完璧で究極なアイドル様に執着されて   作:肉ぶっかけわかめうどん

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それぞれの見る夢

 

 ひとしきり笑った後、深呼吸を一つして心を静める。廊下の奥には明かりが灯り、声が聞こえてくる。リビングでテレビでも見ているのであろう親が出てきたら面倒だ。

 階段を上がり、姉が後をついてきているのを確認しながら自室へ向かう。

 

 部屋の電気をつけ、荷物を机に放りだしたらイスを引き、自分はベッドに座る。無言でイスに腰掛けた姉と向かい合い、まずはこれを問い掛ける。

 

「で、どこに仕込んだの?」

 

 姉は黙ったまま机の上の荷物から私の財布を手に取った。財布に付けてあった厄除けのお守りの袋が姉の手によって開かれると、中から黒いチップが取り出された。お守りの中身とすり替えてたのか。木の札と金属の板、見たり直に触れたりすれば一発で分かるけど、袋越しの感触だけでは中々気づけない。というかたかがストラップ代わりの物にそこまで意識割いてない。

 

 姉の服のポケットから出てきた、元々の中身らしき木の板が詰め直され、綺麗に口が結ばれた。言われなければ開封済みだと分からないだろう丁寧さだ。器用なことで。

 

「そこかぁ。最初から?」

「アクア君達が初めて家に来た日。私宛に荷物来てたの覚えてない?」

 

 そういえば何か来てたような覚えがある。あれがそうだったのか。財布に仕掛けるとはよく考えたな。携帯電話と並ぶ常に肌身離さず持ち歩く物の筆頭だ。

 

「ふーん」

 

 それからしばらく、時計の秒針が立てる音が姉との間に流れた。何も言わず、じっとお互い目を合わせたまま時間だけが過ぎてゆく。

 

「それだけ?」

 

 目を全く逸らさず、口だけを動かして問い掛けられた。それだけ、と聞かれても。何かあったっけ?

 

「怒らないの? 私だったら怒るよ。たとえ相手がアクア君だったとしても許せない」

 

 まあ、普通はそうかもしれない。姉も原作で怒っていた。そういえば今ふと思ったが、この世界でもアクアはGPS仕掛けてるんだろうか。わざわざ調べる気も起きないけれど。

 

 とにかく、私の中に怒りの感情は無い。むしろ思わず笑ってしまったぐらいだ。この姉なら私の個人情報を悪用するようなこともないだろうし、実害は無いと言っていい。留守中に部屋漁られるとかは流石に困るが、たかが居場所を知られてるから何だというのだ。

 部屋の中だけは本当に困る。隠してある仕事道具の数々や通帳が親に見つかったら説明が面倒極まりない。お札やら何やらが大量にあるのは純粋に気味が悪いだろうし、アルバイトひとつしていない娘が親に内緒で口座を作っていて、しかもそこに結構な額の預金がある。どう見ても後ろめたい金だ。

 

「姉さんなら別にいいよ。居場所ごとき。で、何か収穫あった?」

「本当に怒る気ないんだ。怒るにも値しないんだね」

 

 何やらため息をつかれた。怒ってほしいようにも聞こえるが、どういうことなのだろう。

 

「……あおいは何をしにあそこへ行ったの?」

「番組お抱えの霊能者が直前で逃げちゃったから、代わりをしてくれって依頼されたんだよ」

「霊能者?」

 

 霊能者と聞いた姉はきょとんとした顔になった。

 

「言ってなかったけど、実は私副業で霊能者やってるんだよ。そういう悩みを抱えた人たちの相談に乗って、少しばかりのお礼を貰う仕事」

「ちょっと待って、霊能者って……幽霊とか、そういうの見える人だったの?」

「うん。生まれつきね。誰にも言ってないけど」

 

