獄門彊の男   作:デジャヴ地蔵

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呪術はクソ

儂は獄門彊を拾うと同時に、花御の術式で撤退した。

はっきりいって意味が分からない。

基本的に領域展開はあくまで術式を必中にするものだ。

必殺ではない可能性はある。

だが、安倍晴明などという巫山戯た名前を出してきた奴の実力がそんな生っちょろい訳がないのは分かる。

 

呪力が渦巻いていた。我らが呪いであることも忘れて足が竦むほどの呪いが。

一体人の身でどうやってあそこまで純粋にしてドロドロの呪力を手に入れたのか想像もつかん。

まあ、碌でもないことは確かだ。

全く、五条悟を封印するのに五条悟並の人間を野に解き放つ必要があったとは、巫山戯たものだ。

 

「さて、まあ予想通りだけど、君たち3人しか生き残れなかったね。」

 

「夏油…貴様…裏切っておいて今更なんのようだ。儂らを生贄にするつもりであったろう?」

 

撤退した先にはあのクソ坊主が居た。

 

「いやいやいやいや、そんなことするわけないじゃん。基本的に僕の術式は生前の肉体の劣化でしか使えないんだ。あんなバケモノに勝てるわけがない。」

 

ふん。コイツは本当に巫山戯た野郎だ。だがまあいい。

 

「ふむ。まぁ良い。獄門彊だ。それでアイツは一体何者だ?儂としては五条悟より面倒だと思うが。」

 

獄門彊を投げ渡し、座り込む。呪力の消費が激しい。

領域展開をしたのだ。

当たり前のようにそれでも呪力を回せるアイツがおかしい。

 

「うん。まあ簡単に強さだけいうと、宿儺と引き分けた事があるってことぐらいかな。」

 

「おい…特級呪霊10体を生贄にして人間側の戦力が増えているではないか!貴様は何がしたいのだ!」

 

「安心しなよ。五条悟よりはどうにかなる相手だから。彼が獄門彊に篭もったのは、最強に成れないと確信したかららしいし。それに、彼はどちらかというと此方側の生物だ。人間などという枠組みに入れてはいけないね。」

 

「貴様は逃げていたから知らんのだ。あの一瞬で何人殺されたと思っている。」

 

あれほどの戦力を集めるのに何年かけたとおもっているのだコイツは。呪霊操術などという馬鹿げた術式を持っているくせに未だに死者の肉体すら掌握出来んとは。

 

「彼の領域展開は僕が見ただけで6種類ある。」

 

余りの情報に儂の頭は爆発した。

 

「は?何を言っておる夏油。どういうことだ。」

 

「彼は式神術の頂点にいる。彼の両腕両足には術式を持つ、特級呪霊なんて軽く消し炭にして余りあるほどの最高クラスの式神がいる。それらの術式を組み合わせて、彼は領域を展開していると私は推測している。」

 

「どういうことだ?そもそも領域は一つの術式でないと完成できん。押し合いになるだけでなんの意味も無かろう。」

 

「うん。私もそう思う。だけど彼には出来てしまったんだ。これには彼の術式が大きく絡んでいると思う。」

 

「式神術式ではないのか?」

 

「いや、彼の式神は後付の術式さ。彼の本当の術式は『呪言』だって話だ。嘘か本当かはわからないけどね。」

 

あまりにも無茶苦茶な話に儂は何も言えなくなった。

こんなバケモノ共が平然と歩き回っている魔境なぞ、安心して生きることも出来んな。

 

「花御。温泉に行く。少し儂は疲れた。もう当分暗躍はやめる。そもそも五条悟が寿命で死ぬまで儂らは待てばいい。わざわざあんなバケモノが生きている内に生き急ぐ必要はないのだ。」

 

 

「あぁ、私もそう思っていたと言ったじゃないか。」

 

「はぁ?何を言っておる。いや、待て、何か忘れておるな?」

 

「うん。無下限呪術の本当の恐ろしささ。我々は無限に飲み込まれたものを認知できない。

思い出も何もかも、全てが飲み込まれて帰ってこれない。」

 

「宿儺の指だな?」

 

「そうだ。彼は宿儺の指を消せる。彼が死んだあとは回収出来るかもしれないが、出来ないかもしれない。そうしたら私達は終わりだ。」

 

