英雄教室の脇役暗躍者   作:たかたけ

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トマト!

こうして書いていくと修正したい場所とこ結構出てくるよね。(人はこれを見切り発車と言う


入学試験編 Episode3

 

─実技試験が始まってから1時間が経過……。

 

 順調に試験を進める翔也とアウレリアはしばらく森を歩いていたところ目を疑うような光景を目にした。

 

「…こ、これは?」

「…おそらく、戦いの後だろう」

 

 彼らが見つけたとある場所は“何か”が暴れた後のような、それこそ“嵐”でも通ったかのように薙ぎ倒された木。何かに抉られたかのような地面。その場所で起こった攻撃の激しさを物語るかのようにその部分の自然は荒れ果てていた。

 

「…警戒度を上げよう。こんな攻撃をされたら隠れていてもひとたまりも無く致命傷だ。後、もし戦うことになった時の対策も練っておこう」

「……そうですね。今よりももっと慎重に移動しましょう」

 

 翔也とアウレリアはこの試験に少し不安を覚えつつその場を後にした。

 

 

 

 

 その後…翔也とアウレリアが懸念していたことは起こらず、いつの間にか残りの組みは彼らともう一組の計2組のみとなっていた。

 

「…残り一組か」

「そうですね。後1組の人も油断せずに行きましょう」

「ああ…」

「?どうかしましたか…?何だか元気がないような…」

 

 翔也の異変に気付いてかアウレリアは翔也の顔を覗き込んで顔色を確認してくる。翔也はその彼女の視線から逃れるように明後日を向く。

 

「いや、何でもない…(…前世から童貞卒業どころか女友達すらいたこと無い俺にとってはこの距離感は、刺激が強すぎる)」

「?…そうですか?」

「それよりも、此処からは【一体化】を解くぞ」

「え?どうしてですか…?」

「…相手の油断を誘うためだ。最後の一組の“男”が尋常ではない破壊力を持っている以上、無闇に突っ込むわけにはいかない」

 

 翔也の答えにアウレリアは意味がわからない…というふうに首を傾げている。

 

「えっと……尋常じゃない破壊力の人って…」

「ああ、残りの一組はあの破壊後を作った男だ。付けて行っているから間違い無いだろう」

「え!?付けているって…その人を追いかけているんですか?ですが、どうやって…」

 

 アウレリアは翔也の付けている方法に興味があるようでジーッとコチラを見つめている。

 その視線に応えるようにして翔也は動き出す。

 

「これだよ」

「これって…木、ですか…?」

「ああ」

 

 ますます分からなくなった…というふうにアウレリアは首を傾げた。

 

「正確には…これだ」

 

 翔也は“それ”の近くの木肌に手を置く。アウレリアはその木に近づき“それを見つめる。

 

「キズ…?」

「この傷はこのあたりの木にある。…つまり、此処で一回戦闘が起きたってことだ」

「それが何で同一人物が付けたものだと…?他の人が傷付けたものかもしれないじゃないですか……あれ?翔也さんって“男”だとも言っていませんでしたか?な、何でそう思ったんですか!?」

 

 グイッと顔を近づけて来たアウレリア。翔也は普通の女の子の距離感に疑問を持ちつつもアウレリアの質問に答えた。

 

「…コレを見てみろ。キズが縦にいっているだろ」

「?…はい。そうですね…それがどうしたんですか?」

「コレは大柄の男が傷付けたものだ。武器は恐らく“斧”だろうが、女性ならこんな縦の傷を作ることはできても体格的に複数作る対人戦闘はできない。星気を使って体を強化すればできなくもないが傷の付いている位置的にも大柄の男の可能性が高い。それを核付けるもう一つの要素として足跡だな」

「足跡………、何処にもありませんけど…?」

 

 翔也の話を聞いて今度は地面をしゃがみながら確認し出したアウレリアはそう言った。それもそうだろう…、それは─

 

「─それはそうだろう。俺が見たのは最初に見た荒れ果てたところの足跡だからな」

「最初の…」

「その男の組みと他の組が戦った場所なんだろう。あそこには力強く踏み込んだような、29cmほどの足跡があった」

「………」

 

 アウレリアは驚愕を含んだ視線を翔也に向ける。今日初めて会ったアウレリアから見ても翔也の観察力、判断力、着眼点は鮮明に映り込んだ。

 そしてそこにもう一つの疑問が頭をよぎる。

 

「ぇ…あの…少し、良いですか…?」

「?いいぞ」

「もしかして…あの時言った“対策を練っておこう”ってこの状況を予測して…?」

 