 胡散臭いものを見るような目つきが一瞬だけ姉の視線の中に混じった。まあ霊能者というものの世間での扱いを考えればそうだろう。

 オカルトが好きな人と、信じてる人は違う。数ある娯楽の中の一つとして受け入れている人は数多くいるが、心から信じ恐れている人は少数派だ。人前で本気でそんな話をする者は異常者として扱われるのが世の常。

 

「何で言わなかったの」

 

 何でって、少し考えれば分かるだろう。オカルト信者は頭のおかしい人として扱われる点もあるし、それを抜きにして考えても行動が問題だらけだ。

 何処の誰とも分からない依頼者と会って一、二時間ほど二人きりで相談に乗り、お金をもらって別れる。如何わしい商売と間違われても仕方ない。というか前世で一回誤解された。

 

 うちのお堅い親がそういう事許すと思うか、と問えば姉は納得したのか首を縦に振った。

 

「理由は分かったけど……テレビ局から依頼が来るくらい有名になってたの?」

「テレビ局からの依頼じゃない。今回私に話持ってきたのはカミキさんだよ」

「カミキって……あの人も霊能者のこと知ってるの?」

「前に診た人がたまたま知り合いだったみたいでね。こっちのこと知られてたのは驚いたけど。とにかく、局としては不在のまま行くつもりだったけど、カミキさんがそれは良くないと個人的に依頼しに来たんだ」

 

 初見で認識されてた時の衝撃は忘れられない。有名なのは姉の方だから、そっちと間違われて声かけられるのはたまにあったけど。

 

「前にあおいが言ってた推理が正しいとするなら、宮崎での産婦人科医の失踪に深くかかわっている人だったよね。よくそんな相手と平気で一緒に居られるね」

「こっちに矛先向かないなら別に平気」

 

 過去に殺していようと、未来で殺すかもしれなかろうと、その相手が私じゃないなら別にいいさ。それがその人の物語の終幕だというだけだ。もしもの話だが、今日会ったばかりの片寄ゆらが不幸な事故に遭った、というニュースが明日の朝一番に流れたとする。私はきっと驚きはすれど、悲しみはしないだろう。原作で起きた悲劇が、ほんの少し前倒しになっただけだ。

 

「……」

 

 イスのキャスターがたまの身じろぎに合わせて音を立てる。それ以外の物音を全く立てることなく、姉は静かに私を見ていた。

 

「アクア君が言ってた。あおいは他に誰も知りえないはずの情報を何故か握ってるって。限られた人しか知らないはずの情報を得る手段は、その限られた人に聞くしかない」

「まあ、そうだよね」

「もしやとは思うけど、アクア君たちのお母さん、星野アイ本人から直接話を聞けるのなら、辻褄は合う。あおいの情報網って、そういうことだったの?」

 

 情報というのは原作知識の話かな。霊が見えても話ができないと知らず、かつ転生抜きで原作知識の存在に説明をつけようとすればそうなるのか。

 

「そう思うなら、それでいいよ」

「それでいいって何その答え?」

「言わなきゃ絶対に分からないし、私はそれを言う気はない」

 

 答えは全てご想像にお任せします。お好きなように。

 

「教えてくれないのね」

 

 イスから身を乗り出して顔を近づけられる。今、この姉の目の中にある感情は何なのだろうか。

 

「最近気付いた事があるの。宮崎で会ったあの変な女の子とあおいってどこか似てる」

 

 宮崎で姉が会ったというのは疫病神だろう。私があれと似てるだって?

