葦原天理は巫覡である   作:氷桜

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ちょいちょい日常回やっていきましょうね。


幕間2-3

 

連休が明け。

元の生活……学校生活が再びに始まり。

 

「~♪」

 

「んー……?」

 

けれど、ほんの少し変わった関係性や人間性は元には戻らず。

俺達を良く見ている相手からすれば、大きな違和感として感じ取れるものらしい。

 

「どうした、友奈」

 

教室……放課後手前、授業前最後の休憩時間。

いつものように同じ辺りの席に集まる俺達の中。

ただ話しているだけ(とは言ってもある程度視線を集めている)の中、唯一首を捻る桜色の少女。

 

「いや……何だろ、こー……言葉にし難い違和感、みたいな?」

 

「そんな事言われても逆に首を捻るのは此方なんだが……」

 

なんだろー、と自分の中で言語化するのに苦戦するのを見つつも。

銀や美森ちゃんが向ける目線には、多少の湿度が混じっているのもまた事実。

片側は帰宅後に対応できるし、それなりに動いたのだが。

もう一人は……家も違うし、対応するまでに少しの遅れがあって。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、という秘密事があったりなかったりする。

 

(……この雰囲気を理解してる? いやまあ、友奈なら理解するか)

 

一瞬戸惑ったが、それもすぐに思い直す。

元々此奴は人の顔を伺うように()()()()()()()奴。

そしてそれは、良い方向から考えるなら人の気持ちが慮れる奴という事。

ほんの些細な変化から感じ取るのは……まあ、慣れているはずだから。

 

「友奈ちゃん、そんなに悩むことでもないでしょう?」

 

「でもー、なんか喉に骨がぶすっと刺さってる感じがあるんだよー」

 

「それ、手術とか必要になるレベルじゃないか?」

 

嗜めるように美森ちゃんが声を発せば。

どうしても気になる、と向けられるのは俺への目線。

 

……と言われても、困るんだがな。

流石に今話すことでもないし、変に公開するような内容でもない。

周囲の奴等は雑談しながらに聞き耳立ててるのが分かってしまう以上、公言もし辛い。

公にしたとして、受け入れられる筈もないことは全員が共通して理解していることだから。

 

「……一応聞くが、何がそんなに気になってるんだ?」

 

「えー、何だろ。 朝からなんだか違うなぁ、って思ってはいたんだけどさ」

 

「アレかね、俺も長い休みで背が伸びたとか」

 

「あはは。 ……でもちょっと伸びた気はする」

 

えっ。

 

多分、()()の目線は友奈に向いた。

そんな微量な変化を感じ取った……と言われても不思議じゃない感じを漂わせていたので。

 

「気のせいかも知れないけど……あ、でもそっか。 引っ掛かってたことの一つは分かった!」

 

「おう」

 

()()()()()()()()()()()事!」

 

恐る恐るに聞いた内容。

ただそれが、純粋に運によるモノで……ガクッと肩が落ちた。

視るに、銀や美森ちゃんも力が抜けるか小さく微笑むか。

 

……あの顔は、友奈に滅茶苦茶甘い時の顔だ。

『全く仕方ないんだから』とか思ってる時の顔だ。

まあ、言えば部室で酷い目に合うだろうから黙っておく。

 

「単純に巡り合わせが悪かったって話じゃねーかそれ」

 

「え?」

 

きょとん、とした顔。

いや、そんな反応されると物凄い怖いんだけどどういう事?

 

「え?」

 

「……冗談だよ、冗談。 まあ、お互い忙しかったんだよね?」

 

「忙しかったのは間違いないなぁ……」

 

二度はゴメンだぞ、あんな地獄の中への救出劇。

相性が良い勇者がいなかったら……と考えてしまうと震えさえ起きる。

無論、その後のことは忘れたくても忘れられないが。

 

ほんの少し、横目で顔を横に倒すそのちゃんを見る。

何となく、彼女も此方を見詰めているような気がしていたから。

 

 

果たしてそれは――――事実だったのか、それとも偶然だったのか。

彼女の目と、横目が重なり。

薄く染めた頬と、ほんの少しだけ浮かべる笑み。

 

角度からして俺達にしか見えない……仮面の奥の、ほんとうの微笑。

 

口元を微かに動かし、言葉にしていた。

ハッキリとは読み取れないのに、繋がりからか……それとも同じ相手のことを考えていたからか。

その言葉を読み間違える事は無く。

 

『多分寂しかったんだと思うよ~?』

 

――――寂しい?

此奴が?

そんな風に思ってしまう。

 

もし、こんな短期間会わないだけで寂しいと思うのなら。

小学校の間会わなかったのは、友奈にとってどういう状態だったのか。

それを考えるのが、怖かったとも言う。

 

ただ……まさか、とか。

そんな筈無い、と否定までは決して出来ない。

定期的に、何かの折に俺でさえ顔が浮かんでいたのは事実。

向こうが同じ状態でなかったとは決して断言できないことだから。

 

「? どーかした?」

 

「あー、いや……なんか疲れでも溜まってんのかな、ボーッとしてた」

 

ひょい、と覗き込まれて首を振る。

同時に鳴り響く、最後の授業を示すチャイムの音。

それに従ってクラスメイト達も自分の席へと戻っていく中。

 

「……無理はしちゃ駄目だよ?」

 

「しねーよ。 ……後」

 

「ん?」

 

「後で時間作って何かしらに付き合うから、それで機嫌直せよ」

 

機嫌が悪い――――という話ではないのだけれど。

ただ、それでも一応は言っておきたくて。

 

「…………うん!」

 

……それで、少しだけ悩んでいたような表情から憂いが少しだけ晴れ。

笑みを見せるのだから……変わらないなぁ、と思うのと同時。

複数の視線が俺に向いているのを感じて。

改めてもう一度、溜め息を吐いた。

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