安倍晴京。
平安最強の術師になることを願うも、彼の身に宿された術式は『呪言』などという欠陥だったという。
しかもその力は赤子の如き。
ネズミに破られる術と言われるほどの弱さだったという。
相伝でもあらず、呪力の流れを弄る程度の術式は名家の恥と言われ、幼少期は一人で過ごしていたという。
しかし、7歳の頃、黒閃の理論を完全に習得し、同時期に領域展開、反転術式、『呪言』の解釈を広げたと思われる。
このころから式神使いとして名を上げ始める。
当時は式神使いこそが最も重要視され、神聖視されていた。
天元すらまだいない時代だ。
結界術はまだ発展途上であったし、相伝の術式で殺し合いに励んでいたにすぎない。
式神は最も理解しやすく、伝えやすい。
故に強かった。
そこで安倍兄弟が現れた。
彼らは平安呪術師の乱を3日で鎮圧し、後に現れた両面宿儺と呼ばれる『呪いの王』と引き分けた。
しかしその戦い以降、彼らのことを記す者はいない。
故に、呪いの王と引き分けたのではなく、殺されたという解釈が主流である。
名家のメンツを保つための改変であろうという訳だ。
獄門彊は時の流れが止まる。
しかし、止まっているようにみえて止まってはいない。
外からみれば止まっているが、内から見れば止まっていないのだ。
獄門彊は無下限と良く似ている。
獄門彊に男が入ってから、その箱が開けられたのは二度。
同じ人物によるものだ。
一度目は鏖殺。開けた獄門彊の中から現れた男によって、御三家の一つである加茂家は大打撃を負う。
二度目も鏖殺。羂索と呼ばれる男によって集められた総勢200人ほどの、術師の尽くが殺された。
そして今日。三度目の開封が行われた。
羂索は二度目の時にこう言われた。
『頭が富士山みたいな呪霊を仲間にしろ。
そうしたら殺さないでおいてやる。
お前が宿儺と縛りを結んだり、色々していたことは知っている。俺とも契約を結びたいのだろう?
だが、俺は来たる時まで箱から出るつもりはない。』
故に、羂索はわざわざ対して強くもなければ面白くもない呪霊共と馴れ合い、男へ接触したのだ。
全ては呪術全盛の平安を取り戻して、目的を達する為に。
そして、何よりも、楽しむ為に。
「うん。もう呪霊側とは縁を切る。
一人くらい良い術式を持ってると思ったけど、みんな対して面白くはなかったね。
一応呪霊操術で取り込むことも考えたけど、私が呪霊を使って戦うということは詰んでいるということだ。
さて、じゃあ準備だ。色々布石は打ったが、後は『宿儺の器』が覚醒してくれることを祈るしか無いね。
それじゃあね。」
携帯電話は便利だ。呪術が全盛でも、科学も栄えたほうが色々楽だな。と羂索は思った。
「悠仁。悠仁。」
映画を見てたら眠ってしまったのだろうか。長い夢を見ていた気がする。
「起きて。そんな映画つまんなかった?僕はこれ好きなんだけどなぁ」
「んぁ…先生、寝てたわ。そろそろ体動かしたいよ先生。呪力はもう慣れた。」
「いやぁ〜悠仁ごめんね〜。ちょっと言わなくちゃいけないことがあってね。」
「何?先生。」
「僕が昔宿儺の指を消しちゃったせいで、悠仁の秘匿死刑が決定されちゃいました〜〜〜〜」
ペラっと紙を出しながら先生が言う。
「え?宿儺の指って消せるの?」
消せるなら消せばいいじゃんと返す
「うん。僕が生きてるうちは消せると思う。でも僕が死んだあとは分かんないんだよね〜。僕死ねないし。」
そりゃそうだ。と思う。
というか秘匿死刑が決まったって話はどうするんだろう。
俺は死ぬのか。と考えて、別にいいかな。と思ってしまった。
「まぁ、もうすぐ『大掃除』の時期なんだ。
その時までは大丈夫だよ。もし僕に逆らって悠仁に手出したら三等親まで全員無限の彼方に飛ばしてやるって脅しといたから!」
ま!大抵先祖辿れば上のジジイ共も俺と同じ血筋なんだろうけどね!なんてお気楽に言う目隠しの先生。
「先生、俺って人を守れるくらい強いかな?」
「ん?強いと思うよ。悠仁は肉体強度がおかしいからね。僕と戦って無限を肉体で克服された時は本当に笑っちゃったよ。」
「それずっと言ってるけど、先生ってそんなに強いの?最強って言ってたけど。」
「勿論。僕が圧倒的に最強だよ。2位と最下位の差より僕と2位の差のほうが広いね。まあ、一人面白い奴が居るんだけど。」
「へぇ〜。俺って何位くらい?」
「う〜ん。5位、いや、7位とかかな。まあ全く呪術を知らないのにその強さは異常だね。少し触ったけどどうやって生まれたのかさっぱり分かんないよ。」
巫山戯た変顔をしながら綺麗な目を自慢してくる。
「そんで、わざわざここまで僕が瞬間移動をしてきた理由なんだけど、悠仁には一度死んでもらいます!」
やっぱり、先生は頭がおかしいっていってた伏黒は正しいなと思った。
絶賛五条家で軟禁中の虎杖悠仁であった。