英雄教室の脇役暗躍者   作:たかたけ

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眠い〜。前回は説明ばっかだったので、今回はヒロイン出すとこまでやりました。頑張った…!


入学試験偏 Episode1

 

「…死ぬかと思った」

 

 翔也は病院のベットの上でそう呟いた。実際に彼は死にかけだった。肋3本骨折一本にヒビ。左手骨折。右腕ヒビ。全身筋肉痛。両足にヒビ。右足の親指複雑骨折。

 【一体化】の無理な使い方で重度の倦怠感、眩暈、頭痛。と、よりどりみどりである。

 

 さらにはグラの力の影響で一度HPが1まで削れた。本気で死の淵を彷徨ったのである。

 

 寧ろなんで生きてるのかと聞かれるほどの死にかけ具合だった。

 

「【オープン】…」

 

ステータス

NAME:浅野翔也

OLD:16

Affiliation:無所属

LV:24

HP:47/270

星気:145

筋力:10

速度:14

体力:10

感覚:10

知能:10

SP:160

Skill: 弓術LV2 ─集中LV2

双剣術LV3 ─縮地LV2

体術LV3 ─受け身LV1 疾走LV2

星気操作LV4 ─身体強化 LV3推進力LV2

観察眼LV 1─並列思考LV 1

【刹那】

 

固有星型:【一体化】[+魂][+自然][+スキル]【ステータス】[+分配][+スキルコレクト]

 

 インフレしてる…(小並感)。

 とりあえず翔也は基礎ステータスをあげようと思った。そうすれば体が強くなって治りも早くなると考えたからだ。

 まあそれは冗談にしても…自身はスキルに依存しすぎな気がしたのだ。

 

 ディエゴの戦いの時も全てスキルに頼り切り、自分自身は何もできていないと翔也は考えていた。この先スキルだけで生き残っていけるわけがない…これはゲームではなく現実なのだから。相手は待ってくれないし、スキルだけを使うことも出来ない。

 

今回はたまたまディエゴが油断しただけ…毎回こう上手く行くはずがないだろう。

 なので自分で戦う力をつけるべきだと翔也は判断したのだ。

 

ステータス

NAME:浅野翔也

OLD:16

Affiliation:無所属

LV:24

HP:47/270

星気:145

筋力: 10→ 32

速度: 14→ 40

体力: 10→ 32

感覚: 10→ 30

知能:10→20

SP:100→60

Skill: 弓術LV2 ─集中LV2

双剣術LV3 ─縮地LV2

体術LV3 ─受け身LV1 疾走LV2

星気操作LV4 ─身体強化 LV3推進力LV2

観察眼LV 1─並列思考LV 1

【刹那】

 

固有星型:【一体化】[+魂][+自然][+スキル]

【ステータス】[+分配][+スキルコレクト]

 

 取り敢えず基礎ステータスにSPを振ってみた。残りの60は後々考えようと思う。

 

 後、翔也は一つ気づいたことがあった。ディエゴとの戦い…【刹那】を使い色を無くした世界でディエゴを殺そうとした時“遅かった”と感じたのだ。刹那を使ったにしてはかなり。

 だから翔也は仮説を立てた。ステータスは密接に繋がっているのではないかと。

 

 “筋力”は速度と体力。

 “速度”は筋力と体力。

 “体力”は筋力と速度と感覚。

 “感覚”は体力と知能。

 “知能”は感覚。

 

 と言った風になっているのではと翔也は仮説を立てた。この場合速度だけを伸ばしても筋力と体力が付いてこないと言う事態が発生する。だから満遍なくあげることが必要だ。そして今は速度の補正スキルが多くあるので速度を中心に上げる方が強くなるには最も近道だろう。

 

「…ん?」

 

 翔也がそう考えていると全身の皮膚がゾワゾワするような違和感があった。

 

「ッ!?ア…ガ…」

 

 ゴキゴキ…と言いながら体が捻じ曲がるような痛みと違和感が脳に直接刺さる。─痛い痛い痛い痛い。

 

 翔也は知らないがこの痛みはステータスを一気に上げたことによって一気に押し寄せてきた事によるものだった。

 

─いわゆる成長痛である。

 

 それを知らない翔也は病院のベットの上を声にならない声を上げながらのたうち回る。全身に力が入らずナースボタンを押すことさえもできずに翔也はその痛みの中気を失った。

 

