小説版めだかボックスの二次創作    作:ロサ

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色々な人が出てきて書いてる本人もメダパニ状態です。
ロサは混乱している。
その混乱具合は後書きにも表れているようだ。そしてそんな状態で投稿しました。


第三話

 教職員会議。そう言われてはいるもののこの学園の会議は会議というよりかは教訓の再確認に近い物を慄は感じていた。

 生徒にあまり干渉しない、授業の経過、教育方針、新しい報告、その程度の軽い内容と全員集まっての挨拶しかしないからだ。ここは他の高校とは違う実験施設、実験の結果を待つだけの職員と同じだ。

 今年は特に力が入っていると言っても過言ではないだろう。十三組期待の星や在校生の十三組、その中でも選りすぐりの十三人が『フラスコ計画』に一役買っているのだからさらに力が入る。

 慄にとっては「くだらない」の一言で一蹴できるものだが。

 だが、本日に限り、教職員の顔が扉の音ひとつで引き締まった。まるで鶴の一声のように。

 扉から入ってきたのは理事長、不知火袴理事長であったからだ。そんな人がある一枚の書状をもって、百津郷の席にやってくる。

「言い渡します。本日付で百津郷百瀬教授は選挙管理委員会顧問として配属していただきます」

 その一言は、隣の席の久々原滅私(くぐはらめっし)と二年十三組を担当する啝ノ浦(なぎのうら)さなぎ、椋枝閾(むくえだしきい)だけでなく、教職員全員の顔を驚愕に染め上げるのに十分の破壊力だった。

「承ります」

 そして、なんの躊躇いもなくその書状を受け取る百瀬に、誰も何も言えなかった。

「も、百瀬先生、何をしたのですか!?」

「いや、これと言って特には……。ああ、黒神さんですか?」

「はい。選挙に立候補する人間が教職員であるあなたへ面会を求めた、そう聞き及びまして。選挙に関する内容であったならば、そう思い、先に手を打たせてもらいました」

「最善の判断です。選挙内容であるにしろ無いにしろ、この措置は謹んでお受けいたします」

 笑顔でやり取りをする二人。方や理事長で方や一般教員だが、二人の間には信頼関係でもあるかのように平和な会話であった。

「よかった、あなたならば快く引き受けてくださると思っていました。いきなりで戸惑うこともあるかもしれませんが、委員長と副委員長はとても優秀ですので、御安心を」

「存じております。理事長先生、忙しい中私が出向かなければいけないところ来ていただき、誠に申し訳ありません」

「かまいませんよ。それでは、教育者として励んでください」

 この会話だけでも驚愕ものだが、二人の親近感も驚愕ものだった。事情を知っている慄を除いて。

「……も、百瀬?」

「どうしました、久々原先生。ファーストネーム呼びは公私混同につながるかと」

「ああ、そうだな。百津郷先生、今の本当?」

「みたいですね。書状にも書かれている内容と変わりません。おや、実印まで」

「……お前、意外と楽観的なのか?」

「そういうわけではないのですが、興味のある委員会だったもので」

「あー、傍観するだけならいろいろと楽しめるかもしれないけど、ここからハードラッシュだろ。いやいや、俺そんな部署に『行け』って言われたら『死ね』って言われてるのと同義語だと捉えちまうよ」

「それはあなたの価値観でしょうに……。否定はしませんが」

 書状を眺め、ゆっくりとその書状をクリアファイルに挟み込むとプリントの束を何枚か確認して授業の教科書とノートを手に立ち上がる。

「慄先生、次は君も座学でしょうに」

「あ、ああ、あまりのショックで忘れかけていた。申告、痛み入る」

「高校の時と同じ言動になっていますよ。急ぎましょう」

 百津郷は職員室の扉を開けた瞬間、固まった。

 その様子に異常を感じた慄はゆっくりと百瀬の背から彼の視線をたどると、一人の少年が立っている。目隠しをし、改造された制服を身にまとった少年からあふれ出るのは異常性。