 

「見上げても見下してもないけど、対等じゃない。そんな目で見てる」

 

 疫病神はともかく、私は皆のこと対等な人間として見てるつもりなんだけどなぁ。

 

「……もう寝る。邪魔してごめんね」

 

 姉はふらりと立ち上がると、部屋を出ていった。ドアを閉める前にこちらを振り返ってきたので、挨拶ぐらいはしておく。

 

「おやすみ」

 

 閉まる前のわずかな隙間から覗いた目からはやはり、感情が読み取れなかった。

 まあいいか。時間も遅いし疲れたし、私も風呂でも入って寝るとしよう。

 

 

 

 黒川とツクヨミの二人を下した後、夜の都内を穏やかに流すバンの車内で、斉藤ミヤコは視線は前に向けたままで背後に向かって話しかけた。

 

「ねぇアクア、さっき話してたことだけど」

 

 黒川あおいとアクアの会話はもちろんミヤコにも聞こえていた。

 

「これだけは言わせて。危ない事はしないで。アイは死んで、壱護もどこかへ消えた。この上貴方たちにまで何かあったら、私は……」

 

 仮初とはいえ、それでも親子として長く過ごしてきた間柄。あの日刻まれた心の傷は決して癒えてなんかいないし、これからも残り続けるであろうことは流石にわかる。ただ隠すのが上手くなっただけだ。

 そして、アイの死の謎。引っ越しの直後をどうして襲えたのか。住所を知っている何者かが背後にいた可能性。

 

 もしも真相が明らかになったなら。その黒幕を突き止める事が出来たなら。復讐の二文字を頭に思い浮かべ、何もかも捨てて走り出してしまう。そんな未来をありえないと切り捨てられるほど楽観的にはなれずにいたし、案の定というべきか、やはり復讐の為に密かに活動していたようだ。

 ルビー、黒川あかね、有馬かな、MEMちょ。彼女たちが光差す方へとアクアを引き留めてくれるであろうことを期待するしかできない無力な自分が情けない。

 

 窓枠に頬杖について外を見ていたアクアは、ミヤコの言葉を聞いて口の端を吊り上げた。

 

「黒川あおいの言葉を信じるなら、もう仇はいない。オレの知らないところでいつの間にか終わっていた。危ない橋そのものがもうどこにも無い」

 

 何も知らぬは己だけ。まるで道化だ、とアクアは笑った。

 

「十年来の生き甲斐だったのにな。これから何のために生きればいいのやら」

「そ、それならお兄ちゃんは何もしなくてもいいんじゃないかな」

 

 窓にもたれかかるアクアの腕を抱きかかえ、ぐいぐいと自分の胸元へ引っ張りながらルビーが言った。

 

「私、もっと売れっ子になってバリバリ稼いで、お兄ちゃんの事養ってあげる。お兄ちゃんが『行ってらっしゃい』『おかえり』って毎日言ってくれるだけで頑張れる気がする!」

「流石にヒモは勘弁してくれ。オレにもプライドぐらいある」

「じゃあお兄ちゃんは専業主夫。同じ名字で一緒に住んでて、お互い大好き。もう夫婦みたいなものだよね?」

「全然違う」

 

 ルビーの引く力に根負けしたアクアが窓際から離れ、引かれるままに妹にもたれかかった。

 ミラー越しにその様子を見るミヤコは、この兄妹いつか本当に一線超えるんじゃなかろうか、と心配する一方で、これだけ深く心が繋がっている家族を置いていくような真似はきっとしないだろう、と安心もする。

 

 

 家の前で二人を降ろしてバンは走り去った。ミヤコはこれから事務所に戻って仕事の続きをしなければならないのだ。

 見送りもそこそこに家に入ろうと歩き出したアクアの隣へと、ルビーは小走りで駆けた。隣へと追いついたルビーは当然のように兄の手をとり、指を絡めて手をつなぐ。

 

「ねえお兄ちゃん。私って変かな」

「何がだ」

 

 誰かこちらを見ている者はいないか、家に入る前にさり気なく周囲を確認しつつ、アクアは脈絡のない話を急に始めたルビーに聞き返す。

 

「今日会った片寄さんの上司のあの人、あれが前に言ってたカミキヒカルって人なんだよね」

「そうだな」

「あおいさんが言ってた通りなら、あの人が私たちのお父さんで、せんせを殺した人」

 