 

✴︎ ✴︎ ✴︎

 

「にいちゃーん!起きろぉぉ!!!」

「へぶ…」

 

 突然腹の上に何かが乗っかってきた衝撃によって翔也の意識は一気に覚醒する。

 

「なつき…何をしてるんだ?」

「お越しに来た!!」

 

 翔也の腹の上で笑う少女は孤児院の可愛い妹分であるなつきだ。

 

「だからって飛び乗る必要は無いだろ…」

「だってにいちゃん声かけても起きなかったぞ?」

「…悪かった」

 

 これに関しては翔也に非があると思ったので素直に謝る。しかしそんなことを気にした様子もないなつきは翔也の手を引いて食堂までズカズカ歩いて行く。

 

「…そういえば、なつきはなんでこんなに早くに起きてるんだ?」

 

 時計が出している時間は5時、12歳の少女にこの時間は少し早いだろう。

 

「ふふ…その子はね。翔也のことが心配だったのよ」

「おばさん」

 

 エプロンで手を拭いながらこちらへ歩いてきたのは吉野鈴音…この陽光孤児院の院長であり、みんなに「おばさん」と言われた親しまれている存在だ。

 

「お、おばさん!余計なこと言うなよ!!」

「あら?昨日お兄ちゃんを起こしたいからそれよりも早く起こして「わー!わー!わー!」」

「はは…」

 

 おばさんの言葉を大声で打ち消したなつきはグヌヌ…となぜか翔也を睨みつける。完全にとばっちりを受けた翔也は思わず苦笑いを浮かべた。

 

「ぐぬぬ…だ、だってにいちゃんが学校で友達できるか心配で…」

「おい」

「だってだって!にいちゃん優しいけど全然顔変わんないし、「グフっ」何考えてるかわかんないし、「グエ」なんか不器用だし!「…」」

「あらあら」

 

 可愛い妹分のトリプルコンボ(言葉の巧みな攻撃)を喰らった翔也はもうノックアウト気味だ。

 

「…鍛錬してくる」

「え!?今日入試でしょ!?大丈夫なの?」

「ああ、逆にやらないとムズムズするから」

 

 翔也は一旦部屋に戻ってから黒いジャージに着替える。そして玄関で靴に履き替え玄関を開ける。

 

 

 はっはっは…と一定のリズムを刻みながら呼吸する。このランニングだが退院してから毎日こなしている鍛錬の一つだ。他にも筋トレや双剣の練習だったりと色々ある。

 

 軽く4kmは走っただろうか…最近はこれくらい走らないと疲れが出てこないので自分の体じゃないみたいな気分になりそうだ。

 前回病院でステータスを上げた後少し体に変化があった。なんと、背が3cm伸びたのだ!もうずっと169で止まっていたのでこれは嬉しい。夢の170台突入である。

 

 ステータスを上げることで筋肉も出るかと思ったがそこはいつも通りだった。翔也はそのことに少し違和感を覚え、一つ仮説を立てた。

 SPであげた筋力などはあくまでロープの三つ編みする前の質を上げただけと言うべきか。それだけを使うと伸縮性や頑丈さなどはなくまだ少し弱い。

 なので筋トレという過程で三つ編みにしてロープとして頑丈さ強靭さを得なければいけない。

 

 まあ要するに筋トレをして基礎の基礎を鍛えようと言うわけだ。そして今日までかなりハードな訓練をこなしてきたがそれによってステータスに振り回されるという事態は減ったように感じる。まあ1ヶ月でそこまで結果が出るとも思っていなかったので及第点だろう。

 

 そしてもう一つ変わったことがある。

 

「【一体化】 -グラ」

 

 前回スキルを一体化したことによってこの固有星型はかなり汎用性があるモノだと証明された。なのでまず剣と一体化してみることにしたのだ。

 剣を極めたものは剣を手足のように扱うというものを固有星型で再現してみた。

 

 これは大正解だった。これによって剣がまるで自分の一部であるように扱うことができるようになり、翔也は双剣への理解度が飛躍的に上昇した。

 

