている鬼瓦さん達、警察の仕事だ。俺達がするのはなにかを聞けば全員がサッカーだと答えた。その答えを聞いて俺はホッとする。全員、考えている事は一緒だと。
「サッカーは物事の優劣を決める厳しい所もある。でも、それでも決して悪いことに使っていいものじゃない……瞳子監督」
「雷門中の皆、私が貴方達に言えることは1つ……ジェネシスを倒して、お父様の目を覚まして!」
瞳子監督に最後に監督としてなにか言葉を送ってほしいと頼めば、ジェネシスを倒してほしいと頼まれた。
それを聞いてしまった以上はやるしかない。俺達は各々の最初のセットポジションにつこうとする。
「円堂……」
「ウルビダ……俺達はここまで来たぞ」
「……そうか」
ポジションにつこうとすればウルビダと顔を合わせる。
俺達はここまでやってきた、俺はそれ以外の言葉は言わない。ウルビダの目には迷いは無い。俺と吉良星二郎を天秤にかけて、吉良星二郎を選んだ。吉良星二郎はジェネシスに地上最強イレブンとなった雷門中に勝ってこいと思っている。
雷門中
FW 豪炎寺 吹雪
MF ナカタ 鬼道 一之瀬 円堂
DF 風丸 壁山 綱海 土門
GK 立向居
ベンチ 源田 夏未 影野 不動 アフロディ
監督 吉良瞳子
ザ・ジェネシス
FW グラン ウィーズ
MF ウルビダ アーク クィール コーマ
DF ハウザー ゾーハン キープ ゲイル
GK ネロ
監督 吉良星二郎
「コイントスの結果、ジェネシスに選択権が」
「だったらボールを貰うよ」
裏工作等をしない正々堂々としたジェネシスとの決戦。
審判がコイントスをしてジェネシスがコートかボールのどちらかを選ぶ権利を手にしたのでジェネシスのキャプテンであるグランはボールを貰う。
「さぁ、遂に始まりました!日本の命運をかけた決戦!地上最強のメンバーを集めた雷門中vsエイリア学園最強のチームであるジェネシスとの真剣勝負!」
「……」
毎度の事ながら何処から入ってくるんだ角間の奴は。
実況者としてマイクを片手にしているが、もうツッコミを入れるのはめんどくさいから入れない。試合開始のホイッスルが鳴り響けばウルビダがグランにボールをパスした。各々が動き出そうとする瞬間、グランは動いた。
「流星ブレード!!」
ハーフラインから堂々と十八番の必殺シュートである流星ブレードをグランは叩き込んだ。
いきなりのことで意表を突かれた……と思ったら大間違いだ。俺は直ぐに反応をし、グランの流星ブレードで蹴り飛ばされたボールの元に向かう。
「メガトンヘッドGO!」
グランの流星ブレードをメガトンヘッドで受け止める。
開幕の流星ブレードは意表を突いているかもしれないが、それに反応する事が出来ない者はこのメンツには居ない。
「流石だね。それでこそ、雷門のキャプテンだよ」
「お褒めにあずかり光栄だが、こんなナメた真似していいのか?」
「まさか。これも父さんの作戦の内さ」
開幕早々のハーフラインからの流星ブレードは意表を突いているかもしれないが、意表を突いているだけだ。
突破口を切り開くわけでもなければなにかしらの作戦があるようにも思えない。
「さぁ、一気に畳み掛けるぞ!」
ジェネシスとの最終決戦の火蓋を切った。
どっちにしよう
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アフロディ(イナズマジャパン)
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アフロディ(ファイヤードラゴン)