「……長者原融道くん、ですね」

「流石は百津郷百瀬先生。私のような一般生徒の名前まで覚えてくださるとは恐悦至極でございます。本日、選挙管理委員会顧問に就任なされたと聞き及び、挨拶をと参上仕りした所存でございます」

「ありがとうございます。また授業終了後に挨拶をと考えておりましたが、年長者である私があなたを出向かして申し訳ない。百津郷百瀬といいます。改めて委員会本部に訪ねさせていただき、正式にその場であいさついたしますので今は簡略の挨拶で済ますことをお許しください」

「もちろんでございます。急に出向いた私に対し、そのようなお心遣い、感謝いたします。それでは、後ほど」

 その言葉とともに長者原は一礼をして消えるかのごとく立ち去った。

「相変わらず、個性の強い」

「今に始まったことでもないでしょうに……。このままでは遅れてしまいます、急ぎましょう」

「ああ」

 そういうと、二人は早足で職員室から姿を消した。

「……相も変わらず慌ただしい男だ」

 椋枝はその様子を見て、呆れたようにため息をついた。

 椋枝の珍しいため息に、同じ十三組担当の二人は気になって話しかける。最初に訪ねたのは久々原だった。

「椋枝先生は百津郷先生のことを知っていらっしゃるのですか?」

「ああ。元私の教え子で、百瀬、慄、もう一人加えた三人でつるんでいたな。生徒会を運営し、生徒の悩みを完璧に解決していた猛者だった。懐かしい話だ、あれからもう十年以上たつのか」

「なるほど、二人はそんな頃から……。もう一人というのはいったい?」

「黒神めだかの父親、黒神舵樹だ」

「「……は!?」」

 その名前を聞いて、もう一度久々原と啝ノ浦は驚愕するのだった。

 黒神舵樹。世界に名だたる『黒神グループ』の現総帥。その名を知らぬものはこの世に居ないとされるほどの男で世界中を飛び回ってはあらゆる事業を行い、成功を収める。そんな男と旧友だったことにも、級友だったことにも驚きを隠せなかった。

「……それは、また」

 あまりの話に久々原は言葉を失った。新聞の一面でしか出会えない人物と、こんなにも接点のある存在が二人もいたのかという世間の狭さに志向が真っ白になってしまったのである。

 啝ノ浦も久々原と同じ心境でどうそのことに対し言えば良いのか悩んでいる。

「世間は、狭いですね」

 当たり障りのないことを言うしかなかった。その言葉に椋枝は「ははは」と笑うと、自分の仕事を纏め始める。

「慄先生はどうだったのですか?」

「彼はまあ、今もそうだが昔はもっと輝いていたな」

「慄先生ですか、彼の名前は当時世界中を駆け巡っていましたから。同じ保健体育の教師としては、お目に掛かれただけでも有難いものです」

 嬉しそうに啝ノ浦は話した。憧れでも抱いていたのだろうか、その顔はいつもの清楚さを孕む無表情とは打って変わってとても輝いていた。まるで子供があこがれているヒーローに出会った時のように。

 珍しい反応に男二人は目を合わせる。そのあと、椋枝は昔と今を比較して話し始めた。

「昔ほどの覇気はなくなり大人らしい静かさも身に着けたが、それでも彼は輝いている。老人の目から見れば眩過ぎるほどに、ですがね。それと柔道部の鍋島は中々目の付け所がいい。柔道部顧問ならば彼は何の問題もないだろう。彼はそもそも柔道を先行していたのだから」

 その言葉を聞いて、二人は慄の柔道着姿を想像で作り上げる。

 ……物凄く、似合う。柔道着そのものが彼の正式な衣服、正装であるかのように思えた。

 柔道場で瞑想してる姿なんか、容易に想像できる。

「慄先生の柔道着姿ですか、生で拝んでみたいものです」

 そう呟く啝ノ浦に、椋枝は「若い」と思いながら先ほどの出来事を思い出していた。

「しかし、百瀬……百瀬先生は選挙管理委員会顧問か。中々のポジションですな」

「椋枝先生の生徒会顧問も中々のポジションでしょう」

「啝ノ浦先生にお譲りしたらどうでしょうか?」

「……久々原先生、あなたが黒神に推薦されているのはすでに耳に入っていますが。私にその席と責を押し付けないでください」

「そういうつもりではないのですが、知られてましたか。どうして、私なんでしょうね……?」

「眼鏡にかなった、それしか言いようが有りませんな」

 十三組担任の三人は、ゆっくりと談笑しながら席を立ち、それぞれの教室へ足を運んだ。

 