「何故忘れていた?そもそも対象範囲の術式であろう。そんな簡単に範囲的な効果が出ると思うのか?」

 

「あぁ、もう何度か彼はやるだろうね。そしてその度我々は宿儺の指の本数を忘れる。

だが、もうすぐ時期が来る。

五条悟の『領域展開』の時期が。

私が発見されれば彼は間違いなく飛んでくる。そこで、獄門彊の彼と五条をぶつける。そもそも私達の勝ち筋はこれしかないんだ。」

 

「……五条悟はアレより強いと言ったな。」

 

「うん。まぁ昔のアレじゃあ勝てないね。私達が色々バックアップしても勝率は10%もないだろう。」

 

「何故そんな分の悪い賭けをした。お前はそんな奴じゃないだろう。」

 

「彼の術式理解と式神術は、はっきりいって歴史の中でも傑出している。そんな彼が獄門彊の中で1000年以上閉じこもっていた。恐らく彼の強さは前の何倍にもなっているだろう。それならまず間違いなく五条と相打ちレベルには成っている。」

 

「まあ言いたいことはわかった。であればその日を待つまでよ。戦力を整えれば良いのだな?」

 

「うん。そうだね。じゃあ私は彼の所に行ってくるよ。話をつけないと、折角の暗躍を武力だけで破壊され尽くしてしまいそうだからね。」

 

そういって夏油は去っていった。

儂らは新たな人類だと思っていた。

だが、実際は儂等より遥かに強い奴らが人間側にはうじゃうじゃおる。

全く、これでは真人類などとは到底思えんな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呪霊達は去っていった。そしてこの自然の風。長い間引きこもっていると自然に触れるだけで歓喜の舞をしたくなる。

 

にしても毛が長すぎるな。

「『白虎』」

「爪貸してくれ。毛を切りたい。」

 

そういうと、愛くるしいとは到底思えない身震いする白い虎が現れ、顔の周りを高速で爪を用いて刈りはじめる。

 

「ん。ありがとう。まだ何にも返せないけど、後で返すから待っててくれ。」

男はそういうと式神を消し、伸びをする。

 

「やあ。久しぶり。」

煙の中から現れたように居る男。

 

「胡散臭い話し方に、独特の匂い。羂索だな?」

 

「流石だね。そういう君も変わってないね。今の名前はなんだい?」

 

「あ?あぁ〜、うーん。名前は変えないと不味いよな。真ん中に『の』入ってるし。どうしようかな。」

 

俺の名前は基本的に全て偽名だ。真名は呪われるから開示したことはない。

 

「まあなんでもいいさ。君にはお願いがあってきた。」

 

まあだろうな。

 

「知ってる。そして断る。俺はお前と縛りを結ばないためにわざわざ獄門彊に入ったんだ。宿儺の野郎はお前と結んだみたいだが、愚かとしか言えん。他者に期待するな。信じられるのは己のみだと散々俺に言った癖になぁ?おい。」

 

 

「うん。そして今その宿儺が消されようとしてる。」

 

「やっぱ間抜けだなアイツ。器は用意してあるんだろう?適合に失敗でもしたのか?」

 

俺の勝ちだな宿儺。呪いの扱いは上手いが、肝心な所でミスをする。

 

「いや、秘匿死刑されそうだ。困ったもんだよ。そもそもあの指を隠したり壊したり出来るなんてこっちは端から想定してなかったんだ。」

 

「ほん。貸し3だな。俺にしか出来ないことだろう。何を頼む。言え。」

 

「五条悟という術師と縛りを結んでほしい。宿儺の指を壊させないように。」

 

まあ目的とも合致しているし、何の問題もないな。

 

「いいだろう。五条か。名家だな。」

 

呪力を練って服を作る。気分は現代の若者風。

 

「今すぐ行くのかい?」

 

「勿論。まぁその前に飯は食べていくつもりだ。てことで金よこせ。無銭飲食は犯罪だろ?」

 

「君は相変わらずだね。」

 

羂索はそういって俺に財布を投げて寄越した。

中身は誰のか知らない奴のだった。

殺して財布奪ってんのかアイツ……

 

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