完璧で究極なアイドル様に執着されて 作:肉ぶっかけわかめうどん
週末、アクアが打ち上げの場所として予約してきたのは焼肉店だった。アクセスしやすい大通りには面さず、少し路地を入り込んだ先にあるその店を選んだのはやはり人の少なさが決め手だろうか。ここも私が知らないだけで業界人がよくお忍びで来る有名店なのかもしれない。
予約の時間には少し早いが店に着いてしまったので、待つのにちょうど良さそうなスペースを探す。事前の連絡によればもうアクアが店の前にいるはずなのだが、姿が見えない。
エアコンの室外機や換気扇からの排熱がなさそうな場所の店の前をうろうろしていると、アイさんが店の裏手側にいる事に気が付いた。後を辿ってみると、隣の店との隙間の部分にアクアがいるのを見かけた。
「……何してるんです、こんなとこで」
声をかけながら私もそこに入り込む。
「来たか」
携帯から顔を上げたアクアの隣に立つと、なぜアクアがここにいたのかすぐに分かった。ここ涼しい。
人の動線から一本外れたこの場所は静かで涼しく、しかし辺りには焼肉特有のいい匂いがしっかりと漂っている。程よく薄暗いし、人待ちで時間を潰すには最良のポジションかもしれない。
「店の前にいるんじゃなかったんですか?」
「最初は前にいたんだ。でも暑いし、通行人にもジロジロ見られてな。場所を変えた」
「目立つ場所にいないと目印にならないじゃないですか」
「連絡くれたらすぐに行くさ。じゃあ、入るか」
先導するアクアの後を追って店に入ると、大勢の人でにぎわう席の横を次々と通り抜けた先の店の奥、広めの個室席に通された。綺麗で良いところじゃないか。お手洗いが遠そうなのが強いて言うなら問題だが、これは仕方ないだろう。お手洗に行く客が近くを通る時の人目や物音とトレードオフなのだから。
「他の人は?」
「もう事務所出てるらしい。時間には着くだろう」
「B小町は今日も仕事ですか」
「今日はレッスンとトレーニングの日だな。仕事は入ってない」
なるほど。たっぷり運動して疲弊した体に焼肉はさぞかし沁みる事だろう。姉も朝から劇団行ってるし、今日一日大して何もしてないのは私だけか。何か申し訳ないな。まあ働かないで食う焼肉だって十分に美味しいけど。
「何がいい?」
向かい合って座ったアクアがメニュー表代わりのタブレット端末を私に寄越してきた。まだ誰も来てないのにもう頼むのか?
「今日は混んでるから、注文しても来るまで時間がかかるだろう。ルビーらが待たないよう先にある程度頼んでおこう」
「そういう事なら、私はハラミさえあれば他は何もいらないので」
「普通、最初はサラダとかタンじゃないのか」
「嫌いじゃないですが、素直に欲に従うとそうなります。アクアさんにだって好きな部位ぐらいあるでしょう?」
最初から最後までハラミだけ食べてたい。キムチも白米もいらない。後は酒があれば言う事なし。そんなエゴイスティック全開な焼肉も一度くらいはしてみたいものだ。流石に人と食べてるときはやらないけど。
「じゃあ、適当に肉や野菜をオーダーしときます」
「任せた。好きに頼んでくれ」
言質をとれたので、いくつか押しておく。とりあえずこれ頼んでおけば不満は出ない盛り合わせ系は便利だ。ついでにこっそり一品別の物も紛れ込ませておく。
というか私が注文するのか。これが姉や有馬かなだったらアクアの側で全てやってくれてる上げ膳据え膳状態だろうに、私にはセルフなのか。
「その方が良かったのか?」
それを言うと、アクアは意外そうな顔をした。
「好きにさせてくれる方が喜びそうだからそうしたが」
よく分かってるじゃないですか。
混んでいる中でもやはり飲み物はすぐ来るようだ。店員が届けにきたそれをさっそく自分とアクアの前に並べる。