 ステータス

NAME:浅野翔也

OLD:16

Affiliation:無所属

LV:24

HP:270/270

星気:145

筋力: 32

速度: 40

体力: 32

感覚: 30

知能:20

SP:54

Skill: 弓術LV2 ─集中LV2

双剣術LV3→4─縮地LV2

体術LV3 ─受け身LV1 疾走LV2

星気操作LV4 ─身体強化 LV3推進力LV2

観察眼LV 1─並列思考LV 1→3

【刹那】

 

固有星型:【一体化】[+魂][+自然][+スキル][+武器]

【ステータス】[+分配][+スキルコレクト]

 

 この通り【一体化】の欄に[+武器]が追加され、双剣術のLVが鍛錬によって4に上がった。並列思考については今後必要になることが多くなるように感じたのでポイントを振ってレベルを上げた。

 

 翔也は目を瞑って仮想の敵を作り出し、それを相手に鍛錬を続ける。

 

 30分ほど経っただろうか、翔也はそこで鍛錬を切り上げる。これ以上して入試試験に支障がでては本末転倒だ。

 

 翔也はシャワーを浴びたり入試のためのカバンを用意したり朝食を食べたりして家に出るまでの時間を過ごす。

 

「にーちゃん!忘れ物は!?」

「確認した」

「本当!?」

「本当」

「友達は!?」

「受かってからな」

 

「じゃあ、行ってきます」

「「行ってらっしゃい!」」

 

 翔也は孤児院を後にして1番近くにある『物質多距離転送式転移術』のある施設へ向かっていた。

 試験会場は南アメリカ州の全域を占める『学園国家』の2割を埋め尽くすほどの『星天学園』にある。200年ほど前に“暗黒の渦”というエラの大規模襲撃がありそれによって南アメリカの8割が崩壊…2億人以上の人が亡くなるという事件があった。

 それによって人々は【エラ】へのさらなる警戒と対策の象徴としてそこに新生「星天学園」を建設し、それを中心にして63個もの学区、学園が建設されたことによって対エラ…英雄の創造へと人類は歩みを進めたのだ。

 

 『学園国家』は世界一の先進国としても機能しており、多くの外資系の企業のビルが立ち並ぶ。その理由はそこが世界一安全な国として機能しており、その一員は彼女が担っているとも言えるだろう。

 

 世界序列1位 “生ける伝説” セラ

 

 彼女は200年前の暗黒の渦の生き残りであり、『学園国家』設立者でもある。年齢は26歳で止まっているらしい。彼女がいなければ今の世界は【エラ”によって崩壊していたとすら言われるほどの実力の持ち主だ。

 

 そんなことを考えているといつの間にか『物質多距離転送式転移術』のある施設までたどり着いていた。中に入るともう既に受験者らしき人達が400人ほど集まっていた。みんな集中していたり勉強していたりとそれぞれだ。

 

 翔也は受験者と話しても不気味がられるだけと判断したので壁沿いで転移が始まるまで待つことにした。

 

「(…なつきに言われたけど友達か………、別に友達作りに行くわけでも無いんだけどな。そもそも能面っていう渾名を獲得できる俺に友達ができるとも思わないけど…)」

 

 “友達”…翔也は前世を含めて友達がいたことがない。彼は自身の渾名を能面と言ったように表情が変わらない…いや、分かりずらい。加えて今まで他人と喋らなかった弊害か人への言葉かけが不器用だ。

 そんなこともあって翔也は基本的に学校では避けられたりしたので友達はいたことがないのである。……前世を含めて。

 

「それでは受験者の皆様。魔法陣の上へお乗りください」

 

 そんな掛け声と共にわらわらと人が魔法陣の上に集まる。翔也は地面へ視線を向けて魔法陣のを見る。魔法陣は紫色の線で描かれ、大きな円を起点に幾つもの小さな魔法陣が重なっている。

 

 暫く見ていると突然フワリと青白い粒子と共に紫の魔法陣が仄かな光を帯びるその光はだんだん強くなり、やがて翔也の視界を埋め尽くした。

 

「それでは皆様。ご武運を」

 

✴︎ ✴︎ ✴︎

 

side???

