葦原天理は巫覡である 作:氷桜
「はぁ……」
「最近溜息多くないか?」
「いやまぁ、ちょっと考えなきゃいけないことが多くてなぁ」
部活……勇者部の活動が始まって数日。
まずは名前と役割を知らせるほうが先、とばかりに最初に動き出したのは掲示物と宣伝。
同時に今まで個人で頼まれていたような手伝いも部活に集約。
楽をする……とまでは言わないにしろ。
各々が得意とする役割を主体としたほうが効率的、というのはまあ確かにそう。
それに、人数が必要となるような行動だって可能になるわけだし。
案外人を使う、人に指示するような役割が合ってるんじゃないだろうかとも考える日々。
ただ、まあ。
こういう手段を取る場合だと、特に最初の頃は時間配分が偏るのもまた理屈通りで。
「もう少しやることがあれば集中してるだけでいいんだろうけどさー」
「おい、アタシがいるんだからアタシに集中するって選択肢はないのか」
パソコンが届くまで、美森ちゃんはパソコンが並べられた情報室での作業に没頭し。
そのちゃんはせんちゃんと合わせて掲示物の作成……というよりは書く内容の選定・デザイン。
それで作られたものを風先輩が貼り付けて、友奈と共に『こういう部活がある』と
で、俺達はと言えば……。
直接誰かが来る可能性も否定しきれないので、定期的に箱の中を確認しながら。
一人で歩かせるのも怖い銀の面倒を見ながらに手作業。
糸が切れて使えなくなった服装やら手人形、或いは小さなビーズ飾り。
少女達が身に纏っておかしくないもの、或いは
近々フリーマーケットに参加するつもりだ、とは聞いていたのでそれなりに売れそうなものを量産する。
だが、手慣れてしまっているというのも有り。
手癖で同じものを作り続けるのも退屈感も大きく、今のような状態に落ち着いている。
「え、
「な、何する気なんだよ……」
誂い混じりに言葉にすれば、がたりと大きな音を立てる。
実際にする/出来るとは互いに思っていないが、それでも口にすること自体に意味がある。
だからこそ、身体をだらけさせている机から動きを見せるわけだが。
「その態度だとなにかして欲しいように見えるからやめとけよ?」
「するわけ無いじゃん……」
お互いがお互いを知るからこそ、そうした態度に意味が出てしまう。
そして、まだ幼かった頃に比べて成長したからこそ。
身動きが取りにくくなって、以前よりも
毎朝の運動を続けたことで、多少は足回りに筋肉が付いたかなぁ?と思えてきたからこそ。
……要するに、
「
既にある種の答えを出しているからこそ、それ以上には進まない。
それ以上、これ以上。
特に本能に揺さぶられる以上は引き寄せられるやつが増え始める年頃ではあるが。
それこそ三柱からの精神力の鍛錬もあるし、
物理的な接触でもなければ何とでもなる、というのが現状の俺の答え。
「分かっててそういうのやめてくれよ……アタシが言うなら兎も角」
「それはズルくない???」
鉤棒を手元の机に置いて、軽く伸び。
ずっと続けていればどうしても身体は凝る。
ぐいん、と腕を伸ばせば幾らかぱきぽきと音は鳴る。
関節にも地味に痛みが走ったりするのは成長痛なんだろうか。
せめて少女達より背が大きくなって欲しいけど、叶うのかは未知数。
「いやぁ、だってアタシくらいだろ? ちゃんと口で言うのって」
「あー…………まあ、うん……」
他の三人は確かに口で言うよりも前に行動で示す。
それが好きか嫌いか、という視点ではなく。
一段階置いてくれるかどうか、という意味では確かに銀くらいか。
「アタシに感謝しても良くない?」
「それはそれでどうかと思うが」
「其処で掌ひっくり返すのやめろって」
互いに向かった机の先。
手を伸ばせば触れられそうなくらいに近いが、その距離は遥かに遠い。
「あー、早く身体治してイネス行きたい」
「お前の本能、大分それに侵食されてるよな……?」
「天理だってそーだろ。 アタシ置いて一人でいったら許さないからな」
「何故其処で否定されないとならんのだ」
此処の商店街には専門店はない。
より正確に言えば、衣料店や雑貨店にスペースが設置されている程度。
どうしても素材を必要とする俺の
だから、一人で出向く事はそこそこある訳なんだけれど……。
「連れて行ってもいいが、秒で飽きるじゃねーか」
以前のことを思い出す。
物品や装飾品、衣装には
それより前、布や糸と言った素材を見ているだけだとどうも飽きるのか。
店の外で飲み物片手にぼーっと見ているだけだった。
それが車椅子より前であった頃を考えても、余計に連れて行きづらいのだが。
「いやぁ……だって肌触りとか編み目が目立たないとか言われても良く分かんないし」
「せめて肌触りくらいは気にしてほしいんだが。 肌に触れるんだし」
「……変態」
「酷くねえ!?」
目を逸らしてぼそり、と呟かれた言葉。
ただその内容を聞くだけならそう取られるだろうが、現状が現状。
ほぼ同棲してるんだからある程度見たくなくても見てるのは分かってるだろうが。
それに、その言い草は俺からも同じことを言い返せるんだが。
「じょーだん」
「全く以てそう聞こえないんだが……?」
「だって今のアタシ、見た目とか肌とかよりも動き易さ重視だし」
ちらり、と向ける制服の内側。
確かに家の中で見かけるそれらも、伸び易さやらゆったりしたものが多くなっていた、か?
「……あー。
そういや腕とか脚はどうなんだ? あんまり自分から言わないけど」
「前よりは? ちゃんと力が入る感覚はあるけど、それでもなんか震えるんだよなぁ」
早く治したいよなー、と軽々しく口にする少女に。
そうだな、と返すのに要した精神力は多く。
「そうすれば……」
「?」
銀が、その後に零した言葉の本当の理由に気付く事は――――出来なかった。
微かに赤く、微かに朱に。
表情にさえ浮かべていた、その本当の理由には。
・特に、自分の親友達は自由に動けて。
・仲間でありながら、恋敵だからこそ。
その内やる掌編
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そのっち@小説絡み
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東郷さん@ぼたもち
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銀ちゃん@部屋でだらだら
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ぐんちゃん@ゲーム
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ずんずん@真面目な話
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タマ先輩@アウトドア
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友奈ちゃん@お出かけ
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亜耶ちゃん@お祈り
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たかしー@夢の中