「本当はビールか日本酒が良かったんですけど、炭酸入りでエールと名前付いてるこれで代用とします」
テーブルの上にあるのは三つのグラスとジンジャーエールだ。
「……頼むから酒は注文するなよ」
「頼めば通ると思いますけどね」
「通るわけないだろ。見るからに未成年しかいないんだぞ」
「いや案外いけるかもしれませんよ?」
店員はいちいちそんなこと確認したりしない。世の中にはそれこそMEMちょみたいに一見未成年だけど実は成人な人もいるしね。ここで年齢確認だなんだと揉めて時間を無駄にしたくはないだろう。ただでさえ混んでて忙しいのに、客の一人にそんなに構ってなどいられまい。
それにそこそこの人数で予約してるんだし、今いなくとも後で大人が来るんだろうと思ってくれるかもしれないし。
「さ、他の人が来る前にちゃっちゃとやっちゃいましょう」
アクアの隣に移動して、グラス三つを並べる。それぞれに注ぐ。私とアクアの前に一つずつ。その間に一つ。
間のグラスに自分のグラスを軽くぶつけて、次はアクアの前へ。
「ほら、三人で」
アクアの目が見開かれた。それからたっぷり十秒は逡巡すると、意を決したようにグラスを持った。
「……乾杯」
「はい、お疲れ様です」
ぐいっと一息に飲み干し、アクアは大きく息を吐いた。目はじっと空になったグラスの底を見ている。
「アクアさんは日本酒はあんまり?」
「そうだな、飲みに行くとだいたいビールかサワー、焼酎あたりかな。ウィスキーやブランデーもたまに」
あーなるほどそういうラインナップか。
「女の子引っかけて飲みに行くときはビールとかで、同僚と夜の店に行ったら焼酎といった感じですか?」
焼酎ウィスキーブランデーとかそういう店の定番だよね。その辺だけは飲み放題。日本酒やビールも頼めば出してくれる所もあるけど、結構な金額取られる。
超高級シャンパン、通称ドンペリなんて誰が頼むんだあんなの、と思うが、前世でたまたま知り合った嬢によると稀に注文あるらしい。お大臣様っているんだね。
「……勘違いするな。オレは別に好きじゃないんだが、付き合いで仕方なく行ってただけだ」
「分かってますって」
キャバクラ好きな偉い人がいたら定期的に夜遊びツアー始まるよね。
「ルビーさんにも教えておきましょうか」
「やめろ」
軽い冗談のつもりだったが、食い気味に拒否されてしまった。けらけら笑って誤魔化し、私も自分の分を飲み干す。
「まあまあ、そう怒らないでください」
残った一つのグラスに入れていた分を空いた二つに半分ずつ分ける。
「ほら、こっちも」
「……なあ、幽霊って飲み食いできるのか?」
間に置かれていた今空になったそのグラスに目をやりながら、アクアがそんなことを言い出した。
「できますよ。物理的に減りはしませんが、味わうだけならできるようです」
「そういうものなのか」
「そうなんです。さあ、下げて皆で頂くまでがお供えですよ」
もう一息かけて追加分を飲む。隣でアクアも同じようにしていた。
「どうです、味は」
「……いたって普通のジンジャーエールだな」
一杯目と二杯目で味の違いは感じてない、と。どうやらそういう才能は生まれ持ってはこなかったようだ。
「やっぱ焼肉の匂い嗅いでるとビール欲しくなりますね。今度アクアさんとこで宅飲み会でもしますか?」
「ダメに決まってるだろ」
「これが家族で飲める、最初で最後の機会かもしれませんよ?」
「それでもだ。未成年の飲酒禁止はちゃんとした医学的根拠がある。今が良ければそれでいいとかいう考えには賛同できない。もっと自分を大事にしろ」
相変わらずお堅いことで。
しかし、自分を大事にしろとはこれまた。お前が言うなとでも言っておけばいいのだろうか。