 

「今年の受験生は面白い…」

 

 鈴を転がした様な声が本だらけのよく見れば細やかな装飾がされている一室によく通った。

 

「序列2位の息子に、元神童。教会の聖女も…」

 

 積み重ねられた本の上に座る少女は入試者の情報が書かれた紙を捲りながら瞼を細める。

 

「“あの子”は権限で特待生にしたけど…大丈夫かな?……ん」

 

 彼女はふと何かを感じ取ったのかさっきまで座っていた本の上に立ち、窓に向かってクルリと翻ると彼女の足元から星気の粒子がふわりふわりと舞い上がる。

 その青白い星気の粒子が彼女の銀色の髪を仄かに揺らし、初雪の様な肌を撫でる。それはまるで万人が見惚れてしまう様な神秘的な容姿だった。

 

 彼女はピョンと本から本へと飛び移る。体に纏った星気の影響によりフワッと浮き、彼女の動作は紙のようにヒラリと舞っている様にも見えるので彼女の美しい容貌も相まって“別の次元で生きている”のかと錯覚する程だ。

 

 彼女の“夕焼けと夜空”のグラデーションされた様な瞳が窓から見える外の様子を捉える。

 彼女は形の良い唇をふわりと緩めながら呟く。

 

「本当に、楽しみ…」

 

 

✴︎ ✴︎ ✴︎

 

 視界を遮っていた光がようやく落ち着きを見せ、翔也はようやく周りの様子を確認し出した。

 

 そこは円型の神殿風の建物の様で下にはさっき見たばかりの魔法陣があった。どうやら転移は成功したらしい。

 

「おい…お前らついて来い」

 

 拡声器越しに聞こえた気怠げな声が翔也達を誘導する。まだ状況把握ができていないもの達もとりあえずその男の後ろをついて歩いていく。

 5分ほどその男を追いかけて大きな扉を潜るとそこは超大型のホールだった。軽く見ても10000人は入りそうだ。

 

「はい、じゃあここに順番に座ってね」

 

 翔也は言われた順番通りに席に座る。どうやらここが筆記試験の会場らしい。周りを見るともう既にこの会場は半分ほど埋まり今もゾロゾロと人が流れ込んでくる状態だ。数分もすればいっぱいになるだろう。

 

 5分ほど待っていると全ての席が埋まった様でホールの中央に立った男が筆記試験の概要について喋り出す。その内容を軽くまとめると。

 

・試験は国語数学英語の三教科+一般教養。それぞれ60分ずつ。

・カンニングなどをした場合即退場。星道具によって判別可能。

・頑張ってください。

 

 と言ったものだった。ちなみに星道具とは星気を使うことで使うことができる発明などのことを指す。

 

 まあそんなこんなでアッサリとテストが始まる。試験内容自体はそこまで難しくは感じない。むしろ前世の記憶を見て高校の入試問題すら解けないとなるとそれはそれで問題だ。俺に死角は無い…!と心の中でドヤる翔也だがそこまで褒められたものでも無い。

 

 全教科の試験が終わり、この後の予定について話された。12:30まで昼食(食堂は好きに使って良い)。そしてここに元通り戻って来いとの事だ。

 翔也は軽く背伸びしてから食堂へと繋がっている転移門を潜る。転移門はあの魔法陣の常時発動版の様なものだ。常時発動しているので星気の消費量も馬鹿にならないのだが此処は『学園国家』そんなの関係なしである。

 

 ゲームの記憶では200年前の渦の影響で竜脈ができたから星気を気にせずに使用できるみたいな設定だった筈だ。

 

 そんなことを考えながら翔也は転移者を潜った。

 

 

 

 昼食を食べ終わり自分がいた席に着いて暇を持て余していると、いつも間にか次の試験が始まる時間になった。

 ホールの中央に試験官が立ち、拡声器を使って喋り出す。

 

「これから君たちには二つの試験を受けてもらう」

 

 そう試験官が言うと突然座っている正面の机の一部が開きそこからウィンドウの様なものが投影される。

 

 

 実技試験その1

【得意分野評価】

・Combat training ground using virtual space(CVS)を使い5分間その中で得意分野を披露してもらう。

・創造性、力の利便性で評価します。

CVS(仮想訓練場)…学園国家が採用している仮想現実であり、仮想空間内に五感を接続して電子空間に入り込むこと。星気に含まれている生体情報を用いて自身の能力すら完全に電子空間に移すことができる。

 

 実技試験その2

【実践評価】

・2人1組で広大なフィールドを利用した50組のバトルロワイヤル。

・相方はランダムです。

・チームワーク、実践力を評価します。

 

 

