ダンジョンに双子の白兎がいるのは間違っているだろうか 作:あましのの小説部屋
前編:双兎の原点
「ベルー。早くしないと置いていくよー」
「待ってよ、エル」
私の名前はエル・クラネル。双子の弟ベル・クラネルと祖父と一緒に暮らしている、両親は物心つく前に亡くした。村では双子は私たちだけなので珍しいらしい。髪色が白で赤目で昔は同じ髪型にしていたから間違えられた。だけど、おじいちゃんだけは私たちを間違えることはなかった。なんでだろうと今では思う。話を戻そう、私たち双子は容姿はそっくりだが中身は全く違う、ベルは純粋無垢で感情が顔に出やすく、基本的に隠し事は出来ない。それに対して私は感情表現が苦手で基本的に顔に出すことはない。
「エル、どうしたの?」
「ううん、何でもないよ。さ、帰ろう、おじいちゃんも待っているよ」
「うん!」
そんな生活をかれこれ12年間続けている。料理は基本的にベルかおじいちゃんが作っている、だけど私が作ろうとするとなぜか止められる。一度だけ作ったことがあるがベルが一口食べた瞬間に倒れたけど偶然だよね、ちょっと色が変ってだけで後は大丈夫なはずだから!私たちが唯一共通することがあるとするならば英雄譚が好きなことと体が頑丈なことくらいかな。
「「ただいま」」
私はこの生活が好きだ。
何もない村だが家族といる時が何よりも好きだ。この生活がいつまでも続いてほしい。
「そういえばさ」
ベルが寝る前に話しかけた
「?」
「明日の隣村の手伝いって何やるの?」
その瞬間思い出した
「あぁぁああああ!!!!!!」
ビクッ!!
「え、エル?」
しまった、明日隣村での祭りの準備の手伝いがあったことを忘れていた
「どうしたの?」
「ご、ごめんね急に大きい声を出しちゃって」
「だ、大丈夫だけど」
急いで明日の準備しなきゃ
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翌日
なんやかんやあったけど無事に準備ができた
「良いか、気を付けるのじゃぞ」
「「うん、行ってきます」」
そして私たちは村を出た。
だけど私たちは知らなかった、この後にまさかあんなことが起こるなんて・・・・
そしてこれが私たちの大きな分岐点だったということに・・・・・
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「ねえ、エルもうすぐかな」
「そうだね、もうすぐ森を抜けると思うよ」
道中のモンスターは私が改造した大鎌で倒したので問題はなかった
「あ、ベル。見えて来たよ」
暫くすると隣村が見えてきた
この村には以前にも祭りの手伝いで来たことがある
「今年もよろしくね、エルちゃん、ベル君」
「「よろしくお願いします」」
それから私達は祭りの準備をした
日程としては日中から夕方にかけて準備に取り掛かり夜に祭りが始まる。そして私たちは一泊してから村に帰ることを毎年繰り返している。今年も難なく始めることができたからよかった。村の人たちにも土産話を持って帰ることもできるよ
明日も早くから出発するから早く寝よう・・・・・
「おやすみなさい」
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次の日
ベル視点
「エル、起きて」
「ん、ベル・・・おはよう・・・」
「そう言って寝ないの!」
「だってぇ、眠いもん・・・」
エルは朝に弱い、普段のクールさからは想像できないくらいに・・・
ここから家までは2時間ほどの距離だが森を通り抜けるためモンスターと遭遇する確率が高いのだ。それに夜になればモンスターの数も増える、だから早く出発したほうがいい。
僕も戦うことができるがエルのようにはいかない。それに加え、背負って戦うとなると行動が制限されてしまう。どう起こそうかと考える前にエルの手を引いた
「ほら、いくよ!」
「・・・うゆ・・」
そうして僕達は階段を下りた
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「おはようございます」
・・・コク
「おはよう、二人とも」
この人はクロードさん、この宿の持ち主だけど、昔は冒険者だったらしいが今は引退している
「毎年助かっているよ」
「祭りになるといっつも見回りにまわす人手が足りなくてさぁ」
「いえいえ、こちらの方こそいつも助かっていますよ」
クロードさんには武器の扱い方や戦い方を教えて貰っている
「最近はどうだ?爺さんに変なこと教えてられてないか?」
「お爺ちゃんに?」
「その様子じゃ大丈夫そうだな」
「?」
「・・・ん、ベル・・・おはよう・・・」
そうこうしているうちにエルが起きた。
まだ眠そうだけど・・・・
「おう、エル起きたか」
「あ、クローどしゃん・・・」
訂正 今にも寝そう・・・
「とりあえず、顔洗ってきたら?」
「····そうすりゅ·····」
エルはそう言いふらふらと井戸に向かった