「……それに、見守ってくれていたと知れただけでも、いくらか救われた気分にはなれたしな。ルビーと一緒に、堂々と楽しみながら飲むさ」
「そうですか」
まあ、当人がそう言うのなら。お盆の日に仏壇の前でやっても家族皆で飲んでることにはなるしね。
じゃあ、他のメンバーが来るまで二人でメニューの物色でもしていようか。
有馬かなはドアの前で固まっていた。
本日予定のタスクを全て消化し終わり、晴れ晴れとした気持ちでB小町一行は事務所を出発。ついでに劇団に寄り黒川あかねも拾ってアクア予約の焼肉店へとやってきた。
店の前で先におろされた一行は店員に案内されて奥まった個室の前へと来たのだが、ここで先頭にいた有馬かなが室内の異変に気付いたのだ。
事前の連絡によるとアクアは既に店に入っているらしい。皆がやってくるのを一人寂しくぽつんと待つアクアの姿を想像していたのだが、目の前にあるのは何やら穏やかながらも楽しげな話し声の聞こえる扉だった。
他に誰かいるのか……と音の立たないようこっそりと少しだけ扉を開けて中を覗き、そして驚きで固まった。
アクアの隣で肩を寄せ合いタブレットを眺めて喋っていたのはあかねだった。隙間の角度からでははっきりとは見えないが、アクアの方を向いているその後ろ姿を見て、あれはあかねだと有馬は感じた。
だが、もしあれが黒川あかねだとするなら、先ほどまで同じ車に乗ってきた、そして今後ろにいる『黒川あかね』だと思っていたものはいったい何なのだ。
そろりと顔を後ろに向けた有馬かなの目に入ったのは、間違いなく黒川あかねだった。不審者を見るような目を有馬に向けている。
「何してるの? 後ろつかえてるんだから早く入ってよ」
あかねの後ろにはルビーとMEMちょが、さらに通路の奥に誰かの注文の品らしい大量の肉を乗った皿を抱えた店員の姿もあった。車を置いたミヤコさんも直ぐに来るだろう。ここで固まっている有馬はものすごく邪魔になっていた。
そして有馬が止める間もなくあかねはさっさと扉を開けてしまった。
「……あ、姉さん」
「あかねか。時間ぴったりだな」
姉さんと言ったか。じゃああれがこれまで幾度か話題に上がっていたあかねの妹なのか。
もう隠れて覗く理由もなくなったので続けて有馬も中に入り、室内で向かい合っている二人の姉妹を交互に見比べてみた。
なるほど、さすが双子なだけあってよく似ている。正面からなら細かい違いがいくらかあるので親しい仲なら簡単に区別できるだろうが、側面や後方からでは判別が難しい。
「お疲れ様」
「そういうあおいは元気そうね」
「昼すぎまで寝てた」
「……そっち行ってもいい?」
しかし、仲が悪いらしいと前に聞いたが、とてもそんなようには見えない。嫌いな相手がやってきたら多少なりとも顔に出そうなものだが。
妹の方がアクアの隣から退くと、そこにあかねが座った。もう片方の隣へはルビーが移動中だ。
そこで有馬ははたと気付いた。自分が人間観察している間に、二か所しかない貴重なアクアとふれ合える席を二つとも盗られてしまった事に。せめて最後に残された向かいの席だけは確保せんと、有馬は猫のように素早く滑り込んだ。
時間ぴったりに姉が現れたのでアクアの隣はそっちに譲り、ミヤコさんらがいる側へと移動することにした。アクアから見て右に妹、左に彼女、前に推しのアイドルときて、さらに後ろから母親に抱き着かれている人口過密な空間からは距離をとる。
アクアとその取り巻き四名、そしてそれ以外に二分された机にやってきた私は、まずミヤコさんの前へ行くと持ってきた紙袋を差し出した。
「本日は部外者の私の参加もお許しいただき感謝しております。心ばかりの品ですが、ぜひ事務所の皆さまで」
