安らぎと過去を目指して 作:冬霊サルカズ王庭雪祭司
考え過ぎちゃうせいか、原作改変するのが大変ですよ。pixivで見かけるような原作キャラをオリ主が簡単に救っちゃう系の小説ってなんであんなにポンポン書けるのかね。
意図しない別れが一番面倒で、互いに納得もできやしない。
「…………」
パトリオットから言われた言葉に僕は一人で頭を抱えていた。
『テレサ殿下……』
誰だそいつは、
百歩譲ってテレジア殿下と呼ばれるのは分かる。彼女と瓜二つであったから。
しかし、テレサとは何だ。
「覚えて……ないのですか?」
そう言ってパトリオットは少し考えた後に、
「いえ、私からは教えられません」
と言った。
気になるじゃんか。
しかし、せがんだところで教えてくれる程軽くはないだろう。
今分かる範囲で考えられるのは、僕=テレサはテレジアやテレシスに深く関係のある人物であること。
パトリオットが口を閉ざしたからそれ以上のことはカズデルにでも行かないと分からないだろう。
尚更、知りたいという気持ちが肥大化するが、行こうとは思わなかった。
カズデルではテレシスとテレジアが対立している為、そこに(恐らく)不確定要素の僕が加わるのは良くないと思い、レユニオンに留まった。
それに、今はタルラに恩返しをしたい。
…………強くなる必要がある。
幸いにも、目の前には地上最強の戦士がいる。
「パトリオットさん、僕に戦いを教えてくれませんか?」
「……なぜだ?」
「いつか対峙する運命の為……じゃあダメでしょうか」
もっと現実的なことを言えばよかっただろうか?
詩人めいた表現をしてしまった。
「いいだろう」
良かった、こうした機会は中々得られる物じゃないから助かっ「明日から始める」いや助からないわ。
いつまで持ち堪えられるかな。
パトリオットの厳しい訓練に打ちのめされた後のことだ。
「調子はどうかな?」
「……最悪だよ」
最近は忙しそうにしていたタルラが僕の前にやってきた。
レユニオンのリーダーをしてる訳だから忙しいのは当然だが、僕としては今のタルラには荷が重いと思う。
悲劇は人を強くすることもあれば、心を折ってしまうこともある。そして、彼女はまだ悲劇を知らない。
リーダーとして多くの人を引っ張るには、そういった経験も必要になる……なってしまうのだ。
彼女は耐えられるだろうか?できることならば、彼女の側に立って支えてやりたいところだ。
「久しぶりに時間ができたんだ。良かったら二人で歩きながら話さないか?」
「……デート?」
「でで、デートとかじゃないぞ!?」
ちょっと揶揄ったらアホみたいに赤面した。ツボった。
「(言葉にできない笑い)」
「揶揄ったな!この……」
笑いすぎて腹を抱えていたら急にタルラが押し倒してきた。
あ、ダメだ笑いが止まらん。
「(過呼吸気味の笑い)」
「笑いすぎだろう!?……うわ」
ズルッと、タルラが手足を滑らせ僕の上にのしかかってきた。
女性特有の柔らかさを感じる場面なのだろうが、僕はようやく笑いが引いてきたところである。
「タルラ?ここにいたの……ね……」
最悪の場面でアリーナがやってきた。タルラの顔も真っ青である。
(過呼吸するほどの笑いで)顔の赤い僕とのしかかるタルラ。しれっとフードが外れて僕の顔も顕になっているから余計に酷い。
「……そういうのは、場所を考えた方がいいわよ?タルラ」
と、
「い、いや違う!違うんだアリーナ!?」
浮気したお父さんみたいに言うな、余計に誤解を招くだろ。
それに、周りにいるのはアリーナだけではないぞ?
「な……お前、タルラ!?なにして…………」
「フロストノヴァ!?いや違うんだ、これは……」
「……いや、趣味は人それぞれだからな、大丈夫だぞタルラ」
あらぬ勘違いしてて草。
…………ん?もしかしてフロストノヴァは僕の顔を見るの初めてなのか?
「……男なんだけど、僕」
「……はぁ!?」
僕そんな男らしくないかなぁ?
