白い邪神、ゆるすまじ 作:下半身のリキキリン(サイズXS)
黒い死神を知っているか。
ある者は言った。
噂なら知っている、と。
ある者は鼻で笑いながら言った。
そんな馬鹿げたものは実在していない、と。
災厄によって世界が破滅の危機を迎えるとき、それは必ず姿を
不吉な災禍に引き寄せられるように顕現するそれは、まるで魂を狩りに訪れた黒き死神のようであった。
世に終焉を
ある者は興味深そうに言った。
死神の手持ちは鋼ポケモンで構成されているらしい。
ある者は唸りながらに言った。
ポケモンバトルの腕前はとんでもなく強いと聞いた。
チャンピオンですら勝てなかったらしい、と。
黒い死神は、鋼の属性で統一された無類の強さを誇るポケモンたちを従えていた。
鍛え抜かれた圧倒的な実力を
これはシンオウ地方にあるミオ図書館という施設にて、厳重に保管されている古い蔵書に記された黒い死神と
黒い死神の戦歴の詳細が書かれた文献は残されておらず、衆目に晒された
しかし、黒い死神は確かに戦っていた。
数多の強者たちに正面から挑み、力づくで捻じ伏せていた。
世代を超えても
黒い死神の目的は不明である。
ある時はポケモンリーグに所属するポケモントレーナーを相手に屈辱的な敗北を一方的に与え、ある時は裏社会に
だからこそ、多くの者は断言するのだ。
そんな
所詮は
だからこそ、信じるか否かの是非を問うのではなく、漠然と訊き続けることに専念した。
黒い死神を知っているか、と。
無意義ではなかった。意味は大いにあったと言える。
誰もが出来の悪い虚妄と笑い飛ばすようになった古来の伝承に、時として真摯に受け止める稀有な者たちがいた。
まるで、実際に
会いたいが、簡単には会えない。
そういう男なんだ、と寂しそうに目を細める。
黒い死神と同一視される一人の男性について、縁を結んだ者たちの中にさしたる共通点はない。生まれた場所も、過ごした時間も、所属する組織も、好きなポケモンも、まるで違う。
修行に明け暮れるポケモントレーナーであったり、研究に追われる学者であったり、慈善団体を統括するリーダーであったり、世界的な大企業の社長であったり、はたまたポケモンリーグの頂点に立つチャンピオンであったり、名実ともに最強と謳われるポケモントレーナーであったり、鋼タイプのジムリーダーを務める若い乙女であったり──……。
黒い死神を知っているのか。
彼女は言った。
知っています、と。
自慢の兄です、と笑った。
プロローグとブロロロームは似てるって話はしましたっけ。