 

「……百瀬」

「どうした慄、さすがに君の講義内容は僕でも解りかねるが」

「そこは問題ない。選挙管理委員会顧問の件だが、大丈夫か?」

「想定済みだ」

 ニヤリと笑う百瀬に相変わらずだという顔で呆れる慄。この構図は昔も今も変わってはいない。

「……黒神めだか、か」

「彼女がどうかしたのか?」

「いや、そこまで入れ込むほどの存在かどうか気になってな」

「……ふむ。舵樹にそっくりだが」

「舵樹、というか、舵樹の嫁だろう。七人いるが」

「重婚は日本では法律違反、なのですが」

「問題ない。その重婚が認められている国の国籍を手に入れて結婚したらしいからな」

「……舵樹、あの人は本当にもうおバカというかなんというか」

「金の使い方が荒いだけだ」

「最近彼から来たメールを見て確信した。『プラチナ鉱山を手に入れた、一緒に開拓しよう』という文面でのお誘いは初めてでした」

「俺も同じだ。旅行気分で鉱山開拓を迫るあたりが流石だな」

「昔よりも性質が悪くなりましたね」

「良くなったの間違いだろう、あいつは真っ直ぐにしか成長できない人間だ」

 その言葉に、百瀬はため息をついた。

 奇しくも高校の時と同じように、疲れた時に出る溜息だった。

「……ままならないものですね、人生」

「ままなるものなら人間などやめているだろうな」

「つまりこのまま、と。その方が慰めにはふさわしいかな」

 人間らしい人間、黒神舵樹は百瀬のことをそう呼んだ。

 秀才らしい秀才、黒神舵樹は慄のことをそう断じた。

 異常らしい異常、百瀬と慄は舵樹のことをそう考えた。

 三人ともその性質をよく表す存在で、その性質は年を取った今でも変わらない。

 清濁併せ呑む人間、己が才能を活発させる秀才、天災で天才の異常者、彼らが一番彼ららしい時代に呼ばれた渾名。

 その時代のことをしっかりと覚えている存在は今では不知火理事長ただ一人だけだという。教育者として三人は面白い教育材料だったそうだ。

「……昔を懐かしむのは今をしっかり終えてからだというのに」

「何か言ったか?」

「いえ。独り言です。では慄先生、ここで」

「ああ、一日頑張ろう」

 スーツ姿の二人はゆっくりと別れ、それぞれの教室に入っていった。

 百瀬の教室からは嬉しそうに歓迎する声が。慄の教室からは大きな声で「おねがいします!」という気味の良い挨拶の声が廊下に響き渡る。

「本日もよろしくおねがいします」

「本日もよろしく頼む」

 

 




黒神めだかは今は名前だけ。添えるようにゆっくりと。バスケのジャンプシュートで左手を添えるだけのように。
しかし添えるはずの黒神という名前なのに黒神はお父さんの方がメインに使われるようになってしまった。
そんな添えられ系ヒロイン、黒神めだかに対し、パパンとおにぃから作者へちょっとした疑問の連絡が。

「「Q,めだかちゃんどこに行った?」」
「A,学校さ! 池にはない学校の方に行ったよ。」

……なんだこのテンション。


この話で出てきたお父さんですが、お父さんと今回メインである二人のお話も書いてます。番外編で出そうか悩み中。
しかしめだかさん、マジで存在感がうす(←黒神ファントム)

因みにメール送った後の黒神舵樹のお言葉。

「……あぱぱぱぱぱ、旧友が冷たい。忙しいのかなぁ」


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