 アウレリアはもはや恐る恐ると言った様子で翔也へ聞いた。

 

「そんなことできる訳ないだろう?…今回はたまたまだ」

「…そうですよね?」

「ああ…じゃあ、改めて作戦会議と行こうか」

 

 翔也はアウレリアの目を見ながらそう言った。

 

 

 

「…よう。お前らが最後の組のやつか?」

 

 その男は森の中の少し開けた場所に佇んでいた。そいつはやはり大柄で片手には大きな斧が握られている。

 翔也はその威圧的な容姿をものともせず返事をする。

 

「どうやらそうみたいだな…まあそっちは1人で部が悪いかもだけどコレも試験だからな。全力で行くぞ?」

「ハッ!口だけは一丁前じゃねえか?そのヒョロヒョロの体と女1人で俺をどうしてくれるんだろうな?!」

 

 大柄の男が斧を振り上げながら翔也に襲い掛かる。翔也はその攻撃を余裕を持って回避する事で少し下がらせていたアウレリアの少し前まで移動する。

 

「アウレリア、バフを」

「はい。【祝福】[祈祷]-“闘神の加護”“伝令神の加護”“守護神の加護”“森の寵愛”“」

 

─スキル[祈祷] -“闘神の加護”が使用されました。一時的に戦闘力に補正がかかります。【祝福】により効果が300%上昇します。

─スキル[祈祷] -“伝令神の加護”が使用されました。一時的に移動に補正がかかります。【祝福】により効果が300%上昇します。

─スキル[祈祷] -“守護神の加護”が使用されました。一時的に防御力に補正がかかります。【祝福】により効果が300%上昇します。

─スキル[祈祷] -“森の寵愛”が使用されました。森にいる間一時的にステータスに補正がかかります。【祝福】により効果が300%上昇します。

 

「俺の前で会話とは余裕だなぁ!!」

「まあねっ、!」

 

 翔也はその男の攻撃を正面から受け止める。足が地面に沈み込むかのような衝撃を受けつつも翔也は斧を吹っ飛ばす勢いで跳ね返す。

 

「チッ!」

「…」

 

 大柄の男が斧を吹き飛ばされた衝撃によってできた隙に翔也は懐に潜り、内腿、脇腹に突きを入れようとしたが大柄の男は飛び上がって元にいた位置の近くへ移動する。

 

「(意外に素早いな…)」

「(アイツ…。的確に急所を狙って来やがった…伊達に最後まで残ってないってか?)…こいつぁ出し惜しみしてる場合じゃねえな…」

「?」

 

 大柄の男が何かボソボソ呟いているが翔也の耳にその言葉は届かなかった。しかし、次の瞬間その意味を理解した。

 

「こっからはマジだ。【暴風の権能】」

「!」

 

 瞬間、かまいたちの様に襲い掛かってくる風。鋭利な刃物の音を兼ね備えた風は背筋が凍りそうなほどに恐ろしい。

 翔也は“予定していた通り”アウレリアをお姫様抱っこにし、その男から遠ざかる。

 

「よし、逃げるぞ」

「コレがいわゆる“鬼ごっこ”というものですね…!」

「…それは違うと思うぞ」

 

 翔也は何処か抜けたアウレリアの発言に思わず否定した。

 

 

 翔也とアウレリアはあの“大柄破壊男”(仮称)を倒すために作戦を立てた。いや、作戦というよりも確実にその男を倒すためにプロセスを共有しあったというところだろうか。

 その中でも最も重要になるのは“情報”だ。特に固有星型の情報は欠かせない。

 

 固有星型…それは魂に宿るものと定義されている。しかし、その可能性は未だ未知数であり、ブラックボックスとして研究が進んでいないものでもある。だがその中でも固有星型は3つの種類で区分できるとされている。まずは【増強型】…これはアウレリアの様に何かのスキルを使った時にそれを強化したり、自分の体を強化したりとシンプルなものだ。次に【変化型】…これは自身の体に変化を齎すものだ。わかりやすいものだと体をゴムの様にしたりできたりする。

 そして最後に【消費型】…これは使用することで星気を消費して世界に“現象”を与えるというものだ。

 

 そしてあの大柄破壊男(仮称)に固有星型は…。

 

「【消費型】か…」

「正解だぁ!!!」

 

─ガンッ

 