テレジア殿下と瓜二つだから仕方ないのかな……。
「ミサキからも何か言ってくれ!」
「…………ふへ」
「まだ笑ってるのか!」
「い、いひゃい」
ほっぺを引っ張るな。結構痛いぞ。
あとそろそろ退いてほしいな。
「……すまない」
「大丈夫、タルラは同性好きじゃないって信じてるから」
「だから違うと言ってるだろう!?」
パトリオットの訓練が始まってから凡そ一年半くらい経った。
戦闘技術はなんとか形にできたが、アーツがなかなか上達しなかったので、その手に詳しい人達に聞いてみると、二つのの回答を得た。
一つ目は適性自体は確かにあるものの感覚が掴めてないのではないか?。こればっかりは仕方がないのかもしれない。僕の意識はこことは違う世界のままだから、彼らが潜在的に持っている感覚を知る由もないのだ。
二つ目は方向性の違い。曰く、一般的に知られる現代アーツではなく、サルカズやサーミの古代アーツ……巫術の方に適性があるのではないか?らしい。例えるなら、漫画の主人公が持つ特殊な出自と能力だろうか?自身がそこまで特別とは思わないが、説としてはあり得る話である。
サーミはともかく、サルカズの巫術ならパトリオットが使っていた筈なので、また後で聞いてみようと思う。
いつか時間ができたらサーミに行って見るのも良さそうだ。
言い忘れていたことだが、僕のレユニオンの立ち位置だ。
基本的にアリーナの手伝いをしながら遊撃隊の装備の修繕、前世の知識をうまく活用できないか研究している。
例えば、学生時代に授業で見たモンゴル遊牧民が使う移動式住居があったなぁと必死に思い出しながら、草案として形にし、なんとなくアリーナに意見している。全部アリーナに任せきりなんじゃないかって?しょうがないだろウルサス語上手く喋れないんだから。
まだウルサス語を完璧にに喋れないことと単純にお喋りが上手くないので、前々から付き合いのあるアリーナに引っ付いているだけである。フロストノヴァによると、僕のことはアリーナにペッローの如く付いているサルカズと噂されているそうだ。
すりおろすぞ(
「また変なこと考えてるでしょ」
「……考えてない」
「ふふ、それよりも今日はミサキの面白い話を聞きたいわ」
「…………じゃあ、今度はシエスタの話をしようか」
アリーナは僕に話を求めることがある。それがどこかの国の話でも、取るに足らない愚痴でも、なんでもいいからと求めてくる。
そこまで面白い話かな?と思いながらも僕は答え続けた。
「そういえば、サーシャとイーノはどうしてる?」
「彼らなら、子供達と仲良くしているわ。それがどうかしたの?」
「……ならいい」
アリーナは不思議そうな顔をしていたが、唐突に何かを思い出したのか、話題を変えた。
「そうだ、近くの村に行って、何か交換してもらえないか聞きに行こうと思うの」
「……………………」
……………………
「!……酷い顔よ?大丈夫?」
「……あ、うん。大丈夫、だよ」
いや、大丈夫なんかじゃない。
心がぐちゃぐちゃだ。いつかこの日が来る事を分かっていたから準備してきたのに、全く落ち着かない。
「……僕も、付いていくよ」
「ダメよ、顔が真っ青だもの。鉱石病が進行したのかもしれないわ、ここで休みなさ「いいから」……」
息を吸って、吐く。
息を吸って、吐く。
息を吸って、吐く。
心を落ち着かせるんだ。
「僕も、一緒に行くよ」
「今出かけるのは少し危険だと思うぞ?」
「戦士たちに聞いたけど監視隊が西の村に集まってるらしいわね……数日前の彼らとのやり取りが気付かれたんじゃない?」
「その可能性はある。だからしばらく西へは行かない方がいい」
タルラとアリーナの会話だ。
僕はそれを一歩後ろから聞いていた。
「何を交換するんだ?」
「缶詰の果物と干し野菜、あとドライフルーツかな」
僕はこの手で初めて命を枯らす。
パトリオットから学んだ戦う術は間違いなく修得しているが、未だに平和ボケした心がそれをやめろと訴える。
しかし、言葉での解決は起こり得ない。確実にだ。
「ミサキ?」
「!……なに?」
「何って、アリーナがもう行ってしまうぞ?」
考え事が長引いてしまった。速く追いつかなきゃ。
「ミサキ」
「なに?」
「…………いや、なんでもない」
なんだよもう。
「無事だったかタルラ!」
「まさか、援軍まで倒したのか?流石だな!」
「……人数確認?ああ、二人を除いて全て確認済みだ、漏れはない」
「二人ってのは確か、アリーナとミサキだな、よく印象に残っているよ」
「そういや、生き残りの監視隊や俺たちが追放した連中は東の方に行ったな……いや待て、あの二人も東に行ってなかったか?」
「嘘だろ?この状況で帰ってきていないなら生存は絶望的だぞ」
「だが、あの二人なら大丈夫だろう?ミサキはよく大尉から直々に訓練してもらってるじゃないか、実践経験はまだしも、技量に関しては申し分ない。奴らに見つかってもあいつなら捌き切れ「タルラ!」!?」
積もる雪を赤く染めながら、サルカズを抱えたエラフィラが叫ぶ。
「タルラ!医者か医療用のアーツを使える人を呼んで!ミサキが、ミサキが死にそうなの!」
思ったんだけど話の流れが駆け足気味じゃないか?ダイジェスト感が否めない……
・タルラ
アリーナとミサキがいればなんでもできそう!
楽しい思い出もあったし、災難をどうにか越えられたと思った所で爆弾投下、顔が真っ青になる。
・アリーナ
いまだに混乱しているが、このままじゃミサキが死ぬのは分かっているので、非力ながら急いで帰った。
・ミサキ
なんであいつがここにいるんだよ、もっと後のはずだろ…………
重症を負ったが、どうにか撃退した。