「ありがとう。こちらこそアクアが無理に誘ってごめんなさい。遠慮せずたのしんでいってね」
ミヤコさんに渡した紙袋の中身は西日本への買い出し旅行のついでに買った土産物だ。次の予定が押しているからとまともに楽しむ余裕もなかったのでせめてお土産ぐらいは、と多めに買って郵送しておいてもらっておいたものが今日の手土産に使いまわされている。
「京都に奈良に……徳島?」
「あちこち行く機会があったもので。日持ちするものばかりですからご安心を」
買ったのは先週だが、賞味期限にはまだまだ余裕がある。常温で放置できるものばかりだし、事務所に置いとけば誰かが手を出すだろう。
「こんなにもらっていいのかしら……?」
「どうぞどうぞ。さ、それより早く食べましょう。ちょうど来たみたいですし」
「え、来たって何が」
廊下の音で何となく察していた、店員の気配。ミヤコさんが聞き返してくるのと、元気のよさそうな店員がサラダや生野菜、肉を並べにやってくるのはほぼ同時だった。
「飲み物はどうされますか。とりあえず生中?」
「いや、私はまだ仕事あるし車だからお酒はちょっと。ウーロン茶で」
「そうですか。じゃあMEMちょさんは?」
ミヤコさんは食事が終わったらまた仕事に戻るらしい。なので今度は向かい側にいるMEMちょの方に聞いてみる。
「え、いや私は女子高生だからお酒は……」
女子高生設定は一応守るつもりらしい。
「でもMEMちょさんってもう20代後半でしたよね?」
「いやまだギリ前半だからね!?」
あれ、まだ6にはなってなかったのか。
「てか、私の年知ってたんだね」
「はい。じゃあ、お茶でいいですか?」
MEMちょが了承したので、人数分のお茶三杯をオーダーする。あっちの机はアクアがやるだろうから私はこっち三人分を担当しよう。
焼肉がスタートしてからはしばらく無言の時間だった。やはり皆空腹で限界だったのか、タレや塩をたっぷり絡めた肉と白いご飯のセットの間で箸を往復させることに忙しそうだった。
時折野菜やキノコにも寄り道しつつ、腹の虫が黙りだした頃にようやく会話が再開され始めた。
「ねえ、二人って知り合い?」
生焼けになってないか確かめながら慎重に鶏肉を食べるMEMちょはミヤコさんと私を交互に見て言った。
「初めて会ったって感じじゃなかったけど」
「ええ、前に撮影現場でバッタリ……」
ミヤコさんはチラチラこちらの様子を窺っている。夏のロケの話をしていいものか迷っているらしい。
口の中で噛みしめていた、まだちょっと赤い部分が残っている牛ハラミを名残惜しくも飲み込むと、MEMちょに向けて口を開く。
「お盆の心霊番組にアクアさんらが出られましたよね。あの時心霊スポットロケの現場に私もいたんですよ」
「あー、あのロケね……え、あれにバッタリ居合わせるって、あれこの近所だったの?」
近所に心霊スポットがあるのが嫌なのか、MEMちょの目が泳ぐ。車で数時間かかる距離だと教えると、大きく安堵の息をつき、そして頭に疑問符を浮かべた。
「え、じゃあ何でそんなところにいたの?」
「まあ、偶然ですよ偶然。あの辺に最近ちょっとだけ話題になったレストランがあって、そこに友人と」
説明するの面倒くさいからそこは当然ぼかす。
「へー……それにしてもあのロケ凄かったよねー」
「そうでしたね。私も見ました」
今時の編集技術ってすごい。
実際の放送ではルビーが突き飛ばされたシーンや最後に私も出ていったシーンといった問題のありそうな場面は軒並みカットしつつもちゃんと臨場感は残している。
真剣な目で古いノートをめくるアクアや、階段の上から撮った片寄ゆらなど、随所でファン向けのサービスカットもしっかり入っていた。
