獄門彊の男   作:デジャヴ地蔵

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イレギュラー

岩肌が目立つ田舎の僻地にて、到底有り得ないほどの濃密な呪力が渦巻く。

 

特級呪霊12体に特級呪詛師。はっきりいってオーバーと言わざるを得ない。

 

「行くよ。覚悟しておいてね。」

夏油はそういって一体の呪霊を懐から出すと、地面へ置いた獄門彊へと呪霊を投擲した。

 

その瞬間、膨大な呪力が吹き荒れる。

呪霊達はすぐに回避行動を取る。

 

箱の中から黒閃を彷彿とさせる稲妻が飛び出し、辺り一帯を破壊する。

「なんだこれは!有り得ん!黒閃か!?」

 

そもそも向こうは奇襲を受けているのだぞ!

火山が煮えたぎる。どうしてどいつもこいつもバケモノのようなことをするのだ!

もう少しで我々の時代だと言うのに!!!

激情で支配される。

 

しばらく待つと、煙が晴れ、中から一人の男が出てくる。

 

「おぅ。久々の外だなぁ。羂索だろう?匂いでわかるぞ。また俺に殺されに来たかぁ。前回とは違って今回はそこそこいいのが揃ってるじゃないか?呪霊側と手を組んだな?」

 

スタスタと歩いて出てくるのは長い黒髪を地面に垂らし、顔中が髭で覆われている一匹の男。

「取り敢えず、雑魚が多いな。」

 

男が左右で全く違う印を組む。

       『領域展開』

    

       『怒喝天砲』

 

まずい!瞬時に自分も領域を展開しようと印を組む。

 

しかし、領域を展開する前に、世界が一面真っ白の空間へと変わる。

 

そして、その領域は一瞬で消え去った。

 

「何が起こったというのだ…」

領域を展開されたことは分かる、だが、儂は特に何もされなかった。白い空間へ送られただけ。

しかし、領域を展開したということはチャンスだ。

向こうはしばらく術式を使えない。

これで儂が殺すチャンスは出来た。

 

「消し炭になれ人間!」

『領域展開』

『蓋棺鉄囲山』

 

だが、あくまでこの領域展開は布石。

必中必殺と言えど、儂の術式程度で簡単に殺せるのならば夏油がわざわざここまでの戦力を用意するはずがない。

 

全力で呪力を込めて、5弾構えの攻撃を放つ。

爆発、熱、音、遅れてくる反響した衝撃波と光。

同時に全てを対処するならば逃げなくてはならないが、それをさせないための領域。

囲い込んで殺す。

術式を使えないのならば五条悟ですら赤子同然なのだ。

負けるわけがない。

長年、獄門彊で囚われていたから初手からミスを引いたな、所詮は人間。

平安だろうがなんだろうが、関係はないのだ。

 

「死んだな」

そう確信し、領域を解く。ふと、周りに居た奴らも巻き込んだと思い、当たりを見回す。

 

「はて?何故呪力を花御と陀艮以外感じれないのだ?」

 

「おうおうおうおう。すげぇな最近の呪霊は。時が進めば進むほど強くなってんじゃねぇか。殺されたのは久しぶりだ。」

 

前から人間の声が聞こえる。有り得ない。そもそも必ず殺したという確信があるのだ。領域内での感知を逃れる術はない。

 

「貴様…何をした。」

「ん?お前もしかして漏瑚?」

 

後ろに飛び退く。

「何故貴様は儂の名を知っている?」

 

ニヤリ、と到底人間にはできないほどの悍ましい笑顔をして男は笑う。

「そうか!!やっとか!やっとこの時代か!長かった!長かったぞ!!」

 

しばらく男は笑った後、こちらへ声をかけた。

「羂索がいるだろう。いや、今の時代は夏油か?」

 

「いるが、先程から姿を見せない。逃げたか。アヤツ、儂らを捨て駒にするつもりであったな?」

 

「良いぜ良いぜ。全然許してやろう。俺は今最高に気分がいいからな!全て許す!」

 

「では、我々は獄門彊をもらう。それしか儂らは求めることはない。」

 

「そうか!いいぞ!持っていけ!いや〜しかし面白いことになっているな。貴様の力量は明らかに自然発生した呪霊を超えている。」

 

「何者だ…貴様。そもそも何故儂の名を知っておる。」

 

「良いぜ。答えてやろう。俺の名は安倍晴京。平安最強の呪術師、安倍晴明の弟にして、最強を目指す男だ!」

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