クズと悪女の逆襲劇(ヴェンデッタ)!〜追放された勇者の孫は勃起の力で戦キチ悪役令嬢と魔王軍に寝返って異種族娼館を建てたいようです〜   作:犬吠崎独歩

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第十四話 ゾーネンシュリーム卿の魔王軍式ののしり手帳(新兵訓練編)

 

 無事魔王軍へ参入したレオンとヴィオラ。ここから血も涙もない残虐非道の逆襲劇(ヴェンデッタ)が始まる──。

 

 と、思いきや。

 

「何をしている!走れ!!このゴミクズ以下のカス共が!!ジジイの○○○みたいに情けない声を上げおって!!その粗末な○○○○を消炭にされたくなかったらもっとキリキリ走れッ!!」

 

「ハッ、ハひッ……マム・イエス・マム!!」

 

 死にそうな顔で走るレオンに、同じコースを走っている筈であるのに涼しい顔で並走するヴィオラが檄を飛ばす。

 

「そうよレオン。○○○○切り落とされたくなかったら教官殿の言う通りにしなさい?ほらアンタ達もよ!気合入れて走んなさいこのゴミムシ共!!」

 

「ケッ……ケヒャッ……!マム・イエス・マム!」

 

「声が小さァい!!○○○○どっかに落として来たのかしらァ!?もっと声出せ!!ブッ殺すわよ!!」

 

「「マム!イエェス!!マァァァァァァム!!」」

 

 ……レオンとヴィオラ傭兵団の面々は、ゾーネンシュリームとヴィオラの両名を教官とする、地獄の悪鬼すら裸足で逃げ出すの新兵訓練に参加させられていたのであった。

 

 

 ──事の始まりは少し前に遡る。

 

 

 きっかけはゾーネンシュリームの一言からだった。

 

「レオン……お前は弱すぎる。」

 

「へ……?」

 

 レオンは困惑した。とんちとはいえゾーネンシュリームとの勝負に勝ったのに、弱いって何で??という顔をした。

 

「アスモデウスの力を使えるのはいい、だが力に振り回され過ぎだ。それでは強いとはいえん。」

 

『んー……悪いけど僕もそう言わざるを得ないなレオン。君、もっと鍛えたまえよ。』

 

「アスモっちゃんまでェ!?」

 

 四面楚歌のレオン。そんな中、ヴィオラはある提案をした。

 

「あーそれ私も思った!……ちょうど良いわね!ゾーネンシュリーム卿!新兵訓練いたしませんこと?うちの部下達も一緒に!」

 

「む、それはいいなヴィオラ嬢。ちょうどこちらの新兵も訓練しようと思っていた所だ。やろう、今すぐに。」

 

「え!?」

 

 レオンの意思は完全に無視され、ここに新兵ブートキャンプの開催が決定されたのであった。

 

 

「よぉーし!喜べ貴様ら!!休憩時間をくれてやる!!キリキリ休め!!返事ィ!!」

 

「「マム!!イエス!!マム!!!!」」

 

 ゾーネンシュリーム教官から休憩が言い渡された。レオンと傭兵団の面々、そしてゾーネンシュリーム軍の新兵たちは死屍累々の様相を呈していた。

 

「ケ、ケヒ……死んじまうケヒャ……。」

 

「お、おじいちゃんの修行より辛い……!死ぬ……!」

 

 そんなぜぇぜぇと息も絶え絶えになっているレオンたちに、近づく者がいた。それはグロッキー状態になっているレオンの首元に良く冷えた水瓶を押し当てた。

 

「あ"ーーー……ちべてえ。」

 

「おいおい何だよ?全然ビックリしねぇのな。普通こういうのはそれ相応のリアクションがあるもんだぜ?」

 

 後ろを振り返ると、そこには若い魔人が瓶を手にヘラヘラ笑っていた。まだ新しい軍服を着崩しているのが、軽薄そうな顔面によく似合っている。

 

「っせぇな……こちとら死にそうだってのに……誰だよてめぇは……?」

 

「おおっとぉ?自己紹介が遅れたな。俺はラスター、ラスター・ディリゲント。悪魔族だ。よろしくな?人間の兄ちゃん達。ほらこれ飲めよ。」

 