「(実技試験ってこんな感じなのか…。ゲームじゃあそんな描写無かったし少し新鮮だな)」

 

 翔也がゲームで知ることが出来なかった情報を知ることが出来て少し興奮していると試験管が拡声器越しに口を開く。

 

「はい、まーこんな風にやって貰うんで。早速移動しますよ〜」

 

 そう試験官が言うと突然足元に小さな魔法陣が現れ、光を帯び出した。

 

「転移したら目の前に椅子みたいな感じのCVSがあるんでそれに座ってくださいね〜」

 

 そう言って手を振る試験官を最後に視界が光で埋め尽くされた。

 

 

 転移が終わって目を開くと目の前にはCVSらしき椅子があり、横を見ればそれが幾つも並んでいる。他の受験者達はもう既に恐る恐るではあるものの座り出しており翔也もそれに続く様にして椅子に深く座る。どこかのゲームセンターにでもありそうなCVSの椅子が珍しくて腕をかけるところをスリスリと少し触ってみる。…ただの椅子だ。

 

 すると正面にウィンドウが投影されCVSの使い方を指示されたのでその通りに遂行すると突然眠気が襲ってきた。

 

─ Combat training ground using virtual spaceの起動します。

 

─使用者の生態情報取得。

─使用者のコピーを生成します。少々お待ちください。

………。

─成功しました。

─次に五感の接続を開始します。

─成功しました。

 

─仮想現実空間へようこそ。

 

 

 

「…おお。本当に現実と同じなんだな」

 

 翔也は周囲の状況を確認するため周りを確認する。周りには武器などが置かれており、その中から選んで使えと言うことなのだろう。

 

 翔也は数ある武器の中から双剣を手に取る。手にとってクルクルと回してみたり、逆手順手を素早く切り替えたりして現実とのズレがないかを少し確認する。

 

「(…この実技試験。本気でやらないと駄目かもな)」

 

 この学園には化け物の様に強い人が大勢いる。幼少期からの鍛錬はもちろん才能にも愛されたものだけが入学することを許される学校だ。世界序列2位の息子。聖女。元神童。貴族。暗殺者。上げればキリがないほどの有名人や強者がゴロゴロ溢れている。

 翔也はステータスを貰ったとはいえ、まだ1ヶ月そこらしか本気で鍛錬に取り組んだこともない凡人だ。出し惜しみなんてしている暇はない。

 

「─本気でやる」

 

 翔也は部屋の中にあった【開始】のウィンドウをタップする。するとその部屋はパラパラと上から崩れていき大きめのグラウンドの様な場所へと姿を変える。正面には木製のデコイが一つ置かれており好きに打ち込んで良いのだろう。

 

 最初は得意分野の評価。固有星型を中心にして披露するのが良いだろう。なので翔也は【一体化】の自然を使用した。

 次は双剣との【一体化】これに関しては好きにデコイに打ち込むだけだ。今朝やった仮想の敵との訓練を思い出しながら打ち込む。

 

 そして最後、残り時間は1分時間はまだある翔也はその時が来るのを待つ。『集中』と『並列思考』を使いながら集中力を深めていく。

 

 CVSは仮想現実空間。いくら無茶しようと現実の体へのダメージはない。そう、ダメージはない。

 

 翔也は色褪せた世界の中でニヤリと笑う。

 

─つまりは多少の無茶も出来るよな?

 

 スキル[推進力]を使用しました。星気を推進力へ変更できます。

 スキル[疾走]を使用しました。60秒間速度に補正がかかります。

 スキル[身体強化]を使用しました。星気を消費している間、身体機能に補正がかかります。

 スキル[縮地]を発動しました。3秒間速度に5倍の補正がかかります。

 

─条件をクリアしました。

 

 【一体化】[+スキル]を発動します。

 

 スキル【刹那】を使用しました。

 1秒間速度を30倍、体感速度を10倍に補正がかかります。

 

─双剣術 -“乱切り”【一体化】 -双剣

 

 翔也はデコイへ向けて一瞬で距離を詰め、切り刻んだ。

 

─実技試験その1を修了します。

 

 切り刻んだ後、集中しすぎたせいか少し痛む頭を抑えながら翔也は次の試験会場へ転送された。

 

 誰もいなくなった試験場…先ほど翔也が切り刻んだデコイが1人でにバラバラになり、カラカラと乾いた音を立てて地面に落ちた。

 