 翔也はアウレリアを抱えたまま大柄の男の攻撃を避ける。しかしその男はまた風を体に纏いながらこちらに迫ってくる。

 今は何とか避けれているがアウレリアのバフが切れた途端に避けられなくなる可能性が高い。それを相手もわかっているから強面の顔を歪めさらに恐ろしい顔にしながら攻撃してくるのだろう。

 

「チッ!お前…“アレ”を使わねえとか、俺を舐めてんのか!?」

「…」

「シカトかあっ!!!!!オラァ!!」

 

 “ソレ”とは固有星型のことだろう。その大柄の男は固有星型を使わないことを『舐められている』と思ったらしい。それによってかなりイラついている様だ。ニヤついたり怒ったりとさっきから忙しい男だな…と翔也は思った。

 そして翔也はアウレリアにだけ聞こえるように囁く。

 

「アウレリア…もう少しでバフが切れる。“例”の通りに」

「はい…!任せてください」

 

 アウレリアは小声ながらも自信ありげに頷いた。

 

 

 

「おお?もう鬼ごっこは終わりかあ?それに、バフも切れちまった様だなぁ」

「……」

「チッ!まあ良い…。まずはお前の後ろにいるその女からだ。テメェは最後まで取っておいてやるよ」

 

 大柄の男は斧を肩に担ぎながらそう言う。どうやらバフが切れた彼らが強敵になり得ると思っていないらしい。しかし、未だ翔也が固有星型を見せないことへの少しの警戒はある様だ。

 翔也はアウレリアを庇う様にして前に出る。

 

「アウレリア…、頼む」

「はいっ!【我求めるは万象の智慧…」

 

 アウレリアはそう返事をすると“詠唱”を始めた。アウレリアの膨大な星気華奢な体から溢れ出す。

 

「させるかッ!」

「─!」

 

 大柄の男はアウレリアから溢れ出す星気の量にただ事ではないと感じたのか固有星型で作った風を使いながら突っ込んでくる。

 

「邪魔だッ!」

「グッ」

 

 大柄の男は斧を振り下ろし、正面突破をしようとする。翔也はその攻撃を何とか受け止めたもののバフがない彼では受けるまでが限界だ。

 完全に怯んでしまった翔也を無視する様に大柄の男はアウレリアまで走っていく。

 

 大柄の男は今も詠唱しているアウレリアへと風を纏った斧を振り上げ…。

 

─カキン…パリンッ

 

「グッ…?!」

 

 アウレリアに斧がぶつかる前に何かに弾かれたような感触と、何かが割れたような音を大柄の男は感じた。

 

「残念だったな」

 

 翔也は後ろに担いでいた弓を取り出し、矢を放ちながら大柄の男に近づく。

男は舌打ちをしつつ風で矢を捌いていくがそこには焦燥が伺える。翔也はいらなくなった弓を男の顔面にぶん投げる。

 するとそこでアウレリアの膨大な星気が一つに収束していくのを感じた。

 

「!来たか…」

「…」

 

 翔也は安心したかの様な表情を取り─

 

「ガアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

 

 大柄の男が大きな声で吠え、風がそれに応える様にして男を中心にして嵐を作り出す。鋭利な風が翔也の体をズタズタに切り裂いていく。

 

「グアァアアアァア……」

 

 翔也の叫び声を最後にその場は吹き荒れる風の音に支配された。

 

 

…風がようやく落ち着いて来た頃。その場には大柄の男以外の姿はなく、ただズタズタになった地面や木々がそこにあるだけだった。大柄の男は肩で息をしながら肩を振るわせる。

 

「…クククク…、クァーハッハッハッハ!!!!」

 

 大柄の男は勝利を確信し、大きな笑い声を上げる。やはり俺は最強だ。と、俺の前では誰もが弱者であると、そう吠えるかの様な笑い声だった。

 

 だが、その男は少しおかしいことを感じた。いや、確実におかしい。何故ならば“未だに空には残りの組みは二組と描いている”のだから。

 

 「──!!!」

 

 男は慌てて辺りを確認しようとするが─

 

「─もう遅い」

 

 大柄の男の背後にはいつの間にか移動していた翔也がおり、もう既に、首が切り飛ばされていた。

 

「…お前…どうやって…?」

 

 男が切り飛ばされた首が驚愕の表情を浮かべながらそう言う。翔也はそれを一瞥して興味気を失った様に視線を切って背を向ける。

 

─思い通りに動いてくれてありがとう。

 

 すでに首だけとなってしまった男は掠れゆく意識の中でそんな声を聞いた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




たんたかたん

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