余談だが、あの階段の場面では片寄ゆらの胸元を上から撮るか、上るルビーのスカートを下から撮るかで迷ったとはディレクターの談。
「全員無事で終われて良かったです」
「ははは……」
そんな大げさな、とでも言いたげにMEMちょは私を見ていた。まあ理解していない人からの反応なんてこんなものだろう。
皆の箸も落ち着いてきた頃、MEMちょが身を乗り出しながらおずおずと切り出してきた。
「ね、ねぇ……あおいちゃんって、アクたんのことどう思ってるの?」
アクアのこと、というのはおそらく恋愛的な意味だろう。
「どう、と聞かれても。異性としての好意はありませんよ」
「でも仲良さそうじゃん」
「仲良いですかね……客観的に見てイケメンなのは間違いないですけど、そういう対象には見れそうにないですね」
恋愛はありえないし、友達というほどでもない。私からアクア達への関りは半分仕事だし、アクア達も謎の情報持ちで疫病神とも知り合いな私の事を信用はしてないだろう。敵対はしていないが、味方と呼ぶほど信頼もできない程度の仲といったところか。
「えー、じゃあどんな人ならいいの?」
「束縛とかそういうの一切してこない人。私の自由を保障してくれるなら、大抵の事は許容しますよ。たとえシスコンでマザコンでロリコンだろうが」
「シスコンでマザコンでロリコンって……そんな人いるの」
私は無言でアクアを指差した。
「いや重度のシスコンなのは間違いないけど」
表に出してるのはシスコンだけだけどね。
「……何だ」
私が指さしていたのに気付いたアクアが、余りそうな肉を地道に処理していた手を止めてこちらを見た。
「今MEMちょさんにアクアさんの悪口吹き込んでたんですよ」
「オレの悪口?」
「シスコンでマザコンでロリコン野郎」
「ちょっと待て。百歩譲って前二つはいいとして、ロリコンってなんだ。そんな事実はない」
アクアは強めに否定の言葉を吐いた。
「12歳の女の子から結婚前提の本気の告白されて喜んでたじゃないですか」
12歳の女の子、が誰を指すのかすぐに理解したのか、ルビーが目を輝かせて兄を見る。逆にアクアは苦い顔になった。
「嬉しかったですか、それともただただ迷惑でした?」
「どうだった、お兄ちゃん?」
「……その気持ちは嬉しかった。応えられるものなら応えてやりたかった」
その返答にルビーは満足げに何度もうなずいた。そしてルビー以外の二名からの視線の温度が気持ち下がった。
アクアは三者の視線にノーコメントと返し、この話題はおしまいと手で制した。皿に残っていたカルビとホルモンの余りがまとめて網の上に落とされ、上がる煙と音の中にアクアが隠れる。
「……あれ、さっきマザコンって言われてたけど」
煙の中の人影に向かって、思い出したようにぽつりとこぼしたのはMEMちょだった。
「アクたんが自分の親の話してるとこって見た事ないや」
「聞きたいか?」
聞こえるかどうか怪しい声量だったが、アクアの耳はしっかり拾っていたようだ。
「え、あ、嫌ならいいよ。ごめん」
「いいんだ。今日は元からそのつもりだったんだ。映画の話をするなら、オレとルビーの産みの親の話も避けて通れない」
映画という単語に有馬とMEMちょがどよめいた。ミヤコさんも心配そうに推移を見つめている。
「ミヤコさん、有馬とMEMに話してもいい?」
「二人がそう決めたのなら、私にそれを止める権利はないわ。有馬もMEMも信頼してるし。でも、黒川さんらは?」
「二人はもう知ってる側だから」
焼けた肉を取り皿によけ、アクアは有馬とMEMちょの二人に向き合うように体の向きを変える。
「星野アイ。それが母親の名前。B小町の先代センターだった人と言えば分かるよな?」
二つの口があんぐりと開いて閉じなくなるのに、そう時間はかからなかった。