 

 

─実技試験その2 待機室

 

 転移した翔也は少し痛む頭を抑えながら辺りを確認する。するとそこは最初に見た武器庫のような場所だった。どうやらまた武器を選べるらしい。

 

「(…バトルロワイヤルなら遠距離武器を持った方がいいのか?)」

 

 翔也はイマイチわからなかったがとりあえず備えあれば憂いなしと言うことで弓を担いだ。ちなみに双剣は転移した時既にホルスターにしまってあった。

 

 翔也はあらかたの準備を終えて【開始】のボタンを押した。

 

「(そういえば、相方はランダムらしいがどうなるんだろうか…原作キャラだったら凄い確率だけどな。まあそんな訳ないか)」

 

 

 

 

─ありました⭐︎

 

 

「(知ってる…!この金髪に翡翠色の瞳、間違いなくメインキャラ!)」

 

 【開始】のボタンを押した後、翔也は森の中の少し開けたような場所まで飛ばされた。状況確認の後パートナーの確認をしようと当たりを見回すとをその彼女と目が合ってしまったのだ。

 

 翔也は1度目を逸らし、気のせいかもしれないと思いもう一度彼女へ視線を向ける。またパチリと目が合った彼女は眼を丸くしてキラキラとした視線を向けてくる。

 知っているのに知らない人に会うと言う不思議な気分を味わいながら隣にいる彼女から送られる視線に少し気まずいような気分に陥る。

 

 

「あー、えっと…聖女様?ですよね…?」

「は、はい。え、えっと私の名前はアウレリア・フォンティーヌです!!」

「は、はあ…そうですか?」

「?」

「?」

 

 勇気を出して口を開いたものの、彼女がいまいち何を考えているかわからない…と。翔也は内心パニック状態だ。聖女様も聖女様で何故かワタワタとしているし収拾がつかなくなってきた。

 

「え、えっと…!な、名前!」

「名前?ああ…俺は浅野翔也です。今回はよろしくお願いします」

「あ、よろしくお願いします…。で、ではなくて…!」

「え?違うんですか?」

「合ってますけど…!違うんです!」

 

 本当にわからない…と翔也は本気で頭を抱える。聖女様に至っては両手を胸の前で握ってこちらをキラキラした目で見てくる訳だからコチラも間違えるわけにはいかないと言うプレッシャーが半端じゃない。

 

「す、すいません…どう言うことか説明してもらっても良いですか…?」

「…確かに。此方も説明不足でしたね…すいませんでした…」

 

 聖女様のお話を聞くとどうやら名前呼びして貰いたかった様だ。人は名前呼びをしたらお友達…と言うことを本当に信じているらしい。なんか…純粋でホッコリする話を聞いて翔也も肩の力が少し抜けた。

 

「じゃあ、アウレリア。これでもう友達だろ?」

「ッ!はい!!翔也さん!」

「!」

 

 満面の笑みで自身の名前を呼ばれた翔也は少し心臓が跳ねたのを感じた。どうやら初めての友達に浮かれた様だ。

 アウレリアも「初めての友達…!」とぴょんぴょん飛び跳ねて喜びを表現しており、跳ねるたびにパーマロングの金髪がふわふわ動いているのを見て庇護欲が湧き出てくるのを翔也は感じた。何だこの可愛い生き物。

 

「!」

「ひゃっ!」

 

 翔也は突然“危険を察知した”ので急いでアウレリアを抱き寄せて保護する。その数瞬間後にバスっと音を立てて地面に突き刺さっているのは矢だ。どうやら狙撃されたようだ。確認をしようにもこんな森の中じゃ狙撃手の思う壺だろう。

 

「アウレリア。走るぞ」

「は、はい!」

 

 翔也とアウレリアは森の中に向かって走り出す。遮蔽物を使いながらうまく隠れれば相手を撒けるだろう。

 翔也はステータスを確認する。そしてこの戦いで必要になるであろうスキルを取得する。

 

 

 ステータス

NAME:浅野翔也

OLD:16

Affiliation:無所属

LV:24

HP:270/270

星気:145

筋力: 32

速度: 40

体力: 32

感覚: 30

知能:20

SP:54→41

Skill: 弓術LV2 ─集中LV2 鷹の目LV2[NEW]

