葦原天理は巫覡である 作:氷桜
各キャラ深堀しようとすると増えていくのでこのまま突っ走りたい。
手荷物が両手を埋め尽くし。
けれど足もなく、電車を降りてからは夕日を背に二人で歩く。
「色々買いましたね……」
「買ったねえ……」
二人の両手を埋め、それでも尚運べない大きいものは後日に輸送。
元々備え付けの家具程度に、若干の電化製品が追加されただけの一軒家。
本格的にあの場所近辺で暮らすことを考えるなら、これくらいは……と。
少し入れ込みすぎたやもしれない、と思わなくもない。
本来買う予定だった物品を大きく超えた品々。
とは言え、其れ等は全て必需品……とまでは言わなくとも。
まず間違いなく一歩劣る程度には必要。
(……大きめの冷蔵庫とか、あって困るもんじゃないだろ)
元々『一軒家』として存在してはいるが、其処まで多人数を考慮していない。
精々が多くて三人、一家族程度が住むことを想定していると思う佇まい。
だからか、最初から置かれている家電類は小さ目のものが多く。
何度か訪れた際に困っているのを見ていた、という現実さえもあったから奮発してしまった。
「……でも、良かったんですか?」
「え?」
「冷蔵庫は……私というよりひなたさんが喜ぶでしょうけど。 三面鏡とかまで」
「家で使ってなかったら持って行って貰っても良かったんだけど……」
俺は良くわからないが、化粧する時とか。
そういう場合に使うもの
嘗ての――――埃を被ったままだった母親の化粧品の代わり。
最低限は、と気にし始めた二人の化粧品が並ぶ台の上を思い返す。
流石にそんな物を勝手に分け与える程、俺も命知らずじゃない。
「どっちにしろ、大分古くなってたんでしょ?」
「……正直言ってしまうと」
直接使っていた訳では無いが、電源が稼働している時に鳴る音や見た目。
本当に『管理』していただけ、という状態に近いという報告。
其れ等を見ていたから、恐らくは確度も高いだろうと思っての質問。
……使用者も、完全に壊れたわけではないから……言い出し難い言葉だったと思うから。
俺の資産の幾らかがまた物品になった、という話。
貸家なんかをやっていればこの辺りはまあ織り込み済み、という部分もあるし。
領収書はきちんと税理士に引き渡して対応して貰わないと、か。
「だったらまあ……うん、良いんじゃないかなぁ」
「……でも、結構な値段」
「
多分、大赦とか今の家に行けば気にしなくても良くなると思いますよ」
意識して敬語を使う。
そうすればどういう関係性になるのか、そして彼女達への依頼も合わせ。
若干脅しているような言い方になってしまうのは申し訳ないと思うが。
少なくとも今、他に漏れてしまっては不味い情報が山盛り過ぎるから。
「しませんよ」
「信じてるよ、疑う理由もないし」
「だったらその言い方やめて欲しいんですけどね……」
やや赤い太陽からの光が、甚平の色合いと合わさって黒ずんで見える。
白い彼女の服は、そのままに赤く。
嘗ての――――封印されていた時の彼女の怪我を思い出させる色。
俺自身が吐き出した、生命の色。
そのちゃんが、美森ちゃんが、せんちゃんが……銀が、地面を濡らした緋色に似ている。
以前は気にも止めなかったのに。
気付けば、一番恐れるようになっていた色合い。
「……あ、そうだ」
そんな思考から目線を逸らすように。
そして、二人で話しているという状況に気付かないことを祈るように。
朝方に少しだけ聞き、その内容について聞いていない事を思い出して口にする。
「はい?」
「伝言があるとか何とか言ってたと思ったけど……」
「……あ」
その顔は今の今まで忘れていた、と言った顔。
おいおい、と思う感情が顔に出なかったと信じたい。
まあ俺自体も直ぐに聞かなかった……聞けなかったからおあいこ、としておきたい。
「そうでした。 ひなたさんから天理さんへの伝言……出来れば口頭で、とのことで」
「まあ、確かに俺も普段通りの連絡用ので連絡しないから不思議には思ってたけど」
「近々、直接話したいことがあるので時間を作って欲しい……とのことでした。
それと、一応理由も聞いてるんですが……こればっかりは確かか分かりません」
少なくとも私はそうする準備を整えましたし、私の後を継いだあの子ならそうすると思います。
そんな前置きをした上で、極めて原始的な手段でのやり取りを行おうとした理由。
きょろきょろと周りの様子を伺った上で、声を潜めて。
耳元にそっと、秘密の言葉を呟くように声がした。
「多分、大赦か何処かの家が通信記録を確認できるようにしているそうです。
……千景さんの一件があってから、私達の時代も色々と物騒になったから、と」
ただ、具体的に何処の部署だとか何処の家なのかとかは分かるはずもなく。
「……そうだな、それなら俺も警戒しないとな。 最近ちょっと薄れてたかもしれない」
……風先輩の案件は、まあ部活動の一環とか色恋沙汰とでも覆い被せればいいか。
全く嘘を含んでいないわけでもないし。
「余り思いつめないで下さいね?」
「それは此方も同じ。
あ、近々帰り際に寄るからその時に詳しい日取りは決める……って言っておいて貰える?」
「はい。 その時を楽しみに待たせて頂きます」
くすり、と笑った顔。
それに応答し、小さく笑い返し。
再びに歩き始めながら、夕日で影が地面に延びる。
――――そうしているときだけ。
緋色のことを、少しでも。
忘れられているような気がしたから。
互いにずっと。
お互いの横顔を頼りに……話し続けながらの、帰宅となった。
活躍させたいキャラ上位二名
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若葉様
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ひなた様
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ぐんちゃん
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あんずん
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タマ先輩
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たかしー