キングダム 回帰する者 作:李牧
「1つ聞いていいですか?クロムは中華統一と言いましたが、趙国が中華を統一しなければならないのですか?」
「いや、他国でも構わないのよ」
「そうですか」
「どの国するつもりなのよ?」
「趙国に思い入れはありますが、この国では中華統一なんてほぼ不可能ですからね」
「逆にどの国なら可能なのよ」
「………国力から言えば現実的に中華統一を目指せるのは秦国か楚国くらいでしょう」
秦国は田舎者なんて揶揄されているが、その一方で、新しい物や制度を柔軟に取り入れた最も進んだ国と言える。徹底した信賞必罰と能力主義は秦国に多くの優秀な文官や武官を集め、その筆頭が後の六大将軍や宰相の范雎だ。一方の楚国は国土こそ中華の半分を占めるが、その実有名無実化した役職が数多く残り、国の重要な役職の殆どを王の血筋、つまり公族が占めている。さらに、地方の公族の力が強く、相対的に国王の力が弱いのが楚国の特徴でもある。まあ、それでも現在中華一の大国であることには変わりはないんだからふざけた話である。
「迷うところですが、やはり王の優劣を考えると秦国に軍配が上がりますね」
中華統一は文字通り国の全てを掛けて行われる事業。自分の身を業火に据えるほどの強くて苛烈な覚悟を持った王が必要なのだ。そして、この中華においてそれほどの苛烈な王は秦王しかいない。
「しかし、皮肉なものですね。かつて、悪魔の所業と切り捨てた中華統一戦争に自分から手を貸す羽目になるとは。ですが、これも、この無限の退屈を紛らわせるため。恨みはありませんが、六国には滅んでもらいましょう」
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「さて、さっそく秦国に行くぞと言いたいところですが、その前に趙国でやることがあります」
「やること?何のことなのよ?」
「すなわち、嘗ての仲間集めです。中華統一のためには優秀な武官は一人でも多く必要ですからね。それに出来ればかつての仲間と敵対したくない。特に舜水樹や、慶舎、カイネとは。(他はまあどうでもいいですが…)
それになにより、趙国は中華統一のために速やかに滅ぼさなければならない国。優秀な武官は少ない方が良い。出来れば一人も残したくありません。まあ、無理ですが………。仲間に出来なさそうな旧三大天一派と愛郷心大勢な司馬尚一派と紀彗一派は横に置いておくとして、それ以外は全てに唾をつけるつもりです」
「数打ちゃ当たる論法なのよ。でも、そんなので本当に仲間にできるのかよなのよ?」
「心配無用です。私の頭には趙国の主要な武官と文官の事は全て入っています。生まれた土地や、どうやって生きてきたか、何を大切に思い、何のために戦うのかまで全てです。そんな私が本気で人材登用を行えば」
「結果は押して知るべしってことってことなのよ」
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李牧は趙国内を回り、その後、魏、韓、楚と回り、秦国へと入った。
その過程で舜水樹や、慶舎、紫伯、霊凰、成恢を仲間に加え、結構な大所帯で秦国入りする。
因みに、紫伯は妹との生活を引き合いに出し、霊凰は頭脳勝負で屈服させ、成恢は毒の知識を与え、引き入れたのだった。