もしIS学園の隣にAC学園があったら(仮題)   作:かいがら

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7話 弾編 2

爆煙の中から一夏の白いISが飛び出してくる。

不意を突かれた青いISはそのまま正面から受け止め、空中で2機は拮抗した。

だがそれも長くは続かず、遂に一夏が刀を振り切り、青いISは地面に叩きつけられて動かなくなった。

 

「おっしゃぁ! 一夏が勝ったぞ!!」

 

「はっはー! 金髪の奴ザマァ」

 

「わー本当に勝つなんてすごいね。あと僕も金髪だからそれやめてよ」

 

今日、一夏がなんか喧嘩売られて決闘することになったと聞いて、数馬と、あと成り行きでシャルルの3人で応援(観戦)しに屋上に来ていた。

立ち入り禁止になっていてバレたらしばかれるが、ここからなら隣のIS学園のアリーナも見渡すことができるのだ。

 

「なるほど、あれが噂の男性IS操縦者か。いい面構えをしている」

 

あれ? なんだか聞こえるはずのない声が聞こえる。

 

「え?」

 

「さて貴様ら、屋上は立ち入り禁止だと言ってあったはずだが……」

 

し、しまった、さっきのがフラグになったのか…。

 

「あ…」

 

「言われたことも満足に出来んか、無能どもが……」

 

そしてまさかここまでキレられるとは思いもしなかった。

 

「ひぃ…」

 

「では宣言通り地獄を見せてやろう、たっぷりと後悔していけ」

 

一歩一歩近づいてくる。やばい、この担任プレッシャーの与え方が半端ない。もう駄目だ…夢なら覚め……

 

 

 

「すいませんっしたぁぁぁ………あ?」

 

夢だった。

いや違う、夢じゃねぇ。あれは実際に起きたことだ。

あの日からもう一週以上経っているのにこんな夢をみるなんてな……。

上の段のベットで、シャルルがウンウン唸っているのが聞こえる。同じ夢でも見ているのだろうか。

誘った手前、少し罪悪感があるが、こんなことは早く忘れたほうがきっとお互いの為だ。

その為にもさっさと朝食に向かうとするか。

 

 

 

「全く弾もひでーよな。覗きに行くなら俺らも誘ってくれりゃいいのに」

 

「だから覗きじゃねぇって何べん言わせんだよ。

純粋に応援に行っただけで他意は無ぇって」

 

「でも相手のISスーツ姿はしっかり見たんだろ。どうだった? エロかったか?」

 

「………エロかったです」

 

いや、やっぱ外人さんは出るとこ出てるっていうかね…

 

「チッ、はぁ~~、写真の1枚くらい撮っとけよなぁ」

 

いや、撮っていた、数馬が。

だがそのせいで、あの地獄が倍に延長されたのではないかと俺は思ってる。

当然ボッシュート! 数馬は泣いた。

 

「というかさ、その弾の友達はそんな至近距離にいて大丈夫だったのか?」

 

何が? いやナニのことだろう。あれ男もぴっちりしてんだよな。

 

「ん~勝負に集中してる感じでそんな素振りは無かったぜ」

 

「あぁそう、でも普通の実習とかじゃヤバイんじゃね。あのスーツならもろ分かりだろ?」

 

「…大丈夫だろう」

 

多分。

 

「え、何で? …そいつってもしかしてホモ?」

 

「……いや、それは違う」

 

と信じてる。

 

「いや、その間はなんだよ。もしかして…」

 

「ほら、貴様ら席に着け。今から授業を始める」

 

担任が教室に入って来て、あまり答えたくない質問を掻き消しつつ今日の授業が始まった。

 

 

「さて、今日はまず7月に行われる大運動祭の選抜選手を決める。

人数は各クラス4名、これは学園としても重要な行事だ。覚悟できるやつだけ立候補しろ」

 

遂に来た。この学園最大と言ってもいいイベント。

正直このイベントを間近で見られるだけでも、この学園に入学する価値があると言われているほどのものだ。

 

「ほう、全員か…。さすが私のクラスだ、と言っておこう。だがこれだと話し合いで決めるのは無理だな。どうせなら強いやつを出したいし…、よし、折角だから勝負して決めよう。分かりやすいし、お前らもそのほうがいいだろ」

 

「「「はい!!!」」」

 

「決まりだな。日程は後で伝える、それまでにベース機が嫌なら、各自アセンブルデータを作成しておけ。

あ、デュノアにはデュノア社からACコアと試作パーツが一つ届いている。手続きがあるから放課後職員室に来い」

 

 

 

「試作パーツってどんなパーツなんだ?」

 

昼食時、いつもの4人で集まってる中、少し気になってたことをシャルルに聞いてみた。

 

「あ~いや、実は僕もなにも聞いてなくて…」

 

「受け取ってからのお楽しみ、てことか」

 

AC企業になっての初パーツだろう。そもどの箇所のパーツなのか…

 

「それよりさ、みんなは次どんな機体で出るの?