「んあぁ……ご丁寧にどうも。……あぁ〜ッ。」

 

 渡された水をごくごく喉を鳴らして飲み、一息つくと身体に生気が戻ってくるようだった。

 

「ははっオッサンくせぇ。」

 

「っさいなぁ……。あ、俺レオン、レオンハルト・ノットガイルだ。で、こっちの鶏みてぇなのがヒューン。よろしくな。」

 

「よろしくだケヒャー。」

 

「おう、仲良くしようぜぇ?……しかし人間のクセにやるじゃねぇかよ兄ちゃん達。ゾーネンシュリーム様の新兵訓練は魔族でも根を上げるやつがいるってのに。」

 

「いや正直やめてぇよ……でも逃げるとうちのボスに殺されちゃうから……。」

 

「あぁ、あの副教官殿か。あの人もすげぇよなぁ。同じメニューなのに全然元気そうだ。あと胸もすげぇ。顔よりでけェんじゃねえか?なあ?」

 

「それには同意だ……アイツの胸はすげぇ。」

 

「何か仲良くなれそうだな?俺たち。……おっと、教官殿が帰って来たぜ。」

 

「待たせたなカス共!!次は楽しい楽しい戦闘訓練だ!!さっさと集合しろ!!」

 

 訓練場にゾーネンシュリームの罵声が響き渡ると、ラスターは立ち上がった。

 

「そんじゃあな、俺ァ戻っから。精々頑張ろうぜぇ?」

 

「おう、それじゃ。」

 

 お互い別れを告げると、ラスターはピッと手で会釈して魔人達の元へ戻っていった。

 

 よろよろとレオンたちヴィオラ傭兵団が立ち上がって整列しようとする。そんな中、レオンはヒューンにぼそりと話しかけた。

 

「なぁヒューン。」

 

「何ケヒャ?」

 

「俺初めて友達できたかもしんねぇ。」

 

「ヒャ!?」

 

 少しニヤつきながらレオンは教官の元へ駆けていった。その後、泣いたり笑ったりできなくされたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 その後、一週間程で訓練は終了した。本来ならば一ヶ月程みっちりやる訓練らしいが、一応戦時中であるため期間を短くする代わりに密度を濃くしたらしい。

 

 訓練のシメとして、ゾーネンシュリームが壇上で修了の言葉を述べていた。

 

「只今をもってブートキャンプを終了する!!喜べ!貴様らは今日よりゴミカスを卒業し、一人前の犬っころになった!!どうだ?嬉しいか!!」

 

「「「「マム・イエス・マム!!」」」」

 

「よろしい!!それではそんな貴様らに初めての戦場を用意してやる!!戦争処女貫通式だ!!嬉しいだろう?派手に散らして来い!!」

 

 ゾーネンシュリームの突然の発言に、兵士たちはどよめき始めた。それを彼女は一喝する。

 

「嬉しいかと聞いとるんだ!!返事ィ!!」

 

「「「「ま、マム!イエス!マム!!」」」」

 

「では出発は明後日とする!それでは私からは以上だ。ヴィオラ、後は頼む。」

 

 ゾーネンシュリームは話を終えるとくるりと踵を返し壇上から去っていた。続いて彼女の傍らにいたヴィオラが伝達事項を伝える。

 

「えー、今から呼ばれたものはこのまま参謀本部に来るように。レオン・ノットガイル、ラスター・ディリゲント、以上!解散!!」

 

 ヴィオラが解散を告げるとわらわらと兵士達が散り始める。

 

「えー……何すんだろ……。」

 

「ま、なるようにしかならねぇよ。少なくとも悪ィ話じゃなさそうだしなァ。」

 

 一週間の地獄を乗り越えたレオンとラスターは、それなりに仲良くなっていた。訓練の後半ではレオンが魔族側に混ざったり、ラスターが人間側に混ざったり。人間と魔族の垣根を超えた友情が生まれつつあった。

 

「さぁアンタ達、ゾーネンシュリーム卿がお待ちよ!さっさとしなさいな!」

 

 ヴィオラが二人に駆け寄ってくる。

 

「なーヴィオラー何すんのー?」

 

「はぁ?決まってんじゃない。」

 

 フフンと楽しそうな顔でヴィオラは言った。

 

「作戦会議よ!!」




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