双剣術LV4─縮地LV2 気配察知LV3[NEW]危険察知LV2[NEW]

体術LV3 ─受け身LV1 疾走LV2

星気操作LV4 ─身体強化 LV3推進力LV2

観察眼LV 1─並列思考LV 3

【刹那】 

以下略…

 

 

 今取得したのは鷹の目。典型的な視力強化だが森の中ならその力は化けるだろう。気配察知と危険察知に至ってはこれが始まる前に必要になるだろうと取得したスキルだ。

 

「あれ?」

 

 翔也は自分についてきていた足音がなくなったことに気づいた。翔也は急いで足を止めて後ろを振り返る。

 するとそこにはフラフラで息も絶え絶えなアウレリアがいた。

 

「大丈夫か…?」

「だ!…大丈夫でヒュ…!」

 

 いや大丈夫じゃないだろ…と言うツッコミはグッと飲み込み翔也は彼女に向けて背を向けてしゃがみ込む。

 

「え?えっと…これは?」

「おんぶだ。俺が担いだ方が早い……悪いが文句は受け付けない。これ以外はただ醜態を晒す結果になるぞ」

「…」

「…乗らないのか?」

「の、乗ります…」

 

 そういうとアウレリアは恐る恐ると言った風に翔也に体重を預けてきた。その華奢な体に似つかわない大きい果実が翔也の背中にフニッと当たる。その感触に一瞬翔也は固まる。

 

「翔也さん…?」

「いや、何でもない」

 

 翔也は初めて感情が顔に出にくくて良かったと思った。

 

「【祝福】 -[祈祷]“闘神の加護”」

 

 スキル[祈祷] -“闘神の加護”を受けました。一時的に戦闘力に補正がかかります。【祝福】により効果が300%上昇します。

 

「うおっ」

 

 翔也は突然体が軽くなったのでビックリする。身体強化を掛けた時とまた違った…いや、それよりももっと大きい全能感。油断すればこっちが振り回されそうな上昇率だ。さすが【聖女】と言うべきか…。

 

 

【聖女】…星気は世界からの加護であり力だが。ただ1人、世界の【祝福】を受けたものは生まれながらにしてその星気総量が並外れたほどに大きい。その力はあまりにも大きく、固有星型となるほど強力だ。ただのバフでさえ彼女が使えば効果は実に3倍。メラとメラゾーマくらい違う。

 生まれながらにしての上位存在。それが彼女、聖女なのである。

 

 

─!

 

 

 また矢が飛んで来た。これも危険察知で確認したがさっきよりも危険度が低い。遠くから撃ったため威力が弱まったのだろう。確実に引き離すことは成功しているようだ。

 どうせなら此処で振り切ってしまおうと考えた翔也はアウレリアに一言声をかける。

 

「悪い。少し走るぞ」

「え?っひゃあああぁああぁぁぁぁ!」

 

 アウレリアの悲鳴と共にグングンと変わる景色に翔也は一種の快感を覚えた。

 

 

 敵からかなり離れることはできたが、彼女の意見を一切無視して走ったことを悪いと思い、思わず敬語で謝った。

 

「…あの、すいません。大丈夫です、か?」

 

 地面にアウレリアを下ろすとその場にへたり込んでしまう。敵を引き離すことには成功したがそれ以上にまずいことをしたかもしれない。

 

「……」

 

 彼女は首を垂れて肩をプルプルと震わせている。おそらくだが怒りを堪えているのだろう。

 

「プッ」

「ぷ?」

「ふふふ…あはははは!」

「!?」

 

 突然笑い出したアウレリアに思わず肩をびくりと震わせた。しかし、笑っている彼女を見ている限りでは不快ではなかったようだ。

 

「あはは…ふふ…。翔也さん!あのびゅーん!って走るの凄く楽しかったです!!」

「ああー、乗り心地は保証出来なかったがな…」

「大丈夫です!凄く楽しかったので!」

 

 はあ〜、と息を吐きながら翡翠色の瞳から流れた涙で目尻を拭うアウレリアに翔也は手を差し出す。彼女はその手をしっかりと握った。

 

「まあ、何はともあれこの試験頑張ろう。アウレリア(パートナー)

「はい!私もよろしくお願いします!翔也(パートナー)さん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 中途半端に終わったかもごめんね!!(てへぺろ

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