アセンブル自由って言ってたし、ベース機から変えたりする?」

 

「当然。流通しているパーツがすべて揃ってるこの学園だ。使わなきゃ損だろ」

 

こいつの言う通り、この学園にはほぼすべてのパーツが揃っている。それは企業がパーツテストの為に送ってきたものだったり、イベントが多いこの学園での宣伝を狙ったものだったりと、様々だ。

 

「でもさ、下手に組むと全然使い物にならねぇって話だぜ。出力不足で動けなかったり、弾が全然当たらなかったりってな」

 

「そういう意味だとベース機が一番安定してて使いやすいんじゃね」

 

「ぐ、でもそれは下手に組んだ場合だろ。大丈夫だって、そんなへまはしない」

 

「ははは、フラグにしか聞こえねぇ」

 

「上等だ、俺と戦う時を楽しみにしてろ!」

 

 

そんな話をした数日後、選出試合の内容は

 

8人一組のバトルロイヤル

勝ち残り上位2名×4からの再度バトルロイヤルで、その上位4名が選手に決定

 

というものに決まっていた。

そして今、俺は他の7機と同じアリーナにいる。

 

ベース機の中量二脚型が3機

四脚型が1機

軽量逆関節型が1機

軽量二脚型が2機

そして俺を含めた重量二脚型が2機

 

それぞれが、アリーナ内で激しい戦闘を繰り広げていた。

 

「うおおぉぉぉ当たれぇやぁ!」

 

目の前を飛び回る軽量二脚にライフルとバトルライフルを撃ち込む。

障害物を少なく設定されている今回のアリーナは、正面からの撃ち合いになる状況が多い。

そして撃ち合いならこちらは重量機、軽量機相手に負ける訳にはいかない。

懸念があるとすれば、その軽量からくる機動力に翻弄されることだったが…

 

「はっ、そんなもん当たグァッ、当たるかよ!

今からグッ、俺のブレードでガッ、切り刻んでやる! グフゥ」

 

そんなことはなく、正面から突っ込んできていた。

あの機体の武装はブレードのみで、軽量機にしたのはそれを生かす為のものだろう。

確かに当たった時の威力は凄いがねぇ…そんな機体、まだACに慣れきってないのに使える訳ないだろうに。

さっきからこっちに近付こうとするたび狙い撃ちにしている。

あっ落ちた。

 

『4番機大破』

 

大方どこぞのランカーの機体を参考にしたんだろうが、やつには早すぎたようだ。

そういえば一夏も似たような機体だったな。よく勝てたねあいつ。

 

『アーーーーーーッ!』

 

『6番機大破』

 

! なんだ?今の不穏な叫び声は。

周りを確認すれば残ってる機体は俺含めて3機。

さっきやられたのは、「装甲さえ固めときゃ問題ないって兄貴が言ってたぜ」といって重量過多で身動き取れなくなってたアホのようだ。背面部から煙があがっている。

 

『ひっ、く、来るなぁぁぁ!』

 

おそらくアホがやられてる所を見ていたそいつは、叫びながらマシンガンを乱射していた。

そこまでビビらせるとは、一体どんなやられかたをしたんだ。

恐怖の対象はオレンジ色の軽量逆関節機。俺が相手にしたやつより数段上手い動きで近付いていく。

 

『うわぁ!』

 

牽制も虚しく、逆関節機のショットガンで身動きを封じられる。

そしてその隙に背後にまわったそいつは…

 

ズドン!

 

『アーーーーーーッ!』

 

そいつは、太く逞しいソレで相手の尻(腰)を貫いていた。

 

『2番機大破』

 

一撃…だと…。

相手の撃破を確認したそいつは、次はお前だと言わんばかりにこちらを振り向いた。

 

「ひぃ!」

 

今、俺はさっきのあいつの気持ちを体感していた。

こんなやられかた、男としてごめん被る。

 

『試合終了。現在残っている五反田、デュノアの2名を勝者とする』

 

お、終わった。これで助かっ……デュノア?

 

『あ、弾も残ったんだね。おめでとう』

 

………………お、お前かぁぁぁ!

 

 

 

「ねぇなんなの? あの悪質な武装は。というか何でケツに刺したの? 趣味?」

 

あの時すんごく怖かった俺は、夕食時にシャルルに詰め寄る。

 

「!?  しゅ、趣味じゃないよ! あそこに刺さるのは武装の位置関係的なもので他意は無いから!」

 

「うそつけ! じゃあなんでわざわさ背後にまわって刺した。明らかに狙ってんだろ」

 

まったく、この期に及んで言い訳するとは。

本人はいまだに、「相手の視界から」とか「戦術的に」なんて言葉を並べている。

 

「………そういえばシャルルは相手の弾避けたりして試合に慣れてるみたいだったけど、実家のほうでも試合とかやってたのか?」

 

「―――という訳だから決して…え、あぁうん、そうだよ。僕はデュノア社でテストパイロットやってたからね。試合形式のほうがデータが取りやすかったりするだ」

 

「なるほどなぁ。もしかして試合中使ってた武装もその時の?」

 

「うん、そうだよ。結構使い慣れたやつだったからね。試作パーツとしてAC用に開発してくれて少し嬉しかったよ。

パイルバンカーはこれまでのACパーツには無かったしね」

 

「そうか、ありゃ釘打ち機(パイルバンカー)だったのか………ん? AC用にってことは元は違ったのか?」

 

「うん、元はISょ………じゃなくてIS制作用の釘打ち機だったんだ、いやー昔はよく手伝ってたんだよ、うんうん」

 

「…お前、工具を武器にってどこのアイザックさんだよ」

 

友人の意外な一面に気付いた一日だった。

 

 

 

選手選抜試合決勝、一回目と同じく8機のACがアリーナに集っている。

今回のアリーナは障害物が少し多い。前回のようにACの防御力に頼った戦法はやめたほうがいいだろう。

相手を確認していると、何故か皆同じ方向を向いているのに気が付いた。

なんだ? 皆どこ見てんだ。視線の先は…オレンジ色の逆関節機。

あれは確かシャルルの機体。シャルルに何かあるのだろうか? 確かにシャルルは強敵だろうが、全員が気にするほどじゃ………………はっ!

そうか、あれはシャルルを狙うというより、シャルルに背後(尻)を見せない為の…

 

『…用意はいいな。それでは、試合始め!』

 

まずい! 俺だけまだシャルルに尻を見せている。

 

ビィィーーーー!

 

開始の合図が鳴った瞬間、アリーナの中心に黒い塊が降ってきた。

 

 

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