 玄関を潜ったら、まずはドアをしっかりと閉める。鍵をかけ、ドアチェーンも忘れずに。ノブを動かして施錠を確認できてからようやくアクアは靴を脱ぐ。一足先に中へ上がった事によりさらに一歩高くなった視点から、アクアは妹を見下ろした。

 

「ずっと許せないって思ってたはずなのに。いざ会ってみたら、何も言葉が出てこなかった。なんで殺したの。せんせに会うのがずっと夢だったのに。そう言いたかった。でもね」

 

 自然な動きでアクアは遅れて靴を脱いだルビーの手をとって立たせていた。お姫様の手を引く王子様や騎士のように。

 

「あの人がせんせを殺してなかったら、お兄ちゃんは生まれなかった。今、幸せなのは間違いなくあの人のお陰。そんな風にも思っちゃった。許せないはずなのに、許そうって気持ちもでてきた。やっぱりおかしいのかな、私」

 

 もしも先生が生きて、自分に会いに来てくれたら。そんな幾度繰り返したかも覚えていない妄想。ステージの観客席の中にその姿を見つけられたなら。握手会に来てくれて、言葉を交わす機会を得られたなら。

 だがこの妄想には二つの大きな問題があった。まず一つ目は、ルビーは先生を知っているが、雨宮吾郎は星野ルビーを知らない事だ。自分は生まれ変わったさりなだよ、と主張しても先生がそれを受け入れてくれるかどうか分からない。

 二つ目の問題は、自分はアイドルの女であり、先生はファンの男であるという点だ。どれほど恋焦がれようとも、たまの機会に二言三言、当たり障りのない会話を交わすのが関の山。アイドルとファンがそれ以上の深い仲になるなど許されるはずもない。最悪の場合、母と同じ末路をたどる事になりかねない。

 憧れの舞台と、憧れの人。二つの夢からどちらかを選ばなくてはならなかった。

 

 でも今は、その大好きな人と共に夢を追える。両方欲しいと答えて良いのだ。この幸せは誰によってもたらされたものであるか。即ち、先生を殺してくれたあの人だ。

 恨む気持ちも、感謝する気持ちも両方ある。自分はどうすればいいのだろうか。

 

 揺れる紅い瞳に映る不安を見たアクアは静かに笑いかけ、繋いでいない方の手でルビーの頭を撫でた。

 

「オレは変だと思わない。オレも全く同じ事を思ったことがあるから」

 

 ルビーは兄の顔を見上げた。優しさと懐かしさと悲しさが一緒くたになった、穏やかで寂しい笑みだった。

 

「アイと、ルビーと、三人で過ごした日々は本当に幸せだった。オレを殺してくれたヤツに、オレにこの幸せをくれたヤツに、オレは感謝したいと思ってた」

「今は、幸せじゃないの?」

「アイを奪ったことは許せない。だけど、今の二人の暮らしだって幸せだよ」

 

 ルビーは一歩歩を進め、細身に見えてしっかりと固いアクアの胸に頭を埋めた。

 

「ね、今は他に誰もいないよ。だから、そっちで呼んで?」

「……さりなちゃん」

「せんせ……」

 

 アクアの背に手を回し、ルビーは母親と瓜二つの超新星を宿した瞼を燦々と輝かせて宣言する。

 

「私ね、B小町がドームに立つところを、ママとせんせに見せたい。それを見てもらうのが私の夢。今決めた」

「できるさ。さりなちゃんならきっと、アイだって超えられるって信じてる。なんたって、一番の推しなんだから」

「私、頑張るから。だからそれまで、どこにも行かないでね、せんせ」

 

 電気もつけずに、ただ二人は互いを抱きしめ合っていた。

 

 

 

 夜の住宅街を一人の幼い少女が歩いている。

 まともな大人がこれを見れば、こんな時間帯に子供がたった一人で外を歩いているなんてどういう事だ、保護者は何をしていると憤るだろう。この付近には学習塾もないから習い事の帰りもあり得ないのだ。