「これじゃどっちが姉でどっちが兄かわからねぇな」
「?」
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数分後······
「···さっぱりした」
「眠気は取れた?」
「おかげさまで」
エルはいつもの調子に戻った
「さてと、村に戻るか···」
「あんまり長居してもあれだしね」
僕たちは村を出る準備をした
「ねえ、ベル」
「?」
準備をしているときエルが話かけてきた
「私達ってさ、生まれてから12年間村で暮らしできたよね」
「う、うん」
「ベルはさ、怖くないの?」
「え、なにが?」
「突然今までの日常が次の日になって嘘のように消えてしまうことが。」
「私、井戸に行く途中に見たよ。怪物に村を襲われて自分だけ生き残ったけど、傷が深くて助からないことを悟った人の目を······何もできない自分を恨む様を····」
「エル···」
「私は怖いよ。今まで普通だと思っていた日常が崩れるのは····」
「ごめん、いきなりこんなこと言って」
僕は何も言えなくなった
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そして微妙な空気の中、村を出た
そこからはしばらく話すことはなかった······
しばらくして村が近くなると見知った人が大怪我で倒れていた
「「アルトおじさん」」
「二人とも俺のことはいい、今すぐ逃げろ·····お前らの爺さんも谷に突き落とされた」
ドサッ
それを聞いて僕とエルの時が一瞬止まった
「あ、ああ、そんなっ!」
「あ、ベル!」
僕一目散に村に向かった
嘘だ 嘘だ 嘘だ 嘘だ!
《私は怖いよ。今まで普通だと思っていた日常が崩れるのは····》
ふと、エルが言っていた事を思い出した
村が見えてきた。
そこで見えた光景は········
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「あ、ああ」
言葉が出なかった
火に包まれた光景だった
村中の家が荒らされ、至るところに死体が転がっていた。
僕達が育った村の面影が、
思い出が
ぬくもりが、
全部、
全部、
全部、
赤黒く塗りつぶされていく信じられなかった
いや、信じたくなかった
村中の悲鳴が聞こえてこなくなった
「ベル!
っ?!」
遅れてやってきたエルによって正気を取り戻した
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私はベルの後を追いかけた
信じたくなかった
そんな
そんな
ベルが見えてきた
ベルは立ち尽くしていた
まさか·········
「ベル!」
ベルはこちらの声に気付いたのか私の方を振り向く
それと同時に私は見てしまった
「っ?!」
私がもっとも恐れていた事が········
赤黒く塗りつぶされていくようだった
「嘘・・・・・
そんな・・・・・」
いつもの村はそこにはなかった
あるのは赤く燃え盛る風景だけ
「へー、まだ居やがったか」
「ひひひ、このガキ二人高く売れそうだぜ」
「さっさと捕まえてずらかろうぜ」
「っ?!」
(この感じ、
いくら戦い方を知っていても神の恩恵の前ならば意味がない
そう思って逃げようとしたとき
(痛い?!)
「ギャハハハハ!逃げようとしても無駄だぜ、嬢ちゃん」
「っ!」
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まずい!エルが捕まった!
早く何とかしないと!
でも、方法が・・・・ない
《ベルはさ、怖くないの?》
《突然今までの日常が次の日になって嘘のように消えてしまうことが》
(そんなこと言われなくても分かっているよ!怖いに決まっているよ!)
今朝のエルの顔が頭から離れられない
頭では分かっていたはずなのに、勝てる分けないのに、気付いたら体が動いていた
「うああああああ!」
「っち、反抗的な奴もいたか」
「まあ、俺らに勝てる分けないのだがな、ふっ!」
ドガっ!
「ぐはっ?!」
「仕方ねぇ、こいつはここで殺す」
「私のことはいいから!早く逃げて!」
「うるせぇ!」
痛い・・・・・・・
エルの声も聞こえなくなってきた
「早くそいつをやっちまえ!」
「ベル?!」
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その時私は思い出した・・・・
今朝の人の表情を・・・・
あんな結末になるくらいなら・・・・・
ゼンブナカッタコトニシテシマオウ
何もかも消してしまえば絶望を突きつけられずにすむ
「まだだ!!まだ終わっていない!!」
「っ?!」
もう・・・・・もうやめて!!
これ以上は・・・・
男が剣を振り上げた時、
「あぶねぇ!!」
ちなみにこの双子は異性一卵性双生児です
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