 だが偶然にもこの場に大人の目は無かった。あるのはカラスの目だけである。

 

 差し出された指先に止まったカラスが短く一声鳴き、それに少女が頷いて返す。

 

「そう、ご苦労様」

 

 ここに他人の目は無い。その少女がにやついているのも、独り言をこぼしながら歩いているのも、誰の印象にも残る事は無い。

 

「可哀想に」

 

 指先から飛び去ってゆくカラスには一瞥もくれないその少女、ツクヨミは脳裏に幾人かの顔を思い浮かべて呟いた。

 

 星野ルビーは他人の目がある場所では当然星野ルビーとして振舞う。だが、兄と二人きりの場ではルビーはルビーでなく、天道寺さりなになってしまう。

 そこにいるのが運命の人なのだと、焦がれ夢見た相手にまた巡り合えたのだと信じのめり込めば込むほど、後が辛くなるというのに。

 

 互いの前世について明らかにするのは、真相が明るみに出る時よりも後が望ましい。まだルビーをさりなにしてはならない。早すぎるタイミングでの前世明かしを悪手と言わず何と言う。実の妹を上げて落とそうとはなんて酷い兄なんだ。

 

 どこぞの霊能者がこの独白を耳にしたならこう言うだろう。だったら何で自分からバラしたんだ、と。

 そして疫病神はこう返す。今はその方が面白そうだから、と。

 

「そうそう、可哀想といえばもう一人」

 

 妹がもうすぐ帰ってくるからと待ち構えていた姉。あの姉は、決して妹の事を嫌ってはいない。血を分けた家族として大事に思っている。現在の言動の是非はどうあれ、その初心は妹と仲良くしたい、そのために妹の事をもっとよく知りたいという気持ちだった。

 だが妹から姉へはただひたすらに無関心だった。何か一つでも対等以上になろうと努力を重ねても、妹は目もくれてくれなかった。勝って誇りも、負けて歯噛みもしない。そも何かを競っているつもりもない。

 好きの反対は何とやら。邪険には決してされていない。時には気遣いすらしてくれる。だが、どうにも中身が伴わない。周囲に向ける目が妙に空虚だ。それでも、精神的に限界の中、街をさ迷っていた台風の日は流石に探しに来てくれたと知って嬉しかった。その内心はどうあれ。

 

 そんな妹が珍しく自分から関心を持って動き出したと知って、しかもその問題の中心にいるのは己が惚れた男と知って、かつてないほどにやる気に満ちた姉の目に映るのは、これまで以上に謎を深めるばかりのその姿。どこから持ってきたのか理解不能な情報群。何度聞いても教えてくれない部分で通じ合う彼と妹。自分の手出しできない場所で勝手に進んでいく物語。彼にも向けられる妹の無関心。

 

 

 もしかすると、あの人物分析に長けた姉は、妹が見ている世界の一部を垣間見る事に成功したのかもしれない。

 この世界の存在そのものが在るはずのない怪異。己一人が狂人なのではなく、己以外の世界全てが狂っているのだ。夢のような世界の中でただ一人、己しか愛する相手のいない自称常人。

 愛することも、愛されることも知っている。今の家族が愛を向けてくれているのも知っている。だがどうしても愛の対象として見られない。この張りぼてに見える世界と、そこの住人を。

 

「私達、良い関係を築けると思うんだけどね」

 

 黒川あおいという自身の関わっていない所で勝手に生えてきた突然変異を気に入っているのは嘘ではないし、また黒川あおいにとってツクヨミは、この世界でたった一人の己の理解者になりうる相手だ。授け、奉げられ。お互いに良いパートナーとなれると見込んでいるのだが。

 

「さて、次はどんな『手助け』をしてあげようか」

 

 夏の夜を彩る明暗様々な星々を見上げ、ツクヨミは小さな手を空へ伸ばした。まるで星々を掴み取らんとするように。

 

 

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